1: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:43:55.11 ID:dbtwVbjq0
【はじめに】
○公式設定から逸脱した個人的な解釈、推測、キャラづけがあります。
○先日、投稿した ex14.vip2ch.com と話がつながっております。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:46:27.87 ID:dbtwVbjq0
(ありがとうっていう気持ちを、ちゃんと届けるには何を用意すればいいんだろ?)
白いハンカチでその手を拭きながら、南条光はそんなことを考えていた。
少なくとも、感謝の気持ちは一対一の相互交換なのではなく、誰かから誰かに次々とめぐりめぐってゆくものだと光は感じている。
3: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:47:15.90 ID:dbtwVbjq0
つい先日のまゆの誕生日のことである。
彼女は困っていた光を助けたがために、自分のプロデューサーに渡そうと思っていたプレゼントの入っている黒い紙袋を落とし、光の自転車その他もろもろを巻き込んだ追跡劇の末、大切な紙袋が見知らぬ誰かのトラックに乗ったまま、どこかへ消え行く姿を見送るハメになってしまった。
光は気にしていたが、まゆは
4: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:48:01.21 ID:dbtwVbjq0
「アタシは南条光。キミのお名前は?」
「えっと……俺は、コータ」
5: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:48:52.64 ID:dbtwVbjq0
***
「アーハハハハハハッ、傑作じゃない!?」
6: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:49:40.26 ID:dbtwVbjq0
先ほどまで麗奈が見ていたプロデューサーのスマホには、三ツ谷からの依頼メールが表示されている。
『今度、つくばの魅力を紹介したネットTVっていうの?
そんな感じのやりたいんだけど、まずは某Tubeとかで気楽に
7: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:50:38.17 ID:dbtwVbjq0
「ま、その三ツ谷さんって人のおかげで、光の喜ぶ仕事が取れたわけだけど」
「ええ、そこは感謝してますよ。茨城のご当地ヒーローとは言え、ヒーローはヒーローです。
そのショーの特別ゲストとしてヒーローヴァーサスを推薦してくれたのは三ツ谷さんですからね」
8: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:51:34.97 ID:dbtwVbjq0
***
「お連れ様のお呼び出しをいたします。
東京都からお越しの小関麗奈さま。
9: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:52:39.92 ID:dbtwVbjq0
コータはかなりのスピードでビルから飛び出していく。
光もそれを追い、人をかき分け、モールのドアを押し開け、青い空の下へと駆け出す。
コータは大きな道路にかかる橋をずんずんと進む。
10: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:53:22.21 ID:dbtwVbjq0
***
「ちょっと! アタシが迷子になったみたいじゃない! 違うでしょーが!」
11: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:54:28.82 ID:dbtwVbjq0
「で、次の場所はたしかつくば駅から一駅行ったところの大きなショッピングセンターだったっけ?」
「そうです。このあたりで一番大きい――」
12: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:55:20.50 ID:dbtwVbjq0
「ご婦人、そのお話も非常に気になりますが、まず私たちは、なんとしても彼女と合流しなければならないのです」
「おぉ、それはそれは、時間を取ってもうて悪いねぇ」
「いえ。それじゃ、麗奈、私は光を追います」
13: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:56:00.65 ID:dbtwVbjq0
***
「俺の父ちゃんは、悪いヤツなんだ」
14: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:56:42.16 ID:dbtwVbjq0
しばしの思案の後、光が口を開く。
「じゃあさ、まずは弟さんを探そう」
15: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:57:21.92 ID:dbtwVbjq0
***
「戻れない? そこは、どうにかなりませんか?」
16: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:57:53.61 ID:dbtwVbjq0
「あ、すみません。他から着信が。また折り返します」
『ん。よろよ――……』
17: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:58:39.85 ID:dbtwVbjq0
プロデューサーは、静かな動作でスマホを切ると、眼鏡を外し、鳴らすように左右へと首を振った。
「ふぅ」と一息つくと、眼鏡をかけなおし、再びスマホを操作し、三ツ谷へと連絡をする。
『はいはい、もしもし、三ツ谷です』
18: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:59:21.62 ID:dbtwVbjq0
***
「兄ちゃん! 姉ちゃん!」
19: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:00:55.64 ID:dbtwVbjq0
光とコータは走り続け、もう体力が切れそうになるところまで来て、追ってくる者がいないことを確認し、歩みを緩めた。
「はぁ、はぁ……コータくん、あの人たちは一体?」
20: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:01:30.11 ID:dbtwVbjq0
公園の脇を通り過ぎようとしたとき、木の影が大きく動いたと思うと、幼児ほどもある影が光たちの目の前に降り立った。
「キキーッ!」
21: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:02:05.26 ID:dbtwVbjq0
そのとき、軽トラックの窓が開き、光の良く知った顔が見えた。
「荷台に乗ってください、光!」
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