19: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:00:55.64 ID:dbtwVbjq0
光とコータは走り続け、もう体力が切れそうになるところまで来て、追ってくる者がいないことを確認し、歩みを緩めた。
「はぁ、はぁ……コータくん、あの人たちは一体?」
コータは息を整えた後、「ごめん……」と一言だけこぼし、押し黙ってしまった。
「……ふぅ。とにかく、歩こっか。大丈夫そう?」
うなずくコータと、ゆっくり歩き始める。
閑静な住宅街は、いつの間にかの曇り空のせいで、真昼だというのに、心なしか薄暗い。
公園もさびれて見えて、そこを囲う木々も悲しそうに風にそよぎ、ざわめいた。
光はコータのペースに合わせて、ゆっくりと歩く。
その横顔を伺うと、涙が今にも滴り落ちそうだ。
光はポケットからハンカチを取り出し、彼にそっと差し出した。
それを手に取ったコータの目に映ったのは、純白のハンカチとそこに刺繍された翠のカッコいいリボンであった。
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