南条光「カンシャノアカシ」
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20: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:01:30.11 ID:dbtwVbjq0

 公園の脇を通り過ぎようとしたとき、木の影が大きく動いたと思うと、幼児ほどもある影が光たちの目の前に降り立った。

「キキーッ!」

 光は一歩、後ずさる。

「な、なんで、こんなところに猿が!?」

 それ以上に光を驚かせたのは、続くコータの言葉であった。

「タイチ!? どうしてこんなところに!」

「え? ええーっ!?」

 タイチと呼ばれた猿は、驚愕する光にかまうことなく、コータにすっと近寄り、そばで大きな声でわめき始めた。

「ま、まずい、タイチが呼んでる!」

「呼んでるって、まさか!?」

 ますます猿は大きな声を発する。

「キーッ、キキーッ! キャー!!」

「おい、向こうの方でタイチが叫んでるぞ!」

「あっちの方だ!」

 どこかで叫ぶ大人たちの声が聞こえる。
 光とコータはまたもや駆け出した。が、思うように足が動かない。
 タイチもコータについてくる。

「いたぞ! あっちだ!」後ろの方で声がする。

 突然、光たちの進行方向に軽トラックが現れ、二人の道を塞ぐように止まった。

(これまでか……!)

 光は唇を噛んだ。
 コータくんが親元に帰れるのは悪いことじゃないのであろう。
 だけど、何か、納得できない気持ちが光の胸をじわりじわりと絞める。




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