20: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:01:30.11 ID:dbtwVbjq0
公園の脇を通り過ぎようとしたとき、木の影が大きく動いたと思うと、幼児ほどもある影が光たちの目の前に降り立った。
「キキーッ!」
21: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:02:05.26 ID:dbtwVbjq0
そのとき、軽トラックの窓が開き、光の良く知った顔が見えた。
「荷台に乗ってください、光!」
22: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:02:35.33 ID:dbtwVbjq0
***
「ホント、危ないところだったわよ」
23: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:03:09.91 ID:dbtwVbjq0
「ところで、さっきの話。おばあちゃんの息子さんがヒーローってどういうこと?」
「ワタシの息子はね、これからやるヒーローショーのヒーロー役をやってるのよ。
何って言ったか……すーつなんとかとか言う――」
24: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:03:39.60 ID:dbtwVbjq0
「今の光はね、自分の好きなことを好きって、はっきり胸を張れるだけの強さがあるの。
そこはね、このレイナサマだって一目置いてる。それ以外は甘ちゃんだけどね」
麗奈はそう言い切った後、少し頬を赤らめた。
25: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:04:27.96 ID:dbtwVbjq0
***
小関麗奈のライバルの話に時を戻そう。
26: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:04:56.67 ID:dbtwVbjq0
コータの話によると、それは三か月前の練習中の事故であったらしい。
コータが物心ついたころから、そのサーカスのエースであった一匹の猿、ジロー。
コータにとっては、大切な友人であり、教師であり、兄弟であり、親でもあった。
27: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:05:38.71 ID:dbtwVbjq0
その様子を黙って見守っていた三ツ谷がつぶやく。
「好きな事、忘れたらあかんで」
28: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:06:16.14 ID:dbtwVbjq0
***
「アタシは光の、ラ・イ・バ・ル、よッ!」
29: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:06:49.74 ID:dbtwVbjq0
その様子をほほ笑みながら見ていたおばあちゃんが
「実はねぇ、ワタシの息子――」
30: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:07:25.22 ID:dbtwVbjq0
おばあちゃんはコータに対しても優しく話をしてくれた。
コータも今まで触れたことのないタイプの柔らかさに、心細かった気持ちがほぐれたのか、観客席につくまでに今日の顛末を一通り話してしまった。
それを聞いたおばあちゃんは、何を言うでもなく「あらまぁ、たいへんやったねぇ」と頬にしわを寄せて、優しくコータの頭を撫でてやった。
36Res/50.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20