28: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:06:16.14 ID:dbtwVbjq0
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「アタシは光の、ラ・イ・バ・ル、よッ!」
合流するなり、光に「相棒の麗奈」と紹介された彼女は、コータに向かって訂正した。
コータはその圧に気圧され「は、はい」と控えめにうなずいた。
プロデューサーはあの後、コンビニまで呼んだタクシーで光とコータをショッピングセンターまで届けた。
三ツ谷とタイチは、支配人にことの顛末を伝えるため、別行動だ。
今からのヒーローショーは、ショッピングセンターの一画にある二〇〇人ほどが入るホールを使って行われる。
その舞台裏は、既に準備を進めるスタッフで慌ただしかった。
光はプロデューサー、コータとともに控え室入りし、そこで麗奈との再会を果たしたのである。
そんな光たちのいる控室のドアが、ノックの後に開く。
そこから、シルバーのメガネをかけた高齢の女性が入ってきた。
「光ちゃん、無事に見つかってよかったねぇ」
「えっ! あの時のおばあちゃん? どうしてここに!?」
光の質問に答えが返る前に、おばあちゃんの後ろから大きな赤い影が入ってくる。
深紅をベースに、矢印をモチーフにした流線型の白いラインが眩しく、かぶったヘルメットには青く輝くメタリックなバイザーが下ろされている。
「わぁ!?」
光の表情がパァっと輝いた。
それは、本日のショーの主役である、茨城県が誇るヒーローその人であった。
「キミが光くんだね。このおばあちゃんを助けてくれたと聞いたよ。ありがとう!」
ヒーローが手を差し出す。
「えっ? えっ? いいんですか!?」
光は感激した様子でおずおずと手を伸ばし、固い握手を交わした。
麗奈は「ふん」と鼻で息をつく。
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