南条光「カンシャノアカシ」
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27: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:05:38.71 ID:dbtwVbjq0

 その様子を黙って見守っていた三ツ谷がつぶやく。

「好きな事、忘れたらあかんで」

 それを聞いたプロデューサーは、(なんで関西弁やねん)と心の中でツッコミながら、静かにコータに語りかける。

「……コータくん。その気持ちを、お父さんとお母さんには、伝えましたか?」

 コータは首を横に振った。

「あんまり、しっかり……話してない」

「それじゃあさ、その気持ちをしっかり伝えようよ! お父さんとお母さんに」

 光はコータに向かって力強く呼びかける。
 コータは少し戸惑ったような表情を見せた。

「大事なことだと思う、ゼッタイ! だって、コータくんは好きなんだよね?
 弟や妹たちと舞台に立って、キラキラするのが。
 それが、やりたいことなら、諦めちゃダメだよ!」

「……伝えたい、伝えたいよ、俺だって。
 でも、怖いんだ。わかってくれなかったらどうしようとか、舞台で失敗したらとか、
 タイチがあんなことになったら、とか」

「……うん、わかるよ、怖いよね、ステージの上って。
 でも、やりたいなら、好きな事ならさ、勇気を振り絞るんだ。
 そして、がんばってみようよ、一歩ずつでいいからさ」

 コータは光の言葉ひとつひとつにうなずく。

「ねぇ、コータくん。この後、アタシさ、ショーに立つんだ。
 憧れのヒーローショー。
 でも、はじめてでさ、実はすごく怖い」

 そういって、不器用な笑顔を作った。

「でも、すごく楽しみなんだ。
 この日のために、一生懸命、練習してきたつもりだから。
 どんな舞台になるのかな? どんな自分になるのかな? って」

 光も立ち上がり、勢いよく荷台から飛び降りると、片膝を立ててもう片方の膝と同じ方の手を地面につけて、三点着地をした。

 光なりのヒーローランディング。

 立ち上がった彼女は振り返って、ニカッと笑う。

「どう?」

 コータも笑った。

「観に来てよ、アタシの初めてのヒーローショー。相棒がいるんだ。二人で最高にカッコよく決めるからさ」




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