南条光「カンシャノアカシ」
1- 20
25: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:04:27.96 ID:dbtwVbjq0

 ***

 小関麗奈のライバルの話に時を戻そう。

 三ツ谷の運転する軽トラックで、ヒーローショー会場に向かう途中、彼らはコンビニに寄った。
 二人と一匹をいつまでも荷台に乗せておくのは危ないであろうというプロデューサーの判断である。

「まさか、猿だったなんて……」

 深く息をつきながら、光は言う。
 当のタイチは、軽トラックに乗ってからは大人しいものだ。
 何も言わずにコータのそばで毛づくろいをしている。

 コンビニの駐車場、そこに停まる軽トラックの荷台には少年と少女と猿、運転席ではアロハシャツのおじさんが開けた窓から腕を出し、助手席側のドアのすぐそばにはスーツ姿の男が一人が立つ。
 その光景に対して、コンビニの店員が店内から心配そうな視線を送っている。

「もしよければ、話してみませんか、全てを」

 プロデューサーがコータにむけて静かに語りかけた。
 光もうなずく。

 コータは二人の顔を交互に見つめると、観念したように話始めた。
 その視線はタイチに向けられている。

「タイチが弟っていうのは本当だよ。俺には、弟みたいなヤツ。俺のお父さん、あのサーカスの支配人なんだ」

 コータはコンビニの窓ガラスに貼られている、サーカス公演のポスターを指さした。
 三ツ谷も得心したようにうなずいている。

「じゃあ、さっきまで追ってきた人たちは?」

「サーカスの団員さん。本当の兄弟じゃないよ。でも、お兄ちゃん、お姉ちゃんだと思ってる。
 弟や妹はコイツら、猿とか熊とかライオンとかトラとかヘビとか、いっぱいいる」

「じゃあ、さっき嫌だって言ってたのは、サーカスのことだったんだね」

「うん。俺もさ、団員で、ステージにも立ってたんだ。
 前はすごく楽しかったんだよ。キラキラした舞台で、弟や妹たち一緒にお客さんをワーッって言わせるの。
 でも……今は楽しくない。みんなが危ないことしてるってわかったから……」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
36Res/50.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice