22: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 22:02:35.33 ID:dbtwVbjq0
***
「ホント、危ないところだったわよ」
「すまんねぇ、麗奈ちゃん。最近、身体が思うように動かんくてねぇ」
時は若干巻き戻る。
プロデューサーと分かれた直後、麗奈は知り合ったおばあちゃんと一緒に、ヒーローショーの会場へと向かう電車に乗り込んだ。
おばあちゃんの動きが想定よりスローであったため、危うく一本逃すところであった。
その一本を逃せば、三十分間の立ち往生を強いられる。
田舎電車はエクスプレスと銘打っていても、そういうものだ。
二人並んで座れる席がなかったため、おばあちゃんを座らせて、その前に麗奈は立った。
「麗奈ちゃんも光ちゃんのお友達だけあって、優しいねぇ」
「はぁ!?」
思わぬ言葉をかけられて、麗奈は狼狽した。
「アタシは光みたいないい子ちゃんじゃないわよ! いちおうね、悪の女王として売ってんの!」
「あらまぁ、こんな可愛い悪の女王様がおるんだねぇ」
「ぐ……いちおう誉め言葉として受け取っておくわ」
「ふふ……。悪の女王は、こんなおばあちゃんに席を譲ってくれないと思うけどねぇ」
「ふん。悪の女王だけあって、おばあちゃんにだってタメ口よ」
麗奈は手すりにかけていない方の手で、アッカンべーのポーズを作る。
その様子をおばあちゃんはほほ笑んで見ていた。
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