8: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:51:34.97 ID:dbtwVbjq0
***
「お連れ様のお呼び出しをいたします。
東京都からお越しの小関麗奈さま。
お連れ様が二階サービスカウンターでお待ちでございます」
館内に放送が流れるのを確認し、光は「よし」と一息ついた。
まずは、プロデューサーたちにも来てもらった方が安心できる、と判断してのチョイスだ。
「つい麗奈の名前で呼んでもらっちゃったけど、プロデューサーのでもよかったかな。ま、いっか」
次は少年の弟さんかご両親の番と光は考え、後ろで待っていた少年に声をかける。
「さて、次はコータくんの番だけど、お父さんとお母さんのことについて――」
「あっ、で、でも、やっぱり自分で探す。ひひ光さんにメーワク、メーワクかけられないし」
コータは引きつった笑みを顔に貼りつけながら、ガタガタとまくし立てた。
「えー。でも絶対、ここで放送してもらった方が早いよ」
光は首をかしげながら言った。
「そ、そうかな? そうかもね? あ、あっ、でもですねぇ、なんか恥ずかしいというかさ」
「恥ずかしいことなんてないぞ! 麗奈みたいに名前よばれるだけだって」
光は二カっと笑うが、コータは一向に目を合わせようとしない。
額から一筋、汗が流れた。
「……」
「どうした? 大丈夫??」
コータは、光の気づかいに反応する代わりに、突然「あっ!?」と声をあげ、光の後方を指さした。
「あの人たちじゃない? そのレイナさんって人!?」
「えっ!?」
光が振り向く。そこに麗奈はいない。
瞬間、コータは光から離れるように走り出していた。
「あっ!? 待って!」
光も気づくと同時にコータを追いかける。
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