南条光「カンシャノアカシ」
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17: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:58:39.85 ID:dbtwVbjq0

 プロデューサーは、静かな動作でスマホを切ると、眼鏡を外し、鳴らすように左右へと首を振った。
「ふぅ」と一息つくと、眼鏡をかけなおし、再びスマホを操作し、三ツ谷へと連絡をする。

『はいはい、もしもし、三ツ谷です』

「三ツ谷さん。車を出してください。どうか、頼みます」

 その声は普段に増して重く力のこもった声であった。

『ん、わかった。ちょうどこっちも騒がしくなっちゃってさ。
 なんか、息子を見つけた部隊がどうだかって、支配人も出払っちゃって。
 これ以上、ここにいると面倒になりそうだから、そっちに行くよ』

「ありがとうございます。できるだけ早く、全速力で来てください」

『おっけー、おっけー。なんかそっちもあったみたいだね。
 大事じゃないといいけど。できるだけ急ぐよ。
 んじゃ、駅だよね。
 親父から借りてる軽しかないから、それでつけるけど、よろよろー』

 三ツ谷との通話が終わると、プロデューサーは少し頭を冷やそうと無糖のコーヒーを買う。
 光から今いるだいたいの場所が聞けたのは幸いであった。

(三ツ谷さんと合流したら、すぐにそこに向かわなくては)

 バス停のベンチに腰を下ろして、歯ぎしりをする。
 こんなときの、三ツ谷の軽口はかえって頼りにはなるが、イラつきもするというのが本音である。
 思わず独り言をつぶやく。

「だいたい、なんであの人、双海姉妹推しなんだよ……」




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