南条光「カンシャノアカシ」
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4: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:48:01.21 ID:dbtwVbjq0

「アタシは南条光。キミのお名前は?」

「えっと……俺は、コータ」

「コータくんか。よろしくね! それで、もしかして、はぐれちゃったとか?」

「えっと、その、まぁ、そうかな……」

「そっか、それじゃあ、お父さんとお母さん、探そっか」

「へっ?!」

 大げさなくらい目を丸くして、少年は光の方を見つめている。

「心細かったでしょ?」

 光が首をかしげると、少年はゆっくりと光から視線を落として、小さな声で「うん」とうなずいた。

「じゃあ、まずはお店のサービスカウンターにでも行って」

「ちょ、ちょ、ちょっと待って! あ、えっと、待ってください、の方がいいのかな?」

 少年は慌てた様子で立ち上がって、光の言葉をさえぎる。

「そ、その、えっと――一緒に来た弟とはぐれちゃって、だから、弟も探さなくちゃっていうか」

「それなら、弟さんも探そう!」

 光も立ち上がる。少年と目線の高さが合った。
 そして、ニコりと笑い、少年の手を取って歩き出す。

「うわわわ」

 頬を赤らめて、なすがままに引っ張られる少年を尻目に、光は
(まぁ、どっちにしても、サービスカウンターだよね。次の仕事までは充分、時間あるし)
 などと考えていた。

 と、ここで少年が恐る恐る尋ねる。

「あの……君は、いくつ……ですか?」

 思いもよらない質問に戸惑いながらも光は、まさに今日、ひとつ増えた数字を答えた。

「えっ!? 光さんは……俺より上なんだ」




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