南条光「カンシャノアカシ」
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10: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/13(水) 21:53:22.21 ID:dbtwVbjq0

 ***

「ちょっと! アタシが迷子になったみたいじゃない! 違うでしょーが!」

「まぁまぁまぁまぁ」

 プロデューサーと麗奈は館内放送を聞いて、慌てて席を立った。
 麗奈がぷんすこしている間に、プロデューサーが会計を済ます。

 そして、二人は急ぎサービスカウンターに向かった。

「ファンが集まりでもしたらどうすんのよ?!」

 特に人は集まっていなかった。

 腑に落ちない表情をしている麗奈を横目に、プロデューサーはサービスカウンターの受付の女性にスマホを見せている。

「それじゃあ、さっきの館内放送を頼んだのは、たしかにこの子だったのですね?」

「ええ、間違いありません。ボーイッシュな格好でキレイな長髪の女の子でした。
 ですが、放送をした途端に走りさってしまって。
 どうやら小学生くらいの男の子と一緒で、その子が走っていったのを追っていったようです」

「……そうですか」

 プロデューサーは右の手のひらで口元を覆いながら麗奈の元に戻る。

「で、どうだったのよ?」

「……参りましたね。光はもうここにいないようです。
 向こうの方に向かったことはわかりましたが、その後にどこに行ったかまでは追跡しようがありません」

 さらに悪いことに、光の携帯電話を含めた持ち物は、今、プロデューサーが預かっている。
 お互いに、お手洗いに行く程度のこと、と思っていたので、光はほぼ全ての荷物をレストランに置いてきていた。

「わかったわ。……じゃあ、アタシが次の仕事の打ち合わせに先に行くから、アンタは光を探すってのはどう?」

「いいのですか、麗奈?」

「やむなし!」

 麗奈は腕を組んで、大きく息をついた。




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