大河「お腹が痛いんだけど」竜児「……俺もだ」
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1:名無しNIPPER
2018/06/16(土) 20:55:07.20 ID:5SUXe4Aj0
大河「竜児ぃー! まだぁー?」

居間から届く、何度目とも知れない催促。
高須竜児は手の動きを止めずに、応えた。

竜児「もうちょっとだ!」

大河「もう、お腹が減って死にそう……」

どの口がそんなことをほざくのやら。
弱々しい台詞とは裏腹に、居間からはガサゴソ何やら物色する物音と、バリボリむしゃむしゃと咀嚼する音が聞こえてくる。大河の仕業だ。

あれほど飯の前にお菓子を食うのはやめろと竜児が忠告したのにも関わらず、大河は帰宅途中にコンビニで購入した菓子類に手をつけていた。
姿を見ずとも、だらしなく居間で寝そべり、テレビを観ながら貪っている姿が容易に想像出来た。逢坂大河が豚のように肥え太る将来が、刻一刻と差し迫っているのを竜児は感じた。

危機感を覚えた竜児は手の動きを加速する。
ギラギラとした双眸を光らせ、手に持った包丁を縦横無尽に振るう。完全に事件現場である。

しかし、高須竜児は善良な一市民だった。
包丁で微塵切りにしているのは、タマネギだ。
他には、ジャガイモ、ニンジン、少量の豚肉。
つまり、竜児は現在、料理を作っていた。

下ごしらえが終わり、鍋で豚肉を焼く。
その後、他の食材も鍋に投入。暫し炒める。
タマネギが飴色になってきたら、水を投入。

沸騰する時間を利用して、まな板を洗浄。
ついでに皿とスプーンを用意しておく。
鍋の中で食材が踊り、充分に火が通った。

素人はジャガイモに爪楊枝を刺して確認する。
だが、竜児はそんなことをしない。
長年培った体内時計が、それを告げてくれる。

竜児「それっ」

タイミングを見計らい、ルーを投入。
すると、鍋の中身が乳白色に変わった。
茶色ならばカレー。白色ならばシチューだ。

今晩の献立は、竜児特製のシチューだった。

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2:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 20:59:09.74 ID:5SUXe4Aj0
竜児「よし、あとは仕上げだな」

玄人たる竜児はルーを入れて満足しない。
仕上げに、たっぷりの牛乳を入れるのだ。
そうすることで、まろやかさやコクが深まる。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:01:20.38 ID:5SUXe4Aj0
大河「はあ〜! 美味しかった〜!」

カランと、空の皿にスプーンが置かれた。
大河はシチューを完食。おかわりまでした。
周囲には、菓子類の箱や袋が散乱している。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:03:58.03 ID:5SUXe4Aj0
大河「遺憾だわ」

竜児「何が遺憾だよ。あーあ、盛大に割りやがって。これからシチューやカレーを食う時、どうすんだよ。暫くは献立から消えるだろうな」

まるで人ごとのように遺憾の意を示した大河に意地の悪い嫌味を言ってやると、途端に取り乱し、慌てて縋り付いてきた。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:06:13.80 ID:5SUXe4Aj0
大河「ねえ、竜児」

竜児「ん? ちゃんと反省したか?」

食後、居間でのんびりテレビを眺めていた。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:07:53.30 ID:5SUXe4Aj0
竜児「た、大河? まさか、お前……」

大河「おっと! それ以上は言わないで!」

片手を突き出して、追及を遮る大河。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:09:47.15 ID:5SUXe4Aj0
大河「まさか、あんたまで……?」

竜児「……おう。そろそろ答え合わせの時間だ」

大河が抱える問題。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:11:26.27 ID:5SUXe4Aj0
大河「ごめんね、竜児」

ぽつりと、大河が謝罪を口にした。
何のことかわからず、竜児は首を傾げる。
すると大河は、たどたどしく説明した。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:13:26.13 ID:5SUXe4Aj0
大河「……は?」

竜児「本当に申し訳ないっ!!」

全てを打ち明け、土下座する竜児。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:15:23.89 ID:5SUXe4Aj0
大河「バケツ?」

竜児「おう。バケツ、だ」

それはどこにでもある、青色のバケツ。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:17:05.18 ID:5SUXe4Aj0
竜児「さあ、大河。トイレに行け」

胸元にしがみついて泣く大河を引き離す。
なるべく笑顔で送り出してやりたかった。
あまり、上手く笑えた自信はない。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:19:46.28 ID:5SUXe4Aj0
竜児「ほら、行けって」

問答は終わりだ。
約束の刻が差し迫っていた。
互いに限界状態の今ならば、同時に出せる筈。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:21:49.90 ID:5SUXe4Aj0
竜児「か、勝手にしろ……!」

暫く見つめ合って、竜児は目を逸らした。
改めて、惚れた弱味を実感してしまった。
そんな竜児に、大河は釘を刺す。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:24:54.06 ID:5SUXe4Aj0
大河「ちょっと竜児、押さないでよ!?」

竜児「お、おう! すまん!」

尻を突きつけ合って、押し合いへしあい。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:26:27.47 ID:5SUXe4Aj0
竜児「大河、ペットボトルを使え!」

大河「無理! 絶対こぼしちゃう!」

ペットボトルの使用は難しそうだ。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:28:40.35 ID:5SUXe4Aj0
竜児「よし、そろそろいくぞ!」

大河「待って、竜児!」

意気揚々と脱糞する間際。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:30:54.60 ID:5SUXe4Aj0
竜児「今度こそいくぞ、大河!」

大河「竜児……私、怖い」

竜児「大丈夫だ! 俺も一緒だから!」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:33:02.70 ID:5SUXe4Aj0
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ!!!!

竜児「フハハハハハハハハハハハッ!!!!」

激しい排泄の音に、竜児の哄笑が混じり合う。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:35:28.21 ID:5SUXe4Aj0
大河「ふぅ……愉しかったね、竜児」

竜児「おう!」

事後、満足げな大河。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:37:51.36 ID:5SUXe4Aj0
竜児「それじゃあ、片付けてくるから……」

バケツの中身をトイレに流しに向かう、間際。

泰子「ただいまぁ〜!」
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:40:41.83 ID:5SUXe4Aj0
泰子「竜ちゃん……これ、なぁに?」

竜児「それは俺と大河の、愛の結晶だ」

その返答はスムーズに口をついて出た。
以下略 AAS



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