11:名無しNIPPER[sage]
2018/06/16(土) 21:17:05.18 ID:5SUXe4Aj0
竜児「さあ、大河。トイレに行け」
胸元にしがみついて泣く大河を引き離す。
なるべく笑顔で送り出してやりたかった。
あまり、上手く笑えた自信はない。
たぶん、引き攣り、さぞ悍ましい表情だろう。
竜児は自分の笑顔が好きではなかった。
見る者を恐怖させる、凶悪な笑み。
全ては父親譲りの三白眼のせいである。
おかげで様々な苦労を背負う羽目になった。
しかし、だからこそ、竜児は大河と出逢えた。
ギラギラと光る、竜児の危険な眼差し。
大河はそれを見て怖がったりしない。
彼女は虎。竜に怯えることは、あり得ない。
そんな大河を、竜児は愛していた。
竜児「安心しろ」
大河「えっ?」
竜児「お前が用を足す際の音なんて、耳に入らない。そんな音は、俺が全部かき消してやる」
にやりと嗤うと、大河は泣きやんだ。
ごしごしと、涙を拭ってこちらを見据えて。
ずずっと鼻をすすり、負けじと不敵に嗤う。
大河「ふんっ……なにカッコつけてんのよ」
それこそ愚問だ。
好きな女の前でカッコつけない男は居ない。
たとえ、この後、バケツに用を足そうとも。
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