高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 20:55:07.24 ID:mOMWMpAw0
実際のところ、実体験と記憶を全て取っ払って考えると、そーちゃんの考えも分からなくはない。
「加蓮ちゃんが最近、よくバラエティ番組に出るものだから。そーちゃん、真似し始めちゃうのよ。お陰ですっかり、手の焼く子になっちゃってねぇ」
「いやそんなこと言われても……。私だって色々やってみたいしっ。いいじゃん、患者さんの本音が聞きたいとか言ってたの看護師さんだし」
「だし!」「……しっ」
以下略
AAS
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:55:37.74 ID:mOMWMpAw0
答えのゴールラインをずらしている間に、藍子がちっちゃなホットケーキと、クリスマスのショートケーキをさらにミニチュアにしたような物を運んできてくれる。
ほっこりとする湯気と、真っ白の隙間から柔らかそうなスポンジの見える三角形。
そーちゃんが、笑い声に引っ張られて「ほーっ!」と変な声を出しちゃった。それで藍子が笑って、ずっと首を傾げていたしろちゃんも、ほんのちょっぴり口元を緩めて。
以下略
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 20:56:06.81 ID:mOMWMpAw0
□ ■ □ ■ □
以下略
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:56:43.89 ID:mOMWMpAw0
しばらくして――そーちゃんが満足げに「ごちそうさまでした!」と言い放った頃には、しろちゃんは目線の答えを見つけたみたい。
藍子のことを見つめ続ける。
藍子もまた、しろちゃんを見守ってあげて……やんわりと、頬を緩めた。
ファンを見ているアイドルの顔。
以下略
AAS
29
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 20:57:36.70 ID:mOMWMpAw0
「……病院、どう?」
「どう、って?」
「それは……。……アンタも、元気にしてた?」
看護師さんはとても嬉しそうに笑う。ぼんやりと泳ぐ視線が、素っ気ない装いのモミの木へと止まる。
以下略
AAS
30
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:58:07.10 ID:mOMWMpAw0
「はいっ!」
そして、またまたそーちゃんが唐突に手を上げる。もちろん肘を曲げて……曲げすぎていて、ほんの少しだけ"ぶりっこ"のポーズみたいになっちゃってた。
それでも可愛いのがちょっぴり面白い。さすが、将来私になってくれるって言うだけのことはある。
以下略
AAS
31
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:58:37.11 ID:mOMWMpAw0
ひとつ笑った藍子に、しろちゃんが笑い声を重ねる。
それを聞いて、藍子がまた笑う。
しろちゃんも、飴玉を舐めているような頬で笑う。
「よかった……。さてとっ」
以下略
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32
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:59:06.98 ID:mOMWMpAw0
藍子は立ち上がり、勝手口の方へ。入り口と同じ、甘みがかかった茶色のドアを開けてから手だけを外に出して。
うんしょ……
軽いかけ声と共に持ち上げたのは……ものすごく大きな袋?
以下略
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33
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:59:37.25 ID:mOMWMpAw0
「このプレゼントは、クリスマスツリーに飾れるようにもなっているんです」
しろちゃんが手に取り、床に置き直したプレゼントの、青色のリボンをそっとつまみ上げる。
「こうして、こうして……ほらっ♪ ツリーが、可愛くなりました。そーちゃん、しろちゃん。一緒に、飾り付けをしてみませんか?」
以下略
AAS
34
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 21:00:07.11 ID:mOMWMpAw0
1枚目は私たち4人の写真を。2枚目はセルフタイマーを使って、藍子も輪に加わる。
デジタルトイカメラに表示された写真を、そーちゃんが覗き込む。肩越しにのしかかる形になって、藍子がほんのちょっぴり、くすぐったそうに身をよじった。
「あははっ。どう、うまく撮れてるでしょっ」
「すごいすごい!」
以下略
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35
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 21:00:36.69 ID:mOMWMpAw0
□ ■ □ ■ □
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36
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 21:01:07.05 ID:mOMWMpAw0
「…………」
藍子は少し考える素振りを見せてから、しろちゃんの頭をそっと撫でてあげつつ立ち上がった。
それから、沈んだ空気の中では異彩に見えるモミの木へと手を伸ばし、一番伸びた枝の先にかかるプレゼント箱を手に取る。
以下略
AAS
37
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 21:01:39.20 ID:mOMWMpAw0
「でも、そんなことないんだよ。この世界には、楽しいものも、面白いことも、いっぱいあるんだよ」
詩を諳んじるように続け――ね? と、私へと微笑みかけた。
「私は加蓮ちゃんみたいに、すごく楽しい時間を作ってあげたり、劇的な変化をもたらしたりするのは、あんまり得意じゃありません。
以下略
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38
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 21:02:10.93 ID:mOMWMpAw0
「しろちゃんの好きなものは、これかな?」
「う、うん……。えと……ううん、わかんない」
「そっか」
「けど、やっぱり、……あの……うん。ほしいっ!」
「じゃあ、開けてあげますね。……じゃんっ」
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39
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 21:02:36.74 ID:mOMWMpAw0
「あいこちゃん!」
ふと、そーちゃんが叫んだ。
「なにかな、そーちゃん」
以下略
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40
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 21:03:07.04 ID:mOMWMpAw0
そーちゃんが嬉しそうに頷いたのを見送った藍子は、ふと、室内を見渡した。カフェをマネて作った暖炉側ではなく、藍子の優しさが形となったカフェスペース側。おそらく手描きで作った一葉のメニューをそっと拾い上げ、勝手口のすぐ側に置きっぱなしにしていた鞄へとしまい込む。
「素敵な世界を、たくさんの人に知ってもらって、感じてもらう私の世界。もっともっと、いっぱい広げたいな――」
以下略
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41
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 21:03:36.89 ID:mOMWMpAw0
□ ■ □ ■ □
以下略
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42
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 21:04:09.11 ID:mOMWMpAw0
「今日はありがとう、藍子ちゃん。また今度、加蓮ちゃんのことをお話しましょう」
寒空に浮かび上がるような挑発と興味を混ぜた笑みで、そんなことを付け加えた看護師さんを蹴っ飛ばそうとしたら、それよりも早く運転席へと逃げてさっさとドアを閉めてしまった。
「ぐんぬぬ……!」
以下略
AAS
43
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 21:04:36.86 ID:mOMWMpAw0
車が去っていく。見えなくなるギリギリまでそーちゃんが腕を振り続け、藍子も振り返してあげて……信号の交差点を曲がった瞬間、ふぅ〜、と大きく息をついた。
「はああっ……。うまくできて、よかったぁ……」
「お疲れ様……。ほら、藍子。中に入るよ。ここは寒いでしょ」
「ううん。もうちょっとだけここにいさせてください。なんだか、そんな気分なんです」
以下略
AAS
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名無しNIPPER
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2020/12/25(金) 21:05:07.14 ID:mOMWMpAw0
私達の好きな世界は、いつだって循環して、いずれ私達の創る世界になる。
アイドルだってそう。アイドルに恋焦がれて、私に奇跡が訪れて、そして今度は私に憧れてくれる子がいてくれるようになった。
藍子にとっては……カフェがそうで、だけどカフェだけじゃなくて。
それは道端にあるもの。手を伸ばせば届く距離にあるもの。どこにでもあるもの。
だけどそれを知らない人、気付いていない人がいる。
以下略
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45
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 21:09:43.72 ID:mOMWMpAw0
【あとがき】
もしかしたらお察し頂けている方もいらっしゃるかもしれませんが、
この「レンアイカフェテラスシリーズ」は来年5月頃、第10回シンデレラガール総選挙の終了前後にて完結する予定となっております。
以下略
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