高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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29:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/25(金) 20:57:36.70 ID:mOMWMpAw0
「……病院、どう?」
「どう、って?」
「それは……。……アンタも、元気にしてた?」

看護師さんはとても嬉しそうに笑う。ぼんやりと泳ぐ視線が、素っ気ない装いのモミの木へと止まる。
そっか、今日ってクリスマスなんだっけ。
さっきまでケーキを食べてたのに、なんだか忘れそうになっちゃってた。
そういえば私、この人と話す時っていつもクリスマスだ。それ以外の用で行くことなんて、もうない。過去とはもう向き合って、振り返る必要もなくなったんだし。

「看護師さんが元気にしてくれないと、そーちゃんやしろちゃんも困っちゃうでしょ」
「私が疲れちゃった時には、加蓮ちゃんに後を任せてしまおうかな?」
「…………、」
「心配してくれてありがとう。私なら大丈夫よ。辛いことや、しんどいことはあるわよ。でも、加蓮ちゃんが頑張っているんですもの……。どうしてそれで、私が折れないといけないのかしらね」

その時、遠くから小さな笑い声がした。
藍子だった。

「ふふ。ごめんなさいっ。加蓮ちゃんと看護師さんって、似てるなぁ……って♪ こんなこと言ったら怒られちゃうのかもしれませんけれど、看護師さんも、加蓮ちゃんのお母さんみたい!」
「…………、」
「わ、わぁっ。加蓮ちゃん、無言でこっちに来ないで〜っ。鬼のお面は、節分の日まで取っておきましょう!」
「加蓮ちゃんの母親……か。それはさすがに――」

私の憤怒はともかく、看護師さんまでも暗い顔をするとさすがに藍子も気になったみたい。手を伸ばしかけながらも肩を落とし、謝ろうと口を開いた。
その直前。
私の発言を封じ込める時と、同じようなタイミングで。
看護師さんは、おかしそうに笑う。

「加蓮ちゃんの母親なんて疲れちゃいそうだから、やめておこうかしら」

…………。

「……あ〜」
「……藍子? 何ぽんっと手を叩いてんの? その納得は、何への納得なの??」
「藍子ちゃんも分かるかしらぁ。本当、加蓮ちゃんって昔も今も手がかかるばかりなのよね」
「昔はともかく今の何を知ってるっていうのよ、アンタがっ」
「だって私、看護師なのよ?」
「それが何!?」

この人ってこんなキャラだっけ? 冗談で笑えるのはいいことかもしれないけどっ。


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