高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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27:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/25(金) 20:56:06.81 ID:mOMWMpAw0


□ ■ □ ■ □


意外にも、わんぱくなそーちゃんの方が食べる速度は遅く、逆にしろちゃんはさっさと食べ終えてしまった。
そーちゃんが開きっぱなしにして置いていたメニューの縁へと指をかけ、そ、と少し分だけ……本当にちょっとだけ自分の方へ寄せ、端の写真へと目を落とす。
灰色の瞳が、右へ、左へ。何かを言いかけて口を開いたしろちゃんは、

こてん?

と、小首を傾げた。
顔を上げて見る先は、ふんわり笑顔でそーちゃんの食べ姿を見守る藍子。
しろちゃんの視線に気づき、どうしたの? と声をかける。しろちゃんは無言。再び写真を見たと思えば、藍子へと視線を戻す。

「……、」
「加蓮ちゃん、急かさないであげて?」

助け舟がいるかもと思ったタイミングで、看護師さんに腕を掴まれた。指が食い込む感触が肌を上った時にはもう離されてたけど。

「ん、そうだね。しろちゃんにはしろちゃんのペースがあるよね」
「そう。藍子ちゃんにも、藍子ちゃんのペースがあるように」
「……って、それ私のセリフっ」
「あら。そうだったの?」
「分かって言ってるでしょー……」

静止するタイミングと言い見抜かれることを前提とした作り笑顔といい、本当に、この人を飛び越せる気がしない。


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