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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
- 353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/15(火) 00:05:10.11 ID:XwchuOTm0
- >>352
――――――――――――見ようによっては重たげなまでに重なった睫毛が揺らぐ瞬き、傍らに佇まれた刹那に、ふわり振り返るなら、微かに香水の香り、済んだ林檎の甘さが揺れて。
なんとなくであるというのなら、彼女もまた緩い温度にて対応をするのだろう。――対応? 隣に佇まれることを拒みやしなかった。ただ強いて述べることがあるとしたなら、
(ほんのひとひらだとしても殺意を手にしていたなら、きっと彼女は、)
「…………、まあ、寒いとは……。思うけど」「……別に気になるほどでもないかなって思うの、」「――夜の国より温かいよ。この前まで、住んでたから」
光の加減で色を移ろわす曖昧な黒赤色の瞳が緩く向けられた、自分と同じ背丈の少女へと。――だとして、彼女はずいぶんと高い靴を履いているから、素が同じなのだとして、いくらかの差異は十分にあり得て。
とかく見知らぬ人に頓着せぬ性質であるように思われた。――だとして無警戒とは根本から異なっていた。或いは虫かごの中身をのぞき込む子供のように無垢と無感動に似る瞳と瞬き、いくつか。重ねて。重なって。
「……そんな格好で寒いなんて言ったら、もっと冬になったら凍え死にそうだけど」「――はあ、」「そんなに寒いならお茶ぐらいなら、奢っ、」「あ、」
「そういう作戦?」
――――なれば最終的にわずかに眉を潜めもした。そんな風に近くで寒い寒いって言われるとなんだか自分も寒くなってくるみたい、辛うじて裾や袖に仕込まれた大量のフリルが彼女の体温を護っているに違いないなら。
決して小さくはない溜息をついて、――哀れなる寒がりさんに何か温かいものでも奢ってやろうかと思ったつぶやきは、けれど、途中で途切れて。だから相手はより一層の寒さを覚えるのかもしれなかった。絶対零度の視線のぶん。
「まあ、」「……いいや、」「なにかよう?」「……あったかいお部屋と三食のごはんが欲しいなら、私じゃなくて……」
だからわずかに冗談めいていた。もう一度の溜息、要件を訪ねる声に、――、けれどまた何か思いついたみたいに言葉が一節。はて……という顔で当たり前に取り出すのは携帯電話、画面を点灯させて、
緊急通報のボタン。ほんのちょっと指先で四回ほど画面に触れたらそれだけで他人の人生をだめにしてしまえる魔法の機能。…………だとして画面はそのままで触れもしないから、すなわち、理由を述べろ以上の意味は持たずに。
/ごめんなさーい、いま気づきました、今日は眠たくなった時点で寝てしまいますが……
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