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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
- 231 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/16(木) 12:04:39.21 ID:ctas3934O
- >>228
【やるせなく斜め下を向くまつげの向こう、赤い瞳はどこまでもまっすぐ前を向いていて】
【けれど何も言葉を発さなかった。震える鈴の音が訴える苦しみ、恨み、つらみ、全部】
【救って/掬ってやるにはもはや時が進みすぎていた。そも、たとえその瞬間に立ち会えたとて】
【そうしてやれたかどうかすらはっきりと確約できないのだから――どこまでも、後悔の色をしていた】
【だからってそうだったんだ、辛かったね、などという気休めにもならぬ労りの言葉だって】
【もはや掛けるには遅すぎると、痛いほどに理解しているから。「うん」。一言だけ、返すのは】
【だから何か、明確に遮断されているのにも気づいていた。あるいはそんな生易しいものじゃなくて】
【拒絶されているとさえとれるはずだった。だってこんな、何もかも遅すぎる時になってから】
【許しを請いに来るヤツだなんて嫌われて当然だ。――だけどこいつは、不思議と、そう思わなかった】
………………、……、鈴音は、やっぱり、やさしいね。
【だってそれを、傷つき果てた鈴音のくれる最後の恩情だと受け取ったから。何か言いたかったことを】
【噛み潰して、殺して、苦い汁を飲み下してまで我慢してくれるのを、やさしさ以外の何というのか】
【形容するすべをこいつは知らなかった。だから恐らく、鈴音が自分に何を問いたかったのかは】
【本当になんとなく、朧げに――理解した気にはなっているのだろう。だからといって答えはしないが】
【そうやって必死に必死に絞り出してくれたやさしさを無下になんてできなかったから。――だから、】
【ふたりを隔てるもやもやの中、恐る恐る――一歩だけ。ただの一歩だけ歩み寄るのだろう】
【それ以上はしなかった。だってそれ以上を許してくれるかどうかは、鈴音にだけ、ゆだねられるから】
【だから、】
…………んーん、全然元気じゃない! だってさ、あのね、桜花ちゃん越しに聞かせたでしょ?
あたし世界にケンカ売りに行くんだけどさーっ、まーじで全ッ然勝ち筋見えないもん!
どーやったって勝てる気しないね、始まる前から負け戦ってわかってんの! マジ萎える!
だから全然元気じゃないの、マジ病むーってヤツ――あはは、負けたらどうなっちゃうんだろ。
世界の平和を脅かしたバケモノーとか言われて、晒し首とかされちゃうのかなあ。やだなー、あはは……
――――それでもね、あたし、黙り込んで我慢してなんにもせずに「終わらせる」よりはね。
そうなったほうがずっとマシだなって思ったから。やるよ、戦う、どんなに酷い負け方するとしても――
戦うことに意義があるんじゃないかなあって。そう思えたの、たぶん、鈴音のおかげだから、
【「……だからね、ごめんなさい、だけじゃなくって。ありがとうも言いたかったの」】
【――しかるにこいつの言い分は、何もかもが自己満足でしかありえなく。そんなんで、どこまでも】
【言いたかったこと言えて満足できました、みたいな、晴れやかな笑顔をしてるんだから――やっぱり】
【本当に勝手が過ぎるんだからいくらでも怒ってやればいい。絶交しちゃえばいい――友達、なんだから】
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