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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

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209 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/14(火) 22:32:38.45 ID:cDuJcACk0
>>208

――――――――――――鈴、

【まっさきに出かかった声を飲み込んだ。シルエットだけでわかってしまった。だけど、だからこそ】
【次の瞬間には「違う」とわかってしまうから。だってこいつがずっと祈っていたのは、「彼女」に対してだけだった】
【目の色が違うから。だから違うとわかった――だなんてそんな簡単な話ではなかった。だから、こいつは、】
【とびきり残念そうな顔を隠せもしないで、それでもなんとか隠しているような仕草を残して。苦笑いするのだろう】

………………ううん。いいコたちばっかりだった、蛇ちゃんたち――獣道だって平気だった。
見える? こんな靴で歩いてきたの。それでも平気だって言うんだから、……あたし結構すごいでしょ?
まあ――今はそんな話は、どうでもいっか。ごめんね、ちょっとだけ……ちょっとだけお話ししたいな。
それが終わったらすぐ帰るからさ、だからちょっとだけ、付き合ってほしいんだけど――――

【そうして赤い靴のバカ高い底を示す。きっと目の前の彼女ならば知らないだろうと思ったから】
【それから漏れる溜息はやはり苦笑に交じった音をしていた、けれどうんざりした、という意味合いではなく】
【何かかなしいことを悟ってしまった、みたいな、色合い。それでもなんとか笑っていた。振り返って、見てくれるなら】

ねえ、………………あんたの名前、なんてーの?
……白神、鈴音。ではないよね。あたしバカだけど、それくらいは、わかるよ、……わかるから、

鈴音はどこ行っちゃったのかな。……もう、あたしたちに愛想つかして、何処かへ消えちゃった?

【「あたしは夕月って言うんだけど」。きっと目の前の彼女には聞き覚えのない名なのだろう。名乗って、】
【相手の名を問い返す、何気ない会話に添えられる表情――だなんて到底していなかった。なにかもっと】
【競り上がってくる感情を、それでもここで零すことは許されない。理解して堪えているような顔をして】
【そしたらやっぱり、その上から無理矢理作ったぶさいくな笑顔をべたべた塗り付けるから――何もかも下手糞だった】
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