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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

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188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 20:40:58.55 ID:AkDEdh7Z0

>>186


 お察しの通り。ふふ、キミ結構いい人だな。
 ――こんなときに何だけど、わたしは"蒐集家"のイストだ。よろしくね。


【踏み込み、斬撃。それが容易に受け止められたことに少しばかりほっとした様子を見せると、死線の交差するその至近で、女は名乗るだろう】
【その瞳に恐怖や動揺はなかった。――事情はどうあれ斬りかかったのだ。瞬時に斬り返されこの場で果てる覚悟もしていたようであったが、】
【太刀との中空で彷徨う彼女の手を見やると、やや暢気に、そして嬉しそうに顔を綻ばせたのだった】


 まあ、いまはギルドの依頼でここに来てるから、ただの冒険者と思ってくれていい。
 近くの村で噂になっていてね。曰く、近寄った者は決して帰ってこない呪い塔――だそうで。

 だからわざわざ護符まで用意して、調査と対処に来たってわけなんだけど……。
 いくつかの"偶然"に邪魔されて、ご覧の有様だよ。いやあ、参った参った! ははは!


【鍔迫り合いに力を込める両腕とはまったく無関係な苦笑を浮かべて、女――イストは一息に事情を説明するだろう】
【「大昔に貴族様の世継ぎ争いで相当血が流れたらしいよ」なんて、"怪異譚"としてはなんとも有りがちすぎる情報も付け加えられて】
【護符、というのはさっきの箱のことだ。それも"偶然"壊れてしまって、まんまと身体を乗っ取られているのだから間抜けな話である】
【ともあれ――"怪異"に身体を持っていかれて悠長に笑っている超のつく変人ではあっても、とりあえず、この女は悪人ではないようだ】


 こういう事態が初めてでないなら話は早い。頼もしいね。
 わたしのことは気にせず……いやまあ、ほどほどには気遣ってくれたら嬉しいけど。

 おほん。ともあれ、この怪異の基点はあの塔だ。
 あの中のどこかに、大元になっている何かが……うわっ!?


【イストはそう云って、目線だけで真後ろの塔の入り口を指し示す。古びてはいるが中に入ることはできそうだ】
【中は大広間になっていて、障害物は石で出来た女神像が奥に立っている程度。壁に沿うように螺旋階段が据え付けられ、上階まで続いている】

【ただ、この後どう動くかの判断の前に――イストを操る何者かが、動くだろう】
【このままでは体勢を崩されると判断したか、その身体は鍔迫り合いを避けて真後ろに飛んだ。そして転身、】

【――心臓。いや、本人の意志が介入したか、僅かに軌道は上振れして狙いは左肩へ。鋭い刺突が飛翔する!】
【威力のある一撃だが、その分大振りだ。危険ではあるものの、なんとか凌げさえしたならば隙は大きい】
【反撃に転じるでも、はたまたイストが述べたとおり塔の中に駆け込むでも、妨害を受けず好きなように行動できるだろう】
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