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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
- 267 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/23(木) 12:38:17.92 ID:d/TpxLEn0
- 抵抗は無意味……さっさと身柄を拘束されなさい
【夜の人気のない港に声が響いた。その声を発したの黒いキャミソールワンピースを着た紫の眼と髪の色を持つ少女だ。下着のような格好のため肌が露出してる面は多いいが、余程身体に合うように作られているのかそれ以上に見えるということもない】
【少女が声を向けた相手は大柄の、見せるためではない使うための程よい筋肉の付き方をした男。そいつは今まで逃げていたのか、"ハァハァ"と息を切らしている。だがこれ以上はそれも無意味だと悟ったのか、"チッ"と舌打ちしつつ腰の後ろから刃渡りのあるコンバットナイフを引き抜いた】
【"フゥ……"と少女は溜め息を吐き】
あなたの能力は確か右掌から特殊な波動を発し、それに拠って握っている刃物の切断力を飛躍的に上げる――――とかそんなものでしたよね
悪いですけど、あなたの基礎戦闘能力とその程度の能力では私の追跡を突破することは不可能です
【少女がそう無慈悲に告げるが、男は構わずナイフを構えたまま真っ直ぐに少女へと突っ込んでいく。それを見て少女は構えを取る。そして青白い球体状の光が両手両足を包む。臨戦態勢に入った行動らしかった】
【男はナイフの間合いに入ると即座に踏み込みと共に少女の首元へと突きを繰り出す。自身の得物の間合いを正確に捉えている練度の高さ。常人では避けることも受けることも叶わない鋭い突き。その動きのどれもが先程の言葉で下卑されるような弱い男では決してない、ということを端的に表していた】
フッ――――
【だが少女は切っ先が喉先三寸のタイミングで、短く吐いた息と共に、手刀と呼ばれる小指の付け根から手首までの間の部分で刃の腹部分を払い横に受け流す】
【そしてそれに合わせて自身はその反対方向へとステップを踏むと、ナイフの軌道が横にズレたのと併せて僅かな動きだけでナイフを完全に躱し切ることができる】
【ナイフをギリギリまで引きつけられて躱されたこと、僅かな動きだけで躱されたことが併さって男は自身の突きが決まらなかったことに対する反応が一瞬遅れる】
【そしてそれに気付いたときに、同時にもう一つ気付かされることがあった。少女がこちらをジッと見つめていた。まるで瞳の中からこちらの感情まで覗き込もうとするように】
//続きます
- 268 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/23(木) 12:39:36.83 ID:d/TpxLEn0
- >>267続きです
【その瞳を見てまるで本能のように理解させられる。"こいつはこの隙に攻撃出来たのに、敢えて攻撃しなかった"のだと。"自分は既にやられている筈だった"と。それに気付いた瞬間半ばパニックになるように少女が避けた方向へとナイフの刃を寝かせ、横薙ぎに払う】
【それは打刀に拠る突きを剣戟の主体としていた新選組の隊士が使っていた、平突きからの横薙ぎの連携のような攻撃。この精神状態の中で即座にそれを選び実践したのはやはりこの男が弱くないということを表していた】
【横薙ぎの斬撃は正確に少女の首を切り裂く軌道を取っており、決まれば頸動脈を悠に切り裂き、首をほぼ切断できる精度と威力を持っていた】
【だがこの斬撃が決まることはなかった。少女の突き上げた蹴りが男の斬撃の軌道を無理矢理捻じ曲げ、腕を上方向へとカチ上げていた。しかし男は"その隙"を見逃していなかった。このような脚を大きく上げる蹴りはその可動範囲の大きさの分、身体に還ってくる反動がありそれが隙となるのだ】
【男の目に希望の光のようなものが宿り、それに併さるように頸動脈を切り裂く袈裟斬り軌道の斬撃が振り下ろされる。少女の首が切り裂かれ、大量の血を吹き出している筈だった――――男の背後で"カラン――――"という金属質の物体が硬いものどうしで打ち合わる音が響く】
【眼の前の少女は血を吹き出しているどころか、一切の変化がない。脚は既に降ろされ、ほぼ直立と言ってもいい構えを取っていた。もう既に理解していた。だが本能が理解することを拒んでいた】
【少女の蹴りはナイフを持つ手を狙撃するように直撃し、ナイフを上空へと弾き飛ばしていた。今響いた金属音はその飛ばされたナイフが背後へと落ちた音だ。そして見なくてもわかる、その蹴りに拠って五指が皆あらぬ方向に折れ曲がってしまっていることに】
お前の能力は完全に無力化された。万が一にも私に勝てる可能性は無くなった
【無慈悲な宣告だった。男の目に動揺が浮かび身を翻そうとした。それは逃走しようとしたのか、それともナイフを拾いに行こうとしたのかは、わからなかった。だがそんなことはもう関係なかった。男の身が翻るよりも疾く、少女の右ストレートが正確に顎先を貫いていた】
【男がその場に項垂れるように崩れ落ちる。正確無比な打撃に拠って脳を揺らされ、完全に意識を絶たれていた。すぐに動き出しそうな様子も一切ない】
【少女は項垂れた姿勢のままの男を見下ろして言う】
ナイフがフラタクルエフェクトの範囲外に当たっていればどこであれ一撃で致命傷だった
模擬戦レベルではなかなか緊張感があったわ
【そして耳に手を当て小さな声で呟く】
指令のあった男を沈黙化させたわ。さっさと回収に来て
【と――――。少女は所持していたワイヤーで近くにあった街頭に意識のない男を括り付けると】
あーお腹へった
【と小声で呟き、その場を後にしようとした――――】
//死ネタはなしで戦闘ロール希望です。
絡んでくださる方いればお待ちしております。
- 269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 09:40:57.59 ID:vqWS8lP7O
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- 270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 09:41:45.43 ID:vqWS8lP7O
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- 271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 09:43:15.29 ID:vqWS8lP7O
- 【水の国】
【太陽が元気な今日この頃ーー無風な本日は何をするにも絶好な……否、少し暑すぎる気候かもしれない】
【あちらこちらから「暑い」とか「喉が渇いた」と夏の始まりを感じさせる言葉が飛び交っている】
【繁華街は今日も忙しない。老若男女問わずとはまさにこのことで誰もが限りある時間を有効に使おうと早足で過ぎ去っていく】
【ーーそこは繁華街から少し離れた場所にあった】
【人が多く行き交う賑やかな場所から少し逸れた道。あまり詳しくない人には少し「そっちに何かあるの?」なんて不安になる道なのかもしれない】
【そんな道を進んでいけば気づくだろうかーー柔らかな花の香りが風がなくとも漂う一角に】
【そこは広すぎる庭付きの、豪奢な煉瓦造りの家が聳え立っていた】
【家にしがみつく様に絡んだ蔦までも手入れが行き届き、いささか広すぎる庭には季節の花が太陽を浴びて生き生きと咲き誇っている】
【花の香りはここからだったか、なんて気づけば貴方《貴女》は誘われる様に入って行くのかもしれない】
【花に詳しい人ならばここに並ぶ子たちの名前もひとつひとつわかるのかもしれないがーー踊る様な花々と可憐な香りを楽しんでくれたのなら】
【奥に現れるは『LIORO』と書かれた看板。あぁ、お店だったのかなんて気づいて重めの扉を開けたのであればーー】
【今度はまた違った香りがお客様を歓迎するだろう。木漏れ日の差す店内はたくさんのハーブ用品が綺麗に並んでいる】
【大瓶に入った茶葉、香水、石鹸……そんな商品がお客様を迎えてくれるだろう】
【キィッと扉が閉まる音と同時にひとりの少女が現れた。蜂蜜色のつやつやな髪の毛を二つにまとめ、深い海みたいな二つの瞳が優しげに細められて。細い体は膝までの白を基調としたセーラーワンピを身にまとっている。この子が店員であることは間違いなさそうだ】
【お店の奥の扉から出てきた少女は目の前の木のカウンターと一緒に置かれた椅子に手を付きながら、今日はじめてのお客様に笑顔を向けてーー】
いらっしゃいませ、何かあればお声がけくださいねっ
【なんて今日の太陽にも負けないくらいの笑顔で語りかけるのだろう】
//絡み募集中です!
- 272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 15:05:56.69 ID:1k9/mtJO0
- >>271
【天高く降り落つ季節外れの陽光と、真昼の繁華街の喧騒が織りなすまばらな熱気が、道行く人々の額に汗を滲ませていた】
【肌を焼く暑さに顔を歪めて歩いてゆく、そんな雑踏の中――とある、ひとりの女だけが】
【春先の心地よい風が吹き抜けていくかのごとく、するりと器用に人並みをすり抜けて、ご機嫌な表情で闊歩している】
【――ふと漂う芳しい香り。女がそれに釣られてふらふらと脇道に逸れていくのは、その性格からして必然であった】
【店の前にたどり着くと、女は興味深げに外観を見渡した。そして初見の店になんら気負うでもなく、無遠慮に扉を開くのである】
やあ、こんにちは。
こんなところにこんな雰囲気のいいお店があるとは、不覚にも知らなかったな。
【斯くして、現れた少女はこの女と対面することとなるだろう。その風貌を確認したならば、女はやや長身で二十代ぐらいに見えるはずだ】
【白いジャケットに紺色のインナー、黒いレギンスに赤褐色のブーツ。腰には大小多くのポーチが付いたベルトと、活動的な服装で】
【桜花の柄の腰布とハーフアップに編み込んだ髪を留める二本の簪、左腰に佩いた緑鞘の刀が、桜の国特有の風情を醸し出している】
【その淡く陽光の色を差す長髪は、毛先へと流れるにつれ鮮やかな新緑の色へと彩りを変えており――】
【深紫の瞳は優しく抱く宵闇のようでもあって、しかし夏の陽射しが創った真っ黒い日陰のように、どこか見通しきれない深みがあった】
それにしても……んー、実にいい香りだ。
ここではなにを売ってるの?
【店内に満ちる芳しさに身体を浸すように、女はやにわに大きく息を吸った。そして楽しげに表情を緩めたなら】
【少し身を屈めるようにして、少女の瞳の中の海をずいと覗き込むと、優しげな声色でそう問いかけるだろう】
/まだいらっしゃいましたらよろしくお願いします……!
- 273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 15:40:46.62 ID:h4u3sLQo0
- >>272
【店内の、ハーブの香りを纏って現れたのは綺麗な女性であった】
【絵に描いたような、ドラマのワンシーンのような、美しい女性の登場に店主の少女が息を飲んだのはもしかしたらバレちゃっているかもしれない】
【煌びやかな商品に負けないくらいの存在感と美貌ーー羨ましいなと思うのはきっとこの少女だけではないだろう】
【見惚れてしまったと言ってもほんの一瞬なんだけど。すぐに店員の顔を取り戻して少女はまたそういう風に振舞ってーー】
ここはハーブ専門店なんです。
お茶とか、化粧品とか、雑貨とか、そういったものを扱ってるお店なんです!
【けして広くはないが、たくさんのハーブ用品が並ぶ店内。女性の右側には小さなカフェスペース、左側にはお試しで使っていい石鹸とアンティーク調のくすんだ金の水道があって】
【少女は彼女の様子をちらりと見る。この店にふらりと寄ってくれたタイプの方だろう】
【であれば、何か目的があって来たわけではないはずだ。お花の香りに誘われたお客様】
【そんなお客様に少女は、小さなカフェスペースを指差して】
ふふ、こんな小さくてあまり知られていないお店にいらしていただきありがとうございます!
よければお茶していきませんか?
今日は暑いですから、冷たいハーブティーお出しできますよ
【なんて、ふわりと笑うのだった】
//ぜひ!お願いします!
- 274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 15:59:11.66 ID:1k9/mtJO0
- >>273
なるほど、道理でいい匂いがするわけだ。
別段ハーブとかに詳しいわけじゃないんだけどね。ついつい釣られてきちゃったよ。
【少女の返答に、女はゆるりと頷くと冗談めかして笑ってみせた。「店構えもお洒落だったしね」なんて付け加えたのもお世辞ではなく】
【やがて店内を見渡して、物珍しそうに品物に視線をやった。顎に手を当てほほうと唸る、いちいち芝居がかった仕草をする女だ】
【しかしあてどなく漂うその視線から、女がこの手のものに明るくないというのが嘘ではないことが読み取れるだろうか】
ああ、ありがとう。確かに今日は暑かったからね。ありがたくいただくよ。
……ふむ。ところで、店員はキミだけなのかな?
【少女に促されるままに、女はカフェスペースへ進むと着席する。暑い暑いと、思い出したかのように左手で首筋を仰いだ】
【――そんな仕草の割には、女は汗ひとつかいていないように見えた。服装もあまり涼しげとは言えないもののはずだが、】
【それはともかく。女は猫のように大きく伸びをすると、またひとつ少女へ問いかけるだろう】
【言葉の調子は極めて軽い。さっき入ったばかりの店なのに、女はもうリラックスしているようだった】
- 275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 16:51:10.56 ID:h4u3sLQo0
- >>274
ふふ、嬉しいです! ちゃんと育てたお花が香ってくれてるんだなって、思ってしまいますね!
【ーーと少女は上品に笑う】
【物珍しそうに店内を見回す女性に「好きなところみてくださいね」と声をかけて少女はレジカウンターの少し奥にある冷蔵庫へと足を伸ばす】
【手に取ったのはレモングラスティーとローズティーがそれぞれ入ったピッチャーでーー】
【透明な氷をガラスのコップに入れれば、かららという涼しい音が店内に響いた】
【ローズティーを三分の一、その上からレモングラスティーを注いで黒いストローをさせば】
レモングラスとローズのブレンドティーです、暑い日にはぴったりのさわやかなお茶ですよ
【と、ことと女性の前に差し出すだろう】
【涼しげなレモングラスと華やかなローズの香りーー飲んだら暑さも吹き飛ぶだろうか?ハーブティーの隣には小皿に置かれた数種類のドライフルーツが添えられていて】
【ふと、女性の質問に首を縦に降る】
【一人で継いだお店。まだまだ従業員を雇うほどの儲けはなかったりする】
【それは自分が未熟だということも示していて。ちょっと恥ずかしそうに、覗き込まれた瞳を細め少女はーー】
ふふふ、そうなんです。一人でやってるのでお話の相手は私しかいませんけど……よければゆっくりしていってください
と、ところでなんですけど……
それって、カタナって武器ですよね?お侍さんですか??
【ーー初めて見ましたーーが顔に思いっきり出ているのであった】
- 276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 17:16:52.84 ID:1k9/mtJO0
- >>275
【少女の挙措の節々から香る上品さを感じ取って、女は静かに目を細めるだろう。闇のような瞳はただ、深く在って】
【もし少女が敏感なら、女にひしひしと「観られている」ことを感じるかもしれない】
【といっても、別に悪意のある行動ではなかった。その"悪癖"が終われば、女は変わらず柔和な表情でハーブティーを受け取るだろう】
うん、これは美味しいな! 体の火照りが抜けていくみたいだ。ありがとうね。
へえ、ここをひとりで切り盛りしてるの? 見たところ若いのに、大変だね。
……せっかくだ。他のお客さんが来るまで、キミもちょっと一休みっていうのはどうかな?
【――ひとくち飲んで、ぷはぁと子供っぽい仕草で息を吐いた。ご満悦、といったところか】
【ドライフルーツに手を伸ばしつつ、女は首を小さく傾げて少女に着席を促すだろう】
【「わたしには気を遣わなくていいからね」と云って、ついでとばかりに片目を閉じてみせた】
ああ、これ?
まあ、出身は櫻の国なんだけど――実のところ、侍を自称できるほど刀に命を賭けてるわけじゃないんだよね。
あちこち冒険するのに、これがいちばん取り回しが良かったから持ってるだけだよ。ほら、触ってみる?
【飄々とした性格の通りというべきか――人によっては自らの魂と同義とさえいえるであろう自分の刀を、女はあっさりと抜き取って】
【それこそお茶でも勧めるぐらいの軽さでもって、ひょいと少女に手渡そうとするだろうか。重いから気をつけてね、とだけ云って】
【緑鞘に金細工の施された美しい刀だ。ただ持っているだけで、大気を張り詰めさせるなにがしかの力を発しているかのよう――】
【少なくとも、腑抜けた表情でハーブティーに口をつける当人が、この刀の格に見合っているかどうかは怪しいものではあった】
- 277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 17:44:57.90 ID:h4u3sLQo0
- >>276
【観られている……と、してもだ。どうらやこの少女は"そういうの"には鈍感らしい】
【たまにぱっちりと、その深い色の瞳と視線が合えばーーにっこりとなんの意味もなく、それこそ癖みたいに微笑むのだろう】
お口にあったようでよかったですー!
人によってはハーブの独特な香りとか、味とか、苦手な方も多いので。
そうなんです、父が亡くなったので自然とこう、継いで経営とか製造とか……私はまだまだ勉強中ですけど!
【ハーブティーが初めての方でも比較的、クセがありすぎずそれでもちゃんとハーブの香りが感じられるお茶を選んだつもりだ】
【一人で切り盛りする理由をさらりと述べて。経営に勉強に、あまり表情には出していないつもりだが大変なのは確かかもしれない】
【だから休憩のお誘いだって嬉しそうに頷いて、自分にも同じティーを用意して隣に座るのだろうーーとってもいい息抜きだ】
ほわぁあ!?お、重い!!こんなに重いの、取り回しがいいって本当です?!
【重いと云われて覚悟はしていたが、それを上回る重さに声が裏返る】
【それでもしっかり握ってその繊細で美麗な細工に目を輝かせる。こんなに綺麗なものなのに武器なんだ、なんて考えながら】
冒険、されてるんですね!
冒険といったらやっぱり、あれですかまさかお客様はトレジャーハンターでは?!
【安易な想像に思うだろう。こう口にした少女も言ってからそう思ったーーあ、ちょっと子供っぽかったかな、なんて】
【しかし興味があるのも嘘ではない。重い刀を女性に返しつつ、わくわくしながら返答を待って】
- 278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 18:05:55.17 ID:1k9/mtJO0
-
>>277
ああ、元々お茶の類は好物でね。なんというかこう……草の味が好きなんだ。
そうだったのか。でも店構えを見るに、立派にやっていると思うよ?
綺麗でお洒落だし、うまく宣伝すれば女性に大人気の店になりそうだ。
【ドライフルーツを頬張りつつ、女はお茶を飲み進めた。特にハーブに苦手意識は無いらしい】
【……草の味、という評はなんとも微妙ではあったが、それはこの女が変人だからであって、味が悪いという意味ではなく】
【当人もそれは自覚しているらしい。自分も女であることは棚上げして、もう一度店内を見渡すとそう云った】
【ころころ表情を変える少女を嬉しそうに眺めながら、女は戻ってきた刀を仕舞うだろう】
【きらり、と――少女の問いに、女の瞳が輝いた。それは紛れもなく、目の前の少女よりもはるかに、子供じみた目であった】
ふっ――よくぞ聞いてくれたね!
トレジャーハンターでも間違いではないけど、少し風情に欠けるかな。
改めて名乗ろう。
わたしの名はイスト。探検家であり、冒険家であり――"蒐集家"さ。
【にまりと悪戯っぽい表情を浮かべ、わざとらしく腕を組んで、声を弾ませて――】
【女は自らをイストと名乗るのだった。ものすごく得意げな顔。たぶん、これがお決まりの名乗り文句かなにかなのだろう】
【少女が最初に抱いた印象のような、絵に描いたような美しい女性の顔はもうどこにもなく、ただ純朴な少年のような表情だけがそこに在る】
- 279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 18:25:05.87 ID:h4u3sLQo0
- >>278
【褒められたことに明らかに?が紅くなる】
【久しぶりに褒められたのか、それとも褒められ慣れてないのか……どちらにせよ、その紅い顔には嬉しさも滲み出ていて】
【小さくお礼を言えば「おかわりもありますよ!」って誤魔化すように小皿にドライフルーツをこんもり盛り付けるのだった】
蒐集家、ですってーー!?
【あながち間違ってはいなかったトレジャーハンター……なんなら上回る答えに背中を反らして驚いて】
【自分の頭の中にある蒐集家についての知識を総動員させながら興奮したように早口で】
美術品とか、価値のあるもののコレクターさんですよね!!
じゃあほんとうに、ほんとうに冒険してるんだ!!
じゃぁ、イストさんのお家にはそういう素敵なものが溢れかえっているんですか!?
【興味津々。こういう話が好きなのかもしれない】
【少年のような表情の彼女を尊敬の眼差しで、手をぎゅっと握りしめて見つめる少女】
【しかしふと、力の入った顔が戻る】
ーー私、フィオっていいます!
ぜひ、お話を聞かせてください!!
【と、名乗ることを思い出したかのように名前を言えば、またキラキラとイストを見つめるのだった】
- 280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 18:45:24.17 ID:1k9/mtJO0
-
>>279
【女――イストがときおり少女に向ける表情は、まるで我が子を見つめる母親のようで、】
【朗らかに頬を染めた彼女の瞳を見つめて、「ありがとう」と笑うとまたドライフルーツに手を伸ばすだろう】
【ずいぶん食が進んでいるのは、それだけイストが少女との会話に熱を入れ始めた証拠に違いなかった】
――ふふふ、いい反応をしてくれるじゃないか、フィオ。
蒐集家と云っても、コレクターとは少々趣が違ってね。
わたしが蒐めるのは"怪異"であり"怪異譚"――。
まあ簡単に云えば、古今東西を冒険して、あちこちにある不思議なモノやそのお話を集めるのがわたしの趣味なんだ。
【少女、フィオの輝かんばかりの表情にすっかり気を良くしたようで、イストは調子に乗って胸を張りながら続けた】
【蒐集家の他にも冒険家だとか探検家だとかとも名乗っていたが――"仕事"ではなく"趣味"というあたりに、なんとなく内情が伺えるか】
だから物品を蒐めているわけじゃないんけど、職業柄、そういう"素敵なもの"にも多少の縁はあるよ。
たとえばこの刀もそうだ。ただの剣じゃなく、"怪異"に干渉できる力を持つ妖刀……いや、"怪刀"ってところか。
……ふふっ。フィオもこういうの、好きなの?
【ちゃき、と。イストはゆっくりとした動作で刀を抜き、鏡のように美麗な銀の刀身をフィオに開陳するだろう】
【イストが探し求める"怪異"――つまりは幽霊やら怪奇現象やら、そういうモノに"触れる"ことのできる力がそこには在る】
【"蒐集家"にはお誂え向きの能力だ。「取り回しが良い」と言っていたのは、道具として使い勝手が良い、という意味だったのだろう】
【刀を鞘に戻すと、イストはくすりと嬉しそうに笑う。――フィオのきらきらした瞳の奥に、自分と同じ冒険心を探して】
- 281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 19:43:07.44 ID:h4u3sLQo0
- >>280
怪異……怪異譚……
【イストの言葉を噛みしめるように呟く。不思議なモノ、それに不思議なお話ーー】
【たしかに、それを集めるだなんてイストの言う通り他の収集家やトレジャーハンターとは趣が違う】
【怪異を集める蒐集家。聞いたことのない彼女の趣味には好奇心がわくばかりでーー】
私、そういうモノを集める方がいるなんて本当に初めて聞きました
すごく、すごくすごく興味深いっていうか……
はい、私も、好きなんです。アンティークの家具とか食器とか……ぼたんとかそういうのを集めるのが大好きなんですけど、それとは全然訳が違います
【ファンタジーを目の当たりにして、その澄んだ声から昂りが感じられるだろうか】
【自身も、歴史があって美しいものが好きだったりする。もしかしたら体質がそうさせているーー呼ばれているーー部分もある可能性もあるが、それ以上に昔の創りが好きなのだ】
【が、先ほど触らせてもらった刀が"そういうもの"なのだと教えられればまたひどく驚くことになる】
なっ、そんな大事で貴重なもの、触らせてもらえてたんですか私ーー!!
私がアブナイ人だったらどうするんですかぁ!!盗っちゃいますよぅ!
そ、それにしても怪異に干渉だなんて……私の理解の範囲を超えてます!は、怪異に触れるってことは……ちょっと、陰陽師っぽいですね……!!もしかして、職業が陰陽師では?!
【……明らかにアブナイからは遠いのだろうけど……しかし、興味がありすぎて危ない人になっていることにフィオは気づいていないのであった】
- 282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 20:14:46.99 ID:1k9/mtJO0
- >>281
あはは、そっかそっか。
変人奇人の誹りを受けることはしょっちゅうだけど、こんなに興味を持ってもらえるのは久々だな。嬉しいよ。
【イストも興が乗っているようで、その言葉数は多い。彼女はやや照れ臭そうに頬を掻いてはにかむだろう】
【普通の生き方をしていないことは間違いないし、本人もそう思っているが――理解を示してもらえることは、有難かった】
わけが違う、なんてことはないよ、フィオ。
わたしは怪異を追う。キミは歴史ある逸品を求める。――そこになんの違いもない。
好奇心と浪漫の赴くままに、自由に生きて自由に出会う。それだけのことさ。
【すっと目を細めて、イストはフィオに微笑みかける。それは正道を外れても、自由に生きることを選んだものとしての台詞だ】
【あるいはこれが、"蒐集家"なんて馬鹿げた称号を掲げて生きていくための、彼女なりの矜持のようなものだったのかもしれないが――】
【「わたしには、こんな素敵なお店を作ることは出来ないだろうしね」と冗談めかして苦笑すると、イストはお茶を飲み干した】
はっはっは! こう見えてヒトを見る目には自身があるんだ。キミは盗らないと思ったからね。
残念ながら陰陽道までは会得できてないんだけど……。自称ではない正式な職業ってなると、まあ、"冒険者"かな。
冒険者ギルドって知ってる? 色々な依頼を斡旋してくれる団体なんだけど、生計はそこで立ててるんだ。
誰でも受けられるような簡単な仕事もあるし、フィオも興味があったら一度行ってみるのも面白いかもしれないよ。
――キミがもし、特別な力を持っているなら、なおさら重用されるしね。
【興奮するフィオをどうどうと諸手で制して、イストは哄笑しながら身の上を語るだろう】
【ギルドの依頼の話を出して、さり気なくフィオの反応を伺ってみる。ちょっとした気まぐれ程度のものなのだが、】
【"怪異"を蒐めるのがイストの趣味なのだから。そこには当然"異能"も含まれるのである】
【フィオにもそんなものがあるのかな、と。――蒐集家としてのちょっとした下心が、そこにはあった】
- 283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 20:41:14.37 ID:h4u3sLQo0
- >>282
やだ、私ったらちょっと昂りすぎました
あまりこういう趣味って、人に言うこともなければ、同じ趣味を持つ人に出会うこともないじゃないですか……いや、同じ趣味の方なら下手したらライバルになっちゃうわけですけど
だから、こんな事聞いてもらえたのが初めてで、ええ
【一人でコツコツやってきた趣味だ。時には欲しかった物に手を伸ばす前に横から拐われるように買われてしまった経験もあったのだろう。それと同時に理解者も少ない】
【だから尚更、イストの思った通り人のものを盗るなんて絶対にしない子だ】
【いい休憩だと思ったが思わぬ収穫というか……知識の幅が広がってフィオはなんならもう店じまいしてもいいな、なんて思っているくらいだ】
【制されて落ち着いたのか、とりあえず一口ティーを飲んだ】
【そしてイストの話に聞き入る。冒険者にギルド。名前こそ知ってはいたが実在して、それも加入者が目の前にいるのもまた信じられなくーー】
もちろん、知ってはいました。ギルド。でも私には縁がないというかーー
特別な力なんてー!私、お茶出しと肩もみしかできません!
【私なんか、とでも言うように両手をふるふる振って。自分程度の能力じゃ、足手まといにしかならない、なんて思想も交えながら】
- 284 : ◆3kDP/Qhan2 [sage saga]:2019/05/25(土) 21:04:51.86 ID:1k9/mtJO0
- >>283
【ずいぶんとジャンルは違えど、似たような趣味を持つヒトと会えて嬉しいのはイストも同じだった】
【――蒐集家として。いちいちヒトを"観て"しまうその悪癖は相変わらず、心の中でフィオの一挙手一投足を見据えていたけれど、】
【ここまで話してみて、イストはフィオを心を開くに値する人物だと感じていた。こういう素直な"ヒト"が――イストは、好きだった】
まあ、いまのはただの冗談だよ。お店の方もあるだろうしね。
さっきも言ったけど、わたしにはこんな大きな店を守っていくような才能はない。
わたしからしたら、それも「特別な力」のひとつさ。
ここは……お父さんの遺したお店、なんだったか。
店構えを見ていれば、大事にしているのがよく分かるよ。
【フィオの持っているかもしれない"力"について、怪異を蒐めるモノとして興味は尽きないところではあったが――】
【あまり突っ込んで聞くのも"危ない人"になってしまうのでやめておこう、なんて思う良心が、驚くべきことにこの女にも存在したらしい】
【代わりに問うのは――このお店のことだった。この短時間で、イストはこの『LIORO』とフィオがいたく気に入ってしまっていたから】
【――親を亡くした子なんてものは、この異能の世界では珍しくはないのかもしれないけれど】
【フィオを見やる深い闇色の双眸の奥には、たしかに彼女を慮る色合いが覗いている】
- 285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 21:23:10.51 ID:h4u3sLQo0
- >>284
そんなこと……ないですよぅ……
私、ちゃんとお店を守れているか不安でしたが、イストさんがそう観てくれるのなら少し…いやとっても安心しました。
【父親の残したこの店を褒めてもらえればまた、先程と同じように顔を紅くして。今度はちょっと視線を逸らすのだろう】
【あまり表に出さなかった自分の頑張りを、このお店を守るために働いた日々を見透かすように、褒めて認めてもらえたことがーー嬉しくて】
【お父様、私ちゃんとお店守れてますって心の中で報告をーー】
すごく、いい時間でした
イストさんが今日ここに来てくださってよかったです。……あ、もうこんなに話し込んじゃって!ごめんなさい、私いろいろ聴き過ぎちゃいました!!
【すっかり溶けてしまった氷を見てはっとする。時計を見て「あぁこんなに引き留めちゃった!」と慌てだし】
イストさんのお話、すっっごく面白くて時間忘れちゃってました、えへへ
【照れ隠しみたいな笑顔を浮かべる。その表情はいつも意識している「しっかり者のフィオ」の仮面が剥がれ落ちたような……いや。もう十分前から仮面なんてしていなかったのかもしれないけれど】
- 286 : ◆3kDP/Qhan2 [sage saga]:2019/05/25(土) 21:41:42.90 ID:1k9/mtJO0
-
>>285
【イストはどこか遠い目で、頬を染めて目を逸らしたフィオを見つめているだろうか】
【フィオがその心中で父親を思い返すその最中に、イストもまた心の中で小さく呟いた。――家族か、と】
【――もちろん、そこにある虚無と寂寥を表情に出したりはしなかった。ただ嬉しそうに笑う彼女を、母のような眼差しで見守って】
ああ、ありがとう。お茶、美味しかったよ。
……ああ、そうだ。しっかり者の店員さんに、最後にひとつだけ頼んでいいかな。
なにぶんこの手のものには疎いんでね。フィオのオススメの品をひとつ、選んでほしいんだ。
ふふ、よろしく頼むよ。かわいらしい店長さん?
【イストもまた立ち上がると、丁寧にお礼を述べて。そして悪戯でも思いついたような顔で、フィオにひとつ頼み事をするだろう】
【蒐集家であり冒険者――未知と危険の隣り合わせに生きている女だ。適度にリラックスできそうなハーブでも選んでやるのが良いだろうか】
【くすくすと小さな笑いを零して、イストはまたフィオを観た。今度は見定めようとするそれではなく、純粋な親愛に満ちた暖かな視線だった】
- 287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 22:12:55.61 ID:h4u3sLQo0
- >>286
それなら任せてください!イストさんに気に入ってもらえる品を店長であるわたくしが選んで差し上げましょう!
【凛々しく胸を張るけどどこか子供っぽい。任せられればカウンターから店内へと出て、真っ先に並んだ大瓶の中に茶葉が入った一角へと向かう】
【3つ蓋を開け、近くの秤で量を調節しながら袋に入れて行く。透明な袋に〈LIORO〉の文字が白く印刷してある】
【そうしてできたブレンドティーを一旦カウンターに持って行き、ラッピングをしながら】
カモミールのブレンドティーです。乾燥リンゴとか他のお茶っぱも混ぜてますけど、ほのかに甘くて寝る前に飲んでもらうとリラックスできますよ
お茶っぱはお湯に浸して4分くらい抽出して飲んでくださいね!氷を入れる場合は5分くらいがいいと思います
【店長らしさが出ているだろうか】
【すらすらと説明すれば、同じ袋に空のティーバッグもいれて。それとおまけ用の保湿力の高い蜂蜜の石鹸も】
きっと気に入ってくれると思います!……なんて、ちょっと言い過ぎたかな、えへへ
【調子に乗り過ぎた自分を恥じるような笑み】
【でも言ったことに嘘はない。イストがこのお茶をいれたなら、柔らかな甘みがあるそれがきっとリラックスした気分にさせれくれるはずだ】
【その袋を渡したなら。少し惜しむように袋から手が離れるーー】
また、ぜひいらしてくださいね!
よければまたいっぱいお話聞かせてください!その時まで私もいろいろ集めますよ、アンティーク収集家のライバルに負けないくらい!
- 288 : ◆3kDP/Qhan2 [sage saga]:2019/05/25(土) 22:32:38.94 ID:1k9/mtJO0
- >>287
【ラッピングされたブレンドティーを受け取ると、イストは懐から冊子を取り出して、フィオが話した淹れ方を書き付けるだろう】
【すべて書き終えた後――少し迷って、口元を釣り上げた後、なにかしらを追加で書き込んでいって】
【この素敵な贈り物をくれたお店と、そこを守る小さくも立派な店長のことを。忘れぬように、付記しておいた】
うん、ありがとう。
大丈夫だよ、きっと気にいるさ。キミとこの<LIORO>を、わたしが気に入ったようにね。
いずれまた遊びに来るよ。そのときはもちろん、好きなだけ話をしよう。
そしてキミの話も、もっとたくさん聞かせてほしい。
――フィオ。キミだけの"怪異譚"を蒐められる日を、楽しみにしているよ。
【やがて大筋を書き終えたなら、ぱたりと冊子を閉じ、同じように一寸だけ目を閉じる】
【それは小さな別れの儀式だ。名残惜しさを振り切って、イストはちらりと、なんの称号もないただのヒトとしての自分を覗かせた】
【目の前の少女の中にあって、そしてこれから生み出される"怪異譚"に、ひとりの友人として関わっていけることを願って――】
【「それじゃあ、またね!」と軽く手を振り、イストは店を出ていくだろう。いつの間にか日は傾いて、涼やかな風が吹いている】
【怪異と呼ぶにはあまりにちっぽけなその出会いは――しかし女の胸中に、この風よりも爽やかな"お話"として、確かに刻み遺された】
/長時間ありがとうございましたー!!
- 289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/25(土) 23:11:04.69 ID:h4u3sLQo0
- >>288
【イストを見送った数分後、少女フィオは今日の営業を終わるための準備をしていた】
【closeの札をたて、鍵を閉めて。一緒に休憩した証を名残惜しそうに片付ける】
【あんなに褒めてもらったのはいつぶりだろうか。むしろお父様に褒めてもらったことあったっけ、なんて考えると手が止まってしまう】
【あぁ、いけないいけないと集中しながら片付けるけどやっぱり今日の出来事が楽しかったから、ふと思い出してはふわ〜っと笑ってしまう】
……怪異か……
【ぽつり、と呟くと自然に手が止まる】
【アンティーク調の水道、レジ、棚……なんとなく自分のお店を見回す】
……この体質も怪異ってことになるのかな
【父の言葉を思い出すーー】
【ーーフィオーーお前はーー】
【考えられないくらいーー大きなーーーー媒介にーー】
あーやめやめ! せっかく楽しかったのに!
【なんてわざと自分に怒ってみたりしてーー残りの作業を終わらせる】
【そして何事もなく、今日も無事に終了すれば】
またイストさん、来てくれるといいなぁ!
楽しかったなぁ……
【楽しかった夢のように、一瞬で終わってしまったステキな時間】
【そんな独り言を残して、フィオは店を後にーー扉をあけて二階の自宅へ帰宅ーーした】
//こちらこそありがとうございました!!
- 290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/29(水) 22:07:39.84 ID:EqsuTjqp0
- 【街中――】
【ごく涼しい初夏の夜の匂いがした、ここ数日がおかしなくらいに暑かったのだとして、なんだか冬のように思えてしまうから】
【それでもどこかの飲み屋から帰るようなスーツ姿を見るでもなく見やるに、半袖のシャツを着ているのだから、辛うじて夏であるらしい】
……………………――――――――――――、へびさま?
【――なればひるり吹き抜ける風の温度は剥き出しの腕を撫でつけて酔っぱらいの頭を少しだけ冷やして駆けていく、そんな刹那に】
【長い毛先を乱されながら、唐突に少女が一人振り返るのだろう。――まるで鈴の音のように"りん"とした声、それでも何かの感情に揺らいで、微かな余韻】
あ……、……えと、ごめんなさい。探してる人の声がした、気がしたから……。
【そうして振り向いた彼女は足先すら止めてしまっていた、日曜午後の都心に比べたら十分に空いた道なのだとして、それでもがらんどうの幽霊街には程遠く】
【あるいは誰かが後ろを歩いていたら驚かせてしまうかもしれなくて、――もしかしたらぶつかってしまうかもしれなかった。そうだとして、彼女はまず謝るし】
【どちらにせよ同じたぐいの言葉を吐くのだろう。――急に立ち止まった言い訳一ツ、口元に添えた指先の隙間からかすかに聞こえる、ため息の湿度】
【――少女と言い切るにはいくらも高い背をした少女だった。腰まで届く長い黒髪はお行儀の良い編み込みのハーフアップ、滝より余程凪いだ毛先の温度】
【だからこそ真っ白い肌がずうっとずっと映えていた、――視線に重たげな影を落とす睫毛で雨宿りするよな眼差しは光の加減によって赤と黒を曖昧に移ろって】
【赤いワンピースを着ていた、リボンを編み上げた飾りとしてのコルセットとたっぷりと布地を詰め込んで膨らませたスカートの温度差に、足先の細さが際立ったら】
【もとより少しだけ高めの背丈にうんとかかとの高い靴を合わせていた、――こちらも編み上げのショートブーツ。かかとにひらりリボン飾りをあしらうなら】
【一目見るに十六ほどの少女のようでありながら、――きっとたぶん何か違うのだろうと思わせるようだった。或いは、UTなんて単語から連想して一つお花の名前、思い出すのならば】
【この少女のこと、いくらか分かるのかもしれなくて/けれど分からなくっても何一つ困りはしないのだろうから。きっと、】
…………――うんと高い背の、真っ白い髪の、男の人。……なんだけど……。たぶん……。
【――――――大人びて見せる物憂げさは本人も述べた通り、探し人に関するものなのかもしれなかった。なれば、ふと思いついたように尋ねる声、】
【――自分で探している人だというにごくあいまいな言葉を添えていた、けれど、なにかだましてからかってやろうという色でないのは、きっと、確かで】
- 291 :ラスラドーラ ◆nihwMyGNc6 [sage]:2019/06/01(土) 22:03:04.61 ID:qTuBWYfq0
- 【街中を歩く一人の男】
【蒸し暑い空気が漂う街を人の波を掻きわけて進む】
ちょっと、どいてくれよ――おお!
【紙袋につまった酒類と食品――それを両手に抱え歩く】
【眼前が見えぬほどのそれを揺らしながら歩く姿は危なっかしい】
くそっ!すっかり遅くなっちまった。
【紙袋の隙間から見える姿は三十代くらいか?】
【癖のある黒髪に同じ色の瞳】
【よれよれのシャツと、くたびれたボトムとブーツ】
【みすぼらしい格好とよろよろと歩く姿は偉く滑稽だ】
【しかし鼻を横断する古傷と、よろめきながらも周囲を警戒する鋭い目線が、】
【堅気の世界の人間ではないことを示しており――】
おおっと!アブねぇだろ!前見て歩け!
【しかし今は両手の荷に悪戦苦闘しながら歩くので精一杯】
【街を歩く人々を何とか避けて歩いて行く。】
- 292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/06/02(日) 10:51:11.84 ID:frQ5voTh0
- 誰と関わっても必ずこじれる鈴音さん
赤木セシルアリアと来ていい加減被害者ヅラでは済まされないよ
みんなお前に嫌気が差して離れてるのそろそろ自覚しなよ
- 293 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 18:08:40.16 ID:qgoDHIUj0
- 【国境都市ベロボーグ---郊外の軍施設】
【氷と水の国境線に位置し、どちらの国にの施設も存在している特異な都市。】
【気候はどちらかと言えば氷に近く霜のようなものが年中降っている。】
【そんな都市の郊外にある氷軍施設。軍施設と言う事だけは分かるがその詳細は公にされてはいない。】
【周囲はフェンスで囲まれているが、その一角に佇む人物が一人。】
やれやれ、担当範囲からあまり離れたくはないんですが………
ここも一応は範囲内、ですかね。しかし随分と空間位相に乱れが生じている。
さて、あまり大事になる前に片付けたいところですね―――。
【蛍光イエローの目立つミディアムボブの髪に紫色の瞳を中性的な顔立ちの人物】
【全身は高級感のある黒いスーツとソフトハットで身を包み、右手の人差し指にZ≠フ刻印がされた黄金の印章指輪を付けている。】
【その人物はフェンス越しに施設を眺めながら苦笑を漏らす。どこか芝居がかった仕草だった。】
【そしてその人物が見つめる軍事施設だが、異様≠ネ雰囲気が全体を包んでいる。】
【まるで異世界と繋がったような気配。能力者などの類であればそれに引き寄せられてきてしまうかもしれない。】
- 294 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 19:27:44.59 ID:fZ8c9sPYo
- >>293
【閉じた断章の狭間、切り取られた終末の一頁、然れど捲る薄皮細工の袂が揺れる】
【言葉と重なる終止符、縣に託した思いも空しく、溶けた泡沫に塗れる所業】
【 ──── 断罪と呼ぶにはあまりにも脆く、不可逆的な仕来りに従う】
わぁるいわぁるい子猫ちゃん、迷い込んだのは何処の箱庭かしら
手薬煉引いて引き金に括って、しとりと待ちわびるのは乙女の嗜みなの
ねぇそうでしょう、全ては時の赴くままに、本能を翳すには十分よ
【錦糸が綴った天蚕糸の如きか細い旋律は、色を含んだ情念を透かして、乳白色の情景に浸される】
【声色は引き寄せられる、後方から一つ、足音が重なって、緩やかな曲線美を彼女は示そう】
【プラチナブロンドの長い髪、紅が差したマリンブルーの瞳、白銀のロザリオを首筋に垂らして】
【零れ落ちそうな豊満な胸を、大きくはだけさせた黒いスーツと短いタイトスカート、スラリと伸びた両脚をストッキングで包む】
【白いコートを袖を通さず羽織り、高いピンヒールを履いた、どこか幼げな横顔が印象的な女性であった】
──── 花は夭折しても尚美しく、曖昧さえも美しく飾るのだから
戯けた手向けも餞も、それまで大した忌みを持たないのでしょう
あら、久方ぶりの戯曲はお嫌い? 都々逸を解さない程風は変わってないのよ、ホントよ?
素敵で素敵なお兄様、貴方の声を聞かせてくださいな
【夜空を指先でなぞったなら、その先に残るのがきっとそんな色をしているのだろう】
【彼女の手は持つ、身長ほどもあろうかと、──── して誰が狙撃銃たる由縁をしって】
【佇む姿は弦楽奏者の如く、銃口を真っ直ぐと彼女は男へと向けていた】
- 295 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 19:58:46.94 ID:qgoDHIUj0
- >>294
【―――ソフトハットをおさえながらゆっくりと半身振り返る。】
【その表情から笑みは消えていた、どこか遠くを見るような視線は少女を見つめる。】
【フッー≠ニゆるやかに息を吐き出す。】
やはり歪み≠ノは歪み=c……ですか。
時の歪みは貴女にとってはどう見えますか?これも戯曲の一部であると?
【何時しかその手には握られていた。】
【幾何学的な碧の光が走った未来的な形状をした大型拳銃だった。】
【男は相手にその銃口を向ける。まるで相手の挨拶に答えるように。】
―――初めまして、ですかね。お嬢さん。
貴女にはこう名乗りましょう、私はオランチョ=B虚数探偵―――チンザノ・オランチョ=B
【オランチョはそう名乗ると、やはり遠くを見るように少女を見た】
//すみません反応遅れました!
- 296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/06/02(日) 20:11:54.28 ID:wAfs/MtC0
- 【工場跡地】
【罅割れたコンクリートの灰色が視界をジャックするような建造物の群像】
【崩落した箇所からは錆びた鉄骨が歪に曲がり突き出し、何とも知らぬ廃液が滴る】
【咽び泣くように続く数日来の霧雨と、折からの茹だるような気温が不快指数を否応無しに上げ】
……、 けほっ
【崩落した屋根の下、月光と薄く降り掛かる雨とを浴びて片隅に蹲る、一人の青年の姿があった】
【整然とした黒羽織の和装に身を包み、肩口で切り揃えた白髪に黒い彼岸花を挿した彼は】
【足許の瓦礫を草履の足で蹴り払い、傍らの錆び付いた機械を支えに覚束なく立ち上がろうとする】
【年の頃は二十代後半、吊り目がちな葡萄色の双眸に目許の泣き黒子が映える、如何にも気の強そうな顔立ち】
【細い身体の線と白い肌は、百七十後半の背丈がなければ或いは女と見紛うこともあったろうもの】
クソが……、畜生 何処や此処、
【男は荒い口調と存外低い声で忌々しげに吐き捨て、苛立ちの強い視線で周囲を見回し】
- 297 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 20:17:49.70 ID:fZ8c9sPYo
- >>295
【目、眼、瞳 ──── 形容する言葉は数多あれど、その本質は等しく、見つめるという行為も相応に】
【マリンブルーと言葉を借りたがその実は、深海よりも深く、蒼穹の彩りを煮詰めたならば】
【その一端にでも至れるのだろうか、──── 兎角】
【彼女は見つめる、静寂に飽きた女神の如く、それでいて夢見がちな少女の様に】
どうかしら、私が見るのは何時だって一部よ、それで殿方の全部だもの
戯れも戯曲も悪戯も遊戯も、その本質は何時だって一つしかないでしょう?
──── 雄と雌との目合に、着いてくるのが雌雄ですもの
たまには下から突き上げられるのも、良い経験じゃなくて?
【指筋が顎をなぞるように揺らめいて、従うように銃口が唸った】
【細く線を描いた銃弾は、──── 真っ直ぐにオランチョの首筋を狙う】
【薄く揺らいだ夜に抱かれて、彼女はほんのりと頬を緩める】
チンザノね、覚えたわ、とってもとーっても素敵な名前、貴方で二人目よ
前の貴方も良い殿方だったわ、クールでタフで、それでいてとっても寂しい人
ねぇ、次の貴方はどちらかしら、頭蓋を割いたら見えてしまうなら
膨れた溜まった妄執を、私のナカに吐き出してくださらない?
- 298 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 20:31:32.45 ID:qgoDHIUj0
- >>297
言葉に品性はありませんが、佇まいは品格に満ちていますね。
まぁそれも当然か………曲がりなりにも、いや戯曲については語るべきではない。
その美しい瞳を歪めたくはないですが。
【重なる銃口と視線、オランチョはどこか芝居がかった様子で語る。】
【まるで慎重に火薬の中から宝石を摘まみだすかのような、どこか言葉を選んでいる様子だった。】
【「時が惜しいな」とポツリと独り言を呟く。】
【―――瞬間、放たれる銃撃。】
【オランチョは横に飛び引くようにして回避する。】
【だが狙撃中の一撃の威力は回避したからといってタダで済むものでもない。】
【地面は吹き上がり、小石や雪が周囲に撒き散る。オランチョの右足は弾かれた小石で浅く切り裂かれる。】
【滴り落ちる血を雪へと垂らしながら、オランチョは膝立ちになって未来的な形状をした大型拳銃を構える。】
―――私は彼と違って正当≠ナはないですがね。あくまで異聞未来史≠フ存在です。
終わった異聞、その後始末の清掃員というわけです。
【相手に語るようにそう言うと引き金を引く。】
【瞬間、銃口が光に包まれたかと思うと放たれるのは碧の光線。】
【光の道筋を作りながらそれは少女の右肩を貫こうとするだろう。直線の攻撃だ。】
- 299 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 20:41:39.09 ID:fZ8c9sPYo
- >>298
【吹き上がる銃声、タクトの様に揺らいだなら、逆さまに落ちた爪先が地面をたん、と叩いた】
【銃口を地面へと突き立て跳躍、大鷲が虚空を割く様に地面を滑り】
【 ──── 視線の先に白があった、雪の華、開いて咲いた割礼の様に】
御存知なのね、中々あの人も有名人だったのね、ならスキャンダルになるかもしれないわ
ふふ、いいの、でもそれで、いいのよ、私も彼も、非合法の夜に生きるのですもの
明日も分からない身なら、時折重なって確かめてみるのも風情でしょう?
足りない心の隙間を埋めるのは、正しい形だけじゃないのだから
膨らんだ思いを押し込めるのに、正攻法は狭すぎるもの
──── 高ぶりを沈めるのも、乙女の作法よ
【かくん、と世界から消える、──── 体勢を低くし光線を回避】
【横薙ぎ、ふるうは狙撃銃、長い銃身が長刀の様に脚を狙う】
【巻き上がる雪を頬に浴びて、新雪よりも淡い頬の色を透かした】
あら、異聞が紛れ込んでしまったならそれは正史ではないわ、平行調に移ってみても
靡かない音の響きを指して、私達はそれを不協と呼ぶのだから
なら私が絡め取って、この指先で示してあげるわ
やーよ、そんな所狙ってちゃ、殿方が見つめるのは、たった一つしかないでしょう?
- 300 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 20:56:05.91 ID:qgoDHIUj0
- >>299
勿論。ただ―――そこまでの道筋は決まっていない
私はただ逆説的に軌跡を辿っているに過ぎない、故にズレは生じる。
―――確かに、刹那主義は嫌いではありません。貴女とは同じ方向へ踊りたかったですね。
【苦笑する。それはどこか寂しげでもあった。】
【人と人の繋がりが断絶されてしまった異聞では、もはや叶う筈もない。】
【結局は交わり切る事のない存在。しかしこの世界においてならまだ捨てきれるものでもなかった。】
【横薙ぎに放たれる狙撃銃を少女とは対照的に跳躍で回避。】
【―――そして】
【オランチョは放たれた銃身の上へと立った=z
【細身ではあるがそれはあり得ない筈だった。】
【よく見ればノイズ=Bまるで世界に弾かれようとするようにオランチョの身体の節々にノイズが走る。】
【彼は儚げに微笑む。】
言ったでしょう。私は虚数探偵≠セと。
ここに在ってここに在らず。異聞の残響=\――ですが紳士ではありたい。
【そんな事を言っておいてオランチョは右足で少女の顔の側面を思い切り蹴ろうとする。】
【確かな重みのある鋭い一撃だった。それを放ち終えれば銃身に彼の体重(52kg)が降りかかる。】
- 301 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/06/02(日) 21:07:33.58 ID:fZ8c9sPYo
- >>300
【寒空に吐いた息の果て、或いはその残滓に似て、それ程までに微かな揺れ】
【無表情はさながら仮面に近い、その色を崩さず、彼女は僅かな乱れを描く】
【不可解に適する正解は存在しない、けれども虚数こそが最適解であるのなら】
【苟も彼女はそれを飲み込むのだろう、白磁の首筋は水差の様に】
実像を追いかけるのが探偵の仕事ではなくて? 虚像に化かされるのは衆愚の務めでしょう
それとも貴方は湖面に意図を張り巡らせて、そうして水晶の先を手繰るのかしら
だとすれば、その曖昧に満ちた首筋の先に、染み込んだ赤を見せて欲しいわ
【狙撃銃を手から放す、左の手が蹴りを防いでも尚、──── 体重の乗った重たい蹴り】
【瞬きの如くか細い腕がミシリ、と鳴って、衝撃で数歩彼女は飛び退いた】
【地面へと落ちる狙撃銃、──── 否、──── 違う=z
不在を証明するのなら、力は最も遠くにあるの、乱暴狼藉では濡れないわ
配慮care≠忘れちゃいけないのよ、スナークに対する礼儀は、乙女に通ずる隠喩ですもの
硝子細工を弄ぶ様に優しく、貴方の指先で触れてしまわなきゃ
──── 体温ですら溶けちゃうの、純白よりも淡い白は、穢れを知らないのよ
【銃が地面に 沈み込む そこにあるのは魔法陣、硝子で出来た細やかな代物】
【まるで湖の如く、銃は沈み、乗っていたならばオランチョもまた、沈みこむだろう】
【更に何もしなければ、膝下あたりで、沈下は止まる、地面に飲み込まれたが如く】
【銃は彼女の右の手に出現する、虚空から取り出す様相で】
- 302 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/06/02(日) 21:23:33.86 ID:qgoDHIUj0
- >>300
然り。流石ですね白雪の狙撃手。
故に私は異聞であり、そうあるべきではない′フに正統ではない。
―――ですが中身/ATTITUDEは固くそして熱くありたい。それが探偵であるのなら。
【そう言って銃身に体重を乗せた瞬間硝子の沼によってオランチョは沈み込む。】
【「これは………スマートではありませんね」】
【そう言いながら頬には汗が一滴伝う。表情は崩さず、だが危機感は感じながら。】
多芸ですね、まるで白鳥だ。
………気づいていますか?もうあまり時間はないようです。
貴女の目的が崩壊≠ナあるならそれはあと数分持ちこたえれば叶う事になる。
【機械的に、オランチョは少女に銃口を向けて二回引き金を引く。】
【そして再び放たれる碧の光線。だがこんかいは同じような直線に見えて違う。】
【少女が回避しようとすれば僅かにカーブを描いてホーミングする。】
【―――二人の後方の軍事施設では、何か白い光があふれ始めていた】
【ふと何か雪ではない白い粉のようなものが降ってくる。それは………塩≠セった。】
- 303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/06/03(月) 08:28:06.27 ID:atblpkd5o
- 夕月からセシルへ
https://imgur.com/HiakuCI.jpg
https://imgur.com/OYsfY9q.jpg
https://imgur.com/Oqte1Aw.jpg
https://imgur.com/VBIu8Bc.jpg
- 304 : ◆rZ1XhuyZ7I :2019/06/04(火) 00:16:58.47 ID:wFfXZLXyO
- >>303
経緯などお話を伺いたいので一度舞台裏でお話可能でしょうか。
ご検討よろしくお願いします。
- 305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/06/04(火) 15:04:04.41 ID:POszt9oH0
- ドーモ。あやベン・ニンジャです。
私の愛した故郷が私と負けず劣らずの狂人大乱闘の会場だと証明されて本当に嬉しいです。
テーブルの下に悪意のナイフを隠しながら至高の物語を織り上げる、これこそパー速なりきりというもの。
しかしこれではかつて私が追い出されたのは筋違いだし、追い出した意味もなかったわけで。
そういう点ではとても残念と言うほかありません。
- 306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/06/06(木) 09:24:07.22 ID:XdXIeUfsO
- ◆rZ1XhuyZ7Iさんは議論スレに書き込んでくれるのは嬉しいけどもっと文章を推敲して読み易くしてくれるともっと嬉しい。
感情面ばかり表に出過ぎてる上にちょっと読み辛い。
- 307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) :2019/06/06(木) 18:17:27.93 ID:CdkldLTT0
- まあスレの外に関係性を持ち出してる時から見えてた結果だよね
結局議論ごっこも堂々巡りで進展しないし表面だけ仲良しでワイワイやってたらこんなもんだろうね
楽しくも出来ない遊びを何でやってんだか
- 308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/06/07(金) 14:05:26.94 ID:jyIj1dziO
- あげて
- 309 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/06/08(土) 02:18:29.89 ID:1hZnJnCSo
- >>193
>>194
ふ、ふ。ミラさんなら間違いなくそうするさ。たとえ世界線をいくつ跨ごうともな
違いない。音楽に造詣が深いわけではないが、私とて同じ文句を言うことだろう
ただでさえそんな息苦しい世界で、ますます気が滅入る音楽など聞きたくはないからな
【ミラの生き方は、カニバディールには今まで戦ってきた正義の味方とはまた違った形で眩しく映った】
【あらゆる姿に変身する能力や、その触手のみならず、彼女はその思考が、意思が柔軟なのだろう】
【それでいて、自分の思いを貫くことすらしてみせる。彼女は、強い】
ふ、ふふ……!! ああ我ながら、いかにも私らしいやり方で世界に名を刻んでやったようだ
ああそうだとも、しぶといのが私の取り柄だ。今の私でも、きっとそうする。未来の私もそうしていることだろう
やられっぱなしは性に合わない。貴女と同じだ、ミラさん
【あまりにも真っ直ぐな彼女の視線に、同じく真正面から視線を返す】
【彼女は自分の気持ちを偽らない。そんな彼女が己の生存を信じている。これ以上の保証もないだろう】
【それに、しぶとさは自負するところだ。己はきっと生きて蠢き続ける。これまでも、これからも】
>>200
【ロッソとミラのやり取りは、黙して聞いた。ロッソとの付き合いは短くはない。ゆえに、それはわかった】
【20年。個人にとっては十分すぎる時間だ。よくわかっている。“彼女”のことは、自分の中でも降り積もる時間の向こう側だ】
【確かに了解した。カニバディールはただロッソに視線を返した】
【そこからは、霧崎の話に耳を傾ける】
【変わりゆく世界。流れゆく時間。そこに生きる人々も不変ではいられないことだろう】
【それでも、その中で足掻き続ける。霧崎の情報全てを飲み込むと、カニバディールは改めてそれを己に言い聞かせた】
【生きて、生きて、まだ生きるのだと】
――――全て、承知した。あとは、やるだけだ
生きる≠ニしよう
【カニバディールはそう締めくくった。生きる。これまでも、これからも】
/ちょっと上手くまとめきれなかったところはありますが、これにて締めとさせていただきたく思います
/ロッソさんの方、ミラさんの方、改めまして長期間のお付き合いありがとうございました!
- 310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/06/14(金) 00:36:53.12 ID:W9XBAl76O
- 等しく誰からも忘れられてた人間が何故か勝手知ったる顔で一席ぶって書き込んだ挙句あたりまえのように誰からも反応して貰えてないの最高に空気くん≠チて感じで好きだよ。かわいそうだから構ってあげる。
- 311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/06/14(金) 01:54:09.01 ID:mtGsBz9H0
- 騙りだろうけどもし本人ならマジ草だわ
こいつ自分から愚痴スレ民COして引退宣言したくせにしばらくしたら復帰願い出して当然のごとく拒否られてた奴だろ?
その後も何度かバレバレの新規騙りしてスレに出入りしてたしどんだけ未練ったらしいんだよ
- 312 : ◆Rinne/R.E. [sage saga]:2019/06/23(日) 23:51:14.69 ID:LB+IBXF70
- 【街中――――公園】
【春薔薇もとうに終わった薔薇のアーチはこなれた緑色の葉っぱ、昼間であればうんと広げて喜ぶのだとして、今は夜であるのなら】
【いちご色したお月様もとうに欠けてしまった後のお月様がうすぼんやりとした雲の向こう側から瀞むような月明かりを受けて、それでも僅かな艶めきを忘れず】
【日差しに伸びた新芽のぶんだけ歪な形になったところをひょいと潜る人影一つ、蜜柑の房によく似た形のお月様に照らされるのなら、仕草のたびに影だってどこまでも】
――――――――――――――、あれ、
【いくつも連なった薔薇のアーチは春先や秋口ならば見る者だれでも魅了して見せると豪語して止まぬもの、けれども夏の入り口となれば、それでも緑の色どりはごくごく何か癒す色をして、】
【数個目を気儘に潜り抜けたところで、――ぽつと漏れる声が一つあった。なればやはりごく気儘な声音であるのだろう。赤い薔薇が咲くなら千本の鳥居にも似通う最中に、硬質の足音すら止めて】
【――曖昧に溜息を吐くような音節があった、ともすれば誤差にも等しい数秒の出来事。「――――止まってる」。つぶやきに付随するのはりんと涼やかに響くような/ちゃらりと掠れたような金属質の余韻】
【――――言葉を述べたのが涼やかなる金属質で、なにかこすれ合うようなのが掠れた金属質だった。見るなら長く伸びた影の手元より延びるもの、鎖と、丸みと、然るに懐中時計と思しきもの】
壊れちゃったかな。……まだ五年ぐらいなのに。
……――兎でも通るなら、あげるのに。遅刻しないもの。止まってるから。
【どこかうんと遠くで雨でも降っているような温度の風が吹き抜けたなら、――鈴の音によく似た笑い声は小さな反響、鎖ごと吊るして覗き込む仕草が文字盤を煌めかせるなら】
【あるいは夜闇の中、ちかりちかりと遠くまで誰かがここに居ると知らせるのかもしれなかった。――そうでなくても、どうせ誰かが居るのなら、彼女の姿を見つけるのは容易いのだけれど】
【――だから/だから?/だから。彼女はやがてふらりとアーチとアーチの隙間から逃げ出すんだろう、やはり昼間ならごく好ましいのだろう花壇を無視して、夜に全身を投げ出す刹那に】
【腰まで伸びた黒髪が月明かりにごく彩度の低い虹色の艶めきを抱いた、なれば真っ白の肌は余計に映えて、あどけなさを十全に遺すかんばせを彩るには十分すぎるほど】
【ふと俯けばごく黒く見える眼差しはけれど月明かりを臨むのならどこまでも明るく透き通るのだろう。光の加減によって色を変える眼は瞬きのたびにすら煌めきの彩度もまた変えるから】
【そうして裾を揺らすのは緑みに黒いワンピース、そうだとしてごく細く描かれた生成りの縦縞が軽やかさを添えて、だとしてもたっぷりとした裾が翻るたびに覗くパニエの布地は物理的に重たげだけれども】
【かかとの分厚いストラップシューズの底にはあまりお淑やかではないのを証明する程度には泥がこびり付いているのだろうから、】
【――見やるに十六ほどの少女であるのだろう。眩しい朝よりか余程暗がりの夜のほうを好むような表情をしていて/けれどこんなに遅い時刻に出歩くにはやはりまだ少し幼すぎるようだから】
――――――いつの間に、止まってたんだろう。もう日付も変わっちゃったのかな。
【やがて丁寧に整えられた花壇すら通り過ぎて、芝生の地面にためらいなくお尻を委ねるなら。やっぱりお淑やかな乙女ではありえなかった、スカートの柔いふくらみだけではごまかせない何かを隠しているのに違いない】
【手元に弄ぶのはやはり旧びた懐中時計、何か少し弄ったらば戻せやしないかといじくる指先は、――すぐに飽きてしまって蓋ばかり何度も鳴らして開閉を繰り返す、今度は蓋だって壊れてしまいそうなのに】
音々ちゃんがメールしてきたらお誕生日。
【――――――そのうちそれだって飽きてしまって、ぼんやりと膝を抱えだす。夜風はどこまでも涼しく柔らかいから、きっと散歩に良く適していた】
- 313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 15:30:12.82 ID:/WVhDhtX0
-
【街中ーー商店街】
【微妙にハズれた天気予報、雨が降るっていうからお気に入りの黒い傘を持ってきたのに、実際は曇り止まりーー夏なのに少し肌寒くて薄手の長袖が欠かせない】
【人もあまり出歩かない微妙な時間帯。いつもは賑わっている商店街は、今は静かに感じる】
【結果的に邪魔になってしまうことになった傘の持ち手を腕にかけ、一人の少女が二つに結ばれた金髪を揺らしながら歩いている】
【生成りの、見るからに肌触りのよさそうな長袖のワンピース。裾についた大振りのフリルが控えめなヒールの音に合わせて楽しげに揺れ、肩掛けバックが少女の腰の高さで跳ねている】
【なんだか育ちの良さそうな雰囲気の少女だが、踊る洋服とは違ってその顔は曇り空みたいに翳っている】
【憂鬱な青い瞳、いつもはにっこりと明るい印象のさくらんぼみたいな唇は固く閉じられ、白い肌は一層青白く、なんなら具合でも悪いのかと感じさせるような、そんな印象を抱かせる】
【ーーやがて少女は足を止め、とあるお店へ消えていった。ーー園芸店。この商店街の中でもひときわ大きく目立つ場所。広すぎて全フロア回るには一日掛じゃないと達成し得ないそんなお店】
【ーー1時間後。買う物が決まっていた少女はそのくらいで園芸店から出てきた……両手にいっぱいのビニール袋に入った植物を持ちながら、ヨロヨロとふらつく足で店を後にする】
【最初は無表情で歩いていた少女だが、やがてその細腕がぷるぷる震え、顔に疲れが出はじめて。腕にかけていた傘がぽとっと落ちた。それを拾うために一旦全部植物を地面に置いて……】
もう……もう、嫌……重い……
【漏れるような声だった】
【長袖にはビニールをぶら下げたせいで深く皺が刻みこまれ、無理に一人で運ぼうとした植物たちは斜めになってーー】
【人通りの少ない道で、少女は一人休むようにその場に丸くなってしまうのであった】
- 314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 15:50:14.69 ID:pvzro5Ex0
- >>313
【初心者が作りさしで飽きてしまったようにでこぼことした空の色、見上げれば明るくとも、いつ降り出すかなんてきっと、お空の上の人しか知らないのなら】
【だからきっとお空の上の人たちだって、空を見上げているのに違いなかった。こんなに晴れるなら水やりをしないと草だって枯れてしまうかしらと思った時に、きっと雨が降るのならば】
【そしたら雲の上だってもしかしたらあんまり晴れてないのかもしれなかった。――――だなんて考えてみたところで、空の色は変わらないし傘は置き忘れたくないし、少しだけ寒いから】
――――――――――――どうしたの、
【――だからきっと傍らに腰を折る気配は、少女がくたびれ果ててしまってから、数分後の出来事。腕の重たさが消える前の、けれど早く戻らねば本当に雨が降りだすかもという逡巡のさなかの頃合い】
【喩えて述べるのなら、ごく鈴の音のように涼やかな声だった。夏祭りの人込みの中ですら聞き間違えようもないような透き通り高い声は、疑いようもなく彼女の性別を伝えてみせて】
【あるいはその前に気づくことも十全に叶うのだろう。――かかとの高い靴を履いているときの足音をしていた。そうして事実まなざしを向けるのなら、一緒に丸くなるようにしゃがむ姿、やはり】
【腰まで伸びた長い黒髪の少女。うんと艶めく手入れの賜物を遠慮なく見せつけるなら、滑り落ちる肌もまたどこまでも白い色、花嫁が纏う衣装の布地より余程白く透き通り】
【あどけなさを手放す前の少女のかんばせ、つんとつって丸いまなこの色合いは黒とも赤とも取れず、あるいは光の角度によって黒と赤との配分を変えて見せる特異な色が目立ち】
【リボン飾りとフリル飾りのやたらと多い衣装を纏っていた。ピンクベージュを基調にしたワンピース。それでも引き締めるべき部位には濃い色をあしらって、せなに滑る髪すらその役割を担うから】
【ふわり膨らむスカートのすそを、――気にしてはいるようだけれど、その先っぽが地面にこすれることについてまでは頓着していないようだった。本当に少女の傍ら、尋ねる距離感にて】
【かかとの高いストラップシューズの爪先がわりにお淑やかに整えられているのが似合うような、それとも気取って見せたような、どちらとも取れる年ごろの、】
手伝おっか?
【――――どちらにせよ、尋ねる声に悪意のようなものは介在しないのだろう。ただ目についてただ気になったのでただ聞きに来たというような顔をしているものだから】
【ともすればありがちな恩を売って得をしてやろうという意識すらないのだと伝えていた、――道端に落ちてたハンカチを柵に乗っけておいてやるような、そういう、温度感】
【故に、否と返せばすぐにでもいなくなってしまうのだろう。その代わり、頼んでみせたら、彼女は間違いなく自分の言葉を遂行するのだと、伝えてもいた】
/ひさしぶりなのでちょっといろいろゆっくりめとかになっちゃうかもですが、よろしければ……!
- 315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:27:12.47 ID:/WVhDhtX0
- undefined
- 316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:28:32.37 ID:/WVhDhtX0
- >>314
【少女が彼女の登場に気づいたのは声を掛けられてからだった】
【陰と疲れが塗り込まれた、丸くなって落ち込んだ体に染み入るみたいに優しく降る鈴の音は、具合の悪そうに閉じられた瞳を開かせるのには十分だった】
【青い瞳ですぐ隣に同じようにしゃがんでくれている少女をとらえる。曇り空でも輝くみたいに艶やかな黒髪、美しく揺らめく不思議な瞳を持つ少女ーー】
【その瞳に、自分の視線が吸い寄せられるような感覚ーーーー抵抗もせずにじっと見つめてしまう】
【あまりにも遠慮なく、自分の隣に現れた少女を見つめる自分に気づいてやっと、少し視線を逸らした。少女のふわふわなワンピースが地面についてしまっている】
……手伝って……くれる………………えっ?
【現実に戻ってこれたのは、少女の二言目の思ってもない台詞を聞いたからだった】
【あからさまに疲れていることと、キャパオーバーな荷物をみて自分がこれらを家に持ち帰るなんて「無理」だと察してくれたのだろうか】
【当然のように。見返りとか恩とか、そういうものを期待してます感0の、今の自分には神様が遣わしてくれた天使のような、ちょっと大袈裟なんだけどそう感じてしまうくらいに有難い一言を、現れた少女が言ってくれている】
【「いいえ、迷惑をかけるわけにはいきませんから」いつもだったらそう言っているだろう、少女の口から、溢れるみたいにーー】
//続
- 317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:29:26.77 ID:/WVhDhtX0
- >>314
……お願いします……
【素直な言葉だったーー】
あ、でも重いですよ、植物。土とか鉢とかもあるので、結構、重いです。
このくらい持ってもらえたらあとは自分で持てるのでちょっとそこまでお願いしても、いいですか?
【ちょっとそこまで、というには少し家は遠いのだけれど……】
【荷物の三分の一、持った感じ軽い方だと感じた子らを分ける】
【分けながら、「助かった」とホッとしたのか、?は徐々に桃色に戻り、陰っていた海色の瞳も輝きを取り戻してーー】
ありがとうございます、私一人だったら絶対に家に運ぶまでかなり時間がかかってしまっていたかと……ちょっと無理に買い込んじゃいました、あははお恥ずかしい……
私、フィオっていいます。よければお名前、教えてもらっていいですか?
【隣に誰かが来てくれた安心感がそうさせるのか、口数も増えて照れ笑いまで浮かべる】
【フィオーー自らをそう名乗った少女は分けた自分がもつ植物たちと傘を持ち上げると「あぁ! とっても楽になりました!」って嬉しそうに微笑んだ】
//ぜひおねがいしますー!私も久しぶりなのでゆっくりなペースになってしまうかもしれないのですが、よろしくお願いします!
- 318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 16:56:18.78 ID:pvzro5Ex0
- >>316-317
【そうして彼女を見やるなら、きっと目だって合うのだろう。そうしたなら、やはり改めて尋ねるように、彼女は無言のままに小さく首を傾げる、「だいじょうぶ?」って窺って】
【だからきっと彼女からしたなら、少女のこと、よーっぽど疲れていると思っているのかもしれない、なんて。――意識の浮上と同時に漏れ出る声音に、少しだけの笑みを添え】
【――少しだけ/困ったような/揶揄うような/慈しむような、――そういうなんだか少し変な顔をしていた、ひっくり返ったまま起き上がれなくなったひよこちゃんを見てるような、なんて、失礼かしら】
――――うん、いいよ、だいじょうぶ。そしたら――――、……ん。重たいの、大丈夫だよ。お酒の瓶とか、いつも運んでたし――。
……はあい。そしたら、――もらうね。傘も持とうか?
【どちらにせよ、少女から素直な言葉を引き出せたなら、彼女は立ち上がるのだろう。ふわりと靡くスカートの裾は足の華奢さをこれ以上なく際立たせるから】
【そうして袋の一つでも二つでもくださいなと差し出す指先のなんとか細いことか。――そのあたりでいくらか不安になるのかもしれなかった、彼女、重たいものなんて、持てるのかしらって】
【少しだけ高い背をしゃんとさせるさまは見ようによっては自信ありげに心強いのだとして。――――――だとしても、実際に渡せば、"思ったより"当たり前に、持てるのだろう】
【なら伝える言葉もきっと嘘じゃない。重たいもの持ち慣れているからって。――だけれども、変に押し付け合い奪い合いになる前に渡された分を受け取るのだろう、】
【――そうだとして、少しだけお姉さんぶるように首を傾げた、せっかく二人になって両手の数も増えたのだから、って、言いたげに】
よいしょ、ううん、私も――たまに買いすぎるから。
いろんなもの見てると、いろいろ思い浮かんじゃって――、……お花、好きなの?
私の友達にもね、お花がうんと好きな子がいるの、……――――、鈴音、だよ。
【照れ笑いに返すはにかみは自分もたまにこうなってしまうからと言っていた、とはいえ彼女が買い込みがちなのは食料品、ではあるのだけれど】
【組み合わせ次第でいろんな顔を見せてくれるのは植物も食べ物もきっとよく似ているから、きっとたぶん、無理に訂正するほどの誤りであるはずもなくって】
【声音に潜む親しみが述べる名にまで染みていた、鈴音/りんねと名乗るなら、髪の色合いもあって、おそらく櫻のほうの血を引くのだろうと】
楽になったなら良かった。
【――――どうあれ、目を細めた笑みの吐息の色合いは無邪気さによく似ているから。だって途端に華やぐフィオの顔を見たなら、きっと誰だって人助けの尊さに思いを馳せるもの】
- 319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 17:29:59.94 ID:/WVhDhtX0
- >>318
あぁ、傘助かります!
雨降るっていうから持ってきたのに、雲だけ大袈裟で全然でした
【腕のところでブラブラ揺れて、時に足にぶつかっていた傘が、優しい彼女に預けられる】
【その時に見えた白くて細い指。それはフィオを不安にするには十分で】
【えっーー荷物、持てるんですか??】
【そう、喉元までせり上がってきたのを静かに飲み込む】
【一応軽い子らを選んで渡したつもりだったけど、それすら持てるのか不安になるくらい細い指。ふわふわのお洋服の下はどんなに細い体が包まれているんだろうと考えてしまうほどの細いーーあぁ、脚も細い】
【酒瓶だなんて目の前の少女には似合わないもの、私を安心させるために言ったことなよかもしれないーー】
【そんな考えが頭をぐるぐるして、傘を渡す手が一瞬引っ込められたのだけどそれすら彼女は受け取って、持ってくれている】
【しゃんとしてはいるけど、まだなんとなく不安は拭えないまま、家の方向に向かって歩き出す】
//続
- 320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 17:31:12.93 ID:/WVhDhtX0
- >>318
私、お店を出しているんです。大々的に宣伝はしていないからあまり有名ではないのだけれど、ハーブのお店なんです。
思ったより早く継ぐことになってしまったから、まだまだ勉強不足なせいで……足りなくなってしまったぶんをとりあえず買いに来たんです
【よく見るとまだ幼さが残るフィオの顔。どう考えても店を継いでいい年齢ではないーーお店の話をすると少し悲しそうに瞳を細めて、知識不足な自分と前の店主の父のことを思い出して悲しげな笑顔を浮かべて】
【配分ミスなのか枯らしてしまったのか、詳しくは言おうとしないのだが言われてみれば買った植物は全部ハーブで。袋に入って入るけれど、なんとなく香ってくるのがわかるだろうか】
鈴音さん、ですね!
ふふ、本当に助かりました。鈴音さんみたいな方に声かけてもらえて、私すごく幸運です。
え、お友達、植物好きな方いらっしゃるんですか!? 私、周りにそういう子あんまりいなかったのですごく羨ましい……です
【さっき会ったばかりなのに、優しい鈴音にすでに心を許しているのか、口調は丁寧なものを心がけているようだが、その声色からはもう親しみ、嬉しさ、楽しさ……そういうものが滲み出ていて、人懐っこさが伺える】
私、ちょっとそこまでなんて言ったんですけど……お店、もうちょっとかかるんです
鈴音さん、この後用事とかそういうの、無いですかね……?
【急な心配。だいぶ楽になったから出る言葉ではあるのだが】
【歩いて行ける距離だけど、どちらかといえば自転車向きな距離。手伝ってくれる鈴音の今日の予定なんて気にしたりして。もし無いのなら、お店でお茶でも用意したいなんて思ったりしながらーー】
- 321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 17:57:52.94 ID:pvzro5Ex0
- >>319-320
【そうやって預かる傘も、彼女は特に気にした風もなくぶら下げるのだろう。それを見ているフィオがどんなふうに不安がっているのか、知っているのかいないのか――多分ないけど――】
【持ってしまえばふらついたりなんてことは当然ないのだとして、"だとしても"、やっぱり、どちらかと言えば、お箸より重たいものは素敵な花束しか持ったことないですとでも言い出せそうな風であったから】
【不安をぬぐい切れないのはきっと仕方のないことだった、――ちょっとやっぱり彼女は少し細すぎる、みたい】
――――お店。そうなんだ? ハーブのお店……、ああ、だから――、――私もハーブ、よく使うよ。お料理が好きなの。だから……。
……最近はお料理ばっかりしてるの。お料理と、お散歩と――――しばらく、ずっと、"忙しかったから"。
【――ぱちと瞬いた眼で尋ね返した、ハーブのお店と聞いて、少しだけ目線を下げる、――ちらり。堂々と見るのは少しだけ憚られるらしい、それでも袋の中から香るものに、中身を理解するなら】
【こちらはずいぶんと楽しげに漏れる声、お料理をするのが大好きだから、ハーブだってよく使うの、なんて。であれば、フィオの出すという店に興味があるのだという表明にも似て】
【お料理をしてお散歩をしてなんてずいぶんと気儘な生活をしているらしい、あどけなくも店を構えるのだというフィオに比べたなら、ずいぶんと、「だめなひと」っぽく聞こえてしまう】
……なら、よかった。さっきもお散歩をしてたの、私――――眩しいの、少し、苦手だから。これくらいのお天気のほうが好き。だけど……雨は、あんまり。
降ってくるようなら帰ろうかなって思っていたら、女の子が困っていたから。――うん、お友達に居るの、とーっても、お花が好きな子。
お花って言うか……植物、が好きなのかな。いろんなこと、知ってて。
【それでも時としてお姉さんのような顔をするのが上手な娘だったから。見た目だけで述べるのなら十六歳ほどに見えるのだけれど、まなざしの色の移ろうのに似て、年齢すらもどこか朧気に】
【見ようによっては十四にも十八にも見えるのだろう。それは浮かべる表情によるのかもしれなかった。夜空の月が雲によって容易く表情を変えるみたいに、それよりずっと近い距離感にて】
【眩しいのは嫌いだけど雨も嫌いなんて我儘を言うのさえ許される年齢に今は見えた。――厳密にはそういう感じの表情をしていた。女の子が困っていたから、なんて言う瞬間には、悪戯ぽく笑むけれど】
【"友達"については、花というより植物全般が好きであるらしい。「私も、おうちのお庭に植えるやつを選んでもらったりして」なんて言うから、仲のいい友達らしい】
ううん……、私ね、実は……、
【――――――――――――ざわりと冷たい風が吹き抜けた、雨が降り出す一歩手前に似て、思わず見上げてしまう空は相変わらずの曇天模様、ああもう今にでも雨が降り出してしまいそう?】
【なんて不安になる刹那に、彼女はぽつと切り出すのだろう。鈴の音を沈痛そうに潜めたなら、次に続く言葉の色合いを嫌でも思い浮かべさせる、そんな刹那に】
…………――――――この後も、別に、用事なくって。退屈なの。
【――、けろりと元通りに戻る声音は、きっとおそらく、いや、ううん、間違いなく。フィオのことを揶揄おうとしていた、そんなのひどいって怒っちゃっても、いいくらいに】
- 322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 18:49:44.03 ID:/WVhDhtX0
- undefined
- 323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 18:50:23.37 ID:/WVhDhtX0
- >>321
【華奢……すぎるように思える鈴音が、持たせてしまった荷物を「重い」と言い出したら、その時は自分の荷物だものちゃんと家まで運びます。今度は弱音を吐かずに、と心に決めてーー】
お料理上手なんですね! お料理好きな方はたくさんいるけど、ハーブも使うのはかなり上級者かと! ーーあぁ、お友達植物上級者さんですかっ!?
……忙しかったのですか、お疲れでしょうに。それなのに手伝わせてしまって……ありがとうございます
そういえば、よくお酒の瓶を運んでるって先程仰ってましたけど……お酒……お料理……あ、もしかして鈴音さんってシェフです?
【料理が好き! 得意! という子はたくさんいるけれど、ハーブを使いこなす子はそうはいない。料理に関してはおそらく彼女の方がハーブの知識は上、かも知れない。なにせフィオは料理に得意意識はない。……もちろん、ハーブの店を構えているのだから知識はあるのだけれど、まだ自信は無かったりする】
【ーーふと脳裏に酒瓶の入ったカゴを持ち上げる鈴音が浮かんだーー勝手に想像する鈴音はそれを持って少しよろつきながらどこか店のような場所に入って行くーー】
【そんな想像と、いつも運ぶなんて言ってたお酒の瓶を結びつけて、勝手に職業を想像してーー】
//続
- 324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 18:51:26.67 ID:/WVhDhtX0
- >>321
実はーー?
【鈴音の声色と冷たい風がその後の答えを演出する。ーーあ、ダメなやつ。あまりよろしく無い答えを想像する。手伝わせちゃダメなやつ。ーーと、青ざめた顔をするフィオなんだけど。すぐにそれはーー】
えっ、あ、何も無いんですか!!
もー!! ビックリしましたよ、大事な用事があるのかと思いましたよ!!ぜひお店でゆっくりしていってくださいよぅ!
【ちょっとだけ、怒って見せたような、ほおお膨らませる仕草をしてみるんだけどすぐに笑って】
【ーーそんな会話、していると。】
【長い道のりもあっという間で。雨が降る(かも)前に、自分の自宅兼店へと到着して。自転車の距離だってあっという間だったーー会話っていいなぁ、なんて思うフィオ】
【そこには広すぎる庭付きの、豪奢な煉瓦造りの家が聳え立っていた】 ?【家にしがみつく様に絡んだ蔦までも手入れが行き届き、いささか広すぎる庭には季節の花が曇り空の下でも生き生きと咲き誇っている】 ?【入口の鉄格子には《close》の看板が。それはそのまま、少し大袈裟な装飾の鍵を取り出して南京錠を外せば、門を開けてーー】
どうぞ! ここまで本当に助かりましたー!
【曇り空に負けない、太陽みたいに輝く笑顔で鈴音を招き入れてーー】
- 325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 19:19:10.53 ID:pvzro5Ex0
- >>323-324
――――そんなに、上手だなんて程じゃあ、ないの。自分が好きでやってるだけ。うんと高いホテルみたいな料理は作れないし……。
レシピを見たら一つ一つは作れるけど、そういう、コースみたいなのは本当に――やったこともなくて。……そう? そうかな、……。
じゃあ、上級者かな? ふふ、――――天音ちゃんは上級者だよ。……お店の場所、教えよっか?
五月くらいは忙しくって毎年いつもピリピリしてるんだけど。今ぐらいの時期なら大丈夫だよ、たぶん暇してると思うから。
【フィオの言葉にほんの少しだけ下がる眉の角度はきっと櫻の気質に似ていた、謙遜によく似て、けれどきっと、本当に好きでやっているばっかりで、上手いとか、あんまり考えたことがない】
【おいしいって言ってもらうのは嬉しいけれど、一流ホテルのフルコースみたいなのは食べたことがあっても気後れするばっかりだった思い出と、よくわからないナントカ風の大名行列の思い出】
【思い返して再現しようとしてみたことがないではないけれど、"上手く"出来やしないだろうとはようく分かっているものだから。――それでも、フィオの口ぶりに少しばかし譲歩する形になって、】
【――最終的には上級者かも、なんて言って笑っている。唇に添えた指先の影から、隠せるはずない笑い声が小さく漏れ出て。どうやら友人とやらの名前、それから、紹介しようか、なんて】
【――――勝手に決めちゃってもヤな顔しないだろうという信頼があるらしい。それでもやはり特別軽くはない袋を反対側の手に持ち替えながら、】
ううん、大丈夫。最近やっと落ち着いたの。――――去年ね、ずっと、遠いところに行ってて。最近帰ってきたところ――それと、お引越ししようかなって、思って。
いろいろ見ているところで――、――シェフ、なんて、格好よく呼んでもらえるほどじゃないの、お料理はするけど。後は、給仕さんかな。酒場の給仕さん。
【また小さく笑っている。おしゃべりするのが楽しいみたいに/そうして事実として楽しんでいるようだった。口ぶりからすれば、むしろ久しぶりの平穏であると言いたげで】
【「いいところがあったら教えてね」なんて冗談めかしてから、――そんなにも大層なものではないけれどという言葉は添えられるけれども、大筋としてはそれで良いらしかった、どこぞで料理を作っていると】
【そのうえで給仕までやるというのならあまり大きくはない店なのかもしれないとも。――"酒場"って言うのは少しだけ不思議かもしれなかった、だって、彼女、大人にはちっとも見えなくて、】
――――――――ふふ、あははっ……、なんにもないよ――、ごめんね? フィオちゃんて、なんだか、揶揄ったら、楽しそうで……。ふふっ、……ふふふふっ――、
でもほんとは――そうなの、お店を見せてもらえたらいいなあって思って、――これは本当だよ。今日じゃなくっても、見せてもらおうって思ってて。
【――だって大人って言うのは人をからかって楽し気に笑ったりなんてしないものだもの(本当はそんなことはちいともなくて、ないのだけれど)】
【両手が空っぽでここが喫茶店のテーブル席だったならおなかでも抱えてしまいそうな笑い声、笑うたびに転げるような鈴の音がするから、やっぱり笑い転げているのに違いなかった、意味合いとしては限りなく】
【それでも泣いてしまうほど爆笑するでもないから、余程怒らせてしまうことはないだろうか。――ないといいのだけど。頬を膨らます仕草に向けるのが無邪気であるのも、次ぐ表情の予想なんてついてるみたいに】
【だから、】
――わあ。フィオちゃんのお店、ここ?
【道中の会話はやはり弾むのだろう。取り留めない雑談も。雨が降り出しやしないかと不安がって空を見上げる必要はなく、重たさに項垂れて地面を見下ろす必要もなく、二人おしゃべりでもしていたら、それでいいから】
【やがて目的地まで辿り着くなら、彼女だってぱちりと瞬いて、顔を鮮やかに染めるのだろう。どこかおとぎ話に出てくるおうちみたい、自分も割に広すぎる家に住んではいるけれど、】
【立地が立地なものだから花なんてほとんど育ちやしない――夜の国だから――なんて余談ではあるのだけれど、脳裏に過ぎるのはやはり今度はおひさまのある国にしよう、なんて、当たり前の、(まあ本当に余談なのだけれど)】
【――――お邪魔します。なんて言って、招き入れられる作法は、礼儀知らずと呼ばわるにはいくらも丁寧に。けれど隣国の姫の私室に招かれるより余程砕けていた。だからきっとどこまでも、友達の温度によく似て】
- 326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:41:52.22 ID:/WVhDhtX0
- >>325
家庭料理系上級者ーー!!
一番ホッとするやつ、です!
ああ!なるほど給仕さん、ということはウェイターさん……と? あ、でもお料理も作って提供している、ということはですよーー
やっぱりシェフです、鈴音さんシェフ!!
……ちょ、ちょっとそんなに笑わないでくださいよう、揶揄うのーーよくないですよ!!
【簡単に騙された自分がちょっとーー恥ずかしくなったようだ】
【サイズの違う、赤石の敷かれた道はお店の入り口へと直に続いて行く。道に添えられるように置かれた鉢植えたち。この時期は千日紅が並べられているーー赤い花が二人が歩くたびに挨拶するみたいに少し、揺れて】
【もっと奥には大きな木が、煉瓦の家に影を落とす。その下には遠目からでもわかる、アンティークなベンチとテーブルが2セット。晴れた日ならばここでお喋りもよかっただろう】
【店の扉の横には《LIORO》の看板。この店の名前だろう。多分、聞きなれない言葉なのではないだろうかーー実のところ、フィオもどこの国の言葉なのか、どういう意味なのか、わかっていなかったりするーーこの話はまた別のところで】
【開けるのに力がいる重めの扉の鍵をあけ、塞がった両手の代わりに肩で押すようにしてあげれば、ふわっと優しい香水みたいな香りが二人を歓迎する】
【大瓶に入った茶葉、石鹸、そして一つ一つ香りの違うルームフレグランスの瓶ーーなど。一つ一つの在庫は少ないけれど、沢山の、女の子が好きそうな商品が店内に所狭しと並んでいるーーこれが】
【ハーブ専門店LIOROーーだ】
//続
- 327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:42:20.65 ID:pvzro5Ex0
- >>323-324>>325
/すみません、三十分ほど……?少し離席しますっ、ご迷惑おかけします!
- 328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:43:53.49 ID:/WVhDhtX0
- >>325
そうです、ここが私のお店でーーお店の読み方は「リオロ」……らしいです!
ここまでありがとうございました!! ほんっっとうに助かりました鈴音さん!
あ、お荷物はそこに置いてもらえれば……はい、あとは自分でできるので……ぜひそこに座ってください!今、お茶用意しますので!
【レジカウンターの隣……擦れた金色の流しがあるところとは逆側の、そこ】
【休憩スペースみたいにこれまた古いタイプの椅子とテーブルが置いてあって。そこに鈴音を案内する】
【その後すぐに、先程へっとへとに疲れ切った顔をしていたとは思えないくらい機敏に動き出すフィオーー自宅だとやはりなんとなく、気の持ちようというか……違うのだろう。おそらくーー】
【置いてもらった植物たちをせっせと店の奥に運び入れる。その辺りを覗いてもらえば、他にも沢山まだなんの施しも受けていない植物たちが置いてあるのが伺える。フィオのドタバタ音くらいしか聞こえない店内。今日は休みのようだとはいえ、他の従業員の痕跡は一切ない。一人で経営しているのだろう】
【ある程度片付けが済んだかと思えば、あっーー! と、声を上げる。何事かとみてもらえればペンと紙を握りしめたフィオが向かってくるのが見えるだろう。そしてーー】
ぜひ、お友達さんのお店教えてください!
今度行ってみたいです! ぜひ!
【お店の場所を教えてもらおうと、紙とペンをそっと渡して】
- 329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:44:32.99 ID:/WVhDhtX0
- //>>327 了解ですー!!お待ちしております!
- 330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 20:44:42.99 ID:pvzro5Ex0
- /タイミング最悪でごめんなさいでした!!改めて少し離席します、もうしわけないです……
- 331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 21:45:58.83 ID:pvzro5Ex0
- >>326>>328
【――――なんだか実態以上に期待させてしまったような気がした、何か述べようとすればするほどにかえって悪い気がするけれど、本当にそんなに特別に上手なわけでもないのに】
【あー、とか、んー、とか、ごくあいまいな声を数度上げて。――何か意を決するような小さな吐息一つ。なんにも言わないことにしたらしかった。もしも振る舞う日が来たとして、】
【がっかりさせてしまったらどうしようかな――なんて今のうちから考えているあたりはあまりプラス思考ではないのだけど。ただやっぱり"シェフ"という単語には、何か、違う感じ、覚えているらしく】
【結構最後のほうまで喉の奥に魚の骨が引っかかっているような、いないような、そんな顔をしていたのだけれど、とは、余談】
――――――――すごい。とってもきれいに手入れしてるんだね、家(うち)は……留守にしてる間に、その……雑草が……。……。たくさん。
だから――いいなあ、次はもっと小さいおうちがいいって思ってたけど、お庭はあったほうが楽しそう。おうちは小さくても、お庭が大きなところ……。
【素敵な場所。どうやら彼女はすでにこの場所をそう判断したらしかった。広々としたお庭を、フィオがあっちへ、こっちへ、草たちの世話のために飛び回る光景すら思い浮かぶようだったし】
【事実としてよく手入れされていること、きっと見たらすぐわかるんだろうから。ひらひら揺れるスカートの裾が千日紅の赤色を一つ引っ掛けて揺らしてしまえば、少しだけびっくりしたみたいに振り返り】
【そのまま腕にぶら下げた荷物の重さに任せるみたいに、もう半回転、またぱたぱたとフィオの後ろをついていくんだろう。ハイヒールの足音もすっかりと慣れたものだから、ようく手入れされた庭先、転ぶこともなく】
リオロ――――……、……――――らしい。
【――そうして招き入れられる店内、扉が開いた瞬間にふわりあふれ出てくる香りは、客人をもてなす人懐こい子犬より余程にぎやかに、毛並みを撫ぜられない代わりに、嗅覚を撫ぜてゆくから】
【けれど彼女はきっとなぜか入り口で立ち止まってしまっていた。元からまあるい眼をもっともっと丸くして、瞬き一つ、二つ、三つ、――それ以前から紡ぎかけていた言葉を紡ぎ終わるまでに、十数秒をかけて】
【(それは別に嫌な態度というわけではないのだけれど、彼女はほんの少しだけありふれた人より優れた嗅覚を持っていたから、少しだけ、びっくりしてしまっていて、)】
【あるいはフィオから見れば、自分の店なのに名前もよくわかっていないのか、なんて、驚いたように見えてしまうのかもしれなかった。――――その意図が絶無だとは決して言えないのだけれど】
――――あ、ううん、いいの――気にしないで。これぐらいのことなら、ほんとうに……いつだって大丈夫だから。
はあい、そしたら――、お言葉に甘えちゃおうかな。…………ちょっとだけ、見ていてもいい? いろんな匂いがして、気になるの。
【そこに、と言われた場所に荷物を降ろして。そうしたら、傘も――どの辺がいい、って聞いてから、そこへ戻すんだろう。そうして両手を空っぽにしてしまうなら、これくらいはいつでも大丈夫って】
【さっきの言葉通りに重たいものは確かに持ち慣れているらしかった。なるほど料理をするなら重たい食材とかもたくさんあるのだし、それで慣れているのかもしれない】
【酒場でもあるというなら、酒もたくさん届いたりするんだろう。とはいえ、ほんとに、その細い中のどこに筋肉をしまい込んでいるのか、みたいなことは、よくわからないけれど――】
【――とかく。片付けに奔走するフィオの傍ら、商品を見ていていいか、なんて、尋ねる声は楽しげであるのだろう。そういう意味ではなるほど確かに彼女だって女の子、】
【ダメと言われるのなら、大人しく椅子にちょんと座っているのだろうけれど。その場合は幾分もほほえましい感じでフィオを眺めたりするのだろうから、やっぱりちょっぴり揶揄い交じり?】
【聞かれる店については、当然教えるのだろう。曰く水の国にある園芸店らしい。ただ何かの専門店というよりかは、本当に、ひっくるめて"園芸"のお店らしい】
【ちなみに件の"天音"という人物の特徴も教えてくれるんだろう。背が大きいらしい。「お靴履いた私より大きいよ」――そしたら余裕で百七十は超えているんだろう】
【「黒っぽい青色の髪してるの」「少しぶっきらぼうかもだけど、怖い人じゃないから」「私が紹介したって言ったら、だいじょうぶ」――等々、便利な(?)情報もしっかりばっちり伝えるから】
/おまたせしました!
- 332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 22:22:43.48 ID:/WVhDhtX0
- >>331
ちょっと、私一人だと広すぎちゃって。これでも狭めたんですよ、自分ができる規模で。運営できるように。
……だから、きれいって言っていただけるのすっごく嬉しいです。ああ、私ちゃんと綺麗にできてるんだって、認識できます。お店って「綺麗が普通」だから、どんなに頑張って綺麗を保てててもそれが、普通……だからその……ハイ。
【要は《褒めてもらえるのが嬉しい》らしい。自分の頑張りがどれくらいのものなのか測る物差しが無いから、いつもこれでいいのかという自問自答の中で生きているフィオにとって、今かけれてくれ鈴音の言葉はすごく、嬉しいし、努力が認められたみたいに思える一言だった】
【お日様より早く起きて日付が変わってしばらくしてから寝る毎日ーーもう、慣れたから苦痛ではないのだけれど、その努力が認めてもらえるのは励みになる】
【ーー褒められるのは結構くすぐったかったりするのだけれど】
そう、らしいーーーー
んです、あはは
【フィオが捉えたのは「そっち」だった】
【店名の意味を聞かぬまま亡くなってしまった父親ーーフィオの中の後悔のひとつである】
【誤魔化すような乾いた笑いーーそんな気はなかったけど少し演技がかってしまっただろうか、とも思ったけれどーー】
【鈴音の、店内を見て回りたいという声に「オッケーです!」って腕で丸を作ってみせる】
【店内に並べられたお茶コーナーや化粧品コーナー、あとは草模様の便箋とかリースとかの雑貨を鈴音が見て回っているのならばふと思い出したようにフィオが声を上げる】
//続
- 333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 22:24:23.11 ID:/WVhDhtX0
- >>331
いろんな匂い……そうだ、私はもう慣れに慣れているのであんまりなんともないのですが、強い香りが苦手だったりハーブの香りが好きじゃなかったりすると具合悪くなる場合もあるので、その場合は遠慮なく言ってくださいね!
曇ってますけど、暑くも寒くもないし、お外にお茶、お持ちしますので!
【ここに来る客はこの香りが好きだ、という方が大半だが、自分が(ある意味強制的に)連れてきたとなれば話は別である】
【ーー苦手で具合悪くなる人もいるのだ。この香りがーー】
【鈴音が外に行きたいといえば、フィオは先程外に置いてあったテーブル席に案内することになる。もし、「そうなったら」遠慮なくお申し付けくださいーー】
天音さん、ですね……特徴も覚えましたよ!
今度絶対に行きます! さっきのお店より良かったらこっちで仕入れようかなぁ……あそこのお店、たまにしおしおしてる子がいるのがちょっと辛かったり……
あ、鈴音さん紅茶って好きです?
つい最近仕入れた「アイスワインティー」っていう紅茶を淹れようかなあって思ってるんですけど……
【紅茶にグレープの香りがついた、ワインぽい紅茶なんですけど、と説明を付け足して】
【紅茶好きには大体美味しいと言ってもらえる一品だが、紅茶だって人によって好き嫌いの激しい飲み物だからと、一応確認を取って】
- 334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 22:51:54.25 ID:pvzro5Ex0
- >>332
【わりに上機嫌そうな顔をしていた、いっぱいの香りに包まれてしまった瞬間は少し驚いた仕草ではあったけれど、慣れてしまえばなるほど悪くはない、と思えて】
【これがもっと強い香りだったならもう少しぐらい呼吸をひそめたりしたのかもしれないけれど、それも必要ない程度だったから。楽しげに店内に這わす視線が、ふとフィオへ戻るのなら】
――――そういうことを言う人は、誰か他の人が綺麗にしてくれた場所を、それが当たり前だって思って暮らしてきた人だから。
自分でお掃除とかしたことないんだよ、お花のお手入れだって、……知らないうちに、なんか、すごいへんな虫、ついてるするし……。……気持ち悪いようなやつ。
……だから……えっと、とっても、素敵だと思うの。きれいで、素敵なお店。
【「私はそんなに苦手じゃないけど」】
【――あるいは、もっと気の利いた事を言おうとした残骸が"これ"なのかもしれなかった。きれいで当たり前だなんて言う人は、今まで誰かに当たり前にきれいにしてもらっていただけなんだって、】
【だからそんな風な言葉を言うやつがもし板として、気になんてしなくていいとまで言っているつもりなのかもしれなかった。――言葉足らずなのはどうしようもない事実としても】
【お庭のお花が綺麗なのだって努力の賜物だと言いたいに違いないのに。きもちわるい虫の話をしたいわけではないのに。――だから最終的にはちょっとだけ目を逸らしてから、戻し、】
【なんかイイカンジにシメた。シマった?】
そうなんだ、……――じゃあ、それもいつか、分かるといいよね。図書館とか行ったら、分かるのかな。……私、あんまり、本は読まなくて。
お料理の本なら、読むんだけど……。あれは、本っていうか、レシピ――? だから、だめかな――。
――――――――――ううん、大丈夫だよ。ありがとう。ハーブの匂いもね、結構好きだよ。ラベンダーの匂いが一番好き。チョコミントのアイスも好き!
だから、ありがとう。――お外の席は、今度、晴れたときに借りようかな。でも……もうすぐ夏だから、秋ごろになっちゃうかもだけど。
【誤魔化す笑みに、――あまり"その"つもりが強いわけではなかった彼女は、あまり気づかなかったのかもしれなかった。代わりに、いつか意味が分かるといいよね、なんて、】
【図書館に行けば分かるものなのだろうか。言ってはみたものの、自分はあまり図書館とか、行ったりしないタイプだから。――レシピの本を眺めて、そういう使い方】
【だからあまりお役に立てないんだろうけど、――気遣いには笑って返す。曰くラベンダーの香りとか好きだと。チョコミントのアイスも好きだと。――――後者も確かにハーブ、ではあるけれど、】
【――そうして付け加える一言は、――また遊びにこようかなって言っているのに等しかった。今度はお客さんとして。或いは、今度も、になるかもしれないけど】
【見せてもらった中でもいろいろ気になったものもあったし――なんて。そんな折に、紅茶について尋ねられるなら、】
"それ"は、天音ちゃんのお店なら大丈夫。天音ちゃんが毎日死ぬほど見てるから。……って言ってた、お仕事の時は、あんまり、行かないから――。
紅茶は、……――うん、好きだよ。だいたい、なんでも……、いろんな名前はよくわからないけど。
【どうやら件の店にはしなびた草なんてものはないらしかった。雑草すらピンピンしてるに違いない。――それはさすがに駄目かもしれないけれど】
【紅茶についてはだいたい何でも好き、というか、――正しくは、何がどれという紅茶かというのをあまり認識していないらしかった。すなわち、出てきたもの、おいしく頂きます――そういう合図に違いない】
- 335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 23:22:06.32 ID:/WVhDhtX0
- >>334
【海色の瞳が驚いたように開かれたーー】
【しかしすぐにその瞳は褒められた子供のように純粋な喜びで輝き出す。気の利いた言葉じゃなかった(鈴音にとっては)かもしれないが、フィオには十分すぎて。しばらく、キラッキラの、太陽が反射した水面みたいな目で鈴音のことを見つめるだろう】
【変な虫の話だって「わかります!! わかりますー!」って、敬語ながら年頃の女の子の会話みたいなテンションで返すし、「すごく小さい虫なら素手で潰せるようになりました!」なんてそこはあまり年頃の女の子らしくない成長……を報告したりして】
【そして、また綺麗って言われればーー大きく「うん!」って頷いて。最高に子供っぽいけど、今日1の最高の笑顔なのは間違いないだろう】
図書館、私も利用しますけど植物の名前ではないみたいで……いつかわかる時が来ればいいな、くらいで……あ、もし鈴音さんがどこか別のところでこの意味を知ることがあったら、その時はぜひ教えてくださいね!
ーー嫌いではない、です?
あー、よかったです!一応置いている香り系サンプルは香りの強さを調整したり蓋したりはしてるんですけど、なかなかこういうお店だから、無臭にするのは不可能で……でも、嫌いじゃなくて本当によかった、です!
わ、天音さんのお店ますます楽しみになってきました!
愛情込めてお世話してらっしゃるんですね、天音さん! 本当にお好きなんですね、植物ーー
あ、チョコミントアイスありますよ!紅茶と一緒に出しますね!
//続
- 336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 23:23:51.43 ID:/WVhDhtX0
- >>334
【そう言って、やっと買った植物の諸々が終わったフィオはお茶の準備に取り掛かる】
【アイスとホットどっちにしようかな、なんて片付けながら考えていたけど、チョコミントアイスを出すならホットの紅茶をお出ししよう】
【奥の冷蔵庫からチョコミントアイスの箱を取り出し、カッチカチだから少し溶かしているあいだにお湯を沸かす】
【淹れる手際はさすがというか、見事なものだった。これは得意なのだろう。店内にアイスワインティーの香りが上書きされるように漂う】
【準備ができたーー店内を見て回っている鈴音を呼び寄せるように声をかけるだろうーーそして、二人が席に座ったらーー】
【ーー白に青い花柄のティーカップが二つ、テーブルに並べられた】
【その隣にはガラスのカップにはいったチョコミントアイスが二つーー小花のスプーンが添えてある】
【ぴかぴかのティーカップに注がれる紅茶。湯気と共にまた、ワインを感じさせる香りが広がってゆくーー】
今日は本当にありがとうございました、手伝ってもらえて、こうして一緒にお茶までできて……私、すごく嬉しいんです
ふふふ、今日という日に……かんぱーい!
【乾杯は大間違いな気がするーーが、今のフィオのテンションがそうさせたのだろう】
【もちろん、ジョッキをぶつけるような仕草とかワイングラスをカチンとやるような乾杯じゃなくて、ティーカップをくいっとあげるような、まるでスカートをつまんでちょこんと挨拶するような……そんな、乾杯】
【その紅茶を口に含んだら。フルーティーで芳醇な味わいを感じることが出来るはずだ】
【淹れ方は完璧ーーたぶん、美味しいって言ってもらえる…………ハズ】
- 337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 23:44:24.85 ID:pvzro5Ex0
- >>335-336
【もうちょっといい言葉の選び方があったんじゃないかしら。とりあえず確実なのは気持ち悪い虫の話はやっぱりしなくていいと思った。でも今更言い直すのも、なんて、思考は堂々巡り】
【だからか一瞬彼女の反応は大いに遅れて、――気づいた瞬間には、真夏の海みたいにきらきら光る笑顔との対面、「わ、」なんて声と吐息のはざまの音階、気圧されるようなほんの一瞬のかんばせ】
【けれど何かちゃんと伝わってくれたのだと思えたなら、彼女も破顔するのだろう。言葉の拙さで変な風に伝わってしまうのはやはり彼女としても本意ではないのだから、】
【故にあまり淑女らしくはない成長についても何とも言わない。そもそも彼女はわりに虫が平気な性質だった。だから余計にキャアとか言ったりしないし、ドン引きする理由もなく】
【お日様なんかよりよっぽど鮮やかに明るい笑みを彩るみたいに相槌を重ねてゆくのだろう、ここはとってもきれいで素敵な場所だって。何度も】
うん、ようく嗅いだら苦手なやつも、あるとは思うけど――。これっぐらいなら、大丈夫。
んーん、むしろ無臭だったら、あれっ?ってなっちゃうかも。私は少しびっくりしちゃっただけなの、だから――「こういうの」、とっても素敵だと思う。
私、昔から、匂いにちょっと敏感で――だから、それだけなの、気にしないで……今は、うんと素敵な香りだって、分かってるから。
――ん、天音ちゃんは人間よりも植物のほうが好きかもね。
【いろんな香りがあるものだから、それは仕方がないのかもしれないけど。とかく、今の状態であればお店の中は彼女にとっても快適であるらしい。だから大丈夫だって、】
【むしろ心配させてしまったことのほうが申し訳ないような顔をして、――昔から鼻が利くんだって白状する、今はもう慣れてしまったから大丈夫。ちゃんと素敵な香りだって分かっている、って】
【それよりもハーブのお店なのだから。いっぱいたくさんの素敵な香りがした方がいいって――そのほうがもっと素敵だって伝えたなら、"天音ちゃん"という人間はもしやわりに変人なのかもしれないけれど】
――――――やったあ。そしたら、ごちそうになろうかな……。お荷物を運んだだけなのに。
【――情けは人のためならず、なんてつもりでやったわけでもないのだろうけど。結果としてお茶とアイスまで頂けるのなら、それはもう十分すぎるくらいだって、思えちゃうような】
――ううん、私こそ。素敵なお店を教えてもらって、お茶と、アイスまでいただいちゃって……。……まだいただいてないけど。
はあい、かんぱい――。――いただきます。
【だからお礼はおしまいにしてしまおうって提案にきっとよく似ていた。お荷物を持ったのに見合うだけはもう十分にもらったのだと。だからこれ以上は大丈夫だと、】
【あとは普通においしく二人でお茶を飲めたならってそう誘うみたいに、――確かにまだいただいていなかったけど。それでも二人、おんなじ言葉を使って、それでも所作は淑やかに】
――――――――――――……、わあ、おいしい! この紅茶――、あんまり飲んだことない感じ……。
【そうして口に含むなら、――――暖かなお茶がどこも火傷にしないで胃に落ちてゆくまでの沈黙を挟んでから、彼女は黒赤のまなざしを丸くするのだろう。きっとフィオが思った通りの表情と、声音をして】
【おいしいって溢れた笑みが消えてしまう前にもう一度カップに口付ける、ゆるり吹いた吐息が紅茶の水面を幾度と揺らして、――――「おいしい」。そうやってまた、ささめくから】
【もちろんアイスが溶けてしまうほどゆっくりゆっくりと紅茶を楽しむわけではないけれど、――アイスが不安がってしまう前に、スプーンを手に取って、】
こっちもおいしい。
【――――ごく少女らしく笑うのだろう。嬉しげな吐息に嘘はほんの一片すら含まれないから】
/そしたら申し訳ないです、ここで一度凍結していただくことは可能でしょうか……?
/明日は来られるの夜になってしまうのですが、遅くとも十時半ごろにはお返事できるようになると思います……
- 338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/11(木) 00:12:27.93 ID:GaPv5wi50
- >>337
【乾杯を受け入れてくれたのなら満足そうに頷いてーー】
【カップに唇を添えてーーちら、と視線は鈴音のほうへ】
【お茶を淹れただけだけど、店を構えるプロとしては相手の反応がきになるところ。自分の淹れたお茶が飲まれる瞬間は何度も経験はしているけど、まだ緊張するーー自信がないわけではないんだけれど】
【紅茶を飲んだ鈴音が、美味しいと顔を綻ばせて喜んでくれたなら。漸く自分も紅茶を口に含んだ。あ、美味しく淹れられている!】
この紅茶、ふつうのスーパーじゃあんまり売ってないかも、です!
専門店とか、変わったものしか扱わないお店とか……芳醇ですよね、いいワイン具合です。……ワイン、飲んだことないんですけどね
【未成年ですし。そう、付け加えて】
【ふと、紅茶を楽しむ鈴音をまたじっと見つめてしまうーーそういえばおいくつなんでしょう、って少し首を傾げて】
【お姉さんっぽい仕草や、甘えたくなるような優しさのようなものを持っているような気が……するけれど、見た感じは16の自分とあまり変わらないような……】
【…………私、今日ずっと鈴音さんのこと見つめ過ぎている気がする】
【カップを手に持ったまま、またその赤いような黒いような、綺麗な瞳に吸い寄せられてしまう】
ーーーー私、鈴音さんのこと見つめ過ぎですよね〜……髪の毛とかすっっごくサラサラで、色も白くて美人だし……女の子として憧れちゃいます
【照れ隠しでカップで顔の半分を隠してみせる】
【アイスを食べる姿を幸せそうに見つめちゃいながら、半分独り言のようにそう、つぶやいて】
//わかりました!大丈夫ですよ!お返事お待ちしておりますね!
- 339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/11(木) 22:16:58.23 ID:PTUgAe9V0
- >>338
【そうして覗き見るなら、きっと彼女は紅茶の作法にいくらか慣れていた。とはいえ余程格式張って育て上げられた、というよりかは】
【きちんとしている誰かを見てなんとなく真似して、それなりの回数お茶をしてきたというような。――――嬉しそうにアイスをほおばる表情はやはり淑女とは少し遠いから】
【だとしても、手をうんと伸ばして見せたら、その指先くらいは触れそうな振る舞いをしていた。背伸びの少女と呼ばわるには、怠惰に染まり始めた頃合いによく似ていた、なんて余談だけれど】
――――そっかあ。UTも……、少し変わった紅茶とか、置けばいいのに。あれしかないの、ティーバッグの……なるだけたくさん入ってて……一番安いやつ。
あとはコーヒーばっかり。コーヒーなんて、――徹夜した後くらいにしか飲まないのに。苦いから。…………。
ワインは、――私も苦手だから、あんまり。"これ"は飲みやすいけど
【普通のスーパーにはないらしい紅茶。だとしたらもっとちゃんとしたお店に行けば見つかるものだろうか、――あんまり行ったこと、ないものの】
【別に一番安いティーバッグで普通においしく飲めてしまうものだから。企業努力を褒めるべきか、それとも、こだわりの薄い舌先を褒めるべきか。きっと多分どっちもなんだろう】
【とはいえ、いろいろと難癖付けてなんでもかんでも楽しもうとしない人よりきっと余程マシだった。――そうして彼女はどうにもコーヒーが苦手らしくて。なんでも、うんと苦いから】
【――カップを戻してささめいた、「味も匂いも……ちょっとね」。ワインは彼女的にはあんまりお気に召さないらしい。まるで普通に飲んだことのある口ぶり、けれど彼女はやはりあどけないまま】
【だから本当は"わるいこ"なんじゃないかって悩ましてしまうのかもしれなかった。そうなのだとして、何か口を挟ませるほど意味深さを与えはしなかった、ごく当たりまえのことみたいに】
【チョコミントのアイスを楽しんで冷えてしまった口の中を紅茶で温める。――長い睫毛をたっぷりと伏して、その向こう側の瞳はこんなにも夜空より余程黒いのに】
【ふと視線に気づいたかまなざしを持ち上げるのなら、――瞬間、世界が終わる日の夕焼けなんかよりも余程赤く透き通るのだろう、紅茶よりも紅いから、瞬きはいくらか揶揄いがちに、】
――――――――――――、ふふ、ありがと? ――そんなこと言えないぐらい、フィオちゃんだって、かわいいと、思うけど……。
それに、私は、もう少し大人っぽくなった方がいいのかも。この間ね、二十六歳になったから。
【もう一度カップを戻す音が小さく鳴いた、陶磁器の触れ合う音はどこか彼女の声と似通いながら、それでも彼女の声のほうがなぜだか無機な気がする、けれど事実として肉声として扱うなら】
【照れるにしては少しだけ曖昧な笑みを浮かべてはにかんだ、指先は一瞬だけ何か迷うみたいにしてから、チョコミントアイスをへずってやることを優先して】
【あるいは気障な男みたいに前髪にキスでも落としてやろうとしたのかもしれない、なんて、――本当は、ほんとは、ちょっと揶揄って頬でも突っつこうかなって、思ってた】
【――なら、くすり今度こそ意味深に笑う、唇についたチョコレートの破片をなめとる舌先の赤色は、きっと、ほんとに、ワインの味だって知っているんだと、思わせて】
/おまたせしました!
- 340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/11(木) 22:53:08.63 ID:PTUgAe9V0
- >>338>>339
/すみません、少しご飯を食べてきます……
- 341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/11(木) 22:57:32.38 ID:wmimc3lmO
- >>339
【紅茶を飲む姿がどうも芸術的で小さく息が漏れる。指先一つの仕草とか、羨ましいくらい長い睫毛とか。可愛らしいお洋服とか……絵画みたい、なんて。でもアイスを頬張る姿でーーあ、小動物系少女。リスっぽい。とか、印象をころころ変えさせる】
ーーーー今の紅茶ってどんなに安くてもだいたいが美味しいですから。いろいろ研究されて、いい方法で栽培してたくさん出荷できるようになって。一番安いやつっていうのが本当は一番美味しかったり…………したりして
コーヒーも浅煎りだと全然苦くなかったりするんです。チョコの風味とか、トマトっぽい風味とかーー結構、あるんですよ
飲みやすいって言ってもらえてよかったです。仕入れた甲斐がありました!
【安いのが一番美味しい、は店を開く身としてどうなんだろう、なんて喋りながらぼんやり考えてしまったけど、多くの人の舌に合い、多くの人に買われているのなら間違いではないだろう】
【“それ”以上のものとなるとあとは趣味。好きだから買う、飲む、集めるーー】
【もちろん紅茶だけじゃなく、コーヒーにだって言えることだろうーーフィオもそんなに飲まないのだけど】
ーーーー……?
……? …………ん? ーーーー二十六歳、ですか……?
【可愛いなんて言われて照れ笑いを浮かべたのは一瞬だけだった。年齢を聞いて何かの間違いかなって首をかしげる。聞き間違い? ーーーー思った以上に離れていた】
【質問するみたいに聞いたのに、妙に焦っちゃっててろんと溶けたアイスを口に入れる。まだ固いチョコの破片が?のところに刺さったーー痛い】
【10も離れているなんて思ってなかったから、結構失礼な態度をとっていたかも知れないと不安がこみ上げるーー「なんか、すみませんでした……」って蚊の鳴く声で謝ってーーでも鈴音の言葉に、あっーーて気づいて】
ーーこの間なった、ってことは最近お誕生日だったんですね! おめでとうございます!
- 342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/11(木) 23:59:25.37 ID:PTUgAe9V0
- >>341
【そうしてきっと彼女はそんな風に思われていること、知らないんだった。アイスを食べて、紅茶を飲んで。――そういうのを気儘にやっている、気取らないなら、自然体とも呼べるけど】
【自然体――まあ自然体、だろう。特別に気取ってなんていなかった、余所行きのようなお洋服だって普段着の温度、しんと口をつぐんで目を閉じて見せたなら、甘い夢に耽る女の子のお人形みたい】
【だけれどもこうして喋って笑ってお茶を楽しむ彼女がお人形であるはずもないから、――代わりにあるのは甘いアイスと暖かな紅茶。きっとほとんど、暖かいお布団の中の甘い夢と同じ意味】
そうなの、……そうなの、でいいのかな。安いやつ買っても、ああこれおいしくないなあ――って思うこと、あんまりなくって。
あるとしたら……――ファミレスのドリンクバーの紅茶。あれはおいしくないね、お湯の温度が、きっと低いんだと思う。
……コーヒーは、よくわからないんだけど。チョコはともかく――トマトの味のコーヒーって、おいしい?
ちょっと……なんだか……思い浮かばなくって――。
【――だから結局は、安くっておいしいのがあるのだから、冒険とか背伸びとかはしなくても大して困らない、ってことなんだろう。でっかい箱で買ってきたら、最後のやつまでおいしく頂けちゃうなら】
【なるほど確かにダージリンとかアールグレイとかすら考えること、あんまりないのかもしれない。ファーストフラッシュ。セカンドフラッシュ。それなあに?とまで、言いやしないけど】
【ただ、――コーヒーの味がトマトって言うのはよくわかんなかったらしい。青っぽい方のトマトなのか、よく熟れた方のトマトなのか。疑問は尽きない、ような、そんな感じ】
――――うん、ふふ、――そう、二十六歳だよ。この間……六月の終わりに。
見えないでしょ、よく言われるの。――――だから、気にしないで? 年齢とか、わたし、あんまり、気にしなくって……。敬語とかも、特別には使わなくていいから。
そんなに"ちゃんと"した大人でも、ないし……。お父さんのお店、こんなに綺麗にしているフィオちゃんのほうが、立派かも――。
【――――やっぱりなんだかフィオのことは揶揄いたくなってしまうのかもしれなかった。ふふって笑っているのが確信犯の声音をしていた。お行儀悪く、机に頬杖ついてみせたら】
【見えないでしょうと言うが本当に見えやしないんだから狡かった。このままどこぞの制服を着て学校に通っていたって問題が全くない、――それをしていないのが大人の証拠?なんて】
【“だから”というわけでもないけど、敬語とか、かしこまるとか、そういうのは一切要らないんだと言って。――あまりちゃんとした大人ではないもの、なんて、理由になっているのかしら】
【(あるいは、フィオの年齢によってはあまり覚えてないのかもしれないけれど――この少女、当時も全く同じ顔をして、どこぞの正義組織で、ボランティアなんて、したりしている)】
【(一時期はテレビでいろいろやっていたりしたものだった。孤児や事情があって食事にありつくことが難しい子供たちのためのボランティア、無料の炊き出し、――"たんぽぽ"なんて名前の、)】
うん。ありがとう――。
【にこり笑ってほおばった分でアイスはおしまい。紅茶も――きっと、あと少し】
/大変お待たせしました……
- 343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/12(金) 00:41:41.72 ID:1n7dSYM+O
- >>342
ああ……ドリンクバー……
温度も低いし、きっと茶葉を頻繁に変えたりしないだろうし、開けっ放しにする人も多いだろうし……酸化、しちゃってるんでしょうね……
ーー飲んだ瞬間、「あ、トマトの味する!」って思うくらいにはトマトでした。若いトマトの味でしたーー意外に美味しかったです。
……こればかりは説明じゃ伝わらないのが残念です
【……ファミレス、いくのかな……?】
【家族連れや学生がわいわい食事をする中、そこだけ別空間みたいに、お洒落な喫茶店、お城の一角のように、優雅にお茶を飲む鈴音を想像してーー】
【今目の前でしてくれたみたいにきちんとして紅茶をーー美味しいとは言えないやつーー飲む鈴音】
【ーーーーうーん、想像の中の彼女の周りだけ、薔薇が咲く……】
見えない、です。
正直同じくらいかなって、思ってました。
いえ、立派だなんてそんな……そうなろうとは、足掻いているんですけどーー
【机への頬杖につられるように、自身も両肘をつくーー両手は?を包むように抑えられ、隠れないびっくりを少しでも見えないように】
【このまま何も知らなければしゃべる言葉に敬語が消えていたかもしれないけれど。変に真面目なフィオにはなかなか難しいだろう。ただでさえ、敬語癖なのに】
【立派なんて言われればまた照れっと笑って。結ばれた、艶やかな金髪に指を絡ませて照れを逃す】
【綺麗に食べてくれた、アイスの乗っていたお皿。紅茶ももう、無くなりそう】
【ちらと店内の陶器の時計を確認すれば、なかなかの時間ーー】
あ、長居させてしまいましたね!
荷物も持ってもらって、お話まで付き合ってもらっちゃってーー
//お疲れ様です!大丈夫ですよー!
- 344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/12(金) 01:01:19.90 ID:W1mjTzlL0
- >>343
――――――"ああいう"紅茶を初めて飲んだら、私、きっと、紅茶なんて嫌いになってたかも。お店の一番安い茶葉を買って、水道のお水を沸かして、――それで、おいしいのに。
……でも、こういう紅茶もとってもおいしい。今度から、買ってみるね。知り合いに紅茶好きな人がいるから。――――あの子は"安い"紅茶のほうが好きだって言うけど。
そうなんだ、……。……ミルクとかお砂糖も入れるのかな。もしよかったら、今度、私にも飲ませてほしいな――、素敵なお店だから、ね、また今度。来てみたいの。
【――とは言え、ドリンクバーをそんなに大量に摂取するなんてときは、だいたいが話の弾む気心の知れた友達とだろうから。そういうおいしくない紅茶すら、何かに色どりを添えるのだとして】
【だとしてもあまりおいしくないものはあんまり飲みたくないから、おいしくしてくれたいいのになんてどうしても思ってしまう。安い茶葉と普通の熱湯。それのどこが難しいのかしら――なんて】
【コーヒーに力を入れているという喫茶店でおいしくない紅茶が出てきたこともあるし。もしかしたら紅茶って結構難しいのかもしれない。――そうやってのんびり考えている、傍らで】
【こういう紅茶もたまには買ってみようかなって思ったのは、間違いなく、フィオが淹れてくれた紅茶がとってもおいしかったから、に違いない】
【――――――そしたら彼女はちょっとだけ我儘をする。トマトの風味がするコーヒー、飲んでみたいなって。だけれど、きっと、自分で買ってみたりするのはちょっと怖いんだ】
【だからまた遊びに来るから――もちろんお客として――その時に飲ませてほしいな、なんて、そんな我儘。お得意様になるのかどうかは、コーヒーの味次第、なのかも……?】
【なんて、】
――だいじょうぶだよ。足掻いたりしなくっていいの、みいんな、――きっといつか、立派に大人になっていくから。
私はちょっぴり頑張らなくっちゃいけないけれど。
【笑いによく似た吐息が漏れた、そうして見るなら彼女は確かに笑んでいるのだろう。けれどそれは疑うまでもない笑みというよりは、複雑な感情の寄り集まった結果、強いて述べるなら笑みである、とでもいうような】
【フルーツ売り場で発狂した人が何もかも一つの鍋に集めて煮詰めて作ったジャムが、それでも何か辛うじていちご……っぽい……ような……。――そんな感じがするような、不確かな、仕草】
【足掻いたりしなくたって立派になれるよって。――適当なこと言ってるだけって言われてしまうのかもしれなかった、そうだとして、たとえ立派になりきれなくとも、それで良いんだと思っている風でもあって】
【――だから最後に残るのは微かな羨ましさなのかもしれない。けれど気のせいかもしれない。だってそれくらいに曖昧な顔を、していて――いるから――】
――――あ。ううん。私こそ……お休みの日なのに。急に来て……お茶とアイスまで頂いちゃって。
今度はお客さんとして来るね。お引越しだってしたら、――お部屋がいい香りだと、嬉しくなるかも。
【けれどそんな顔は長続きしないのだろう。釣られるように時計に目をやった、瞬きの直後にフィオの言葉を聞くなら、もう一つ続けて瞬きをする。そしたらふわり首を揺らして、】
【今度こそちゃんとしたお客さんとして来るねってやっぱり宣言するのだ。引っ越す気ではいるけれど、いつになるかはわからないけど。――そうだとしても、ほかにも、とっても素敵なお店だから】
【いつ来るかはわからないけど、きっとぜったいいつか来るから。――そうしてそれはきっと、そう、遠くないから】
- 345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/12(金) 01:37:29.49 ID:1n7dSYM+O
- >>344
ミルク、たっぷり入れて美味しいタイプのコーヒーも用意しておきますね!
トマト風味はコーヒーにしては薄味なので、そのままで飲んだ方がーーーー味見も出来ますのでなんなりとお申し付けくださいませ
【一杯飲みきれるか不安なら。二口分くらいの味見も出せると伝えて。ここにはコーヒー、紅茶の他にもブレンドハーブティーが数種類あってーー】
【今度はぜひ、そちらもお勧めさせてくださいねーーーーそう言ったフィオは16とは思えないくらい大人っぽくーーーー頑張って背伸びしているというよりは、“そうなってしまったーーそうならざるを得なかった”道中を真面目に真っ直ぐ登り得たみたいにしっかりしたものだった】
ーーああ! なんかこっぱずかしい!
【…………と、いう雰囲気を自ら壊すスタイル。ーーどうやら一瞬だけ、そう“なれる”だけなのかーーそれとも、思ったより歳が離れていたとはいえ、友達みたいな温度でお話しした鈴音だからこそ、店員モードは恥ずかしく感じてしまうの、かもーー】
普通の、フレーバーじゃない紅茶もありますから!ぜひ、お知り合いさんにも!
連れてきてくれれば、美味しいの淹れますので!!
【あはは!と分かり易すぎる作り笑い照れ隠し。とりあえず、食器を重ねてみる】
【ーーでも、あれ、と】
【何か複雑な含みの鈴音の表情に、手が止まる】
【笑っている、様には見えるのだけれど、純粋なそれじゃなくてーーその感情は、】
……一緒に、頑張りましょう
頑張るって言ったって、この世界で地に足つけて歩いているだけで私は偉いと思っていてーーその中でも楽しく生きるために、守りたいものを守るために頑張らなきゃいけない時もありますけどーー
頑張るのに疲れたら、ぜひ休憩しにきてくださいね
【フィオにはその複雑な表情が何なのか答えを汲み出すことは出来ない】
【ちょっぴり頑張らなくちゃーーと彼女は言った。頑張らなくちゃいけないことがあるなら、頑張った分だけ、人は休まなくちゃいけないから】
【その安らぎがここにあればいいな、なんて。また来てくれるって言ってくれているから、その時は心地の良い安らぎが提供できればいいなってーー】
- 346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/12(金) 02:05:21.61 ID:W1mjTzlL0
- >>346
――ん、そういうのがたくさんあった方が、嬉しいなあ……。……徹夜した後の朝はね、コーヒーを飲むの。練乳を一杯入れて……苦くて、甘いやつ。
それと……トーストにバターを塗って。お塩かはちみつか、好きな方をかけて。それから、目玉焼きと――適当なサラダと。ハムとかベーコンがあったら、卵と焼いちゃって。
そういう朝ごはん。もう一回、一緒に食べたい人がいるんだけど――。……、その時のために、おいしいコーヒーも用意しておかなきゃ、かな。なんて……。
はあい。じゃあ、今度の時は、いろいろ見せてもらおうかな。帰る時は"今日のフィオちゃん"みたいになっちゃうかも……。
【ミルクとかお砂糖とか。そういうふうにしておいしいコーヒーがやっぱりうれしいのは、味覚がお子様に等しいからなのかもしれない、それをなんとなく自覚しているのだとして、】
【無理に大人びて治す気なんてないに違いなかった。――――そうしてこぼれるささめきはいつかを思い返して。頬杖にて隠しこんだ口元がどういう表情をしているのかは定かではないけれど】
【なにか少しだけ寂しいような目をしていた。だから間違いなく誰かのことを思いだしているに違いなかった。――けれどまたすぐに"いつも"の表情に戻る。どこかあどけないような、大人びてないもの】
【――冗談めかすのもよく慣れていた。なるほど確かにこんなふうに年下で遊んじゃう人は立派ではありえない。…………きっと多分そういう意味合いでは、ないんだろうけど】
あははは、……どうかな。来るかもしれないし、来ないかも。
【ごく大人びた仕草を見せるフィオを細めた眼差しが見つめていた、――ただ、"知り合い"は来るかどうか分からないらしい。そしてそれはきっとこの店がどれだけ素敵であっても】
【そればっかりはどうしようもないらしい。来られそうなら、と述べるに留まってしまう。「――忙しい人だから」。フォローらしき苦笑い、曖昧に添えたら】
ん、――ありがと。そうだね、私も……頑張る。頑張らなくっちゃ。"失敗"したんだ、――とっても大きな、失敗。もしかしたら、――もう二度とないかもしれないぐらいの、チャンス。
【私は世界に納得したかった/けれどできなかった/世界は私がなにかに納得できるほど優れたものではなかった】
【だけれども、とても大切な友達が、今度は、頑張るって言っていたから。――それを見届けたかった、それに、"今度はもう失敗しない"】
【――くすり小さな笑みの吐息が漏れた、カップに残った紅茶を最後にくうと飲み干すのなら、向ける笑みの色合いは如何に見えるのだろう、明るいかしら、それとも?】
ありがと。――私が失敗したの、ね、お休みしなかったからかもね。頑張ったら、頑張れるから。いっぱい頑張ったの、それで……。
"もっと頑張ればよかった"? ――ううん、"もっと休めばよかった"。
【頑張り"すぎる"こと、あんまりよくないって、気づくのが少しだけ遅かったから。あんまり生きるのは得意じゃないみたいだった、だってお料理よりずうっと難しくって】
【どこか自嘲げな吐息一つ、――そしたら、彼女はゆるり立ち上がるのだろう。「――そしたら、」、呟き一つ、】
お休みの日に、あんまり長居しても、悪いから――。今日は、ご馳走様でした。そしたら……また来るね。今度は、ちゃんと、お客様で。
【なんてご挨拶。少しだけ唐突なのかもしれないけれど、――なるほど確かに、窓の外のお天気は、さっきより少しだけ傾きつつあって、少しだけ不穏さを増している】
【時刻のわりに暗くなってしまった外の色合い、――それでも寂しげでは決してないのは、ここに来ればきっと会えるって、二人分かっているから】
- 347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/12(金) 02:26:55.88 ID:1n7dSYM+O
- >>346
…………すごく、
すごく理想的な朝ごはん……
少しだけですけど、ジャムと蜂蜜もあるのでーーなんならもうちょっと種類、増やしておきますね!
今日の私みたいにーーそれくらいたくさん、お気に入りが見つかりますように
【まるで目の前にそのご飯があるみたいに、ものすごく美味しそうな説明をしてくれるから、】
【甘いコーヒーってすごく美味しい。朝の眠くて3秒動きを止めれば寝落ちしそうな体に暴力的なド甘い刺激ーーあれがクセになる】
【深煎りブラックコーヒーはまだ苦手だけど、ミルクや砂糖という味方がいればーー】
【そういえばもう夜ご飯の時間なんだって思い出してーーよし、今日は朝ごはんみたいな夜ご飯にしよう】
【ーーと、ひっそり決意するフィオだった】
知り合いの方、お忙しい方なんですね
ーーいつか、お会いできる日があればいいです。
【会える可能性は低い気がするーー鈴音の、口調とか雰囲気からそう感じたのは果たして正解か、それとも】
失敗の次には必ずチャンスが来ますから
鈴音さんがすごーく体力があって、頑張れるって思っていても、意外とそうでない時もありますからーー
ーーええ、またぜひ遊びに来てください!
あ、今度は鈴音さんのお料理も、私食べに行きたいです!
【ーー出口まで歩いていく。あぁ楽しかったなって。今日買い物に行って、キャパオーバーな量買ってーー見つけてもらってよかったなって、そう思えた】
【窓から差す光はないーーすでに真っ暗で一人で帰らせるのはなんだか申し訳ない気になってしまう】
【重めの扉をあげれば、夜の冷たい風がうねるように押し入ってくる。ーー結局雨は降らなかったみたい】
暗いなぁ……帰り、一人で大丈夫ですか?
【と、やっぱり心配になってーー】
- 348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/12(金) 02:46:32.50 ID:W1mjTzlL0
- >>347
――――――でも、パンなら、スクランブルエッグもいいな。くしゃくしゃのスクランブルエッグ。粉チーズを少しだけ入れてあげてもいいかも。それに、ケチャップをかけて――。
バターとお塩のトーストに挟んで食べたりするの。サラダのレタスをもらっちゃって、それからカリカリに焼いたベーコンも挟んじゃって。
……目玉焼きだと、挟めないでしょ? やろうと思えばできるけど。私は、半熟のやつが好きだから。……でも、少しだけふんわりした感じが残ってるトーストに、無理やりに挟んじゃって食べるのも、好き。
卵の黄身がね、ぼたぼたって垂れちゃうけど。それをね、パンの耳ですくって……。――ひとりの朝ごはんの時にしか、そんなの、できないけど。"かわいく"ないから……。
でも――、そんな風に、練乳を入れたコーヒーを飲む日は、目玉焼きから。底がちょっぴり硬いやつ。とろとろの黄身と、それから……少しだけ固まった黄身。どっちも食べられる、おいしいやつ。
【――はあーとちいちゃいため息が漏れた。おいしい紅茶をいただいたらなんだか朝ごはんを食べたくなっちゃったみたい、別にそんなにお腹が空いているわけでもないはずなのに、】
【そう、強いて言うなら、なんだか、朝ごはんって言う概念を摂取したい。――うんと爽やかな朝に食べたい。なんて言いつつ、うんと甘いコーヒーは徹夜明けだと身体は覚えている。そういう矛盾点】
【スクランブルエッグを挟むなら薄焼きでカリカリにしたトーストがいい。目玉焼きを挟むなら、もうちょっと分厚いトーストがいいな。そういうこと考えていると、あっという間にほんとの朝が来ちゃいそう、】
――――だけどね、ご飯の朝ごはんも好きなの。炊き立てのぴかぴかしたごはんでしょ、それから、お味噌汁と、お漬物と……。それだけでいいね。その代わりに、お味噌汁には具をいっぱい入れて。
ダシも自分で取っちゃうの、でもそんなに丁寧なやつじゃなくって。おかかも、煮干しも、そのまんま。具にしちゃってもいいような――。ああ、でも、目玉焼きも欲しいな。
ハムエッグと、お味噌汁と、ご飯と……。これからの時期ならきゅうりのお漬物。お茄子よりね、きゅうりが好きなの。それから……温かい緑茶。
【なのに話は終わらないんだから酷い話だった。――はーっと今度はもう少し大きなため息。パンの朝ごはんもいいけれど、ご飯の朝ごはんもいいよねって言いだしてしまう、なら】
【もしかしたら彼女は食いしん坊さんなのかもしれなかった。少し手の大きな男の人ならぐるっと掴んでしまえそうなぐらいに細い腰なのに、いろんなもの食べるの、きっと大好きに違いない】
【――――さんざん話してから笑って見せる、フィオがひっそりと決意したその瞬間のことだった。もしかしたら"わざと"なのかもしれない。けれど、人の心を読めるはずはないのだ、きっと、そう、だから、多分、偶然】
うん、ありがと――――――、……、や、ううん、ありがとう。
私のお料理も、いつか食べに来てね。酒場だから……、夜は、まあ、おじさんとかが多いけど――お酒なんて飲まなくっていいから。
ごはんだけ食べにおいで。――お店、風の国にあるの。UNITED TRIGGER。
【一瞬ためらうような沈黙は、――その裏側では、彼女は自分が"なに"を失敗したのか考えていたのだけれど、それをフィオが知る必要はきっとなかった、少なくとも、今、この時点では、確実に】
【これから先のことは分からないけれど。 笑ってみせる表情が翳らないなら、それが今の答えでいいんだろう。――ならば料理だって食べに来てほしい。ここからだと或いは遠いかもしれないけれど、】
【もしも機会があったなら。――――――伝える名前はどうにも"有名"なものではあったが。近頃とんと聞かぬ名でもあった。――そうして、出口まで送ってもらうなら、】
大丈夫だよ。フィオちゃんこそ、――今度は、買いすぎないように気を付けて。
それじゃあ、――、またね。ごちそうさまでした。天音ちゃんにもよろしくね。
【自分は大人だからと言外に述べた、――とはいえ見た目は大人ではないのだから、あんまり変わらないような気もしたけれど。冗談めかして言い置いたなら、外の空気にくるまれて】
【曇天の空模様を見上げる、――分厚い雲は黒いけれど、それが雨雲なのか夜の色なのかはよくわからなかった。それでも振り返る間際の表情、どちらにせよ、好意の色をしているなら、】
【――そうやって彼女は去っていくのだろう。だから空もそれを見送るみたいに、――結局、雨は降らないまま、次の日の朝は、うんと、うんと、晴れたらしい】
/おつかれさまでした!
- 349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/12(金) 03:06:35.14 ID:1n7dSYM+O
- >>348
あーーーー、目玉焼きーーーー半熟ーーーー
カリカリのベーコン……レタス、、
……和食、ってやつですよね!
私、そういえばお味噌汁って飲んだこと、ないかもしれないです。ハイ。
お漬物も、そういえば……塩っぱいってことくらいしか……でも、聞いてるとおいしそう、です。すごく
【フィオに刺さったのは洋の朝食のほうだったーーと、いうのも和食を食べる習慣がほとんどないから当然の様な気もするのだけれど】
【それでも、彼女の表現はそれだけで“美味しそうーー食べたいー!”って思わせる魅力があった】
【彼女のお店で和食がもしあれば、それを頼んでみるのもいいかもしれないーー】
風の国のーー聞いたことあるかも……!
有名な場所なんですね! じゃぁきっとみんな知ってるし、知らない土地でも迷わず行けそうな気がします!
【まだ、お酒は飲めないけれど】
【楽しみが、増えた! 風の国にある、鈴音のお店に、お料理に】
【こんなに美味しそうにご飯を表現できるのだもの、これは、ものすごく……期待できそう】
【なんてわくわくしちゃってーー】
本当に今日はありがとうございました!
天音さんのお店にも、行きますね!
……ーーまた、ね!!
【帰る後ろ姿に大きく手を振ってーーもしそれに応えてくれたのならさらに大きく手を振って】
【その、1時間後くらいだろうかーー言うまでもなく彼女の食卓に並んだのはふわふわの甘い香りのパンと、カリカリのベーコンと、半熟の目玉焼きーー】
//絡みありがとうございました!とても楽しかったです!
- 350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/09/13(金) 16:09:47.31 ID:0/Lw3R2v0
- 【街中――――川沿いの東屋】
【ごく静かな夕暮れだった、花嫁のヴェールよりも余程繊細な霧雨が降り頻る日。屋根の元より何人たりとも出しはせぬと誓った神様の降らしたみたいに、行き先を拒む雫たちは】
【けれど逆らったところで罰など下るはずもないのだから、見ようによっては邪魔ものの少ない散歩を楽しむに適した日であると思われた。――問題があるとしたら、雨に濡れる爪先ぐらいなのだろう】
――――――――あれ、こんにちは。
【――なれば雨とは言えごく明るい空の色、いくらか大らかな気持ちになれば傘がなくても困りはしない程度の雨脚、流れるにもごく静かに流れるばかりの川の水面を見下ろす高さの、屋根の下】
【誰か歩むならば人影を一つ見出すのだろうか。それとも或いは、錫の音のように澄んだ声を聴いて気づくのだろうか。――少女がひとり東屋の、ぼろちいベンチに腰かけているようだった】
【だけれど発せられた声は観測する"だれ"かに向けたという色をしていないのだから、――と目を凝らすに、直後、少女の坐るベンチと同じく古びたテーブルに、飛び乗る、しろいかたまり】
【やがて身体を屈め丸め毛づくろいを始めるに野良猫なのだと思われた。――彼女はその白猫に声をかけたらしかった。事実、向き直り時折にと話しかけている声は不明瞭でも、微かに聞こえ】
【腰まで届く黒髪をハーフアップに束ねていた、フリルとリボンをあしらったバレッタは重たげでも純に黒い毛束をきちんと抱き留めて、】
【真白い肌に瞬くのは黒く赤いまなざし。どうにも光の角度で黒と赤と移ろう気分屋であるらしいまなこは、今はすっかりと猫を見とめて、けれど誰か来るのならば向き直りもするのだろうか】
【胸元にリボンをあしらったブラウスにぷわり裾を広げたジャンパースカートを重ねて、手首の位置で絞った袖にも、ひらり揺れるスカートの裾にも、たくさんのフリルをあしらったなら】
【灰桜と薄墨とを基調にした曖昧な色味であっても沈んだ風には決して見えないのだろう。どうあれ投げ出すように伸ばす足先にはかかとの高い靴、頬杖ついた指先が猫へ伸びて、避けられ、苦笑一つ、】
――、雨宿りに来たの? ただのお散歩? 縄張りの確認かな、
【ねうとただの一度すら鳴きもしない猫を相手に独り言を重ねるのを見るに、どうにも動物の類は好きなものなのだと思われた、】
【――その傍らには開いた後に閉じたままの傘が立てかけられて、けれどもうとっくに乾いているのを見るに、なれば彼女もまた雨に困っているのではないと、その証明に等しければ】
【――――やはりどこへ行くでもなく、ただただぼんやりとした時間を過ごそうとしているのに違いない。だとして彼女はどこぞの給仕であるとか、悪い神であるとか、――そんな噂、ないでもないから】
- 351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/13(日) 22:58:22.16 ID:5Ad6Dhc+0
- 【街外れ――川べりの遊歩道】
【植え付けられたユリノキの葉が夜風にこすれ合ってはざらざらと鳴いていた、見上げて葉越しに覗く月明かりは少しだけ満月に満たない形、透き通る夜空に、薄雲を虹色に煌めかせ】
【彩雲越しの月明かりだろうと世界中は夜の色をしていて、なれば月明かりは街灯の光と交じり合って、こんな時間に彷徨う誰かの人影、長く曖昧に伸ばしては、それを街路樹の影に隠させている】
――――――はあ、あ。つまんないなあ、…………なんにもない。面白いものでも流れてきたらいいのに――、ねえ? へびさま。
……どうして拗ねてるの? 隠れてるところ、見つかっちゃったから? ……――へびさまみいつけた。ほら、かくれんぼはおしまいにしようよ、ね――。
久しぶりに会えたんだから、
【川べりに長く長く設置された柵に寄り掛かる人影が一つあった、頬杖突くように体重を委ねて、もう片っ方の手は気だるげに水面のほうへ垂らされている、指先の角度はどこまでも脱力しきった温度をして】
【半ば投げ出すような爪先までもやる気のなさが満ち満ちていたから、意味合いとしてはごく距離感の近しい人間同士の親愛にきっとよく似ていた。――事実人影は二つあった、一つはおそらく少女のもの、もひとつはずっとうんと背の高いもの】
【そうしてぽつぽつとわずかに漏れ聞こえてくる声は一方的に少女のほうが投げかけているものばかりであるのだろう。――透き通る鈴の音によく似た声は夜に良く響いて、然るにもう片方の黙りこくるのを論い責めるように麗しい】
【――腰まで届く黒髪が夜風に揺れた、透き通るように白い肌、あどけなさを遺すかんばせは、あるいは誰ぞに知られていておかしくないものだとして、今となってはきっと余程有名な顔をしているわけでもなかったから】
【光の角度によって赤と黒とを移ろわす曖昧な色をした眼差しは水面を眺めていたけれど、やがて飽きたともなればもう一人を捉えて、どこか呆れるような笑みの色、ひらり翻す布地は深い赤色のワンピース、生成りのフリルをあしらって】
【かかとの太くて高いストラップシューズを含めたなら百七十センチほどの背をした少女だった。あどけなさを勘案するに十六ほどだろうか、――もう片っ方は、ただどこまでも白い影のような、髪と背の長くて高い、櫻装の男】
ほら、
【傍らに佇んだままの白装束の手をひょいと少女が捕まえてみせた、そうして誘ったなら、自分の顔、その頬のところ、包ませるように、本質的には雛鳥に給餌する親鳥のように、触れさせて、】
生きてるよ。
【甘やかな囁き声を、あるいは誰か観測するというのなら、怖い夢に怯えた子を慰める母のような声をしていたと、きっと証言するのだろう。長い毛先を顔にかぶせて沈黙する白磁の返事は終ぞ聞こえず、なれば、】
【ざあと夜風が吹いたその瞬間、蝋燭の灯の掻き消えるみたいに、ふっと消えてしまう白い人影は、果たして幽霊を見てしまったのだと誰かの肝を冷やすには十分であるのかもしれない。――そうだとしても】
【黒い髪のいくらかを夜風に乱された以外は何一つ変わらず佇む少女の人影はそのままであるのだから、何も恐れることはないのだとも思われた。――――――、長い毛先を指先に鎮めて、ゆるり流れる視線、瞬き一つ、二つ、】
【――誰か居合わすのなら、ちょうど月明かりを受け止めて、爛々と光るかのようなまなざしをまっすぐに受けるのだろう。手品かけむのように消えた白の人影について、あるいは、尋ねても良いのだと思われた(然るにそれ以外のことだって)】
/のんびり……お待ちしております、はい
- 352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2019/10/14(月) 22:53:05.12 ID:+QxD0c9C0
- >>351
ざっざっざ、少女の背後から足音。
そしてまるで待ち合わせしていたかのように自然と隣に立つ。
そこにはこれといって意志はなかった。ただなんとなく。
「さっむ、ねぇ、寒くない?」
「いや絶対寒いって、なんか急に来たよねQSK(急に寒さがきた)」
身長は160cmほど、右側の髪だけ少し長いアイスブルーのアシンメトリーに同じくアイスブルーの瞳
よく手入れのされた藍色のPコートにジーンズ、丸いレンズのサングラスをつけた少女
自身の両肩を抱いてガタガタと震えながら「な?」と問いかける。
見ようによっては不審者である。[痴漢出没注意]という看板が照らされている。
- 353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/15(火) 00:05:10.11 ID:XwchuOTm0
- >>352
――――――――――――見ようによっては重たげなまでに重なった睫毛が揺らぐ瞬き、傍らに佇まれた刹那に、ふわり振り返るなら、微かに香水の香り、済んだ林檎の甘さが揺れて。
なんとなくであるというのなら、彼女もまた緩い温度にて対応をするのだろう。――対応? 隣に佇まれることを拒みやしなかった。ただ強いて述べることがあるとしたなら、
(ほんのひとひらだとしても殺意を手にしていたなら、きっと彼女は、)
「…………、まあ、寒いとは……。思うけど」「……別に気になるほどでもないかなって思うの、」「――夜の国より温かいよ。この前まで、住んでたから」
光の加減で色を移ろわす曖昧な黒赤色の瞳が緩く向けられた、自分と同じ背丈の少女へと。――だとして、彼女はずいぶんと高い靴を履いているから、素が同じなのだとして、いくらかの差異は十分にあり得て。
とかく見知らぬ人に頓着せぬ性質であるように思われた。――だとして無警戒とは根本から異なっていた。或いは虫かごの中身をのぞき込む子供のように無垢と無感動に似る瞳と瞬き、いくつか。重ねて。重なって。
「……そんな格好で寒いなんて言ったら、もっと冬になったら凍え死にそうだけど」「――はあ、」「そんなに寒いならお茶ぐらいなら、奢っ、」「あ、」
「そういう作戦?」
――――なれば最終的にわずかに眉を潜めもした。そんな風に近くで寒い寒いって言われるとなんだか自分も寒くなってくるみたい、辛うじて裾や袖に仕込まれた大量のフリルが彼女の体温を護っているに違いないなら。
決して小さくはない溜息をついて、――哀れなる寒がりさんに何か温かいものでも奢ってやろうかと思ったつぶやきは、けれど、途中で途切れて。だから相手はより一層の寒さを覚えるのかもしれなかった。絶対零度の視線のぶん。
「まあ、」「……いいや、」「なにかよう?」「……あったかいお部屋と三食のごはんが欲しいなら、私じゃなくて……」
だからわずかに冗談めいていた。もう一度の溜息、要件を訪ねる声に、――、けれどまた何か思いついたみたいに言葉が一節。はて……という顔で当たり前に取り出すのは携帯電話、画面を点灯させて、
緊急通報のボタン。ほんのちょっと指先で四回ほど画面に触れたらそれだけで他人の人生をだめにしてしまえる魔法の機能。…………だとして画面はそのままで触れもしないから、すなわち、理由を述べろ以上の意味は持たずに。
/ごめんなさーい、いま気づきました、今日は眠たくなった時点で寝てしまいますが……
- 354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/15(火) 18:53:05.22 ID:QoMSHuXT0
- /あーっと、すみません、外出の用事が入ってしまったので、今日はお返事できるようになるのが遅い時間になります、申し訳ないです……
- 355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/10/16(水) 22:39:59.87 ID:hkjLylrbO
- >>354
//こちらもお返事遅れてすみません!出先のため後ほどご返信します!
//このタイミングで誠に恐縮ですが、置き進行でもよろしいでしょうか?
//本来で最初に言うべき事で申し訳ありませんがご検討をよろしくお願い致します!
- 356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/16(水) 23:30:52.68 ID:6001amTE0
- >>355
/はあい了解しました。ただ、やっぱり早めに言っていただけますと助かります、次からはお願いします……。
/それで、こちらの都合ではあるのですが、24日までにはぜったいロールを終わらせておきたいので、それだけご理解とご協力をお願いします。
/それまでは置きで大丈夫ですよ!お返事おまちしております。
- 357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/10/17(木) 00:19:47.52 ID:z5y/XoNg0
- >>356>>353
//了解しました!重ね重ね申し訳ありません。
//期限についても承知致しました、肝に銘じます。
//基本お返事は24時前後、それ以外にも不定期にぽつぽつ返す形になるかと思います。
//では、続けさせて頂きます〜
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「あ〜夜の国ね、あそこ陽も登らないから芯から冷えそう」
「まァ、私も実は氷の国とかに住んでたらしい≠ッどよく分からんのだわ」
なんとも曖昧に少女は答える。気の抜けた返答だった。
とはいえ二人が言う二国と比べては確かにここは過ごしやすい気候であった。
街中を歩けば薄着の人と厚着の人がすれ違う程度には―――
「いやいや、急に寒くなったから過敏になっているだけさきっとね」
………そこは冷静だった。
「は?作戦て?―――いやいや何か誤解をされていますよお嬢さん」
「さっきまでさ、なんかこう………ふわっとしたもの≠ニお話してたでしょ」
「ふわっとしたもの」と言いながらよく分からないジェスチャーをしてくる。
恐らくは先程まで存在していた、あるいは今もどこかにいる白い影のような櫻装の男の事だろう。
相手が携帯電話を出せば「ちょっと待たれよ!」と両手をぶんぶん振って弁解する。
「ちょっと気になってさ、あのふわっとしたもの≠チて何だったの?」
- 358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/17(木) 01:25:44.30 ID:vVU3Ldtm0
- >>357
――――――――まあ、と、呟いた。そうしてそのついでみたいに、一つ、はあっと息を吐く。――透明なまま見えもしないのを見たなら、ぱちと瞬き一つ。
そうしている間に相手が述べて曰く、自身は氷の国に住んでいたらしい、と、――。大層曖昧な言葉だなとでも思ったのだろう(そうして事実たぶんきっとほんとうにそうである)、わずかに伏した横目の一瞥。
「――まあ、まだ、息が白くないから」「これっぐらいは、全然……」「――――――、覚えてないんじゃ、仕方ないかもしれないけど」
「夜の国(あそこ)は、――雪が降っちゃうと春まで溶けないから。春になっても、しばらくは、残ってるし……」「暮らすの、あんまり向いてないよ」
「吸血鬼の人ならいいと思うけど――――、」
そうして見渡すならなるほど確かに薄着の人と厚着の人がすれ違う光景も時としてあるのだろう。それを探し求める壮年二人は見当たらないのだとして、――いや至極どうでもいい。
最近まで住んでいたというにはずいぶんと夜の国に対しての酷評を並べるのだから、あるいは嫌いだったのかもしれない。――あるいは、そこまでいかずとも、文句が目に付く程度には、合わないところ、多かったのかも。
そもそもが合う土地であったなら引越しする意味だなんてないんだ。――何処に引っ越したのと聞くことがあれば彼女は「水の国」とすぐに答えるんだろう。「お日様が昇るって嬉しいね」――ほんとになんで住んでたのやら。
「…………ほんとに?」「寒い寒い詐欺みたいな、」「……そうやって温かいものとか食べ物を強請ったり……」「お財布忘れたから小銭を下さい、って感じの」
「ふわっとした、」「…………――ふわっとした?」「ああ、……まあ、」「ふわっと……」「してた?」
寒い寒い詐欺とは。――とかく冷たいまなざしの内訳とは、つまり、寸借詐欺っぽい何かへの警戒であったらしい。とはいえ寒そうな人に茶でも、と思う程度に、彼女はそういった性質らしいのだけど。
かといってそれだけで済ますほどは生っちょろくやってはくれないらしくって、世間のなんて世知辛いことやら。――それ目的でなかったなら、そんな風に言われても冤罪でしかなくって、どうしようもない。
――けれども彼女は別に相手をお縄でどうこうしてやろうとは思っていないらしいのは一貫しているから、冗談のつもりなのかもしれない。――。冗談。と呼ばわるには少し重厚感がヘビーなのだとして――。
訝しむ目が数度瞬いて、――それからようやく、相手の表すところのふわっとしたものを理解するのだろう。白くてふわっとしたもの。考えこむような指先、唇に添えて、少し悩むような声一つ。
「あれねえ、」「かみさま」
――――――ふむと描写すべき吐息一つを挟んでから、彼女はそう述べるのだろう。その手に握られたままの携帯電話の画面が暗くなるタイミングにぴったり重なって、然るに、通報未遂の揶揄いより、余程まじめぶっていた。
「――って言ったら、どうする?」
なれば一転、ごく揶揄うように細む眼と、笑む唇と。――ようく見るに、その目はあまり笑っていないのだけど。刹那の後には、"にこ"とした笑みに誤魔化して、だから、どちらとも取れた。
- 359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/10/18(金) 00:12:55.59 ID:1Uj57uAs0
-
>>358
「へぇ」と相手が語る夜の国の情報に相槌を打つ。
興味を持っているようにも見えるし適当に返しただけにも見える。
「でもでもルルーメンとかは結構栄えてるって聞くけど!」
「―――残念ながら吸血鬼ではないが。まぁ昼夜があったほうがメリハリはつくよね」
「いやいやいや、私は物乞いではございません!」「一応公務員ですよコームイン」
ぶんぶんと両手を振って否定、警察。とてもそうには見えない。
開きはしないが胸元のポケットから警察手帳を取り出してひらひらと揺らす
だが、次の相手の言葉にはポカンと口を開くいた。
「か、神様?」「―――あーうん、う〜ん」
「まぁ、信じるかな。」「あなたの瞳はなんか真剣だもの」
そう言うと警察手帳を仕舞って、はにかむ。単純思考だった。
「じゃあ、あなたは天使って事か!」
即座に結論。
- 360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/18(金) 00:24:38.37 ID:TqWBAtmw0
- >>359
「――――――あれは都会、だから」「もっと田舎のほう」「だけど、雪が降ってて」「――夜景の光がぼやけてるのは、嫌いだった」
「そこは好きかなぁ、」「あとは――日焼けしないから」「日焼けしたくなかったら、住むといいんじゃない?」「吸血鬼だったとしても、私はまずいから、食べないほうがいいよ」
「――、ええ、」「公務員って、……」「そんな風にしてて、なれるんだ」
――――あれは都会だからもっと綺麗であるらしい。それよりもっと田舎の方は、冬になると雪に閉ざされて大変なことになるんだって。……それでも、大変なところから遠目に見る都会の灯は、ひどく美しいのだと言って。
降り頻る雪に明るさが反射して、空までぼおっと明るくなる。それをなんとなく眺めているのが好きだった。――そんな外はとてつもなく寒いから、防寒具をたっくさん着こんで、けれどもその価値はあった気がする。
そしてひらひら揺らした指先の意味合いは如何ほどのものだったか。――おいしくないからって理由で辞退してみせた眼差しが、細められるのにも時間は要らないのだろう。至極失礼なことを述べた鈴の音の音。
「警察……」「ああ……」「ご苦労様です」
証拠として差し出される警察手帳を見て、――思いっきりじとり伏せられた眼差しは何かを諒解していた。曖昧な溜息を吐いて見やった視線を戻すに、
まあまず悪いことなんてしてなくたって警察の人間と話すが楽しくないのは仕方がないのだろう。怪しむ目は一点何しに話しかけてきたかっていうみたいに――いや、ずっとこんな目だった気がしてきた。
然るに余程挙動不審になった、なんてわけもないのだろう。相手が覚えてさえいれば、彼女は風の国のUTの関係者であるとまで思い出せるはずだった。忘れていたら――まあ、こんな時間に出歩くにしてはいくら年若い女である。
それを言い出したら相手もそうなのだろうけど。――国家の後ろ盾がなくうろつく以上は彼女のほうが不審度合いは高いものだろうか、なんて?
「――なら、」「よかった」
――――――――そんな顔がほころぶのは、相手があんまりに彼女の言葉を信じたからだろうか。ごく一瞬だけぱちり瞬くような空白があって、けれどその直後には莞爾と柔らかに緩んでいる。
誰しも自分の意見が認められぬとなると悲しい顔をするものだ。――――――――――――――――――――――いっしゅんの間、
「なんで?」
急に解せぬって顔をするのだから非道い話だ。(だけれども、いきなり天使と言われてこの程度で済むなら彼女は十分に偉いのだとも思われた)
- 361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/10/18(金) 23:26:41.14 ID:1Uj57uAs0
- >>360
- 362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/10/18(金) 23:26:53.83 ID:1Uj57uAs0
- >>360
「ふーん、夜景ってなんかいいよね幻想的で」
「田舎っていうとほぼ未開の地みたいな場所って事?」「夜の国だし」
「確かに!日焼けのし過ぎは皮膚病に繋がるからね、気を付けないと」
相手の言葉にどこか合点がいったように手をポンと叩く。
コロコロと表情が変わる少女だった。
そして相手が訝し気に眼を細めれば、「いやいやこれでも結構頑張ってるのよ!?」と抗議する。
―――風の国、UT、目の前の少女については特に触れない、気が付いていないのだろうか?
「―――え?神様と繋がりあると言えばまずは天使じゃない?」
「違ったか………」
どうにも、短絡的な思考回路。悪気はないようだが―――
「神様と何を話していたの?」
- 363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/19(土) 00:10:48.81 ID:VTqFJZdy0
- >>362
「まあ、お星様は良く見えなくなるけど」「……でも、うんと遅い時間になったら、またお星さまだって見えるようになるし」「寒くなくって、雪が降らなければもう少し良かったんだけど」
「――――そうかもね」「家の裏がすぐに森だったから」「梟とかいっぱい鳴いてた」「――――、皮膚病、まで行かなくたって、そばかすとか出るよ」「……たぶん」
なれば彼女はどこまでも透き通るように真っ白な肌をしていた、一切合切すべての日差しを遮断し続けて生きてきたような色。けれどそんなはずないのだから、生まれついてそうなんだろう。だから、
そばかすだってあるはずもなかったし、なんならほくろだってありそうになかった。――なんてはずはないんだけど。とかくめだつようなもの、彼女の肌にはないんだろう。少し羨ましくなっちゃうぐらいに。
「頑張ってる……」「……まあ、頑張ってるなら、いいけど」「私よりも年下そうだから」
…………。じとりと少しだけ疑る目は、けれど心底の疑念でないんだろう。ふわとため息一つ、私よりも……というくだりは、いくらも何か失礼な気がする。
だって彼女は十六ほどの見た目であったから。――相手より彼女が年上ってはずはなさそうな見た目をしていて、それでも、ごく当たり前に。犬がワンって鳴いて猫がニャアって鳴くぐらい、普通でしょ?とでも言いたげな目。
然るにいくらも子供扱いするみたいな目を向けるのかもしれない。――そこまで含めて揶揄いなのかもしれないけど。それだけ子供っぽく見えるのよ、って、言っちゃうみたいに?
「いや……、私が思ってる神様じゃない方なら、そうかもしれないけど」「お生憎様、天使は信じてないの」「――人種の一つぐらい、でしょ?」「……なんて、」
「神様と何を話していたかって、」「……うーん、」「しばらく家出して、何してたの?って、」「…………それぐらい」「あとは……、」「――――、――」
「ううん、やっぱり、それっぽちかな」
夜の風がざあって空気を柔らかくかき混ぜたら、水面がさあと鳴くみたいだった。ごく細かいさざ波がいくつもいくつもいくつも重なって、やがてお姫様の纏うドレスみたいに、あちらがわまでを全部覆いつくして。
柵に預けた背中と曖昧に絡ました指先と。投げ出すような爪先の仕草一つ、――――ごくなじみの人に向ける声をしていた。だから彼女はやっぱり天使なのかもしれない? ――なんて、そんなはずないけれど。
神様と仲良くしている人がまっとうと言えないのはきっと確かだった。――なのだとして、やっぱり彼女は人間の形をしていて、人間の言葉が通じるから、たぶん、人間なんだろう。少しまっとうじゃないだけの、人間。
- 364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/10/19(土) 09:28:20.07 ID:z7soCzJ00
- >>363
「ま、位置関係的に寒さは仕方がないでしょうね」
「梟!?森のすぐ近くって、確かにそれはかなり郊外っぽいね………寒そ〜」
「まぁおかげでその美肌なんだからいいじゃないですか〜」とヘラヘラと笑いかける
あまり深く物事を考えていないのかそれとも適当に言ってるだけなのか(ほぼ同じだが)
自分の頬をぺちぺちと触りながら少し間を置いた。
「え?そうかな?むしろ良くて同い年ぐらいかと思ったけど」「私は18」
相手の言葉に流石に怪訝そうに眼を細める。
「あーまぁそういう捉え方もあるか、確かに。」「家出?どっちが?」
天使についてはすぐに取り下げた、やはりそこまで深くは考えてないのだろう。
そして家出について問いかける。そもそもどこからの家出なのかも含めて
- 365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2019/10/20(日) 01:02:46.10 ID:mlSa+L8u0
- >>364
「――――――――それは、そうなんだけど」「まあ、もう引っ越したから、関係もないし……」「今度、観光にでも行ってみようかな」
「暮らしているときは行かないようなお店に行って」「ちょっとだけいいお宿に泊まって――――」「そういうふうにしたら、きっと楽しいと思うの」
「……氷の国はどう? ……、ああ、あんまり、覚えてないんだっけ。……。……今は、どの辺に住んでるの?」「まあ、……、別にいいけど」「私は水の国」
位置的に仕方ない。――確かに仕方がなかった。なので彼女も諦めていたし、だからこそ引っ越せば、まったく別の環境に行けたのならば。
今度は観光で行ってみようか、なんて呟き。暮らしているときにはいかない少し小奇麗なお店とか、洒落たホテルとか、――そういうのもいいかもしれないねって、
――ほんとはそういう旅行みたいなのあんまりやったことがないからやってみたいだけだったりもするのだけど。良く知ったあたりなら、不安もないような気がするし――。
「にじゅうろくさい」
――――――だからにこと笑う顔はなんてうそつきなのかと思わせるに違いなかった。どこからどう見ても同い年ぐらい、――、というのもひいき目かもしれない。
なれば彼女は十六と呼ばわって何一つ問題ないような見た目をしていた。十八だと名乗ったなら、少しあどけない顔をしているなと思うぐらいなんだ。だから、
ましてや二十六などと自称し始めたとあっては――、――うそつきというか若作りというか逆鯖読んでいるというか、ああ、そうか、これぐらいのころだと年上に憧れるものかしら?
(だとして実際の十六歳は二十六歳になんてあこがれやしないんだ)(そんなのうんと遠い未来のお話だと思って)(そんなうそつきするのなんにも"かっこよく"ないから)
「…………神様が」「もう、しばらく……、」「春のころから、ずっとかな」「事情聴取はこれからするつもり、」
取り下げられるというなら、彼女にとってのこだわりでも特にないのだろう。神様が家出してたんだってつぶやき、――、そんなのなんだかたまらない気がするけど、
ペットの猫が半年ぶりにやっと帰ってきてくれたって言うような安堵を間違いなく含んでいた。――そのうえで何かもっと複雑なものを裏側に隠してもいたけれど、それをあけっぴろげにするほど二人親しくはないのなら。
「――それぐらいだよ、なんにも面白くないね」「へびさまだって、いい大人なんだし」
――――そもそも彼女は神様との距離が近すぎるんだ。そのくせやっぱり、天使なんて呼ぶほど何か煌めいているわけでもないし、善人ぶって見えもしなかったから。
- 366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/10/20(日) 08:25:18.82 ID:gLNebedH0
- >>365
「ま、夜の国と言えば観光地なイメージだよね」
「そーそ実際生活するのと旅行に行くのだと段違いだからね!」
「氷の国は全く覚えてない、今は私も水の国だよ〜職場もそうだしね」
氷の国の事を聞かれれば肩を竦めてため息を吐き出す。
だがそこに悲観な様子はあまり見られない。
記憶を失っている事に対してはあまり執着がないようだった。
相手が26才だと主張を始めると「え?へぇ〜」と間抜けな声を吐き出して
顎に手をあてて相手を上から下へと眺める。
「ああ、神様が家出したのね」
「神様も色々気軽に生きたい時もあるんじゃない?わからんけど」
「ただ見てるだけってのもそれなりに疲れるもんさ」
少女の中での神様もイメージがなんなのか分からないが
とりあえず神様の気持ちも汲んだ発言をしてうんうんと頷いた。
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