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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
462 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/03(木) 23:03:58.57 ID:ycpGCHS80 替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。 騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。 だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。 そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。 今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。 「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」 公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。 その声に韓浩は無感動に応える。 「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。 この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」 あくまで淡々と韓浩は呟く。 「お、おう」 常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。 「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」 是、と迷いなく韓浩は頷く。 「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。 ……愛されているようでなにより」 「な!」 かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。 からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。 どうやら、本心からの言葉だったようである。 ……それはそれでなんだかなあ。 何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。 「――何か?」 「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」 まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。 それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。 単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。 それもこれも。 「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」 くす、と薄く笑み、気を引き締める。 絶対に負けられない。彼の為にも。 無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。
463 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/03(木) 23:04:29.68 ID:ycpGCHS80 替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。 騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。 だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。 そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。 今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。 「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」 公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。 その声に韓浩は無感動に応える。 「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。 この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」 あくまで淡々と韓浩は呟く。 「お、おう」 常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。 「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」 是、と迷いなく韓浩は頷く。 「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。 ……愛されているようでなにより」 「な!」 かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。 からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。 どうやら、本心からの言葉だったようである。 ……それはそれでなんだかなあ。 何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。 「――何か?」 「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」 まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。 それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。 単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。 それもこれも。 「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」 くす、と薄く笑み、気を引き締める。 絶対に負けられない。彼の為にも。 無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。
464 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/03(木) 23:05:12.78 ID:ycpGCHS80 本日ここまですー感想とかくだしあー 題名募集しまくりんぐですよ本当に! 案は「地味様の憂鬱、或いは腹心との語らい」 そんな感じです
465 :赤ペン [sage saga]:2020/09/05(土) 16:07:57.62 ID:PTNduLdB0 乙でしたー>>はおーからして、自分がうらぎるのはええけど、相手が裏切るのは許さないですからね、多少はね? はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス >>460 >>「ご主人様!桃香様!お目覚め下さい!一大事です!」 補助動詞なので ○「ご主人様!桃香様!お目覚めください!一大事です!」 ですね(わかりやすい例文としては【上着を脱いでください】これを漢字にすると上着が欲しいことになります) >>それまでは散々兵糧の拠出を渋っていた兵站が酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ! ちゃんと仕事ができる程度には出してたと思うんだけど…大食漢の分とか水増し請求して睨まれたんじゃねーの? ○それまでは散々出し渋っていた兵糧のみならず酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ! 【拠出】だと出し合うことなので(まあ兵力は出してたんでしょうけど)袁家に集ってしかいないのに面の皮厚いっすわ。ちなみに兵糧は必要な食糧なので《食料だけじゃなくて嗜好品まで》って意味でこの方が良いと思います >>その問いに関羽が応えるより先に口を開くのは諸葛亮。 【誰が?】という問いに対しては ○その問いに関羽が答えるより先に口を開くのは諸葛亮。 こうですね《袁家が?》という問いなら《是、と応える》のもありですが >>462 >>「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。 反董卓連合に商会が商会として戦力出してるの? ○「なに、袁家の長弓兵も後詰に来ている。 普通に袁家が徴兵した(という建前の)一般兵でいい気がする(賤業の私兵とか諸侯勢力からいらんいちゃもん付けられそうだし) >>463 丸っと重複してますね >>夜を楽しむ者もいる…アッ(察し)モゲレバイイノニ >>そんなに慌てているからよっぽど寝過ごしちゃったかと思ったろ」 【よっぽど】じゃなくても寝過ごしたことを恥じろ。そもそも一大事って言われてんだろ山賊の奇襲報告だったらどうすんだよ 絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ?地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ
466 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/05(土) 16:47:20.14 ID:qvVR2asK0 >>465 赤ペン先生いつもありがとうございますー! ほむ > はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス ぐうの音も出ない正論ですw でもネコミミの欠点ここなんですよねえ。。どう考えても。。。 はおーが覇王になれない一因ですわこれ 稟ちゃんさんと風ちゃんがいたら問題なく覇王になってたんだろうなあと。 >絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな 普段飲んでない人間が蒸留酒飲むと頭痛いし吐き気もするしで、ある意味毒を盛ったのと変わらないっしょw >そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ? 「一理ある。だが新参かつ外様の自分は分をわきまえるのがよかろう」 とのことです。お堅い! >地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ これはひどい案件ですわw そしてそれを快く送り出す人の良さよ! ねえ。。。
467 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/06(日) 21:55:54.93 ID:PuubI+Mi0 ざわめきが徐々に、だが確実に広がっていく。 日輪が昇り切り、前夜の狂騒の残滓を振り払ってのそりと起き出した諸侯軍は端的に言って戸惑っていた。 これよりは洛陽に進軍するのみ。もはや抵抗勢力はなく、進軍するのみ。だのに。 なぜ洛陽への道は既に陣構えを終えた軍勢によって塞がれているのであろうか、と。 「物流に難がある洛陽では反董卓連合の大軍を受け容れる余地がない」 袁家からはそのような事情を説明する書状が回されてくるが、それで納得する諸侯軍ではない。 「なるほど、確かに凄い人数だもんな。そりゃあ混乱するか。でもそれにしたらものものしくないか?」 北郷一刀は浮かんだ疑問を口にする。 「はい。確かにそうです。あれは、断固として通さないという袁家の意思表示がうかがえます」 「でも、何で袁家軍だけじゃなく諸侯軍も殺気立ってるんだ?」 膠着した状況が暫し続き、諸侯軍からは不穏な気配が立ち上る。そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。たまったものではない。 そう、たまったものではないのだ。 「それは……」 そして諸葛亮は口ごもる。果たしてそれを聞かせていいものか。 「朱里、分かっているなら教えてくれないか」 そう、言われてしまえば否やはない。 「……諸侯軍は常備軍ではありません。それが最大の理由です」 「どういうことだい?」 首を傾げる北郷一刀と劉備に鳳統が言葉を続ける。 「諸侯軍の兵力。それは正規の兵ではありません。極端な話、そこいらの農民、流民に武器をもたせただけというのが実態です」 まあ、それは自分たち義勇軍も変わらないのではあるが。 「戸籍のしっかりした民を動員すればするほど手元の領内の収入は減ります。そしてそれは動員された兵も同じく、です」 武具、糧食に費やされた軍費。それは諸侯の財政を圧迫する。誰がこのように大規模な出兵――それも長期間の、だ――を想定なぞしていようか。 「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」 この時代、進軍に伴う略奪は黙認されている。そして貧しい寒村ならばともかく、これから進軍するのは肥え太った洛陽である。どれだけの富が蓄えられていることか。そしてその富を分捕った後は領地に帰るだけなのだ。
468 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/06(日) 21:56:40.28 ID:PuubI+Mi0 「そんな……ひどい……」 劉備の悲しげな言葉にやはり言うべきではなかったか、と諸葛亮は僅かに後悔する。 「でも、じゃあ、どうして袁家は……あれじゃまるで洛陽を守っているみたいじゃないか」 北郷一刀の言は正しい。正しく袁家は洛陽を守護しようとしているのであろう。なぜならば。 「袁術殿が入内されます。故に洛陽が荒れるのは看過できないということでしょう。そして、兵を蓄えた諸侯軍は実に目障り。あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」 「そんな……乱暴な!」 もっとやり様があるだろうにと北郷一刀は憤慨する。 下手をすれば洛陽は火の海になるだろう。彼の知っている歴史と同じく。 その憤懣、或いは悲嘆。 だが、と思い諸葛亮は傍らの親友に問う。 「……雛里ちゃん、あれ、抜ける?」 こと、千変万化たる戦場の機微に関して諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。 「無理だよ、朱里ちゃん。中央に陣取る顔家軍の重厚さ。左右を固める孫家軍と公孫。どっちも陣構えだけでその歴戦が分かるよ。そこに遊軍として紀家軍。決戦勢力として文家軍がいるんだよ?しかも本陣は更に分厚い袁家旗本。 あれを抜くなら、倍は、欲しいな」 実際、反董卓連合と言ってもその内実は袁家軍単独でも成り立つもの。 そしてその威容があるからこそ大多数の諸侯を前にしても袁家軍は揺るがない。質、量ともに恐るべきものである。将帥も、兵卒も。 「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。 桃香様、ご主人様。恋さんでもいない限り目の前の陣を突破することはまず無理でしょう」 「じゃあ、それが鈴々と愛紗ならどうだろう」 ふと、好奇心で北郷一刀はそう尋ねてみる。 「……何とも言えません。私からはなんとも。雛里ちゃん、どう?」 急に話を振られた鳳統は慌てつつも所見を述べる。 「あわわ……。駄目です。勝ち目はないです。 まずもってお二人を前線に出したならば、敵はこちらの本陣を急襲してくるでしょう。 と言って、どちらかお一人ならば星さんに足止めさせられます」 それに、あの呂布に手傷を負わせた顔良もいる。改めて袁家の分厚い陣容を再認識する。個の武勇でどうこうできるものではない。 いや、そもそも一騎打ちの優劣で戦場を語ってはいけない。そのような偶発的な状況を許すほど袁家は甘くないだろう。 少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。質も量もまるで足りない。将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。未だ中華に影響を与える打ち手としてはその前提とする力がまるで足りないのだ。 この場で、一石を投じるとすればせめて馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。 「あ……!」 そしてその、状況を動かすに足る陣営が動く。 「あれは……?」 北郷一刀の呟き。 そう。 曹家軍きっての猛将夏候惇。それが少数の手勢を率いて、陣取る袁家軍に相対する。 陣頭の夏候惇は高らかに口を開く。 「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!いざ尋常に応えられたし!」 そして状況を動かすのは曹操。夏候惇の口上を満足げに、不敵に笑いながら見守る。 その根底には怒りがある。 よくも自分をのけものにしてくれたな、と。 やられたままではいられない。それが曹操である。
469 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/06(日) 21:57:06.81 ID:PuubI+Mi0 本日ここまですー感想とかくだしあー 題名未定です
470 :赤ペン [sage saga]:2020/09/07(月) 18:27:43.93 ID:GgWEZK4E0 乙でしたー >>467 >>そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。 間違いではないですが ○そう、諸侯軍からすれば上前をはねられたようなものである。 まあ好みの問題かな >>そう、言われてしまえば否やはない。 《そうなってしまえば》と同じような使い方なので ○そう言われてしまえば否やはない。 の方が良いと思います >>「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」 間違いではないですがこれだと《こっちに来い》感が強いというか罠をはって相手が掛かるのを待ってるような印象があるので ○「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち望んでいたのでしょう」 もっとSAGEしたいなら【進軍を舌なめずりしていた】とか?こいつどっちも糞とか考えてそうだしなあ…【進軍の時を待ちわびていた】とかどうでしょう >>468 >>諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。 【譲る】だと上位者が下位者に。の印象があるのでちょっと違和感が ○諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も劣るのを自覚している。 もしくは【鳳統に一歩二歩及ばないのを】だと負けん気の強さが出るかな?【鳳統には引けをとるのを】だとガチで客観視してる感じが出せる…なおご主人様の寵愛を考えるとこうはできないだろうね >>左右を固める孫家軍と公孫。 単騎?軍の体をなしてない寄せ集めの揶揄? ○左右を固める孫家軍と公孫家軍。 (精鋭で)数が少ないから【公孫】呼びなのかな? >>あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」 本気でそれをやるなら食料に毒なり薬なり混ぜるだろうしそんなつもりが無いこと分かって言ってるのかねえ >>「そんな……乱暴な!」 案の定推論を真実にして袁家に怒り向けてるしw董卓の治めてた洛陽を守ってるという事実から見直そうとは…しないんだなあ ちょっとご飯食べてきます
471 :赤ペン [sage saga]:2020/09/07(月) 23:54:57.95 ID:GgWEZK4E0 さて続きを >>468 >>「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。 ちょっと読みづらいような? 〇「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りだと思う。 の方が良いと思います >>少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。 【歯噛みする】は慣用句なのでこの書き方だと≪内心はらわたが煮えくり返る≫のような…まあそれを知られたくないならありかもですが 〇少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は歯噛みする。 敬愛するご主人様に「できるか?」と聞かれて「できない」と答えるなら悔しそうな顔を隠す意味もないでしょうし >>将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。 何かが足りないけど何が足りないのか 〇将帥の優秀さならば引けを取らない自負がある故にそれが残念でならない。 兵の質、量と将の量で大敗してるけどここだけは勝ってると(無い)胸を張ってそう >>馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。 結構ひっ迫した状況なのに危機感というか緊張感が足りない気がする 〇馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことには話にもならない。 【も】を入れることで強調されるので…例えば≪戦いにならない≫と≪戦いにもならない≫だと後者の方が差があるような気がします 袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。
472 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/09(水) 05:59:08.10 ID:7tRPZSxX0 >>471 赤ペン先生いつもありがとうございますー! >袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな 今のところ、はおーです。まだ。 >そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。 これには笑いましたw 自分たちが世界の中心であるという万能感。若者の特権的なやつをこじらせてる感じですかね。 ここまであんまりいいところないですからねえ。。。
473 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/10(木) 21:36:18.80 ID:vY1pce2o0 「ご報告申し上げます!今上陛下劉弁様ご無事!並びに紀霊将軍は宦官誅滅したとのことです!」 伝令の声に張りつめていた室の空気が僅かに緩む。 「ご苦労様です。下がってよろしい」 そして平淡に響く郭嘉の声が、盛り上がりかけた場を引き締める。 なんとなれば、まだことが終わったわけではない。この、本営にありて諸侯軍と対峙する彼らにとってはこれからが本番といってもいい。 「ふむ、まずは陛下のご無事を確保できたようですな」 口を開いたのは張魯である。彼が華佗と共にこの本陣にいる意味は極めて大きい。 張魯と華佗以外に袁家以外の人物となると、孫尚香くらいのものである。袁紹と、彼女を補佐する郭嘉。その護衛に楽進。袁術と孫尚香。その二人を典韋が守護している。まあ、袁術と孫尚香については孫家守護獣たる白虎に埋もれて安らかな寝息を立てているのではあるが。 ともかく、この場に五斗米道の二人がいるというのはこの上ない意味を持つ。漢中という要衝に根拠を置く五斗米道。南は劉焉、北は韓遂から有形無形の圧力を受けているその地、この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 まあ、袁家の重要人物が負傷した時の備えという意味もある。なにせ、即死でなければどのような傷病であっても治してみせるという神仙の如き奇跡をもたらす、まさに神医なのだ。張魯も華佗も。 「当然ですわ。二郎さんが陣頭指揮されてるのですもの」 くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。その背には光輝すら幻視されるほど。 「なるほど。二郎君は随分と信用されているようだ」 あら。これは心外な、と袁紹は異を唱える。 「信頼ですわよ?張魯さん」 「これは一本取られましたな」 ひとしきり笑みを漏らした後に、問う。 「ここからが難しいところですな。諸侯はいずれも洛陽の財貨を当てにしているのでしょう。 果たして、退けと言って退くものですかな?」 常に強大な勢力に脅かされてきた張魯としては疑問を呈さざるをえない。なんとなれば、利害、利益というものは道理や倫理を軽く踏みつぶすものだからして。 「郭嘉さん?」 袁紹はくすり、と笑って傍らの軍師に答えさせる。 「は。確かに諸侯軍は収まらないでしょう。ですが、それでも袁家軍と正面切ってまでの覚悟がある諸侯なぞおりません。 いえ、この戦力差で暴発するような愚物があるのならばこの場で潰してしまうのが最善。 そう、判断しております」 そう言いながらも郭嘉がその動きを読めないでいるのが曹家と馬家である。 前者はその計り知れない智謀において。後者はその果断なる蛮勇において、だ。もっとも、どのように動いても、必要とあらば叩き潰すだけの準備はしている。 郭嘉としてみれば、いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、抵抗勢力、反抗勢力は顕在化させておいた方がいい、という張勲の言。それを紀霊が容れたことによって、心ならずも。この上なく不本意ではあるのだが、大鉈を振るう機会を逸してしまっている。 それはいい。決まったことである。決まったことだ。 与えられた条件下で最善を尽くすのが軍師の役目、とばかりに郭嘉は思考を切り替える。 これより先において彼女の出番があるとすれば、最悪の事態が起こった時のみであろう。 だが、そうはならない。その確信がある。なんとなれば。 「曹家軍に動きあり!陣頭には夏候惇将軍!後詰に夏侯淵将軍!兵力は五百強!」 やはり。状況を動かすのは曹家軍かと郭嘉は深く頷く。 「郭嘉さん?」 袁紹の問いにも臆することなく応える。何を畏れることがあろうか。なんとなれば郭嘉は、考えうる最良の一手を既に打ってある。 「は。ご心配なく。 なにせ、我が軍には一騎当千たる趙子龍がおります故に」
474 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/10(木) 21:37:16.51 ID:vY1pce2o0 本日ここまですー感想とかくだしあー 題名募集しまくりんぐですよ本当に! でもまあ、前とくっつけた感じにした方がよさそうですね。 次回、趙雲VS夏候惇 ご期待くださいませませ。
475 :青ペン [sage]:2020/09/11(金) 00:27:40.49 ID:WeajKTWzo >>474 乙ーい。 そうねー、繋げた方がしっくり来そう。 んで、【洛陽を血に染めて〜天子の唄〜】とでも。
476 :赤ペン [sage saga]:2020/09/11(金) 11:54:49.72 ID:u6lrHLbC0 乙でしたー >>473 >>この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 この場合【それ(この勢力)を袁家が後ろ盾になるということを】となるとちょっと接続詞に違和感が ○この勢力。それに袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 の方が良いと思います >>いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、 どんだけ潰したいんだよってくらい【ある】連呼してますがちょっと読みづらいかな ○いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかという思いもあるのである。そうではあるのだが、 この場合は郭嘉の心情が《やれるなら積極的にやりたい》のか《やれるならまあやってもいい(あるにはある)》のか《やれるならやりたくはないけどやらざるを得ない(ないではない)》のか 将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな 尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ >>くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。 あぁ〜「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。
477 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/13(日) 06:12:50.42 ID:+BcfcCX80 >>475 どもです。 >そうねー、繋げた方がしっくり来そう。 やっぱりそうですよねー あっちと繋げていこうそうしよう >んで、【洛陽を血に染めて〜天子の唄〜】とでも。 洛陽入れたいなー血に染めてもいいなー ヨシ! >>476 赤ペン先生いつもありがとうございますー! >将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな 言われてみれば確かにそんな感じですね。しかし英傑の対比に袁紹が出てくるのが珍しいことよ。。。普通は孫権だもんで >尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ 出ると負け軍師。。。 田豊と沮授の派閥が勝ってればなあ。いや、史実で曹操が負けると困るんですけどね >あぁ〜「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。 高笑いだけじゃないんです!しっとりできるんです!やはり麗羽様が出ると持って行きますね
478 :赤ペン [sage saga]:2020/09/14(月) 09:22:16.41 ID:pKnfVT8o0 えっ孫権?…こいつならできると知ってるから将を任せる。もし失敗するなら私が知らない何らかの要因があったせいだから私が悪い 多分これを無意識で行ってるタイプ
479 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/14(月) 22:18:15.84 ID:MO/NhoCH0 「な、なんだってんだ……?」 端的に言って馬超は混乱していた。なんとなれば、洛陽を守護するが如く袁家軍は布陣しているのだ。そして士気も高い。見ただけで分かる。あれを抜くとなると苦労しそうだ。そんなことを思うほどに。 「お姉さま、本気でそれ言ってる?」 呆れたような馬岱の台詞に馬超は柳眉を逆立てる。 「当たり前だろう!あれじゃあ、喧嘩を売られているようなものじゃないか!」 はあ。と馬岱はこれ見よがしに、ため息を通常の三倍くらいに増量して吐き出す。 「ええとね、お姉さまが本気でそう言ってるのはさ。たんぽぽも分かったよ。分かりたくなかったけど。 うん。これには流石にたんぽぽもびっくりだよー。ほんとにね。 だってさ、昨日、張勲さんが来てたでしょ?」 じとり、となんとも言えない馬岱の視線にさしもの馬超もたじろぐ。 「そ、それはもちろん覚えてるぞ。酒肴をたっぷりと持ってきてくれたことも」 戦場暮らしには慣れているとはいえ、袁家秘蔵の火酒に、戦場食とは思えない料理の数々であったと馬超は頷く。 「そうだよねー。お姉さま、それで気持ちよく酔っぱらってたもんね。むしろ酔いつぶれてた気配すらあったもんね。 張勲さんの相手とかぜーんぶたんぽぽに押し付けて、さ」 「な、なんだよ」 「ほんと、覚えてないんだなあってさ。 昨日張勲さんが言ってたじゃない。諸侯軍の不埒な動きに対するために洛陽へは入らせないって。 それで、お姉さまが漢朝、官軍と相対するのはいかがなものかって言ったから、馬家軍は静観することになったじゃない」 ちなみにここまでの馬岱の言説は虚実入り混じったものである。 「そ、そうだったか?」 焦り気味の馬超の態度に、上手く思考誘導ができたかと思うが気を緩めるわけにはいかない。 「そうだったよ! ほんとにもー。ひょっとしたらと思ったけど、そこまで前後不覚になったのはまずいんじゃないかなあ。 気を緩めすぎだよ」 尚も言いつのろうとする馬岱が口を開く前に馬超は言葉をかぶせる。 「む、曹家軍が動いたか」 若干以上の後ろめたさを隠すように、必要以上に声高に曹家軍の動きを口にする。 「なんだ。五百もいないぞ。だが、率いるのは夏候惇。それに……兵に混じって夏侯淵もいるな」 流石の眼力だ、と馬岱は内心で従姉を賞賛する。何かを糊塗するかのような態度さえなければ実際大したものだと感銘を受ける者も多かったであろうに。 そして張勲の言説通り、場を動かすのは曹家軍だったかと状況を認識し、覚悟を決める。 なんとなれば、内々に張勲の口から馬家軍は仮想敵として想定されているというロクでもない情報がもたらされているのだ。 これを目の前の従姉が知ったならばどうなるか。いや、普通に暴発するだろうなあと馬岱は思う。 「もー、どうにでもなあれ」 馬岱の本音である。が、状況はそれを許さない。 「あれは、趙雲か」 単騎で曹家軍に対峙する白装束の武将。それは。その人物こそは。 「うん。一騎当千、だね」 ごくり、とさしもの馬岱も生唾を飲み込む。 単騎であの呂布と渡り合い、退かせたのだ。呂布の武勇は涼州にて轡を並べた自分たちが一番よく知っている。あの、呂布だ。呂布なのだ。あの人外と言っていい、いわば化け物と単騎で打ち合い、退かせたなぞ。 実際ありえない。だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。 そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。 ◆◆◆
480 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/14(月) 22:18:42.63 ID:MO/NhoCH0 「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある! いざ尋常に応えられたし!」 見事な口上である。なにより見事なのはその声量だ。戦場においては声量というのは馬鹿に出来ない。その指示を行き渡らせるに必須の、或いは将としての素質。 「問おう。何故に洛陽への道を閉ざすのか」 朗々と響き渡る夏候惇の声。だが、対する趙雲の声も負けてはいない。玲瓏たる響きは、質こそ違えど敵味方問わず浸透する。 夏候惇が雷鳴ならば趙雲は地鳴り。腹に響き、否応なく認識するそれ。袁家の古参は雷薄を連想した。そしてそれは正しい。 「おや、曹家には伝わっていなかったかな。 数万に及ぶ軍勢を容れる準備なぞ洛陽にはない。無用の混乱は求めるところではないだろう」 その言に夏候惇はにまり、と口をゆがめる。 「笑止!それならばそれで構わんとも!だがな!いささか勝手がすぎるというものだろうが」 趙雲は、それがどうしたとばかりに。 「は、既に諸侯軍のはねっかえりどもが凶行に及んでいるがな。それを知らぬとでも言うのか」 「知らんな。知っているのはそう、貴殿らがこともあろうに禁中にて血を流したことくらいか。宦官誅滅とはまた思い切ったものだ、な」 ◆◆◆ 「何だって!」 驚愕、それが激昂となる直前に馬岱は口を挟む。 「そっかー。二郎様ってば、ようやく仇を討てたんだね。よかったよー」 気勢を逸らされた格好の馬超は馬岱に問いかける。 「ちょっと待て、どういうことだ?」 馬岱は苦笑しつつも言葉を選びつつ宦官と袁家……紀霊との因縁を語る。 それを聞き、馬超はむむむ、と唸る。 「だからね、二郎様は本懐を果たしたんだよ。ようやくね。 うん。ようやっと、だね」 いつになくしおらしく、しんみりとした馬岱。その双眸には、涙すら浮かんでいる。 いつもおちゃらけている態度、へらへらとしている馬岱。だからこそ、その涙は馬超の胸を打つ。 「そうか……。そうだな。それは譲れない、よな」 自分とて父たる馬騰の復讐に燃えていたのだ。その心根は痛いほどに分かる。 そして、願わくばあの青年が、復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。 彼女は心の底からそう願う。 「それはそうとして、曹家は収まらんだろう。いや。だからこそ夏候惇が出たのか」 宦官をその支持基盤とする曹家。宦官を誅滅するということは曹家に喧嘩を売るに等しい。 洛陽という果実を目の前にしてお預けを喰らっている諸侯軍の不穏な空気を背負い、仕掛けるつもりかと馬超は訝(いぶか)る。仲間内で争っている場合かよと内心呆れる。 ……この時馬超にこの場をどうこうしようという発想はない。それを認識して馬岱は内心安堵する。 これでよい、とばかりに。やりきった、とばかりに。 そしてこの場を支配する二人がどうこの場を動かすのかと無責任に好奇心を優先させることにする。元来、あれやこれやと思い悩むのは向いてないのだ。 ◆◆◆
481 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/14(月) 22:19:08.80 ID:MO/NhoCH0 「ほう、曹家には順風耳がいるようだ。そしてそれはご不満かね」 あからさまに挑発混じり。 その趙雲の台詞に夏候惇は答える。 「正直、私個人としてはどうでもいい。主たる華琳様に乞うてまでこの場にいるのはな。 一騎当千と謳(うた)われる貴殿と手合せをしたいからよ。かの万夫不当を単身追い返した貴殿と、な。 まさか、否とは言わんだろう?」 ちゃきり、と七星餓狼を構える夏候惇。 「曹家の大剣たる貴殿のお誘い。 無論受けるとも」 くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。それを手にして構える。 ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。 「先手は、譲ろう。 いざ、尋常に」 ◆◆◆
482 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/14(月) 22:19:36.05 ID:MO/NhoCH0 「よくぞ言った。では、遠慮せん!」 突風。或いは暴風であろうか。夏候惇の一撃を趙雲は辛うじて躱す。 「おおおおおおおおおおおお!」 雄叫びと共に繰り出される一撃には一見隙がありそうなものだが。 「ちいっ!」 必殺の斬撃が迫る。躱せば続いてまた必殺の一撃が襲いかかる。暴風のような連撃。それはいずれも、掠るだけで致命傷になりかねない。それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。 「なるほど、これは厄介極まりない!」 思わず愚痴と称賛の入り混じったものが漏れる。 自分の武が夏候惇に劣るとは思わない。少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。 「どうしたどうした!」 必殺の一撃。夏候惇は次々と斬撃を繰り出す。 「なんとぉ!」 心ならずも紙一重で躱す。そして僅かな猶予で反撃を図るも。 ぞくり、と背筋に悪寒が走る。 「おおおおおおお!」 刹那の硬直。それを見逃す夏候惇ではない。次の一撃を繰り出してくる。 「これは下がって、下がりまくるしかないか……」
483 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/14(月) 22:20:21.34 ID:MO/NhoCH0 誰ともなく趙雲は呟き、巧みな運足でその身を隠す。誰あろう夏侯淵から、である。 だが、それでも、だ。夏侯淵の視線は明確な殺意をもって趙雲を視線のみで貫く。 一矢一殺。 その妙技も恐るべきものではある。何せ人馬一体となったあの呂布をして愛馬を喪わせたくらいなのだ。そして趙雲は舌打ちを重ねる。 いっそ可視化できるくらいの殺意。全身を貫く射線。瞬き一つのうちに貫かれるという確信。一歩、二歩と技巧の限りを尽くして距離をとるくらいしか対策はない。 「正直、たまらんな……」 不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、夏候姉妹の連携は完璧であった。これが実戦ならば、と思うと暗鬱としてしまうほどである。 「はっはは!見事。小手調べでは失礼だな!ならば受けよ、必殺の一撃を!」 す、と夏候惇は腕を上げる。 それまで絶えず趙雲を捕捉していた殺気が霧消する。ほ、と息を吐くその瞬間に押し寄せる気迫。 「おおおおおおおおおおお!」 その艶やかな黒髪が逆立つのを幻視すらするほどの気迫。天を衝かんばかりの気迫と共に夏候惇は愛刀である七星餓狼を振りおろす。 「く!」 殺った。その確信をもって振るうその一撃。それを振り下ろそうとするその瞬間。悪寒が夏候惇の背筋を駆けあがる。咄嗟に斬撃の勢いそのままに前方に転げてその悪寒を躱す。 「小癪な!」 再び、必殺の一撃を放とうとするが。 「なんとぉ!」 確かに先手を取ったはずの夏候惇を趙雲の一撃が襲う。無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。 「面妖な……」 吐き捨てながらも、夏候惇は沸く。纏わりつく死の気配。ここまでの武芸者に会えたという幸運、更には矛を交えているという僥倖。 ニヤリ、と口角を吊り上げてただ目の前の獲物を屠るために全身全霊を特化していく。 我こそは曹家の大剣。ならば断てぬ者はなし。 乾坤一擲。例えこの身が儚くなろうとも、だ。骨を斬らせて命を絶つ。それこそがこの身の在り方。 趙子龍よ。 我が必殺の一撃、受けてみるか。 「姉者!」 そんな夏候惇の思考を断ったのは妹の叫び。窘めるような、それでいて必死な響きが夏候惇の物騒な思考を遮る。 そうだ。そうじゃあなかった。忘れていたわけではないのだが。 残念無念。しかして自分の存念よりも大事なことがある。あるのだ。 「ふ、はは!見事。流石一騎当千の異名は伊達ではないな! 本気で貴公と命のやり取りを楽しむ心算であったわ」 ふう、と一息吐いて趙雲は応える。 「ふむ。ご満足いただけたかな?」 ニヤリ、と双方が笑みを浮かべる。視線は互いに逸らさない。 そして数瞬の火花。だが、口を開いたのは夏候惇であった。 「馳走になった。 いや、かの万夫不当を単騎で退けた武威、確かなり。 いやさ。いずれまた手合せ願いたいものだ」 ほう、と頷きながらも趙雲は構えを崩さない。 「ご満悦のようだが、それでいいのか?」 むしろ趙雲が訝しげに問う。 「なに、あれこれ能書きを垂れたがな。それもこれも貴公と遣り合っていたらどうでもよくなった。 第一、だ。我が主華琳様は賢明なお方だ。 どうして漢朝に弓引くことあろうか」 呵呵大笑して夏候惇は宣言する。 「これより曹家軍は洛陽の守護者となる。聞いたぞ、知ったぞ! 無辜なる民を締め上げて私腹を肥やす、肥やそうとする者ども! この夏候惇の目が黒いうちには好きにはさせんぞ! 命が惜しくないならばかかってこい!」 吠える夏候惇の気迫に圧されたのか、集う諸侯から異議が出されることはなかった。 ――反董卓連合の、勝利が確定したのはこの時であった。というのが通説である。
484 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/14(月) 22:21:47.96 ID:MO/NhoCH0 本日ここまですー感想とかくだしあー 題名募集しまくりんぐですよ本当に! だって「星VS姉者」とかが原案なんすよ ぼすけて ぼすけて
485 :青ペン [sage]:2020/09/15(火) 03:19:53.65 ID:eE1JbzrDo >>484 ほいほい乙乙 【拳で語るは大義名分】といったところ?
486 :赤ペン [sage saga]:2020/09/15(火) 12:43:44.96 ID:dNheb2OA0 乙でしたー >>479 >>だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。 間違いではないですが好みの問題で ○だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられるわけがない。 否定からの肯定よりも肯定からの否定の方が印象が強いかな、と >>そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。 引き裂かれた思いとか失恋っぽいw ○そして、趙雲に対する思考を清冽な声が切り裂く。 【引き裂く】だと《ビリッ》て感じですがこの場合は【切り裂く】で≪スパっ≫て感じの方が合いそうかな >>480 >>復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。 復讐は何も生まない…だからお前はそんなものに囚われずに生きろ(親の仇を殺したらその子供がいたので言ってみる) ○復讐という不毛な感情から解放されてほしいものだ。 すっきりしたぜえ〜まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ〜 >>481 >>くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。 【螺旋】って雑に言うとドリルみたいなものよね?…魔改造した?それともヒュンケルのブラッディ―スクライドみたいな動かし方を手元でしてるのかしら。大穴は螺旋をペイントしてるとか ○くるり、くるりと円を描く愛槍龍牙。 むしろ【くるり、くるりと愛槍龍牙で円を描く。】の方が良いかな?イメージは風車というか新体操のバトンみたいな?合ってるかわかりませんが >>ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。 【見栄】は張るのが一般的かな(虚勢をはる。みたいな意味(見栄っ張り)です)多分感覚的には無いものを有るように見せる? ○ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見得を切る。 歌舞伎とかの《大見得を切る》から来るらしいですが大げさな声や動きで耳目を集めるというか…多分感覚的には大きいものをより大きく? >>482 >>それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。 これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか? ○それを趙雲は軽やかに躱す。ただし辛うじて、だ。 もしくは【それを趙雲は辛うじて躱す。だがその顔はあくまでも涼やかだ。】先手を譲ったからには内心はどうあれ格好つけるかな?ということでこんな感じでどうでしょう? >>少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。 これ最後のはちょっと後の夏侯淵の殺気に掛かってますよね ○少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは……。 単純に夏侯惇への称賛に繋がるなら【追い詰めるとは。】が良いと思いますが【……】を付けて含みを持たせて(何かある)と読者に思わせるのが良さそうかな? >>483 >>不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、 【無敵】が本領とか【全知】が本領の伏龍じゃないんだから ○不敵で無敵を自負する趙雲ですら弱音を吐くほどに、 《私は不敵で無敵だ!》と思っててそうあろうとしてる。みたいな印象なので【自負】かなあ? >>無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。 悲鳴を上げるから軋むんじゃない。軋むから悲鳴を上げるのだ(どやあ) ○無理やりに躱すその動作に頑強な身体が軋(きし)み、悲鳴を上げる。 冗談はともかく実際に《ミシミシ》とか《メキメキ》とか夏侯惇が聞こえたならこうで、前後逆にしないなら【悲鳴を上げるように軋(きし)む】こっちなら(音がしそうだ)と思ってる感じですね 拳っていうか剣で語ってた…で良いのか?(汗)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが 実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか…ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない?
487 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/15(火) 21:37:29.08 ID:1UTVWaR70 >>485 どもです。 >【拳で語るは大義名分】といったところ? やだ、かっこいい。。。 ジャンプとかで連載されてる気分になってしまったのことですわよ。 こういうの、思いつかないのだよなあ。妬ましい。 折角だから熱い感じにしたいですね! >>486 赤ペン先生いつもありがとうございますー!ほんと。 >すっきりしたぜえ〜まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ〜 流石に草不可避w > これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか? これ、わざとぼかしてます。どこがキモかは解釈次第と。分かりやすい方がええかなあ。。。 >)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが これは、はおーも二郎ちゃんも理解の外じゃないかなあ。。 >実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか… これは一騎打ちをどう考えるかという読み手様の解釈次第と思ってます。 まあ、一騎打ちシーンはKOEI三国志で実際テストプレイしてるんですよね。無駄に。 三人まで参戦できるアレです。 >ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない? 当時のダイスロール判定がね。本当にね。 困ったものです
488 :赤ペン [sage saga]:2020/09/15(火) 22:27:51.70 ID:dNheb2OA0 ああいや、この場合の主二人が知ってることっていうのは武人という人種は千の言葉よりもただ一合で分かり合うことがあるんだろうなあ…みたいな、自分とは違う考え方があることを知ってるというかそういう感じで
489 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/15(火) 22:42:09.61 ID:1UTVWaR70 「はいはい、押さないでくださいねー。商品はたっぷりとありますのでー」 洛陽の市街は、端的に言って大混乱であった。これまでの禁足令が解かれ、それまで欠品続きで開店休業であった商店にも商品が溢れているのである。洛陽の民はここぞとばかりに商店におしかけているのだ。 無論、この機に乗じて不埒な暴利を貪る者や、正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。 なにせ、だ。どうせ物資はふんだんにあるのだからして、いずれは適正価格に落ち着くであろう。そして、不埒な商売をするような商店はしっぺ返しをくらうものである。とはいえ。 「はいはい、ちゃんと並んでね。並んでねってば。この、この!ええい!」 そのような道理なぞどこ吹く風と、店頭で魯粛に絡むような不埒者も出てくる。矮躯(ミニサイズ)な魯粛を与しやすしと見たか、掴みかかって店頭の商品を掻っ攫おうとする者も出てくる。 「てい、てい!てややー!」 掴みかかる巨漢すらを、魯粛は軽やかに叩きのめす。的確に加えられる打撃は見事なものであり、程立は感嘆の声を漏らす。 「おお、これは結構なお点前で〜」 「や、それほどでもあるかなー。 まあ、実際これくらいできないと荒れた江南では生きていけなかったからねえ」 感慨深く呟く魯粛。片手間に数人の暴漢を叩きのめす。 「実際、本当に飢えた集団ならこうはいかないからねえ。流石に幾度も組み伏せられたよ。多勢に無勢ってね。 女でよかったと思うのはそんな時さ。殺されはしないからね」 きゃらきゃらと笑うその表情に暗さはない。修羅場をくぐるどころか、身を浸していた凄味がそこにはある。 「でもまあ、元気すぎるのも困るなあ」 雲霞の如く湧き出る不埒者にさしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。 可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 「ぐう」 「寝るなー!」 「おお、寝てました!」 実際どうしようもないのだ。ある程度の混乱は致し方ない。 ただ、自分がそこに巻き込まれるのは避けたかったのだが、そうも言っていられない。状況は加速度的に悪化していた。 そして混乱に立ち向かう魯粛とは違い、実際逃げるしか方策はないのではある。流石に圧倒的な数の暴力にそれすらも果たせそうにない。文武両道の魯粛と違って正真正銘無力であるので、いささかまずいことになったなあと思っていたのだが。 「噴(フン)!」 人とは、空を飛ぶものであったか。それも航続距離は凄そうだ。 「破!」 また一人、大空に飛び立った。まさか人の手によるものとは誰も思うまい。だが事実だ。 その異常事態をもたらした青年に程立は親しげに語りかける。 「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」 フン、と鼻で笑い張?は次々と不埒者を叩きのめしていく。その勢いに押されたか暴徒予備軍の不埒者たちは沈静化していく。わざわざ派手に吹き飛ばしたのはこの効果を狙ったものであろう。
490 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/15(火) 22:43:10.37 ID:1UTVWaR70 「その軽口が叩けるのであれば加勢の必要はなかったか」 「いえいえ、実に助かりました。危機一髪という奴でしたね〜」 呑気な程立の口調に張?は苦笑する。 「ですが、張?さんがここにいるということは」 「うむ。禁裏については片が付いた。万事滞りない」 それはなによりと程立は安堵の息を漏らす。万全たるべく動いてはいたが、実際に事が起こると、何が起こるか分からない。 「では?」 「うむ、張家の手勢は洛陽の混乱を収めるために動いている。私がここにいるのもその一環だ」 ふむ、と程立は頷く。恐らく民衆の暴動を防ぐべく、張家は奔走しているのであろう。その功績は大きいが、史書に記されることもないであろう影働きである。 「では、劉弁様はご無事で?」 「うむ。そうだな。だが、予想外の事態に混乱してはいるのだ」 張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。 程立は僅かに眉を寄せる。 「ほう、君が主体となっての排除劇ではなかったのか」 口を歪ませて張?は問う。 「いえいえ。劉協様と皇甫嵩さんの離間工作。それなりに布石は打っていましたが、まさかに……」 二虎競食の計とか色々考えていたのだが、仕掛ける前に結果が伴うとは。それも双方の退場という結果で。 「なんということでしょね〜」 くふ、と一声笑って程立は思考を進める。茫洋としたその表情からは、何も読み取ることはできない。 「洛外については、稟ちゃんが上手くやってくれたようですし、ここからは時間との戦いですかね〜」 実は程立と郭嘉は洛外においての諸侯軍への対応において意見が分かれていた。程立は袁家とその友好軍閥の武威を以って圧倒すべしと主張し、郭嘉はむしろ袁家単独で当たり、軽挙妄動する諸侯を炙り出し、殲滅すべしと主張していた。 そこで決を下したのは紀霊である。 人死には少ない方がいいというその言に郭嘉は大いに思うところはあったようであるが、一先(ひとま)ずはその方針に沿って動いてくれたようである。 「既に朝廷は紀霊殿が押さえた。軟禁されていた者も解放、或いは確保している」 ふむ、と程立は頷く。そして目線でさらなる報告を促す。 「ああ、無論董卓殿の身柄も確保しているとも」 にまり、と張?は歪んだ笑みを浮かべる。 「健気、であったな。いや、彼女を憐れんでいるのではない。それは彼女に失礼だろう。いや、立派なものであった」 狭い室内に監禁され、疲労の色が濃いながらもその瞳には力が宿って張?を見据えて貫く。静かで、それでいて真摯に響くその声。その声には自然と耳を傾けてしまう。 なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 「惜しい、と思うのは感傷かな」 くふふ、と程立は笑う。 「まさか張?さんからそのようなお言葉が出るとは、ですね〜。ただまあ、袁家には必要ないかと〜」 穏やかな口調で程立は、ばっさりと切り捨てる。 「それに、二郎さんが決めたことを蒸し返しても致し方ありませんしね〜」 くふ、と軽く。軽く笑って程立は身を翻(ひるがえ)す。 きっとあの青年はやると決めたことは全部やって、それで勝手に傷ついているに違いない。 泣いているかもしれない。喚いているかもしれない。それでもやらねばならないことはやっているであろう。 だから、自分が。紀霊の軍師たる自分の出番である。そう程立は思う。 「後はお任せしましたので〜」 魯粛に言い捨てて禁裏に向かい歩き出す。 その歩みは、いつも通りであった。
491 :青ペン [sage]:2020/09/16(水) 00:29:42.96 ID:ht3ZMhX8o >>487 青ペン流タイトル講座 1)印象的なシーンをひとつ見つけます (今回は趙雲vs夏侯惇)→拳で語る 2)そこに至る経緯を探ります (今回は何故袁軍のみで洛陽を制圧保護したのか)→大義名分 3)組み合わせます ざっくりこんな感じ。 メインとなるシーンをひとつ見つけると楽しめます、はい。
492 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/16(水) 06:04:46.94 ID:gOPBOXyi0 ◆◆◆ 「ほいさ、任されたともー」 軽く応えながら、その責任の大きさよ。洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。 「って、張?さんもどっかにいっちゃうとか!」 まあ、程立の護衛と考えれば妥当ではある。あるのだが。 「何気に、めんどくさいことを押し付けられた気がしないでもないなあ」 まあ、信頼の証さとばかりに魯粛は思考を切り替える。 「ま、餅は餅屋と任されたんだから、見事やって見せましょう!ってね」 そう。洛陽の混乱が早期に治まったのは、魯粛の手腕に依るところが大きかったというのは定説であるし、事実でもあった。
493 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/16(水) 06:05:32.16 ID:gOPBOXyi0 ◆◆◆ 反董卓連合により――正確には紀霊により禁裏が制圧され、「正当なる皇帝」たる劉弁が無事保護されてより二日後。それまでは袁家のみが立ち入りを許されていたのだが、袁家に近しい諸侯も洛陽に入ることが許されている。 治安維持が名目であるが、慰撫を兼ねていることは明白である。人数にすれば万に満たないが、彼らは大いに羽を伸ばしている。無論、きちんと治安維持に努める者もいるのだが。 「はいはい、ちゃんと並んでねー。まだまだご飯はあるからねー!」 輝かんばかりの笑顔で声を張るのは劉備。 「あらあら、張りきっちゃって」 「なに、可愛いものじゃろうて」 その様子を温かく見守るのは黄忠と厳顔である。 「でも、中々できることじゃないわよね」 黄忠はそう言って目を細める。なんとなれば、劉備は乱れた洛陽。そこで困窮する民のために炊き出しを行っているのだ。それも、驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ! 「そうさな。わが身のみを考える者ばかりの世情で、あのような娘もいる。中々に捨てたものではないな」 そしてその劉備の炊き出しに黄忠と厳顔は深く関わっている。黄忠は荊州より運搬してきた糧食の一部を融通し、厳顔は関係各所への根回しと、作業に当たる人員への指示統括で、だ。 「ええ、そうね。ほんと、そう思うわ」 そしてその劉備がご主人様と慕う青年について自然と語り合う。 「不思議な男の子、よね……」 「然り。然りよな。 皆が笑って暮らせる世を、か。劉備にしろ、北郷一刀にしろ、ああまで理想に向かう姿は眩しいものよな」 ふ、と笑い合う。 「禁裏までもが血に染まる。劉姓として思う所もあるでしょうにね……」 「ほう、思う所があるのは貴殿ではないのかな?」 黄忠は厳顔の問いに曖昧な笑みで応える。だが。 「でもね、ああまでまっすぐに求められたら、ちょっとは心が動かない?」 貴女たちの力が必要だと、愚直なほどに。 北郷一刀、そして劉備から誘われたのだ。道を同じくしないか、と。 「まあ、今更地位や名誉を求めようとは思わぬが、な……」 流石に、と言うか、だ。 「せめて太守くらいになってから言ってほしいものだが、な」 恐れを知らぬとはこのことであろう。何となれば黄忠も厳顔も皇族と言っていい程に由緒正しい劉家に仕えているのだからして、と厳顔は苦笑する。
494 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/16(水) 06:05:58.58 ID:gOPBOXyi0 「あら、でも、あの子、ね」 くすり、と黄忠は艶やかに笑う。 「あの錦馬超にも粉をかけたらしいわよ?」 「なんと!」 厳顔は驚愕する。まさかに、名門馬家の当主に? ……正直その場で切り捨てられてもおかしくはない所業だな、と厳顔は言葉を失う。 「それでね、まんざらでもなかったって話よ?」 「なんと」 わけがわからない。厳顔は内心頭を抱える。馬家を背負う小娘はもっとこう、短慮で狭量であったと思うのだが。だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。 「天運の相、か」 「何、それ?」 かつて主君から聞いたことがある。天に愛され、竜が如く雲を集めるという英雄の相。人呼んで天運の相。 「いや、なんでもない。 ……で、話題の北郷一刀は?」 劉備に給仕なぞさせてどうしているのか。 「さあ?何か気になることがあるとかないとか……」 可愛らしく小首を傾げる黄忠に厳顔は苦笑する。一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。 ……まあ、黄忠がその、厳顔の内心を知れば「お互い様」と苦笑したであろうが。 なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。それは二人に共通した思いであった。
495 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/16(水) 06:06:34.77 ID:gOPBOXyi0 ◆◆◆ 「何も皆殺しにすることもないだろうに……」 北郷一刀は、呟く。 諸葛亮がもたらした情報。宦官を誅滅したというそれ。その非道、悪逆に彼は心を痛める。 なにも殺すことはないじゃないか、と。 諸葛亮にしてみれば、納得しかないのではあるのだが。 様々な逸話から察する紀霊の性質において、読み取れるのは激情。そして身内への愛情。 ならば、禁裏において武力を以って何進を排除した宦官。それを紀霊が放置するわけもないのである。 なんとなれば、彼が、否。袁家の幹部が溺愛する袁術が入内するのだ。気に入らぬからといって暗殺に走るような存在を、かの怨将軍が許すはずもない。まあ、それを進言して主の機嫌を損なう必要もない。これは自分と親友たる鳳統が把握していればいいことである。 そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。 「鈴々、くれぐれも気を付けてな」 「大丈夫なのだ。お兄ちゃんはどっしりと構えていてくれたらいいのだ」 気になることがあると言って、張飛と諸葛亮を引き連れて洛陽を巡っていたのだ。いや、密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、自信に満ちた彼の言うことにはなぜか頷いてしまう自分がいるのだ。 ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。袁家の助成にいち早く立ち、ことによれば馬家と矛を交える可能性すら飲み込んで至誠を尽くした彼女の、だ。 洛陽の困窮した民に炊き出しをしたいという劉備の願いは届き、そして。 「いや、確信はないんだけどさ」 それでも、必要であると断じたのだ。天の御使いたる北郷一刀が。ならば、と諸葛亮は思う。まあ、彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。 「お兄ちゃん!あったのだ!これだと思うのだ!」 そして北郷一刀は、とある涸れ井戸から玉璽と七星刀を発見する。 ◆◆◆ 「こ、これが伝国の玉璽……」 流石に諸葛亮も目にするのは初めてである。そしてその重要性を把握しているのはこの場できっと自分だけであろう。四百年にわたって連綿と続く漢朝。その権威を担うのがこの玉璽なのだ。 触れたいような、触れたくないような。その、内心の逡巡を身体は裏切る。気づけば両手を伸ばして。 それを見た張飛が無造作に放り投げる。 「わ、わ!」 取り落しかけて諸葛亮は必死に受け止める。 「ひゃ、ひゃう……。 ご、ご主人様。玉璽に七星刀。いずれもお金では買えない、秘宝です。どうするおつもりなのでしゅか……。 あ、噛んじゃった」 はわわ、と狼狽える諸葛亮の様子に笑みを漏らしながらも北郷一刀は答える。 「そうだな。とんでもないお宝だ。漢朝にとっては特に、さ」 だから、さ、と北郷一刀は笑う。 「きっとさ、これだけの貴重なお宝だ。きっと月と詠を購えると思うんだよ」 「ご主人様……」 「流石お兄ちゃんなのだ!」 諸葛亮と張飛はそれぞれに反応する。そこに含まれる音響には差異があれども、共通するのは主への讃辞。 「早い方がいいでしょう。早速動きます。ええ、董卓さんや賈駆さん達はこのような……、このようなところで喪っていいわけがありません」 救わなくてはいけない。救えるかもしれない。救えるだろう。いや、救うのだ。 董卓を、賈駆を。呂布を、張遼を。 「細かいところは朱里に任せるから、さ」 頼んだ、と頭を下げる北郷一刀に諸葛亮は胸を熱く。 皆が笑える世を。きっと。
496 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/16(水) 06:07:02.37 ID:gOPBOXyi0 久々寝落ちしておりました 感想とかくだしあー
497 :青ペン [sage]:2020/09/17(木) 00:24:52.11 ID:dDhP3NEBo >>496 独断の行動が凶と出そうな気がするんだけどねぇ… 【使徒が知る術もなき鬼神の想い】といった感じかな…
498 :赤ペン [sage saga]:2020/09/18(金) 18:26:52.15 ID:GEKwW4RT0 乙でしたー >>489 >>正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。 これは《枯れ木も山の賑わい》みたいな意味で使ったのかしら? ○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれは徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。 意味としては《どうせ無駄》みたいなものだからこうかな? ○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だが例え徒花(あだばな)であろうと咲くことは出来た、そう程立は思うのだ。 今まではそれすらできないほど疲弊してたから《これもまたよし》みたいな感じでこうかな? >>さしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。 可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 【どうしたものか、と。視線で問うてくる。】だとちょっとリズムが悪いかな ○さしもの魯粛も苦笑する。 どうしたものかと、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 もしくは ○さしもの魯粛も苦笑して、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。 それとも【苦笑しながら】の方が良いかな? どうしたものか、と。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 >>「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」 ケアレスミスですね ○「いや、助かりました。それともお見事なお手前と言った方がよろしいのでしょうか?」 【お点前】だとお茶の作法になるらしいので >>490 >>「なんということでしょね〜」 喋り言葉だし間違いではないですが ○「なんということでしょうね〜」 の方が良いと思います >>なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 申し訳ないがNTRはNG ○なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、賈駆の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 曹操からさんざん二郎がNTRしてる?先に唾つけただけだからセーフ >>492 >>洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。 凹凸が無いとわからグシャ ○洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛もぶる、と身を震わせる。 むしろ【流石の魯粛も、ぶるっと身を震わせる。】とか?擬音無しで【流石の魯粛も一度大きく体を震わせた。】とかかな >>494 >>だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。 馬騰さん亡き今、で考えてるのかもしれないけどそこには昔何進、馬騰、紀霊の繋がりがあったから迂闊な事すると大義名分振りかざされるぞ ○だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手中に収めることも容易であると思っていたのである。 慣用句としてはこうですね >>なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。 つい先日まで戦争してたんだし禁裏は今も血まみれだろうし事ありまくりでは? ○なんにしてもまあ、戦は終わった。まことに結構なことである。 【怒号は聞こえず、徴兵される子供や、飢えて死ぬものもいない。】とか入れるのもありかな? >>495 >>そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。 ちょっと【、】が多いかな ○そして、その北郷一刀は何をしているかというと、である。 まあちょっと憚られることをやってる感じを出すなら上の方が良いですが…ぶっちゃけ火事場泥棒と似たようなことだし >>密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、 【密かに】なの? ○密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うところもある。あるのだが、 【が、】を一つの文で2回使うと違和感があるのでここは1回否定しない方が良いかな >>ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。 止めろ(迫真)何やってんだよ韓浩。そもそも初日の水関をどう落とす?の質問に反董卓連合は本当に正しいのか?と返したような輩に口添えしただけでもお前の株は下がり、その時に紀霊に会いに来たのが無位無官の風来坊で…っていう事の顛末は当然知ってるよな?報連相的に。袁家への恩と義理を考えたら恥ずかしくってとてもできることじゃねーぞ ○ちなみに、この混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。 「前回私は二郎に桃香の面会をお願いしたつもりだった、それを勝手に私が勘違いしたというなら、なるほど私の不徳だろう。だからこそこれ以上私は彼らに恥知らずな真似はしたくないのだ」とか真摯に断れよ。恩人に無礼を働いた友人から口添え頼まれてもっかい泥塗られて更にまた力添えとかどんだけ恩人を軽く見てるんだよ >>袁家の助成にいち早く立ち、 これは経済的な援助ですね ○袁家の助勢にいち早く立ち、 肉体的な援助はこちらですね >>張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。 www描写無しに行間で死んでてさすがに草ですわ >>驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ! そいつらは何を食うんだ?まさかこの後で袁家に事情説明してタカリに行くとか…他人の飯を使って人気取りとかしてるわけないと言い切れないのがこいつらの恐ろしいところ >>一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。 子連れだからじゃないっすかね?未亡人なのかシングルマザーなのか知らんけど >>彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。 あ、アンサートーカーで…まあ知ってしまうとSAN値チェックですが。なんせご主人様がゲーム感覚で生きてるってことだからな(リアルでタンス漁るのが日常の可能性もあるけど) まさか公孫瓚前回一刀が紀霊に会いたいって言ったのを紹介してそれで終わりなわけないよね…100歩譲っても韓浩がそこに知らぬ存ぜぬするわけないし劉備を遠ざける理由ができたならきちんと報告するだろうし
499 :赤ペン [sage saga]:2020/09/18(金) 21:22:21.36 ID:GEKwW4RT0 今回はだいぶ地味様に辛辣な書き方をしてしまいましたが @昔公孫瓚の紹介で袁紹のもとを訪ねる。要件は前に公孫瓚が友誼の証として贈った剣を「もとは自分のものだから返せ」と、糧食の融通と引き抜き勧誘 A戦時中に≪反董卓連合盟主の袁紹が総てを預けたいわゆる全権代理人の≫紀霊への口添えを頼まれたがそれによって今までと何かが変わったところは無い 現代風に言えば大会社の社長が社運をかけたプロジェクトのプロジェクトリーダーに抜擢した専務に共同開発してる会社(規模は普通)の社長が新進気鋭の会社の古参社員(役職不明)を紹介したというワケワカメな状態…てっきり画期的な案でも出すのかと思ったら自分たちをプロジェクトの中心に使ってくれという…みたいな? B今回の件(表向き炊き出ししつつ裏で火事場泥棒) とかなりアレなんですよね。もちろんそれ以外の時にはいろいろと持ちつ持たれつしてるし洛陽防衛線で借りも作ってるけど 私が思うに公孫瓚ってかなり損な性分してると思うんですよ。自己評価が小さいというか、何かをしてもらったらそれ以上に返そうとしそうだったり、自分がやったことに対するお礼は最低限でよさそうだったり で、袁家はマンパワーが圧倒的だからぶっちゃけ義勇軍が力を貸しても袁家に対して恩返しにはならないわけで、今までに2回も迷惑かけたのと同じようなことをもう1回やるのかな? と疑問が生まれまして 100歩譲って公孫瓚が桃香への友情を重く見たとしても韓浩が袁家への恩義を説いて「どうしてもというなら自分たちが監督すべし」とか言ってきちんと力添えした責任を取らせないと(なおむしろやらかして公孫瓚と劉備の間に溝ができることを望む可能性 実際韓浩なら(、奴らならやらかす、袁家なら公孫を許してくれる)と踏んであえて監視網に穴開けそうなんだよなあ
500 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/22(火) 19:53:40.72 ID:3fRvTPE90 gotoしておりました。 浮世絵はやはりよいものだなあと思いながら。 あとciv6とFGOのイベントと充実したシルバーウィークでした。 >>497 >独断の行動が凶と出そうな気がするんだけどねぇ… 昨今は報連相が大事だということで、それはもちろんなのですが、 それはそれとして、独断専行も大事だったりしますよね。 結局結果が全てなんやなって(何かあったらしい) >>499 赤ペン先生いつもありがとうございますー! さて、色々ありがとうございますー。 そして、 >www描写無しに行間で死んでてさすがに草ですわ , -‐- 、 f r ⌒ ` 弋 、_ ≦ ≧  ̄ ミ 、 / ,′ ハ ヽ\ / ,.l ′ ./ / ! ト、 ', ', オ ,′ ./ | l ヽ / i! l /- 、! ム-‐ ∨ | l i! { | .,.ム ミ ', .,'≠ ‐ 、', | | !!!! . __', l 弋 (・) ` ', / ´ (・) .ノ ハ.リ__ Y三|.}ハ刈 ー‐ ´ ∨ ー ´| オ三W ',-‐ l从. //ハ i //ハ ハ / }‐-/ : : : : | 、 , |′: :/ ヽ≦l |.ヽ ⌒ ィ:} l≧.7 、- ―― ´: : | l: :|. ` . ー . ´. |:ハ .|、:`: . ―. .-. ァ ` 、 ―― ,゙オ l: i! . . . . . l': :| | ヽ ― -- 、 ´ ,′ \:| |: |‐- 、 , - ‐.l : | | / ', /:| |: l | : | |:`ヽ l | l: : | l: l l : l .l: : :l .| l ',ハ !:.', :. .:: l: :| l: : / ,′ ',. -―― ‐ 、. X i!: :| |: :ハ /_ / _. .| ハ 刈 !/: : ', D ,′ /ォ´/ / ォー―: ´ヽ:` 、 ` 、 : : ノlリ: : ο:} ,′ |`/ /:| || |:|. ',: : :Zヽ \ <:.:.:.:.:./ |: ¨: : |ノl,ノ:|. . ヽ :.:.:X会、ハ. 、 `ヽ′ , 乂ニニニ乂. . . ..`.ヽ_Y__∨: ヽ. ヽ ム _ / ハ ` ーヽ . . ≧-、 ___./__.', :\ /. -‐ 、`ヽ ', ー―――――: : : : : ; ̄: :ヽ.._/-‐: :´: ー-.^´ これはやっちまったやつですね。書いた記憶あってどっかにしまいこんでるのか? 両者の死に様については発掘もしくは執筆してお届け致します。 このご指摘はありがたいw そして地味様についてはね。そりゃストレスになるよなあというのが正直なところです。 色々と乱数処理したりしてみたのですが、カリスマピーチビームには勝てなかったよ。。。 頑張れ韓浩。 ということで一つ。
501 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/23(水) 06:25:56.08 ID:zQGkHpbR0 .. --- 、 . ´ ヽ / \ / / ヽ / / .i i .| │ ,' ,' /.. \|、 |i l/ | ',、\ l i イ´ / l .! | .,'| .l .| l │ | .l .| ./ l/ l / l ./ ヽ l | l あったよ!皇甫嵩のエピソード! _.', r | l./三三 |ノ 三三 ! / l ,'ヽ | !::::::ヽ| l |///////////|〈 | / 少し時を戻そう ヽ::::::::ヽ.| l U / l 'i ヽ ̄ .l |._ r ―--、 . ' | | l /:| l.:/l ― <i´ l l 〈::|:::::::/l |'| ヽ |,、\:!ヽ | | \:/.::| l へ\ l' .ヽ l::/ l l なのでちょっと勢いが落ちますがそこを挿入するとします 多分今夜
502 :赤ペン [sage saga]:2020/09/23(水) 11:59:58.34 ID:yOAsf52A0 劉協君は>>438で描写されてるんだけどねwこれからに想い馳せてると思ったら…だから笑っちまったわ
503 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/23(水) 21:59:26.50 ID:zQGkHpbR0 ,、r‐-――- 、 も , イ ヽ, ‐、 `ヽ`ヽ  ̄7´/ ム l\__ \ヽ ___ 今 う ,イ ,'^== \{ ==ヽ l iァ匕ノ l / " '‐'ー' "ト リ,r‐ァ"ヽ、 日 飲 7l八 ノ ∨ム'.|~ \ .//三|jーァ‐t―≠'//三、| \ \\ は ま. └――'┤/ハ /〈/ ̄`¨¨` ヽ 、 ヘ レΓ|V 人 `、 ヽ,ハ ね 入{ | /≧tz=、 ', W ,ィ 込 マ_t_x┘ ', } え. 〈=ィ´ ; \, \∧ |リ `' ヽ、 ^ ̄ ̄ ̄> l/ ° ~ー―‐''"´ / イイ感じに酩酊なので(やや強めのチューハイ350ml2本+500ml1本)節酒することにする! ここから焼酎が追い酒になるのをやめていきたいという熱い気持ち。 そしてやります。 >>439 の後に挿入するエピソードです。内容はネタバレというかやっちゃった案件なので皇甫嵩が死ぬお話ですね。 これは詫び石案件かもしれませんね。
504 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/23(水) 22:11:24.41 ID:zQGkHpbR0 「……始まったようだね」 風に乗って、喧噪――というには実態はもっと物騒なものだが――が耳に入る。 皇甫嵩は歩みを速める。起こっているであろう惨劇に巻き込まれてはたまらない。 向かう先は宮中の一角。かつて大将軍として辣腕を振るっていた、何進の別宅である。そこに、目的の人物はいた。 「ふむ、来客とは珍しい」 毛ほども動揺せずに華雄は皇甫嵩を迎える。 思えば軟禁生活も長いはずだ。だがその顔には生気――或いは覇気と言っていいもの――が満ちていて、流石の皇甫嵩が気圧されるほどである。 いや、だからこそだ。 だからこそ、このような逆境においても不屈。実に結構。もとよりその武。そして将としての才は確かなものである。あの馬家軍と遣り合って一歩も引かなかったのは――数の有利があったにせよ――伊達ではない。 「朝早くから済まないね。まだ寝ているかとも思っていたけども」 なにせまだ日が昇って間もない。軟禁生活であれば惰眠を貪(むさぼ)っていてもおかしくはない。 「フン、くだらん。あまり眠ると身体が鈍るからな」 事実、華雄はかつて何進に従っていた時と生活習慣を変えていない。そして覚醒しているその時間全てを鍛錬に費やしているのだ。 「まあ、元気そうで何よりさ。あ、これは差し入れってやつさ」 そう言って持参した酒を器に注ぐ。 なみなみと注がれたそれを華雄は一息で飲み干す。 「ふむ、五臓六腑に染み渡るとはこのことよな」 流石に軟禁生活で、酒なぞ呑めようはずもない。甘露とばかりに華雄はたちまち三度、杯を干す。 なに、毒ならば毒で構うものかとばかりに。 「して、今を時めく清流派の首魁が私に何の用だ」 「なに、簡単な話さ。 僕に従え、ということさ。 そうしたならば、君のこの境遇は終わる。 君の武は腐らせるには惜しい。あの何進すら信頼してその背を預けたんだ。 君も栄耀栄華の中枢にいたんだ。このままで終わるつもりはないだろう?」 にこり、と笑いながら空になった酒器に酒を注ぐ。それをまた一息に乾してなお、華雄は揺るがない。 「フン、口説き文句としては二流以下だな、皇甫嵩よ。 そして、貴様と心中する義理も義務もない」 その言に気を悪くした様子もなく皇甫嵩は言葉を続ける。 「そうでもないよ。割とね、あるさ。あるとも。 何進のような卑賤の輩が大将軍なぞという地位にあったのは間違いなく漢朝の汚点さ。 だが、それでも彼奴(きゃつ)は大したものさ。 今この漢朝が乱れているのは彼奴に飼い馴らされた官僚どもが、政権運営に協力していないというのが大きい」 皇甫嵩は肩をすくめる。 実際、やりにくいといったらないのだ。 「だから、君を従えるのには意味がある。何進の威を借るようで、腹立たしいがね。 政治という奴さ」 フン、と華雄は一つ鼻を鳴らす。 「知ったことか、と言いたいところだがな。私としてもこの状況は不本意極まりない。 まあ、それはそれとして、だ。 貴様が何をどうできるというのだ」 清流派とはいえ、実際権力なぞ何もないに等しい。だから自分にすら声をかけたのだろう、と華雄は指摘する。
505 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/23(水) 22:12:43.22 ID:zQGkHpbR0 「ふ、それは認識が大いに誤っているね。 聞こえているかな。いや、流石にこれは失礼かな。 聞こえるだろう、あの阿鼻叫喚が、煉獄が。 それをもたらしている袁家は、残念なことにね。漢朝の権力に興味がない、ときたものだ。そして、袁家の描いた絵図は天下三分。 即ち陳留王たる劉協、曹操率いる宦官。そして僕が率いる清流派。 だがね、既に前者二つは亡き者となっているのさ」 つまり。 「僕が、僕こそが新生漢王朝の、担い手となる! まあ、董卓が畏れ多くも相国なんて地位だったからね。 そうだね。丞相くらいは、妥当だろう」 だから、と囁く。 「光栄に思っていいんだよ?この僕が直々に声をかけているんだからね」 華雄は暫し考え込む。 さて、なんと答えたものか、と。 そして口を開く。 「なるほど、これよりの漢朝は貴様が動かす。私にはその軍事顧問となれ、と言うのだな」 そうだ、と皇甫嵩は厚遇を約束する。 「残念なことにね、僕の手元に武張った人材がいないのが実際でね。 まあ、主戦場は宮中さ。君には手間はかけさせないとも。 むしろ君がいることで旧何進派閥を糾合しやすくなることは明らかだからね。 軍権を預けよう。面倒だったら、好きなだけ棒を振っていてくれていいよ」 その言葉に華雄は苦笑する。そして答える。 「そうだな、貴殿の誘いはありがたいものだろう。武人としても、それ以外でも死んでいたような私にとっては救いの手だ。それは間違いない。 だが。いや、だからこそ断る。断らせてもらおうとも。 ……ほお、そんな顔もできるのか。 なに、貴様のような小才子に付き合ってられんというだけのことさ」 ばっさりと華雄はその誘いを断る。 「なん、だって……?」 理解できぬと言わんばかりの皇甫嵩に苦笑し、続ける。 「一つ、言っておこう。貴様はな。貴様が謗(そし)る何進に遠く及ばんよ」 くつくつ、と艶(あで)やかに笑う。 その意味に気付かぬ皇甫嵩ではない。低い言葉で。 「……聞き捨てならないね」 その表情は憮然。そして瞳に宿るのは炎。 だが、華雄はそんなことでは揺らがない。 「ああ、分からないだろうな。きっとそれだけ格が違ったのだろうさ。 皇甫嵩、貴様はな。背伸びしようが、逆立ちしようが何進には及ばんよ」 なんとなれば、地位や名声なぞあの男は歯牙にもかけていなかった。 いや、この上なく利用していたのだが。 いや、なるほど。 華雄は、至った。 「皇甫嵩よ、貴様は本当に、小賢しいだけさ。 国というものを背負う覚悟も気概もない小物だ」 思えば、何進はその権力を目的にしたことはなかった。 それは、あくまでも手段であった。そのためであった。 「だから、私は皇甫嵩、貴様に従わん。まあ、分かり易く言うとだ。 貴様は私の主となるに、不足、というやつだ。 何より品性が下劣極まる。もっと言うと、生理的に無理だ」
506 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/23(水) 22:13:12.43 ID:zQGkHpbR0 その言葉に皇甫嵩は激昂する。 「な!所詮は、先の見えぬ者ということか! 新たな漢朝の栄光、それを見ずに果てればいいさ」 吐き捨てる皇甫嵩に、苦笑する。 なんとも、陳腐なことよ。 それでいて華雄は四肢に広がる痺れに閉口する。 これは思ったよりも。 思考が、鈍っていくのを感じる。 「今なら、今この僕に忠誠を誓えば」 目の前で囀る馬鹿者。 黒幕気取りの、凡骨には報いが必要だろう。 鈍った思考がもたらした結論は、簡にして単。 そしてそれは華雄の在り方。 「ぐ?」 無造作に、流れるようにその首を掴む。そしてそのまま締め上げる。 「あ!」 やめないか。やめろ。 言葉にならない叫び。そして散る紅い飛沫(しぶき)。 とすり、ざくり。 貫かれ、切り裂かれていく自分の肉体。 視界が紅く染まっていく。 嗚呼、なるほどと華雄は切り裂かれ、刺されたことを更に認識する。 だがその痛みは、衝撃は、盛られた毒のせいであろうか。さほどでもない。 ひどく、遠いことのように感じられる。 それでも、一秒ごとに力は抜け、景色は白く修練されていく。 それがどうした。 この男を生かしてはおくものか。 ざくり。ごり。 また一つ傷口が増える。視界が白くぼやけていく。 いのちを もやせ―― 「貴様には分かるまいな。この私の、力。 貴様みたいな俗物に、分かる、もの!かよ」 まっかに もやせ 「ただでは死なんよ。貴様も連れて行く!貴様のような奴は!」 ごきり、と鈍い音が響き華雄の意識はそこで途絶える。 ◆◆◆ 華雄は五体から血を撒き散らしながらも満足げに笑っていた。 そして後世に大きな謎を投げかけることとなる。 なぜ皇甫嵩は華雄に殺されたのか。 なぜ華雄は死んだのか。 多くの歴史学者が様々な推論を立てることになるのだが。 一般的には、紀霊が将来の政敵を片付けたのであろう、というのが通説である。
507 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/23(水) 22:15:07.27 ID:zQGkHpbR0 本日ここまですー感想とかくだしあー いやあ、やっちまいましたね。 もはや題名案さえも浮かばない! ぼすけティ
508 :青ペン [sage]:2020/09/25(金) 00:28:20.71 ID:KGMWCyXOo >>507 まぁた難しいとこ丸投げ来たねぇ… 【清流濁流併せ飲み、流れるは濁りし血】 ってとこでまとめたいかな
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 02:16:49.45 ID:eBoa8L/hO >>507 原作では見られない華雄さんの美しく強い死に様、好きです… 題案は 『心火燃やして徒華ぞ咲く』 華雄さんですからね、徒花は徒華で行きたいなとか
510 :赤ペン [sage saga]:2020/09/25(金) 18:20:04.31 ID:RS2Nv5g10 乙でしたー >>504 >>が満ちていて、流石の皇甫嵩が気圧されるほどである。 むしろ武人の持つ単純な気迫には耐性無さそうだよね ○が満ちていて、流石の皇甫嵩も気圧されるほどである。 戦争狂の朱儁とかは個人武力は大したことなくても耐性アリアリだろうけど >>505 >>「ふ、それは認識が大いに誤っているね。 間違いと言うほどではないですが ○「ふ、それは認識を大いに誤っているね。 もしくは【その認識は大いに誤っているね。】とかどうでしょう >>聞こえるだろう、あの阿鼻叫喚が、煉獄が。 煉獄ってキリスト教由来なんだよなあ… ○聞こえるだろう、あの阿鼻叫喚が、酸鼻の極みが。 【地獄絵図】だと音よりも映像っぽいし、【修羅場】、【陰惨たる光景】も…ここは死の臭いっぽくこれでどうだ >>その表情は憮然。そして瞳に宿るのは炎。 誤用がそのまま認められたとか聞いた覚えもあるような ○貼り付けた笑みに罅が入る。そして瞳に宿るのは炎。 もしくは【その顔から余裕が失われる】とか【紳士然とした表情が歪む】とかどうでしょう >>506 >>それでいて華雄は四肢に広がる痺れに閉口する。 【陳腐なことよ】にはかかってない感じがするので ○それにしても……と華雄は四肢に広がる痺れに閉口する。 皇甫嵩は大したことないけど、そいつの持ってきた毒は大したものだ。みたいな? >>それでも、一秒ごとに力は抜け、景色は白く修練されていく。 ケアレスミスかな? ○それでも、一秒ごとに力は抜け、景色は白く収斂されていく。 【まとまること】を意味するので白一色に染まっていく。的な意味ならこうですかね でも死んだ場所がもとは何進の別宅だからなあ…助平心出して結果として相手からの無理心中とかなかなかできないよね 解毒薬は持ってたんだろうけど勧誘に毒薬飲ませながらとかわけワカメだわwまあ仮にうまくやっても曹操相手にこいつじゃ小粒に過ぎるなw
511 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/25(金) 21:48:01.10 ID:w9Dus0f30 >>508 どもです。 流石青さん、そのセンスは一ノ瀬に響き渡るでぇ。。。 いやまじで。 清濁流流の対比はお見事でございます。 なるほどなあ。なるほどなあ。 ね、簡単でしょとばかりに言ってたやつ、むーりーw >>509 >原作では見られない華雄さんの美しく強い死に様、好きです… 何進ラスボス√では縦横無尽されてたのですが、こうなりました 魅力が少しでも伝われば幸いでございます >『心火燃やして徒華ぞ咲く』 コフゥ 素敵すぎるこれはいけません、、、 >>510 赤ペン先生いつもありがとうございますー! く、ケアレスミスやってもた! >でも死んだ場所がもとは何進の別宅だからなあ…助平心出して結果として相手からの無理心中とかなかなかできないよね 確かにw >解毒薬は持ってたんだろうけど勧誘に毒薬飲ませながらとかわけワカメだわw 万が一の脅迫路線ですね。それで屈服させたらまあ、たしかに華雄さんなら言を翻すことはないでせう >まあ仮にうまくやっても曹操相手にこいつじゃ小粒に過ぎるなw なおその真価を把握しているのは二郎ちゃんくらいな模様
512 :青ペン [sage]:2020/09/26(土) 00:55:01.63 ID:Hl/9usA5o >>511 まーね、客観的に見てるからこそ見える ちょっとした輝きってのは否定したくてもできないんだ けどね? でもそれを描いてるのはあーたなんだから もっと自信持ちなさいなっと
513 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/09/27(日) 14:14:08.91 ID:lPVhxcj70 乙です。まずは華雄さんにこちらに引っ越ししてもらいましょうかね(黙祷で冥福を祈りつつ) まとめ読みで一番はかどりましたね。二郎さん以下ヒーローヒロインが輝いてます。そうキラめいてます(キラメンタル持ち?) 風ちゃんや、嫌がらせはやめてえな。郭商会商売あがったりやがなwなお胸を張って「不埒な商売はしていない」と言い切れる模様。 二郎さんの今回の行動(李儒滅殺)によって二郎さんの精神にあったなにか(上手いこと言えませんが)が解放されると良いですね。 死んだ人間は帰ってきませんが、いい意味で思い出に記憶に昇華されんことを。 あと、腹上死しない程度にハーレムライフを満喫してくだしあw 公孫家の白馬義従の成立秘話も出ました。弱小軍閥?二郎さんが無下にするわけなかろう?人材は弱小かも。ですが。 夏侯惇さん、完全に化けましたな。脳筋鍛錬の効果は彼女を裏切りませんでしたね。 張コウ君、お疲れ様でした。願わくば二郎さんの影の守護者になってほしいです。髑髏仮面の皆さんも今回はお疲れ様を。まぁ一杯やれやw 雑魚が何か見つけた模様ですが、何も言いません。つうか二郎さん雑魚の狙いをぶち壊すついでに攫っちゃいなYO!www やっと麹義さんが幸せな日々を過ごせます。田豊さんの行動もこちらで小ネタにしてみましょうかね(自爆) 戦後の論功行賞と勢力変化に注目。あとはそうですな、そーろそろ麗羽さんに危機感持ってもらいたいかな。気づけば仲良し主従止まりなんて悲しい事態にならないようにね?
514 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/28(月) 19:59:32.24 ID:vEi9QzYn0 >>512 どもです。 >、客観的に見てるからこそ見える それがデキる人の言うことだと思いました 妬ましいw >もっと自信持ちなさいなっと てへり。おれはやるぜおれはやるぜおれはやるぜ >>513 うおう、どもどもです >まずは華雄さんにこちらに引っ越ししてもらいましょうかね(黙祷で冥福を祈りつつ) ええと、よろしくお願いします。 彼女なりに満足な最期だったのかな、と思います。やりきったです、彼女。 >二郎さん以下ヒーローヒロインが輝いてます。そうキラめいてます(キラメンタル持ち?) 嬉しいやつ、ありがとうございますー。輝いてみえたのなら幸いです。 >風ちゃんや、嫌がらせはやめてえな。郭商会商売あがったりやがなw o ノ_\__ ,ィ7 ,' `ヽ .{〈〈 l 、 , } Y⌒ヽ..`´ ノ 弋__ノ..‐ィ、': ,ィニ=、、_.. -≠!-// ':, lイ ( rソ} ) )¨'"´フ " __ ヽ、_ 弋ミ三ジ{ ̄`ヽ' -/,、` < `ヽ l lミ 、 V//彡、 ヽ ヽ l lヾヾ_{/≠彡, ': } ': ,: lrメ=、 ィニ=、', : .lノ ': ,: ハ,.. - ,.--....._V .: l .! ぐう ,: / ', ; :,! l l : '.、__,. 、___, : .l .l 、 :.v ⌒' .ノノ } l ヽ :、..__ノ´'._ ィn,:' ノ : ! l ; ィ-(ゞ)っジ,: /<: :、 >なお胸を張って「不埒な商売はしていない」と言い切れる模様。 風「つまり御社の荷は董家に納品させてはいけないということですね〜」 >二郎さんの今回の行動(李儒滅殺)によって二郎さんの精神にあったなにか(上手いこと言えませんが)が解放されると良いですね。 一区切り、あります。やっと、って感じカモしれませんがが >あと、腹上死しない程度にハーレムライフを満喫してくだしあw やったぜ!俯瞰者さんからお墨付きいただいたやで!これはどんどこいっとかんといかんやろうなあw >公孫家の白馬義従の成立秘話も出ました。弱小軍閥?二郎さんが無下にするわけなかろう?人材は弱小かも。ですが。 規模の拡大に人材の補充と成長が追いついておりません、地味様と韓浩以外w いないわけではないんですがw >夏侯惇さん、完全に化けましたな。脳筋鍛錬の効果は彼女を裏切りませんでしたね。 脳筋鍛錬。。。powerワード頂いてしまった。これはどこかで使いたいやつ! >やっと麹義さんが幸せな日々を過ごせます。田豊さんの行動もこちらで小ネタにしてみましょうかね(自爆) はい。このためにエリア限定フリー素材とさせていただいておりました。ここから後は完全フリー素材となりますw 田豊師匠については、期待しかないです。期待しまくりです。楽しみです。うへへへ。 >戦後の論功行賞と勢力変化に注目。 はい。こっからそこらへんの戦後処理で一旦区切り、幕間いくつかやって最終章かなって >そーろそろ麗羽さんに危機感持ってもらいたいかな。気づけば仲良し主従止まりなんて悲しい事態にならないようにね? 麗羽様のヒロインちからを信じましょう!
515 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/28(月) 21:29:32.27 ID:vEi9QzYn0 「はあ?」 思わず、それがどうしたと答えようとして自重しました。 二郎です。 二郎です。皆さまお久しぶりです。これまでも、これからも頑張っていこうと思っております。 それはそれとして、耳に入った情報から逃げたくて仕方ないのですが誰に回すこともできない案件であるのは確定的に明らかで結局俺が判断せんといかんということで頑張ろうと思います。 ぴえん。 「おや、聞こえておりませんでしたか?これは失礼いたしました。 ではもう一度ご報告いたしましょう。玉璽の所在が不明、とのことです」 淡々と稟ちゃんさんが繰り返す。 漢朝の権威を担保する玉璽。それがないとなれば結構な大ごとではある。あるのだ。稟ちゃんさんが、わざわざ俺に報告するほどには、だ。 なんとなれば、勅命を発するにも玉璽がないと話にならない。劉弁様の身柄を確保したアドバンテージが活かせない。 なので、困ったことである。 それはそれとして、現実見ると、こうなる。 「よく探せとしか言えないんだが」 そう言いつつも、これは見つからないんだろうなあと思う。多分どっかの井戸の奥に沈められてるんだろう。三国志的に考えて、三国志演義的に考えて。 そういやあったねそんなイベント。こうかはばつぐんだ。くそう。 「井戸の底を漁れとか言えないし、なあ……」 ぼそり、と呟く声を流石の稟ちゃんさんも聞いてはいないだろう。 つうか、洛陽に井戸が何個あると思うか!そんなんの調査とかやってられるかよ。 「まあ、ないなら仕方ないさね。ない物は造るしかないだろうよ」 いいさ、と俺は思いきる。 「散逸したと断じるしかないだろう。目端の利いた宦官かなんかが持ち逃げでもしたんだろうさ。 とは言え、その発見を待ってたら国が動かん。発見者には厚く報いるとしよう」 それでいいか、と視線で問うと稟ちゃんさんは深く頷く。 「せっかく治まったんだ。洛陽の平穏を乱すような要因は潰しておこう」 風が上手くやってくれたのだ。これには感謝感激の十六連射である。雨霰(あめあられ)である。 外部から軍が進駐するのだからして相応に混乱やら反発やらがあると想定していたのだが、そのようなものは全くと言っていいほどになかった。 まあ、袁家にたてつく愚昧は、これまでの経緯でつぶされているはずだしね。 やったぜ。 なにも伊達や見栄で大兵力を動員したのではない。 俺は、本気で袁家単独で董家軍と、そして諸侯軍と遣り合うつもりだったのだ。 それだけの軍勢を動員した。無論それは抑止力を第一としていたのではあるが。それでもやるべきことはやった。と思う。 万が一にも逆らうアホな勢力がいたならば全力で、無慈悲なまでに叩き潰すはずであった。 それを見た諸侯が逆らう気を失くすくらいに苛烈に攻めたてる目論見であったのだ。 それが穏便に済んで、誰より安堵しているのだ。きっとね。 人死には、嫌だもの、な。 そんな俺に、とある申し出がもたらされる。 誰あろう白蓮からの、だ。 「北郷一刀が、会いたいらしい。なんとかならないか?」 俺は別にというか、会いたくないんだよ。 結構、本気で、だ。 「なんだよ、こっちはそれどころじゃないってのに」 つい、愚痴が零れる。なにせあれだ。新政権の一角を担うはずだった皇甫嵩と劉協という二大巨頭がいずれも死体で見つかったのだ。大混乱である。主に俺が。 七乃がなんか暗躍したのかとも思ったのだが鼻で笑われてしまった。 まあ、七乃がやる時は俺に隠し事はしないはずだしなあ。 ああ、どうせ禁裏になだれ込んだ俺の所業ってことになっちゃうんだろうなあ。積み上げた名声が台無しである。よ かった、星がいてくれて。偶像的な英雄たる怨将軍はこれにてお役御免にするとしよう。 それはそうとしてどうしたものか。白蓮からのお願いとあらば無下にできないのではあるが気が進まないなあ。 つうか用件は何だっつの。それくらいは伝えろよとか色々と悶々としている俺でありました。そんな俺にまた厄介な報せがもたらされる。
516 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/28(月) 21:30:06.00 ID:vEi9QzYn0 「曹操殿がおいでとのことです」 げえ!華琳! ジャーンジャーンと響き渡る銅鑼の音は幻聴である。多分。 「お忙しいようなら結構とのことですが……」 わざわざ出向いてきた華琳を追い返すとかどんな死亡フラグだよ! 「構わんさ。通してくれ」 気は進まないんだけどね。進まないんだけどね。ほんと。ほんと。ほんとに。 いや、ほんとに。 ◆◆◆ 「あら、二郎。私と会うのがそんなに嫌だったのかしら。ひどい顔をしてるわよ?」 「うっせえ、地顔だよ。ほっとけ」 け、と吐き捨てる俺にくすり、と華琳が笑う。 「珍しく荒れてるみたいね。ほんと珍しい。 でもね。私も荒れてるのよ? 二郎。 二郎、やってくれたわね」 にこり、と笑うその華琳が纏うオーラに俺のやさぐれてた気分は一気に霧消する。いっそ可視化したらいいのに。覇王ビームみたいな。 そう思うほどに何か禍々しいほどに練り上げられた覇気を背負い、華琳はその艶やかな唇を再び開く。 「やってくれたわね。何を、なんて言わないわよ。 ええ、今更何のことだなんて言わないわよね?」 ゴゴゴ、と背に太字の効果音を背負いながらの華琳のお言葉に思わず俺はへへー、となりそうになる。流石のカリスマである。威圧感半端ないね。 あれですよね。あれです。うん。宦官誅滅したことだよね。華琳の地盤となるはずだった宦官をぶち殺したことだよね。いや、怒るだろうなあとは思っていたけれどもいざ華琳を目の前にすると逃げ出したくなるなあ。 とはいえ、だ。 「分かってるさ。分かってるとも。 華琳」 はあ、とため息を一つ。 「だが、宦官については謝らんぜ」 何度同じ状況があっても俺は同じことを繰り返すだろう。宦官を決して許すことはないだろう。 「そのことを以って、不満はあるだろうさ。だがな」 それによって袁家に仇なすならば。全身全霊で叩き潰す。そう、今ならば圧倒的な力でもって叩き潰すことが出来る。例え華琳と言えども、だ。戦いは数なのだよ。 尚も言い募ろうとする俺の機先を制して華琳は鋭く切り込む。 「そういうことじゃないのよ。分かってないの?それとも分かってて、それで言ってるのかしら」 おファッ? 「……何がだ」 「一方的に私の権力の、飛躍の基盤になるはずだった宦官勢力を誅滅したわね?つまりそれは私と敵対するということでしょう?少なくとも世間はそう思うわね」 それで、と。言うが俺は割と混乱している。 効果が抜群だと思ったのは後日のこと。 「本気で私と敵対しようというのかしら?」 まさかね、とあくまで上から目線の華琳。どうやら宦官誅滅そのものについては不問にするということのようで。 まあ、あれだ。懐柔するなら受けてやらんこともない、ということだろう。実利を重視する華琳らしいことである。手土産次第ではあるのだろうけども。 やれやれ、困ったものだ。などと親友兼義兄弟の口癖を思い浮かべながら口を開く。 はいはい、そりゃもう準備してますよっと。
517 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/28(月) 21:30:35.38 ID:vEi9QzYn0 「司空の座を用意している」 三公。漢朝においての最重要な地位。こともあろうに売官のために空白であった地位でもある。そして麗羽様の英断で袁家がそれを購おうとした地位でもある。 司空とは法を司る地位。法家たる華琳には相応しいだろう。 「へえ……」 んでもって、色々と五月蠅い儒家――腐儒者とも言う――の相手をさせるということでもある。無論華琳はそれを察したであろう。 「いらんか?」 「まさか」 即答。 法を司るということは、様々な案件においてその法的判断をするという地位。これがどんなに重大な権限か。それが分からないわけがない。当然その地位を蹴るなぞなはいわな。 「でもね」 にこり、と。 「足りないわ」 え? まじか。まじっすか。この答えはさすがに予想外。 「ええ。散々虚仮にされたのですものね。二郎は忘れているのかしら。貴方達が無事洛陽を脱出できたのも私のおかげでしょう?だのに二郎ってば隙あらば私を殺しに来るんだもの」 ちょっとひどいのではなくって? そう目線だけで問うてくる華琳に何を言えばいいのだろう。んなこと言ったってお前、あれかなーりギリギリのタイミングだったぞ。
518 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/28(月) 21:31:06.06 ID:vEi9QzYn0 あわよくば、と仕掛けた仕掛けさえもな! 見事逆手にとってくれた。今や孫家に続く勢いのお手柄だ。なにせ不穏な動きを見せる諸侯軍を大人しくしやがったからな!さしもの稟ちゃんさんも悔しそうにしてたっけか。 まあ、春蘭がすごかっただけのお話である。 春蘭なら仕方ない。 「そう言えば、董家軍はどうなるのかしら。まさかに全軍誅滅なんてことはしないでしょう?」 軽やかに言葉を続ける。 「潔く降伏したものね。あれらも誅滅するのかしら?宦官みたいに」 きり、と心が軋む。 ぐ、と歯を食いしばる。 「んなことはしねえよ」 そんなことをしたら、だ。 自暴自棄になった恋一人でえらい被害が出るわ。 あれと遣り合うとかマジ勘弁願いたい。それに。 詠ちゃんとも約束したから、な。 「そうね。袁術殿入内。恩赦により董卓と賈駆の死罪でもって幕を引くというところかしら」 お察しの通りだ。そうなる。そうするしかない。 「哀れ董卓も賈駆も。 とことん利用されつくされる、というわけね」 そうだよ。 それでも。それでも、だ。董家の将兵を助命するにはこれしかない。詠ちゃんのあの泣き笑いの表情がまた俺を苛む。 それくらいは、したい。それくらいに、したい。 などとおセンチな俺なんて華琳は考慮するわけなかった。 「じゃあ、張遼を頂戴」 「なにい!」 「何よ。どうせ放逐するんでしょうが。だったら引く手数多よ。彼女には既に唾付けてるんだから。それくらいは骨を折りなさいな」 いや、確かに官職には留めておけないけどさあ。先を読み過ぎだろ。 ん? 「恋はいいのん?」 俺の好奇心からの問いなのだが。 は、と華琳は一笑する。 「いい?二郎。私はね。将帥が欲しいの。獣が欲しいわけではないのよ」 「お、おう」 果たしてこれが本音なのか、恋を手中に収めることに対しての各方面からの警戒を気にしたのかは俺には分からない。 ただまあ、勢いに押されたわけでもないのだが。放逐された張遼の進路については俺は口を挟まないことを確約させられた。 あれ。これって華琳のボロ勝ちじゃね? これは。 七乃とか稟ちゃんさんとかメイン軍師にお説教受けるのかなあ。 というか、疲れた。華琳のマジ気迫とサシで向かい合うとかマジ勘弁願いたい。だって役者が違うし。 だから。 俺が申し込まれた面会に条件をつけるのも当たり前田のクラッカーってなもんである。 きっとね。 俺が北郷一刀からの申し出に付けた条件はただ一つ。 関羽のみ、目通りを許すというものである。 べ、別にあわよくばスカウトして華琳にお届けしてご機嫌をとろうとかこれぽっちも思ってないんだからね!
519 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/28(月) 21:32:37.52 ID:vEi9QzYn0 本日ここまですー感想とかくだしあー 題名案は「訪問者」です たとえ前にやってても私は謝らない 腹筋、三回だけしてください
520 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/28(月) 21:38:09.93 ID:vEi9QzYn0 俺は詳しいんだ。 俺はやるぜ俺はやるぜ俺はやるぜ(錯乱)
521 :青ペン [sage]:2020/09/29(火) 07:25:13.73 ID:fpBzS0Y3o >>519 確か以前に【はおー来訪者】ってあったよねぃ? ならば今回は【覇王来襲者】が似合いそうな気がすんだけどどーよ?
522 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 07:31:39.80 ID:zJ58i7cd0 >>521 覇王になったら詰むw まだこれでも、はおー
523 :青ペン [sage]:2020/09/29(火) 09:40:37.94 ID:fpBzS0Y3o >>522 んじゃ【はおー来襲者】で
524 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 20:20:31.81 ID:zJ58i7cd0 >>523 それかー使っちゃうかー ヨシ! 出し惜しみなしだ! 一度使ってるから、はおー来襲者2 でゆこう
525 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 22:32:26.40 ID:zJ58i7cd0 劉備たちにもたらされたのは、何とも奇妙な報せであった。 「愛紗だけで……か?」 首を傾げるのは北郷一刀だけではない。劉備でも、北郷一刀でもなく関羽単独での面会の許可。それにさしもの諸葛亮と鳳統も整合性を見いだせない。 いや、そこに至った経緯を察するならばそれはすでに人外の域に達しているであろうけれども。 「愛紗ちゃん、お願いね!」 「任せたぞ!」 口々に激励の声が響き渡り、関羽は身を引き締める。 なんとなれば単身で敵地と言っていい場所に乗り込み、董卓たちを救わなくてはならないのだから。 「はわわ……。紀霊さんは温厚に見えて、実際は激情家なところがあります。くれぐれも短慮にはお気をつけてくださいね」 「あわわ……。お任せいたしました……」 関羽が手にする札は余りにも少ない。いや、実質二枚のみ。伝国の玉璽と七星刀。その二枚で何としても、と意気込む。 「しかし、持参せずともよいのでしょうか……」 果たして、玉璽と七星刀。それらを所持していることを信じてもらえるものかどうか。 「いや、それよりは交換条件なしに強奪されるリスク……危険性を考えた方がいいだろう」 北郷一刀の声に軍師たちも頷く。 「愛紗なら大丈夫だと思うけどさ。気を付けてくれよ」 何せ相手は宦官を皆殺しにすることを命じたくらいに、人の命を軽く考えているのだから。 関羽は、寄せられる期待と気遣いに熱いものを感じながら決意を新たにするのであった。 ◆◆◆
526 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 22:32:53.41 ID:zJ58i7cd0 「愛紗、久しいな」 「星か!いや、まったくだ」 旧友である趙雲の声に関羽はほう、と息を吐く。それで自分がどれだけ緊張していたかを認識する。 一騎当千。まさに昇り竜がごとく武名を高めている彼女が自ら出迎えてくれた。関羽はその友誼に感謝する。 「いや、しかし今を時めく星が出迎えなどとは大層なことだよ」 「なに、他ならぬ愛紗を出迎えるのだからな。まあ、一応腰の物を頂いておこうか」 「ああ、済まぬな」 愛用の――最近は活躍の機会の少ない――青竜堰月刀を趙雲に渡して尚関羽は上機嫌にあれこれと趙雲に話かける。趙雲も親しげに、時にからかい、時に真剣にそれに付き合う。 そして豪華な扉の前で趙雲は顔を引き締める。 「さて、だ。主(あるじ)は多忙。そして厄介な案件と向き合って消耗されておる。くれぐれも短慮は起こすなよ?」 関羽はその声に気持ちを引き締める。 「そなたに感謝を。ああ、そうだな。失礼のないようにしないといけないな」 とは言え、だ。自分とて難儀な使命を負っているのだ。ここからは戦場。血を流さない戦場。いや、これは諸葛亮の受け売りではあるのだが。 「主よ、愛紗を連れてきた」 趙雲が静かに、それでいてよく響く声で室内に呼びかけると扉が重々しく開かれる。 ◆◆◆ 「星、ご苦労」 そこに男がいた。 どっしりと椅子に深く腰掛け、頬杖をついている。だが、どこか疲れているようにどんよりとした表情でどろり、と関羽を見る。いや、いつもが覇気に溢れているかというとけしてそうではないのだけれども。 代わって関羽を突き刺す視線が二対。けして友好的ではない。いや、殺気すら込めて関羽を見据える。 一人は幼女。蒼い髪を可愛らしいリボンで結び、棒状の得物を抱える。 一人は女戦士。銀の髪をざんばらにし、徒手空拳なれども気迫は恐るべきもの。油断なくこちらを窺う。引き締まった身体には幾条も傷跡が走り、その歴戦を物語っている。 反射的に関羽は身構えるが、手元に愛槍がないことに気づく。その認識が遅れるほどに彼女らの殺気は濃く、さしもの関羽も後ずさる。 「主よ、愛紗が委縮してしまっているぞ?」 ふ、と関羽の耳元に温かい息を吹きつけて趙雲は可笑(おか)しげに笑う。 ぞくり、と関羽は全身の毛が逆立つのを感じる。別に趙雲の息遣いそのものに何かを感じたわけではない。 なんとなれば、この関羽をして背後に立つ趙雲の気配に気づかなかったのだ。いかに目前の二人に気を取られていたとはいえ、不覚。そう、不覚である。 「凪、流琉。お客様、だぞ?」 その声。 そして、可視出来そうなほどに色濃い殺気を放っていた二人。それが紀霊の後ろに控える。 「まあ、なんだ。 これくらいに愛紗は評価されているということで、気を悪くしないでほしいものだな」 くすくす、と笑う趙雲に吠えようとして関羽は留まる。本題はそこではないのだから。
527 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 22:33:46.58 ID:zJ58i7cd0 ◆◆◆ 「紀霊殿。お忙しいところ、貴重なお時間を頂きまして――」 「能書きはいい。何用だ」 関羽の声を遮る。その非礼に逆上しそうになるのを抑えて関羽は本題を切り出す。 「董卓殿、並びに賈駆殿の助命をお願いに参りました」 ギリ、と異音が響く。 「何を、言った」 振り絞ったような低い声に、そこに込められた気迫に関羽は怯まない。 「圧政、暴政。それにより洛陽の民は苦しんだと、そう聞かされておりました。ですが 実態はそうではない。そうでしょう?ならば!」 彼女らを誅してどうするのか! 裂帛の気合いと共に関羽は訴える。 「董卓、賈駆は極刑。これはもう決まったことだ」 うっそりと呟く紀霊の声に関羽は逆上する。 「なぜです! 彼女らは巷で言う所の暴虐なぞとは無縁!そして彼女らは泰平の世に向けて必要ではないのですか!」 うう、と苦しげに紀霊が呻く。よし、ここが攻めどころとばかりに関羽は言い募る。 「だってそうでしょう!賈駆は貴方と特別親しく!そして貴方はその決断を覆す権限がある!」 それに。 「密かに生き延びさせたとして、誰がそれに気づきましょうか」 そう、黙っていれば分からない。たかだか数人なぞ、だ。本気で権力者が匿えば追跡も追及も不可能。だからこそ、無駄に遵法な紀霊の心に楔を打ち込むのが自分の役割。希代の軍師からそう、任じられたのだ。 沈黙。そして激発。静かな。 破綻。 「――天知る地知る。君知る我知る。 いったいそのような秘密、漏れないわけがあろうかよ。 そしてお前さんは飼い主に報告するだろう? そこに機密という響きが欠片ほどもあるものかと問いたい。小一時間問い詰めたい。そして、だ」 ぎり、と噛みしめた口元からは一条の紅い筋が落ちる。 「部下を、先達を、未来を担う幹部候補生を無為に死なせた。 いや、無為とは言うまい。 彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。そして、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。ふざけるなよ。 ふざけるなよ!武門を背負う俺がみっともなくも逃げ出してだ!生き恥晒しているんだ! ……ここで彼女らを許すなんてできない相談だ」 悲痛な声。それは関羽の胸を打つ。こんなにも彼は、彼らは。 「だから、無理な相談だ」 きっと劉備や北郷一刀ならば、言ったであろう。死んだ人よりは生きている人のことを考えようと。 きっと軍師たちは言を左右にして論点をずらしただろう。そんなことは重要ではない、と。所詮感傷であろうと。 だが、関羽は武人であった。劉備軍の中で誰よりも義を重んじる武人であった。だから反論できない。反論できないのである。むしろ共感すら覚えていた。 それでも、自分の任に忠実であろうと関羽は言葉を紡ぐ。 「それでも、なんとかなりませんか」
528 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 22:34:31.32 ID:zJ58i7cd0 その食いつきに、決壊する。 「なるかよ!なるものかよ! 誰が!殺したくて殺すものかよ!ふざけるなよ!知った風な口を!」 どん、と荒い音を立てて紀霊は立ち去る。戸を蹴破らんとする勢いで。慌てたように護衛の二人が追随する。 「散々だったな、愛紗よ。 いやしかし、あれは悪手だろう――」 苦笑交じりに趙雲が関羽に声をかける。 目線で、どういうことだと問う関羽に、苦笑をより苦くして趙雲は答える。 「あれで主は情に弱い。 その主が董卓殿と賈駆殿の助命について考えなかったわけがなかろう。いや、人一倍悩んでいたよ。 そして、苦悩しながら選んだのだよ。それを、な」 「何故だ。紀霊殿は袁家でも有数の権力者だろう。何を遠慮するのだ」 違うのだ、と趙雲は悲しげに首を振る。 「結局、だ。彼女らの、特に賈駆のしでかしたことは大逆に等しい。 確かに主の権力であれば二人をかくまう。それは可能かもしらん。だが、それは禍根にしかならんよ。それとも劉家軍はそれを望むのか?」 そうではないだろうと問う趙雲に関羽は悄然と頷くしかない。 「いや、そうしょげるな。これで某(それがし)は感謝しているのだからな」 不思議そうな目を向ける関羽。 「なに、あれで主は情熱的でな。そして。いささか内罰的なところがあると言うかな。 中々弱みを見せてくれん」 艶然と笑う趙雲に関羽は首をかしげる。 「夜は天下無双の槍捌きだからな、主は。この身を以ってしても翻弄されるばかりなのだ。いや、それはいいのだが、それで加減されるのはどうにも口惜しい。 だが、あそこまで鬱屈としていれば、だ」 今宵は激しいであろうなあ。
529 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 22:34:58.26 ID:zJ58i7cd0 「だから感謝したいのだよ。今宵は某が主と同衾するからして」 くつくつと、無邪気に笑う趙雲に関羽は激昂する。 「不埒な!破廉恥な!星よ!貴様の武人としての矜持はどこにいったのだ!」 その声に一瞬きょとん、とした後に趙雲は応える。 「何をそのように大層な。未通娘(おぼこ)でもあるまいに」 「ふざけるな!私とご主人様はそのような破廉恥な関係ではない!」 その気迫に流石の趙雲がよろめく。いや、それは発言の内容に対してかもしれないが。 「はあ?いや、愛紗よ、それは無理があるぞ?主従ともどもに彼に傅(かしず)いておって、それはないだろう。そっちこそ爛れた関係であったと思っていたのだが」 ぐぬぬ、と関羽は唸る。世間一般ではそのように見られているのであろうか、と。いや、確かに主君たる劉備、そして張飛は。いや、諸葛亮と鳳統もそうだろうか。 考えるほどに反論の余地がないことを関羽は自覚し、その顔色を白くしていく。 その様子に色々と察したのか趙雲が問いかける。 「ならば問おう。愛紗。貴殿はその武を何に捧げる」 「知れたこと。桃香様とご主人様に、だ。皆が笑って暮らせる世の中の為に、だ」 揺るぎなく関羽は応える。だが、趙雲はそれにどこか不満げである。 「愛紗よ、それは貴殿の言葉ではなかろう」 何故だろうか。その言葉が関羽の胸を打つ。 「私が知る愛紗はもっと、だな。自分の言葉で理想を語ったものだ。 拙くても、それが貴殿の思いであり、武の根幹であったろう」 ぐ、と。 関羽は趙雲の言に反論できない。 なぜだろう。あれほどまでに信じていたものが、薄く。そして遠く感じられる。 「理想を語るのは大いに結構」 だが、と趙雲は艶然と笑う。そのままでは、な。 ――理想を抱えて、溺死せんようにな。 けらけら、と軽く笑ってその場を去る ――その場に残された関羽は何も、言えなかった。 何も、言えなかったのである。
530 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 22:35:47.10 ID:zJ58i7cd0 本日ここまですー感想とかくだしあー 題名案は、「VS関羽」かな はい、それってどうなの案件ですね かっこかわいいやつ、オナシャス
531 :青ペン [sage]:2020/09/29(火) 22:49:46.57 ID:fpBzS0Y3o >>530 乙ーい。 【武神の嘆願 鬼神の逆鱗】かね
532 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/29(火) 23:00:36.78 ID:zJ58i7cd0 >>531 これはよい。。。 いちいち格好いいやつですね ほんと妬ましい奴ですわこれ パルパルパル せめて、武神と鬼神について解説くだしあ いや、聞けば分かるけどこっっちは浮かばないのです オナシャス
533 :青ペン [sage]:2020/09/30(水) 00:21:27.94 ID:GNdBkB16o >>532 武神は関羽の助命嘆願だねぃ んで、鬼神はじろーちゃんの激怒をいみするんだよっと
534 :青ペン [sage]:2020/09/30(水) 00:22:27.49 ID:GNdBkB16o >>533 よーは【関羽の嘆願 紀霊の激怒】という意味合い。
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/30(水) 08:29:00.94 ID:WXQjeGQVo 乙です ふと詮無いことを思ったのですが、この世界だと後世で関聖帝君ならぬ趙聖帝君が存在していたりするんでしょうかね……やりそうだな二郎ちゃん 題案は…青ペンさんに勝てそうにないけどまあ賑やかしとして 『借り物の筏で大海の波は越えられじ』 とかなんとか
536 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/30(水) 22:30:51.03 ID:7elTVRa50 >>533 なるほどなあ ヨシ!諦めが肝心! >>535 どもです。 >ふと詮無いことを思ったのですが、この世界だと後世で関聖帝君ならぬ趙聖帝君が存在していたりするんでしょうかね… どうだろ。関帝廟とか、発生起源がいまいちよく分かってないんですよねー 義理堅いから契約遵守で商売の神って、関羽さんも苦笑い案件じゃないのかなって まあ、塩の密売とかやってたエピソード考えたらアリなのかな >『借り物の筏で大海の波は越えられじ』 これは素直にかっこいいやつです 題名というより、本編で使う可能性が高いです 多分しれっと使ってますので、草でも生やしてくだしあw
537 :赤ペン [sage saga]:2020/10/05(月) 17:05:50.72 ID:KZsXcWnR0 お久しぶりです…リアルで面倒ごとがあったので最近目も通せずでしたわ >>515 >>積み上げた名声が台無しである。よ ケアレスミスですね かった、星がいてくれて。 ○積み上げた名声が台無しである。 まあ文章からすれば改行無しでもいいかもしれませんね【星がいてくれて。】で改行するのもあり よかった、星がいてくれて。 >>516 >>覇王ビームみたいな。 眼力で射竦められたならこれでもいいけど…多分ワンピの覇王色の覇気みたいなものよね ○覇王の波動みたいな。 イメージとしては【ゴゴゴゴゴ】ってなるDBのあれとかH×Hの蟲の王の垂れ流すあれみたいなそんな感じならこうかなあ? >>517 >>当然その地位を蹴るなぞなはいわな。 イワナかあ…最近食べてないなあ ○当然その地位を蹴るなぞないわな。 漢字で【無いわな】にした方が読みやすいかな? >>「そのことを以って、不満はあるだろうさ。だがな」 華琳アウフ!この先を言わせてたら誰も得をしない泥沼になるところだったわ…曹操にとっては実際大した問題でもないから軽く牽制のつもりだったんだろうけど二郎君にとっては譲れないからね、あと少し回転が遅かったらヤバかったわ 個々の恐ろしい所は二郎君には覇王色めいた覇気を出せないけど、曹操からすれば出さないだけに見えるアンジャッシュさよな…だからこそ二郎から覇気もどきも出ずに出てきた言葉に交渉の余地の少なさを察してしまった、と 交渉の場で手札を切ろうとしないやつには2種類いる…手札の切り方を知らない馬鹿と、交渉する価値を見出してないガンギマリ勢だ(なおそもそも手札を持っていないやつもいる)…そりゃ華琳も覇気切って「違う、そうじゃない」、「あなたから喧嘩撃ってきたのよね?」「まさか本気じゃないわよね」と立て板に水するわ >>あれ。これって華琳のボロ勝ちじゃね? そうだよ(便乗 (なお当初の曹操の想定は考えないものとする。お前が宦官誅滅を謝ってたらもっとウハウハ濡れ手に粟やったんやで…いつもの二郎だったらまず謝って、それからこっちにも事情があったんだよ。とかしてくれたはずなのに ぶっちゃけ軍師連中からすればどうやってあの曹操に元から出すつもりの司空と放逐予定の張遼で済ませたとか驚愕レベルよ。曹操が言ったようにさらっと殺しに来たり傍目には完全敵対みたいなことしておきながら…多分凛ちゃんさんは場合によっては自分が客将として向かうことも考えてたんじゃねーかなあ
538 :赤ペン [sage saga]:2020/10/05(月) 18:28:29.07 ID:KZsXcWnR0 こういうのは主人公が今までどんなことをしてきたとかそこから相手側がどう感じるかを妄想するのも楽しいなあ >>526 >>愛用の――最近は活躍の機会の少ない――青竜堰月刀を趙雲に渡して尚関羽は上機嫌にあれこれと趙雲に話かける。 【話】は名詞で【話し】は動詞なので ○愛用の――最近は活躍の機会の少ない――青龍堰月刀を趙雲に渡して尚関羽は上機嫌にあれこれと趙雲に話しかける。 あと【青龍堰月刀】ね(ケアレス感)《昔話を話す》で覚えると間違いにくい? >>蒼い髪を可愛らしいリボンで結び、棒状の得物を抱える。 リボン…髪結い?と思ったけどこれは床屋か ○蒼い髪を可愛らしい髪留めで結び、棒状の得物を抱える。 あとは【髪飾り】…日本語だと【手絡】と言うらしいですが【結び】と続いてるので髪留めに含まれるヘアゴムとかヘアピンに誤解はされないだろうしそこまでしなくても大丈夫でしょう >>527 >>うっそりと呟く紀霊の声に関羽は逆上する。 【うっそり】ってぼんやりみたいな意味らしいのでちょっと違う様な ○のっそりと呟く紀霊の声に関羽は逆上する。 緩慢でとらえどころがない。の方がそれっぽいかな?と思います >>528 >>それとも劉家軍はそれを望むのか?」 微妙!>>240で本郷君が自分たちを義勇軍って自称してるし【劉家】っていうとビッグネーム感が ○それとも本郷殿はそれを望むのか?」 >>298で大声で(多分劉備が)ご主人様呼びしてるし軽い探りも込めてトップが本郷な事をサラッと聞き出したりしてそう >>529 >>その気迫に流石の趙雲がよろめく。 馬鹿な!エロ下種人公…じゃないエロ下主人公…でもないエロゲ主人公があんな美人に手出しをしないだと? ○その気迫に流石の趙雲もよろめく。 てっきり「これでお前たちは天の御使いの棒で誓いをした姉妹…これが本当の棒天の誓いだぜ」とかやってるものだと >>劉備たちにもたらされたのは、 ここ【本郷たち】じゃないかなあ(劉備を本郷の下に見る目で) 躓き、倒れ、泥に塗れてなお妥協せずにその道をひた走るっていうなら彼らの言い分も馬鹿にできないんだけどねえ 本郷、劉備は綺麗なままで部下たちの手は返り血に染まってる感じがなんとも…でも状況というか境遇を考えれば劉備は手を汚したことがあるはずなんだよなあ >>傾世元禳 …アッ察し
539 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/05(月) 21:51:18.23 ID:GXqCwP8N0 >>537 赤ペン先生いつもありがとうございますー! リアル乙です。 今回はどうもケアレスミスが盛りだくさんみたいで、お恥ずかしい! チェック機能が息してない! >この先を言わせてたら誰も得をしない泥沼になるところだったわ…曹操にとっては実際大した問題でもないから軽く牽制のつもりだったんだろうけど二郎君にとっては譲れないからね、あと少し回転が遅かったらヤバかったわ はおー的にはジャブのつもりだったんでしょうね。今回はノリが違ったのですよねー >二郎君には覇王色めいた覇気を出せないけど、曹操からすれば出さないだけに見えるアンジャッシュさよな…だからこそ二郎から覇気もどきも出ずに出てきた言葉に交渉の余地の少なさを察してしまった、と 流石のはおーでございます。 ぶち切れて、疲れて、ある意味賢者モードで、もう殲滅してもいっかなーまである二郎ちゃんの精神状態。こいつはやべぇぜと。 >交渉の場で手札を切ろうとしないやつには2種類いる…手札の切り方を知らない馬鹿と、交渉する価値を見出してないガンギマリ勢だ(なおそもそも手札を持っていないやつもいる)…そりゃ華琳も覇気切って「違う、そうじゃない」、「あなたから喧嘩撃ってきたのよね?」「まさか本気じゃないわよね」と立て板に水するわ これで二郎ちゃん、交渉の余地があると思ってるんですよね。前提として自分の余裕のなさには気付いていません。ある時期のネコミミよりもギザギザハートですw なにせむしゃくしゃしてますからね! はおーマジはおー。場をきっちりたたみにきて、果たします。すげえ。ここで決裂内乱とかも要素としてはあったんですがダイスロールすら許さぬはおー。 ここらへんから、はおーはダイスロールの余地があんまりないほど最適解連発してくるので大変です。それでもまだ覇王ではない。 >お前が宦官誅滅を謝ってたらもっとウハウハ濡れ手に粟やったんやで…いつもの二郎だったらまず謝って、それからこっちにも事情があったんだよ。とかしてくれたはずなのに 事前の想定ではマジこれでしたねw なお、まさかの自暴自棄モードw >ぶっちゃけ軍師連中からすればどうやってあの曹操に元から出すつもりの司空と放逐予定の張遼で済ませたとか驚愕レベルよ。曹操が言ったようにさらっと殺しに来たり傍目には完全敵対みたいなことしておきながら…多分凛ちゃんさんは場合によっては自分が客将として向かうことも考えてたんじゃねーかなあ これには納得ですね。本来稟ちゃんも覇王んとこ行くはずだったんですけどね。風ちゃんのインターセプトがなんか生えたw >本郷、劉備は綺麗なままで部下たちの手は返り血に染まってる感じがなんとも…でも状況というか境遇を考えれば劉備は手を汚したことがあるはずなんだよなあ >>傾世元禳 …アッ察し それ以上いけないw 余談を挟もうそうしよう。
540 :青ペン [sage]:2020/10/06(火) 09:13:11.38 ID:DIhb3DUIo >>527 赤ペン先生が突っ込んでないけどちょいと気になった箇所。 『そして、だ。』が連続で使われてるんだよね。 >小一時間問い詰めたい。そして、だ >彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。そして、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。 二回目の『そして、だ。』は抜いた方が良さげー。
541 :赤ペン [sage saga]:2020/10/06(火) 12:53:14.19 ID:dZjeiBCA0 おお!たしかに >> 彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。そして、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。 ここは ○ 彼らの犠牲があったからこそ俺はここにいる。それを、だ。何条以って彼らに詫びればいいってんだ。 とかの方が良いかもしれませんねもしくは【それを……何条以て】とか【それを!何条以て】とかでもいいかも
542 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/07(水) 22:03:09.19 ID:L6G3oIBv0 「おめでとうございます!華琳様」 曹操は腹心の声に軽く応える。 湯浴みをすませたばかりの金髪からはまだ僅かに湯気すら立ち昇り、軽く上気した様は色気すら感じさせる。 そして配下たちは曹操のもたらした報せに湧く。三公の座の一つである司空の地位。飛躍と言っても足りないくらいなのだ。いずれは、やがてはと思い描いていた。それがこうも早くに、だ。 数日前までは、袁家と事を構えるやもしれぬ、という絶望的な状況であったということが嘘のようである。 そう、袁家とはいずれ雌雄を決するというのは予想していた。だが、まだ早すぎる。早すぎた。 曹家が誇る夏候惇の武威、荀ケの知謀、そして文武において比類無き曹操という傑物。ありとあらゆるものを積み上げても時期尚早。 以前より曹家は――というより曹操が――袁家、特に紀霊に評価、或いは警戒されていた。粛清の余波で族滅すらありえたのだ。無論ただでやられる心算はなかったが。 割と曹家には悲壮感的なものが漂っていたというのが実情であった。 なんとなれば、曹家が権力基盤として当てにしていた宦官が物理的に一掃されてしまったのだ。累が及ぶであろうことは想像に難くない。 「流石華琳様です!」 その声を受けて曹操は笑みを深める。 四世三公。袁家が誇るほどにその地位は大きいのだから。 ◆◆◆ 「しかし、終わってみればあっけないものですね。もっとこう、大規模な戦闘があると思っていたのですが」 「姉者、洛陽でそのようなことがあったら洒落にならんぞ」 「秋蘭、それは分かっているとも。だがな、実にあっけないではないか。あれほどに禁忌と思っていたのだがな。こうも脆いものか、とな」 やれやれ、といった風に荀ケが応える。 「軍事的にはそうでしょうけどね、まかり間違えば逆賊になるのよ? たとえ一時権を握ったとしてもね。大義名分を得られたら討たれるだけよ。 攻めるに易く、守るに難い。それが漢朝の首都たる洛陽の強み」 正当性こそが重要なのだ。その言になるほど、と夏候惇は頷く。 「確かに、洛陽の防衛とか考えたくもないものだ」 深刻そうに呟くその言を受けて笑いが弾ける。別に夏候惇としては冗談を言ったつもりはないのだが。
543 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/07(水) 22:03:35.43 ID:L6G3oIBv0 ◆◆◆ 「しかしそろそろ処刑の時刻か。 実際哀れとしか思えんがな」 ずず、と茶をすすりながら夏候惇は呟く。 董卓が、董家が漢朝に仇なしていたというのは広められた言説であるが実態はそうでない。そして曹家軍首脳はそれを皆理解している。 「とは言え、仕方ないことだろう。 洛陽どころか禁裏に血が流れたのだ。それ相応の結果が求められるというものであろうよ」 夏候淵の言葉は反董卓連合の共通認識に近い。 それでも惜しいな、と思ってしまう。 「そうだな、その通りさ。 だが、それでも惜しいと思う。董卓、賈駆ともにな。 あれだけの人材、求めても得られるものではないだろうよ」 実戦指揮官でもあるのだ、夏候惇は。そしてその評価は正しい。 漂う沈黙。 「いっそ認めたら良かったのにね。彼女らを殺したくないって。 そしてかくまえばよかったのよ」 呟いた荀ケのそれ。 「それはそうだろうよ。二郎だからな。きっと殺したくないと思っていたろうよ。 だが、その寛恕を受ける奴らがそれをよしとはせんだろうよ」 「分かってるわよそんなこと! あいつらが死にたがっているのはね! でもやりようはあるし、利用価値だってあったわ。 囁(ささや)けばいいのよ、よかったのよ。 殺さなくて済むってね」 それは悪魔の囁き。黙っていればわからない。 だからこそ曹操はそれを選ばない。選ぶことはできなかったのだ。 「残酷なことね、桂花。 それを二郎が検討していなかったとは言わせないわよ」 瞑目していた曹操が口を開く。 「それを口にしたらね、引き返せないのよ。 やってもやらなくてもね。 むしろ、その話を持ちかけたらその時点で終わりね。 だって無理矢理共犯関係に持ち込もうとするようなものだもの」 曹操の笑みは深まり、透き通っていく。 「だからね、私はそれを言わないし言えない。 私が言った瞬間に共犯者となるのだから。 そして言わない。絶対にね。 それが優しさ、或いは厳しさというものよ」 やれやれ、困ったものねと首を振る曹操。 「まあ、そこまで私が譲ってあげているのだもの。二郎は応えてくれるわよ」 くすり、と微笑む曹操。 そして、その想定は覆されて尚、曹操は揺るがない。 彼女こそが紀霊も認める世紀末覇王なのだからして。
544 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/07(水) 22:05:32.95 ID:L6G3oIBv0 本日ここまですー感想とかくだしあー はおーの時間 みたいな はおー陣営も苦しいところではあるのですよね なお二郎ちゃんの評価とか政権維持能力 ねる
545 :青ペン [sage]:2020/10/08(木) 01:05:11.94 ID:mobqssHjo >>544 乙ーん…ってまたむじゅかしいとこほを丸投げする!ww 【遥かなる治世〜奸雄の旅路は未だ道半ばなりて】
546 :赤ペン [sage saga]:2020/10/09(金) 12:16:49.60 ID:euubihqc0 乙でしたー >>542 >>曹家が誇る夏候惇の武威、荀ケの知謀、 間違いと言うわけではないですが ○曹家が誇る夏候姉妹の武威、荀ケの知謀、 曹家トップ陣で彼女の名前が入らないのは可哀そうかな?という事で >>やれやれ、といった風に荀ケが応える。 これは夏侯惇の疑問に対するものなので ○やれやれ、といった風に荀ケが答える。 の方が良いと思います >>割と曹家には悲壮感的なものが漂っていたというのが実情であった。 なんとなくトン姉は楽観的だったんだろうなあ、という信頼がある…良い意味でも悪い意味でも。そしてそのおかげで曹操もあそこまで二郎に切り込めたのでは疑惑が あれだよ…宦官が風説流布して董卓のせいで洛陽が荒廃してたことにしてなんか死んでた皇甫嵩に責任押し付けようず…確かあいつそれなりの地位についてたし行けるイケル 二郎ちゃんは凡人なんだから大局なんて見ずに目の前のことに必死になって良いんやで?国がどうのとか難しいことは天才の皆様に丸投げして自分は好き勝手やろう?漫画の主人公とかがよく言うじゃん「目の前の大切な人も守れない男に何が守れるっていうんだ!!」とかなんとか、ね? 大義名分が必要だっていうなら、逆に考えるんだ。大義名分も無しに権力をふるった紀霊を合法的に権力の座から遠ざける口実になる、と。責任を取って性行雨読の夢の生活のチャンスだぞ!
547 :青ペン [sage]:2020/10/09(金) 21:59:33.81 ID:U2E6iZrso >>546 ちょ、最後!ww
548 :赤ペン [sage saga]:2020/10/10(土) 09:12:26.01 ID:0r5bo0Y80 誤字じゃないよ?産めよ増やせよ地に満ちよっていうし女性頭首とかいつ不測の事態があるかどころか妊娠中は行動制限付くから計画的にやらんとね(にっこり
549 :青ペン [sage]:2020/10/11(日) 00:39:58.75 ID:4Uxz+vBOo >>548 いや、わかってるけどさあ!?ww
550 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/11(日) 08:28:02.98 ID:OYxRxYuE0 >>545 どもです。 >乙ーん…ってまたむじゅかしいとこほを丸投げする! 自分でできるならやっている!と開き直りですw >【遥かなる治世〜奸雄の旅路は未だ道半ばなりて】 奸雄の旅路というフレーズはよきよきですのでいただくかもしれません >>546 赤ペン先生いつもありがとうございますー! > なんとなくトン姉は楽観的だったんだろうなあ、という信頼がある…良い意味でも悪い意味でも。そしてそのおかげで曹操もあそこまで二郎に切り込めたのでは疑惑が 確かにd姉は大丈夫だと確信してそう(直感A) >二郎ちゃんは凡人なんだから大局なんて見ずに目の前のことに必死になって良いんやで?国がどうのとか難しいことは天才の皆様に丸投げして自分は好き勝手やろう?漫画の主人公とかがよく言うじゃん「目の前の大切な人も守れない男に何が守れるっていうんだ!!」とかなんとか、ね? せやせや、と同意なのですが、握ってしまった権力とかこれまでのあれやこれやがそれを許してくれない。。。 いや、割と周りは許してくれると思うんですけどね >責任を取って性行雨読の夢の生活のチャンスだぞ! 確かに晴れたからと言って二郎ちゃんは別に耕さないな いや、ある意味耕すのか??? 種まきだー!(ハイウェイスター的な)
551 :赤ペン [sage saga]:2020/10/12(月) 20:13:11.26 ID:t+PjUWoN0 >>ハイウェイスター的? よく分からない…無知ですまん まさかハーヴェスターとは関係ないだろうし そういえば二郎ちゃんの夢の生活は晴耕雨読ならぬ晴読雨読っていつだか言ってたっけ
552 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/12(月) 21:05:59.25 ID:raM0BqV30 >>551 どもです。 菓子なので省略しますが seed というのは種まきで、つまりアレっていうことっていうw >そういえば二郎ちゃんの夢の生活は晴耕雨読ならぬ晴読雨読っていつだか言ってたっけ 言ってますね。晴れてても働きたくないでござる案件ですね そりゃ性交が優先っすわw
553 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/12(月) 21:52:17.32 ID:raM0BqV30 それはそれとして、ちょっとスランプでございます。 お話は出来上がっているのですが、文章がまとまらないのですよね。 まあ、波があるので致し方ないものとしております。 ひょっとしたら、気分転換にハーメルンで流行っている RTA風の奴を投下するかもしれません 恋姫無双立志伝 袁家凡人√ はじまるよー みたいな 割と今作、想定より最適解で歩んでるなーとかなんとか 暇があったら完結後か幕間にやるかもしれません あっちでは絶対にやらない奴ですね
554 :青ペン [sage]:2020/10/13(火) 04:37:58.15 ID:mzoDNEXzo >>553 >恋姫無双立志伝 袁家凡人√ はじまるよー となると現状ではifになる月詠生存√も出てくる可能性が微レ存?
555 :赤ペン [sage]:2020/10/14(水) 09:30:11.20 ID:GU9iQCJV0 なんかこのページが攻撃されてるとかなんとか出てきた 大丈夫かしら
556 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/14(水) 21:21:36.58 ID:IfnGNAR60 >>555 スマホからはそうみたいっすねw 専ブラからは影響ないかな 今日はがんばる
557 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/14(水) 22:42:07.53 ID:IfnGNAR60 「申し訳ない」 関羽は悄然として、頭(こうべ)を垂れる。実際期待外れもいいところである。それは彼女が一番認識している。だから、誰も彼女を責めない。 「いや、愛紗はひとつも悪くないさ。こちらの言い分を聞かない相手が悪いんだ」 「そうだよー。愛紗ちゃんはなにも気にすることはないよ」 口々に関羽を慰めるその言葉がかえって苛(さいな)むのだ。 結果が全て。それは過ぎし日に先達に受けた薫陶。あの、涼州の快男児が関羽に示したもの。 そして、手札を切ることすら叶わなかったのだ。その、忸怩たる思い。様々な要因が関羽を苛む。 ――そう、玉璽と七星刀である。今、手札として活かさなければどうするのだ、と。 言葉にできない。だが、差し迫った焦燥さえ感じるのだ。取り返しがつかないのではないか、と感じるくらいに。 ◆◆◆ 「しかし、宦官だけじゃなくて皇甫嵩や劉協までも、かあ。 徹底しているなあ」 北郷一刀は思う。その道は血を流し過ぎているのではないか、と。 そして、血と恐怖で漢朝を掌握する存在の異名を呟く。 「魔王、か……」 きっと、向かい合うことになるであろう。そう、思う。 絶対に、相容れないであろう。そして、決意を新たにする。 「魔王、ね」 頑張らないと、と気を引き締める。いかに手元に張飛や関羽といった豪傑。そして諸葛亮や鳳統という軍師がいても、だ。 「皆が笑って暮らせる世の中の為に、だな」 ◆◆◆ 「あっけないもの、だな」 公孫賛は誰ともなく呟く。 今頃は董卓、賈駆、王允の処刑が淡々と執行されているはずだ。 裏事情を知る身としては思う所がないではないのだが、致し方ない。致し方ないというのが本音だ。頭を一つ振って気合いを入れる。 ヨシ、と声も高らか。配下にハイタッチで気合いが更に高まる。 戦後処理が終われば新体制の発表だ。なんでも皇甫嵩や劉協といった、新体制でも中枢に据えられたはずの人材が喪われているそうな。 青写真が無に帰り、組閣は難航しているらしい。 とはいえ、公孫賛はそれどころではない。なんとなれば、組閣に先んじて幽州の州牧として任命されることが通知されたのだ。 抜擢と言っていいだろう。地方の一軍閥でしかなかった公孫が太守になっただけでもとんでもないことではあるのだ。それが州牧だ。 中華で十三しかないその席に座り、責を果たすかと思うと乾いた笑いしか出ない。 いや、だからといってそれを返上なぞするつもりはない。今まで尽くしてくれていた部下たちには大いに報いてやらばければ。 そう決意する公孫賛ではあるがその顔色は冴えない。なんとなれば、彼女を補佐する韓浩から面談の申し込みがあったのである。 「話がある」ときたのだ。
558 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/14(水) 22:42:34.52 ID:IfnGNAR60 ◆◆◆ 「お忙しいところ、お時間頂き感謝する」 いつもながらに淡々とした韓浩の口調に公孫賛は苦笑する。 いや、変わらないなあ、と。 「いや、他ならぬ韓浩なら、さ。いつだって時間くらい割く」 例えそれがどのような用件であっても、だ。 きっと袁家への帰参の件だろう。 はあ、と内心で公孫賛は人生最大級のため息を吐く。 いや、と思い直す。もともとキリのいいとこまでと言って貸し出されてきたのだ。いよいよ、これからこの世の春を謳歌(おうか)するであろう袁家に復帰するのはごく自然なことだ。 むしろ、韓浩のような人材が一軍閥の長であった自分に貸し出されていたのがおかしいのだ。 なんとなれば、韓浩は袁家における武家筆頭の紀家軍の幹部候補生……どころかれっきとした幹部である。それも上位の。 文武に秀でる彼女は紀家軍の、今となっては古参だ。 雷薄が横死した現在、客観的に見てその席次は非常に高い。具体的に言うとあの趙雲すら凌ぐ。 もっと具体的に言うと紀霊の横で補佐をするのが自然なのだ。ぶっちゃけ袁家の武家筆頭である紀家軍のbQが妥当な席次であるのだ。 実際、韓浩というのは破格の人材である。そう、公孫賛は思う。 平時、戦時共に痒いところに手が届く補佐ぶり。それにどれだけ助けられたか。 戦場で根拠地について憂いがないという状況。そして、戦場で副将と参謀を兼ねる彼女がいるという状況。 そのどちらも公孫賛は未知のものであった。韓浩がいたからこそ、だと公孫賛は思う。彼女がいたからこそ呂布の率いる軍にあのように一方的に押し込めたのであろうと。 そのような彼女を、だ。 ほいほいと貸し出すことのできる袁家という集団の奥深さに公孫賛は苦笑する。まあ、それはいい。 愛想がなくて、歯に衣着せない彼女。それはかけがえのない存在ではあったのだが。それも借り物。そして、きっと彼女は袁家にても栄達していくのであろう。それは最初から分かっていたことだ。分かっていたはずだ。 だから、気持ちよく送り出そうと決めていた。精一杯の感謝の念と共に。 ◆◆◆ 「ほんと、韓浩には世話になった。うん。本当に世話になった。州牧なんて地位に私が就くのも、だ。 割と全部が韓浩のおかげだと思ってる。ほんとに、感謝してる。 だから……」 言葉を続けようとする公孫賛に、韓浩は不思議そうに首を傾げる。 異議を投げかける。 「ちょっと待ってほしい。何か齟齬があるようだ」 言わせるなよ、とばかりに眉間に皺をよせる公孫賛の抗議なぞ、どこ吹く風とばかりに韓浩は応える。 「私が今日、お目通りを願ったのはそう。貴女にそのような表情をさせないためと言ってもいい。 多分」 へ?と戸惑う公孫賛。 韓浩は優しく笑いかける。いや、それは錯覚であったのかもしれない。 だが、彼女の紡ぐ言葉は公孫賛の耳朶を打ち、心を震わせる。 それは誓いの言葉。覚悟の言葉。 「これよりわが身は、我が忠誠は御身のために。 そう。非力非才の身であるが、この忠誠を御身に尽くす。 この剣を受け取って欲しい。もしそれが御身の望まぬものならばこの胸を貫くべし」 片膝をついて韓浩は腰の剣の切っ先を自分の胸に突き付ける。 剣の誓い。 武人にとって神聖なそれであるということに気づいて公孫賛は震える。 何にであろうか。嬉しさ?戦慄?望外のこの状況に理解が追い付かない。 まさかに、夢ではなかろうなとばかりに軽く頬をつねる。痛い。痛い?痛いとも。 「わ、私なんかに、いいのか?」 お前はもっと、もっと大きく羽ばたけるだろう、と。 「繰り返す。我が忠誠は御身に。 もしそれが御身の望まぬものならば、この胸を貫くべし」 そ、それはまずくないか? そう、口に出そうとする公孫賛の目の前の韓浩は、いつも通り静かに。 「既に袁家も了承済み」 最大にして唯一の懸念。それが消え、改めて韓浩を見据える。その眼差しはいつものごとく無表情。それが、何故だか嬉しかった。 そして韓浩の持つ剣を受け取る。 「州牧の地位よりも、韓浩を得たことの方が嬉しい」 後世に伝わる公孫賛の台詞である。
559 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/14(水) 22:44:43.04 ID:IfnGNAR60 本日ここまですー感想とかくだしあー ここまでで完結してもいいくらいやねんよ 題名募集しまくりんぐですよ本当に! ほんと、ここで終わってたらあんなに荒れなかったわw いや、別にええねんけどねw それでも前に進む二郎ちゃんにご声援よろしくお願いします。
560 :青ペン [sage]:2020/10/15(木) 16:33:29.40 ID:VYZMvkhxo >>559 おつーん。 そうねー 白馬に寄り添う鉄仮面 …かな
561 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/10/17(土) 14:11:30.09 ID:gSMBKSFs0 乙(なのです。でち。ぽい)です。 元気ですよーっ!(某アントンボンバイエ風www) 速攻浮かんだ題名「幽州無敵ハクとカン。誕生編」「伯珪さん最高の日」なんとなーくごきげんさんに(某ファンキーFM風) ただねぇ…… 韓浩さん怖ぇぇよ。「いらんなら殺せ」って、地味様一瞬困っただろうなwwwつうか韓浩さん正座説教一時間案件です。ちゃんと地味様の思いを受け取るように(命令) 魔王ですか。クラスチェンジしました?(凡人→魔王)信長が第六天魔王でしたから、第七天魔王とでも名乗ります?二郎さん。 なお本当の意味での庶民には一切直接手を下していない模様。 関羽さんの胃腸とメンタルが気掛かりで……二郎さんがパシリからNTRるか掻っ攫うかすればまだ救いはありそうですが。 荒れようがどうしようがついていきまっせ、二郎の旦那(げっへっへ)声援ってこうじゃないよな。
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