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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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495 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/16(水) 06:06:34.77 ID:gOPBOXyi0
◆◆◆

「何も皆殺しにすることもないだろうに……」

北郷一刀は、呟く。
諸葛亮がもたらした情報。宦官を誅滅したというそれ。その非道、悪逆に彼は心を痛める。
なにも殺すことはないじゃないか、と。

諸葛亮にしてみれば、納得しかないのではあるのだが。
様々な逸話から察する紀霊の性質において、読み取れるのは激情。そして身内への愛情。
ならば、禁裏において武力を以って何進を排除した宦官。それを紀霊が放置するわけもないのである。
なんとなれば、彼が、否。袁家の幹部が溺愛する袁術が入内するのだ。気に入らぬからといって暗殺に走るような存在を、かの怨将軍が許すはずもない。まあ、それを進言して主の機嫌を損なう必要もない。これは自分と親友たる鳳統が把握していればいいことである。

そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。

「鈴々、くれぐれも気を付けてな」

「大丈夫なのだ。お兄ちゃんはどっしりと構えていてくれたらいいのだ」

気になることがあると言って、張飛と諸葛亮を引き連れて洛陽を巡っていたのだ。いや、密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、自信に満ちた彼の言うことにはなぜか頷いてしまう自分がいるのだ。
ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。袁家の助成にいち早く立ち、ことによれば馬家と矛を交える可能性すら飲み込んで至誠を尽くした彼女の、だ。
洛陽の困窮した民に炊き出しをしたいという劉備の願いは届き、そして。

「いや、確信はないんだけどさ」

それでも、必要であると断じたのだ。天の御使いたる北郷一刀が。ならば、と諸葛亮は思う。まあ、彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。

「お兄ちゃん!あったのだ!これだと思うのだ!」

そして北郷一刀は、とある涸れ井戸から玉璽と七星刀を発見する。

◆◆◆

「こ、これが伝国の玉璽……」

流石に諸葛亮も目にするのは初めてである。そしてその重要性を把握しているのはこの場できっと自分だけであろう。四百年にわたって連綿と続く漢朝。その権威を担うのがこの玉璽なのだ。
触れたいような、触れたくないような。その、内心の逡巡を身体は裏切る。気づけば両手を伸ばして。
それを見た張飛が無造作に放り投げる。

「わ、わ!」

取り落しかけて諸葛亮は必死に受け止める。

「ひゃ、ひゃう……。 
 ご、ご主人様。玉璽に七星刀。いずれもお金では買えない、秘宝です。どうするおつもりなのでしゅか……。
 あ、噛んじゃった」

はわわ、と狼狽える諸葛亮の様子に笑みを漏らしながらも北郷一刀は答える。

「そうだな。とんでもないお宝だ。漢朝にとっては特に、さ」

だから、さ、と北郷一刀は笑う。

「きっとさ、これだけの貴重なお宝だ。きっと月と詠を購えると思うんだよ」

「ご主人様……」

「流石お兄ちゃんなのだ!」

諸葛亮と張飛はそれぞれに反応する。そこに含まれる音響には差異があれども、共通するのは主への讃辞。

「早い方がいいでしょう。早速動きます。ええ、董卓さんや賈駆さん達はこのような……、このようなところで喪っていいわけがありません」

救わなくてはいけない。救えるかもしれない。救えるだろう。いや、救うのだ。
董卓を、賈駆を。呂布を、張遼を。

「細かいところは朱里に任せるから、さ」

頼んだ、と頭を下げる北郷一刀に諸葛亮は胸を熱く。
皆が笑える世を。きっと。
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