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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 542 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/10/07(水) 22:03:09.19 ID:L6G3oIBv0
- 「おめでとうございます!華琳様」
曹操は腹心の声に軽く応える。
湯浴みをすませたばかりの金髪からはまだ僅かに湯気すら立ち昇り、軽く上気した様は色気すら感じさせる。
そして配下たちは曹操のもたらした報せに湧く。三公の座の一つである司空の地位。飛躍と言っても足りないくらいなのだ。いずれは、やがてはと思い描いていた。それがこうも早くに、だ。
数日前までは、袁家と事を構えるやもしれぬ、という絶望的な状況であったということが嘘のようである。
そう、袁家とはいずれ雌雄を決するというのは予想していた。だが、まだ早すぎる。早すぎた。
曹家が誇る夏候惇の武威、荀ケの知謀、そして文武において比類無き曹操という傑物。ありとあらゆるものを積み上げても時期尚早。
以前より曹家は――というより曹操が――袁家、特に紀霊に評価、或いは警戒されていた。粛清の余波で族滅すらありえたのだ。無論ただでやられる心算はなかったが。
割と曹家には悲壮感的なものが漂っていたというのが実情であった。
なんとなれば、曹家が権力基盤として当てにしていた宦官が物理的に一掃されてしまったのだ。累が及ぶであろうことは想像に難くない。
「流石華琳様です!」
その声を受けて曹操は笑みを深める。
四世三公。袁家が誇るほどにその地位は大きいのだから。
◆◆◆
「しかし、終わってみればあっけないものですね。もっとこう、大規模な戦闘があると思っていたのですが」
「姉者、洛陽でそのようなことがあったら洒落にならんぞ」
「秋蘭、それは分かっているとも。だがな、実にあっけないではないか。あれほどに禁忌と思っていたのだがな。こうも脆いものか、とな」
やれやれ、といった風に荀ケが応える。
「軍事的にはそうでしょうけどね、まかり間違えば逆賊になるのよ?
たとえ一時権を握ったとしてもね。大義名分を得られたら討たれるだけよ。
攻めるに易く、守るに難い。それが漢朝の首都たる洛陽の強み」
正当性こそが重要なのだ。その言になるほど、と夏候惇は頷く。
「確かに、洛陽の防衛とか考えたくもないものだ」
深刻そうに呟くその言を受けて笑いが弾ける。別に夏候惇としては冗談を言ったつもりはないのだが。
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