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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 490 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/15(火) 22:43:10.37 ID:1UTVWaR70
- 「その軽口が叩けるのであれば加勢の必要はなかったか」
「いえいえ、実に助かりました。危機一髪という奴でしたね〜」
呑気な程立の口調に張?は苦笑する。
「ですが、張?さんがここにいるということは」
「うむ。禁裏については片が付いた。万事滞りない」
それはなによりと程立は安堵の息を漏らす。万全たるべく動いてはいたが、実際に事が起こると、何が起こるか分からない。
「では?」
「うむ、張家の手勢は洛陽の混乱を収めるために動いている。私がここにいるのもその一環だ」
ふむ、と程立は頷く。恐らく民衆の暴動を防ぐべく、張家は奔走しているのであろう。その功績は大きいが、史書に記されることもないであろう影働きである。
「では、劉弁様はご無事で?」
「うむ。そうだな。だが、予想外の事態に混乱してはいるのだ」
張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。
程立は僅かに眉を寄せる。
「ほう、君が主体となっての排除劇ではなかったのか」
口を歪ませて張?は問う。
「いえいえ。劉協様と皇甫嵩さんの離間工作。それなりに布石は打っていましたが、まさかに……」
二虎競食の計とか色々考えていたのだが、仕掛ける前に結果が伴うとは。それも双方の退場という結果で。
「なんということでしょね〜」
くふ、と一声笑って程立は思考を進める。茫洋としたその表情からは、何も読み取ることはできない。
「洛外については、稟ちゃんが上手くやってくれたようですし、ここからは時間との戦いですかね〜」
実は程立と郭嘉は洛外においての諸侯軍への対応において意見が分かれていた。程立は袁家とその友好軍閥の武威を以って圧倒すべしと主張し、郭嘉はむしろ袁家単独で当たり、軽挙妄動する諸侯を炙り出し、殲滅すべしと主張していた。
そこで決を下したのは紀霊である。
人死には少ない方がいいというその言に郭嘉は大いに思うところはあったようであるが、一先(ひとま)ずはその方針に沿って動いてくれたようである。
「既に朝廷は紀霊殿が押さえた。軟禁されていた者も解放、或いは確保している」
ふむ、と程立は頷く。そして目線でさらなる報告を促す。
「ああ、無論董卓殿の身柄も確保しているとも」
にまり、と張?は歪んだ笑みを浮かべる。
「健気、であったな。いや、彼女を憐れんでいるのではない。それは彼女に失礼だろう。いや、立派なものであった」
狭い室内に監禁され、疲労の色が濃いながらもその瞳には力が宿って張?を見据えて貫く。静かで、それでいて真摯に響くその声。その声には自然と耳を傾けてしまう。
なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。
「惜しい、と思うのは感傷かな」
くふふ、と程立は笑う。
「まさか張?さんからそのようなお言葉が出るとは、ですね〜。ただまあ、袁家には必要ないかと〜」
穏やかな口調で程立は、ばっさりと切り捨てる。
「それに、二郎さんが決めたことを蒸し返しても致し方ありませんしね〜」
くふ、と軽く。軽く笑って程立は身を翻(ひるがえ)す。
きっとあの青年はやると決めたことは全部やって、それで勝手に傷ついているに違いない。
泣いているかもしれない。喚いているかもしれない。それでもやらねばならないことはやっているであろう。
だから、自分が。紀霊の軍師たる自分の出番である。そう程立は思う。
「後はお任せしましたので〜」
魯粛に言い捨てて禁裏に向かい歩き出す。
その歩みは、いつも通りであった。
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