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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 480 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/09/14(月) 22:18:42.63 ID:MO/NhoCH0
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「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!
いざ尋常に応えられたし!」
見事な口上である。なにより見事なのはその声量だ。戦場においては声量というのは馬鹿に出来ない。その指示を行き渡らせるに必須の、或いは将としての素質。
「問おう。何故に洛陽への道を閉ざすのか」
朗々と響き渡る夏候惇の声。だが、対する趙雲の声も負けてはいない。玲瓏たる響きは、質こそ違えど敵味方問わず浸透する。
夏候惇が雷鳴ならば趙雲は地鳴り。腹に響き、否応なく認識するそれ。袁家の古参は雷薄を連想した。そしてそれは正しい。
「おや、曹家には伝わっていなかったかな。
数万に及ぶ軍勢を容れる準備なぞ洛陽にはない。無用の混乱は求めるところではないだろう」
その言に夏候惇はにまり、と口をゆがめる。
「笑止!それならばそれで構わんとも!だがな!いささか勝手がすぎるというものだろうが」
趙雲は、それがどうしたとばかりに。
「は、既に諸侯軍のはねっかえりどもが凶行に及んでいるがな。それを知らぬとでも言うのか」
「知らんな。知っているのはそう、貴殿らがこともあろうに禁中にて血を流したことくらいか。宦官誅滅とはまた思い切ったものだ、な」
◆◆◆
「何だって!」
驚愕、それが激昂となる直前に馬岱は口を挟む。
「そっかー。二郎様ってば、ようやく仇を討てたんだね。よかったよー」
気勢を逸らされた格好の馬超は馬岱に問いかける。
「ちょっと待て、どういうことだ?」
馬岱は苦笑しつつも言葉を選びつつ宦官と袁家……紀霊との因縁を語る。
それを聞き、馬超はむむむ、と唸る。
「だからね、二郎様は本懐を果たしたんだよ。ようやくね。
うん。ようやっと、だね」
いつになくしおらしく、しんみりとした馬岱。その双眸には、涙すら浮かんでいる。
いつもおちゃらけている態度、へらへらとしている馬岱。だからこそ、その涙は馬超の胸を打つ。
「そうか……。そうだな。それは譲れない、よな」
自分とて父たる馬騰の復讐に燃えていたのだ。その心根は痛いほどに分かる。
そして、願わくばあの青年が、復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。
彼女は心の底からそう願う。
「それはそうとして、曹家は収まらんだろう。いや。だからこそ夏候惇が出たのか」
宦官をその支持基盤とする曹家。宦官を誅滅するということは曹家に喧嘩を売るに等しい。
洛陽という果実を目の前にしてお預けを喰らっている諸侯軍の不穏な空気を背負い、仕掛けるつもりかと馬超は訝(いぶか)る。仲間内で争っている場合かよと内心呆れる。
……この時馬超にこの場をどうこうしようという発想はない。それを認識して馬岱は内心安堵する。
これでよい、とばかりに。やりきった、とばかりに。
そしてこの場を支配する二人がどうこの場を動かすのかと無責任に好奇心を優先させることにする。元来、あれやこれやと思い悩むのは向いてないのだ。
◆◆◆
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