【安価とコンマで】艦これ100レス劇場【艦これ劇場】

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420 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/03/13(金) 22:49:06.07 ID:lrMYVIKO0
あっ忘れてた。例によって例の。
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獲得経験値(~25/100)
・皐月の経験値+1(現在値4)
・足柄の経験値+1(現在値8)
・響の経験値+2(現在値6)
・雪風の経験値+1(現在値5)
他二人
・翔鶴の現在経験値:7
・金剛の現在経験値:5
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『Phase B』【25-30/100】
レスのコンマ値で登場する艦娘を決定します。
00〜16:雪風
16〜32:翔鶴
33〜51:金剛
52〜66:響
67〜82:足柄
82〜99:皐月
>>+1-5

よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらいで流し読みするか>>351付近を参照下さい。
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421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 14:52:28.71 ID:lUln3ejyo
乙です、元ネタがわかるとニヤニヤしながら読んでた
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 18:23:47.71 ID:AZBHoO/yo
さて
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/15(日) 00:12:42.23 ID:fCNwmc0Io
ぽい
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/16(月) 00:42:37.80 ID:6IW/3++vo
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/16(月) 03:38:00.79 ID:Lpf6Iov5o
いやん
426 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/03/16(月) 08:11:43.29 ID:QRRI8Ufn0
>>421->>425より
・足柄4レス/翔鶴1レス
で『Phase B』が進行していきます。

突然の足柄フィーバー。なんだこれ!? こういうことを平然とやってきやがるのがコンマの恐ろしいところだ。
ま、まあこういうのも覚悟の上でしたし、ねぇ〜。それに、むしろこっちの方がカオスで面白かろう。
かつてない濃厚な足柄インナップにご期待くださ……いやマジどう進めようかわりと悩むところですがなんとかします。
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/16(月) 08:25:18.69 ID:6IW/3++vo
すげえww足柄さん大勝利だな
428 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/03/21(土) 19:14:26.10 ID:ysJ3qV530
次回の投下は明日21時頃と予告しておきます。
でもダメだったら1日ずれるかもと予防線も張っておきます。



////チラスは、パキスタン、北方地域に位置し、小規模な町である。////
大和きましたああああフゥゥゥゥーーーーーーー!
遂に大型艦建造の呪縛から解放されたのだ……!

しかし何故か未だ出ぬ能代……。
とはいえそろそろ備蓄始めた方が良さそうだし、最低値で回すのは次イベント後にしときます。
ボーキサイトが20しか無いのはさすがにやばいのヨ……。
429 :【26/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/03/23(月) 20:58:56.91 ID:gUE3VSVL0
霞「ヴェアヴォルフ第52回定例会。始めるわよ」

清霜「明日で解散なのにやる必要あるのかしら?」

霞「うるさい、やるったらやるの!」

足柄「さ、お酒たくさん買ってきちゃったから皆で飲みましょ?」

大淀「おつまみもバッチリです!」 メガネクイッ

霞「会議室で宴会おっ始めようとしてんじゃないわよバカ共ッ!」

足柄「明日でお別れってんならやることは一つ、でしょ?」

霞「ハァ……まったく、うちの連中はなんで無駄な方向にばっかり準備が良いのかしら……」

清霜「類は友を呼ぶってやつじゃない?」

霞「お黙り!」 ペシッ

・・・・

足柄「にしても、良かったわね大淀。ようやく認められたみたいで。第二艦隊に配属だなんて大したものだわ」

大淀「秘書艦だった頃も事務仕事ばっかりで常設の艦隊には入れなかったので……光栄ですね」

大淀「提督に秘書艦を外された時はショックでしたけど……。私は“今まで秘書艦だった”という慣習によって評価されていた所がありましたから。こうして純粋な実力を認められたことは、素直に嬉しいです」

霞「まっ、あれだけ鍛えれば当然よね」

清霜「とにかく暇だったからねー」

足柄「アンタ達、何してたのよ……」

大淀「霞さんにひたすら稽古をつけて貰っていました」

清霜「そうそう。本当に酷い時期は他の艦娘に白い目で見られるせいで演習場にも行けなくて、仕方がないから海に出て野試合してたのよね」

足柄「野試合て……。まあ、霞と殴り合いしてればそりゃ強くもなるわね……」

大淀「それにしても、どうして提督は足柄さんを常設の艦隊に入れなかったんでしょうか。例の、麻薬の一件であれだけ足柄さんのことを評価していたのに」

霞「というか、わざとらしく讃えてたわよね。まるで他の艦隊にも足柄や他のヴェアヴォルフの面々を評価させるかのような言い回しで」

足柄「提督曰く、私たちのことを結構評価してたみたいよ。当初は潰すつもりだったけど、なかなかしぶといんで逆に利用しようと思ったんだってさ」

霞「ふーん。頭は良いかもしれないけど、演技は下手ねあの提督。露骨すぎて見る人が見れば何か裏があるって勘繰るわ」

霞「というか、訳知り顔でそんな話をするってことはアンタもやっぱり何かしら重要なポスト任されてるみたいね。少し安心したわ」

清霜「メンバーの中で唯一の行き遅れだって二人で心配してたんだよねー」

足柄「あら、この私に向かって“行き遅れ”だなんて聞き捨てならないわ。そんなんだから戦艦になれないのよ」

清霜「なれるモン!」

足柄「なれないも〜ん」

一発は足柄へ、一発は清霜へ拳骨が投下された。

・・・・

清霜「色々あったけど……皆と過ごせて楽しかったわ」

霞「ロクな思い出が無かったけどね! 何度死にかけたことか……でも、悪くはなかったわ」

大淀「明日になったら皆、別々の艦隊なんですね。少し、寂しく思います」

足柄「なぁに、生きてさえいればまた会えるわよ! 悲しむだけ損ってもんだわ。それよりも、皆の新しい門出を祝いましょう」 隣に居る清霜・大淀の肩を組む

清霜「これで終わりじゃなく、ここからが私たちヴェアヴォルフのスタート……でしょ?」

大淀「そうですね。また、いつかどこかで会えるといいですね」

三人の、さぁ早く加われと言わんばかりの目線を察し、嫌がりながらも円陣に加わる霞。

霞「会えたらいいじゃなくて、また会うのよ」

霞「いいわね! また、こうして、誰一人欠けることなく、バカみたいな集まりがやれる、その日まで、生き抜くのよッ!」
430 :【27/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/03/23(月) 21:05:39.82 ID:gUE3VSVL0
足柄(……最近は戦場に出てなかったから忘れていたけれど。そうよね、私たち、命を懸けて戦ってるのよね)

足柄(霞は過去のことを話したがらないけど、きっと多くの死別を経験してきたのよね……だから昨日の最後にあんな事を言ったんでしょう)

足柄(これからどれだけ先になるか分からないけど。また、皆と会えるその日まで……! 負けられないわッ)

提督「足柄よ、何ボーッとしてる。ついて来い」

執務室地下のモニタールームを案内する提督。

足柄「は、はい。……ところで、鎮守府にこんなものを建てて平気なのかしら?」

部屋に置いてある無数のモニターを不思議そうに眺める足柄。

提督「襲撃があった際の備え……という名分で使われていなかった地下室をより軍事的価値のあるものに改造しただけなので問題ない」

足柄「ハァ……ソウデスカ」

足柄「そういえば……前言っていたワープがどうとかだけど……。本当にそんなこと出来るの?」

提督「疑り深い奴だな。……これを持て」 四角錐状の物体を手渡す

足柄「このピラミッド形の鉄は……?」

提督「鉄ではない。いわゆる“ネジ”などから生成したちょいとワケありの物質だ」

リモコンを取り出し、部屋の最奥にあるシャッターを開ける提督。

提督「案内しよう。実験室だ」

足柄(妙な装置がずらずらと……。机の上には資料が並んでるみたいだけど、どれもパッと見ではチンプンカンプンね)

提督「ええと……この机の右端に置いたのが始点で左端に置いたのが終点だ。この装置の上にお前が手に持っているそれを置いてくれ」

机の上に顕微鏡に似た謎の装置を置く提督。

足柄「ええ。分かったわ……!?」

提督がスイッチを押すと、物体を置いた台座が高速で回転し始める。
しばらくすると物体が台座の中にめり込んでいく。

足柄「一体何が起きてるの?」

提督「詳しい原理は長くなるので省くが、正三角錐や正四角錐の物体を螺旋状に回転させるとワープする」

と言い終えた直後、始点にあったはずの物体は終点に移動していた。

足柄「た、確かにワープしたけれど……。脳の理解が追いついてないわ……」

提督「まあそこに座れ。ピラミッドパワーというのを知っているか?」

足柄を椅子に座らせ、パチンと指を鳴らす提督。天井からホワイトボードが降りてくる。

足柄「え? えぇ。なんか、ピラミッドの中に物を置いておくと腐りにくいとかいう……」

提督「残念それはレナード効果と言って真のピラミッドパワーとは関係ないのだ」

提督「最も、老化を防いだり逆に加速させたりする方法もあるのだがな。
自然界に存在する黄金長方形。この黄金長方形のエネルギーを利用して真円の球体を射出することにより時間への干渉……果ては次元さえも超越することが可能らしい。
今となっては眉唾もののロストテクノロジーだがな」ブツブツ

提督「……と、それは今回の話にはあまり関係ないのだ。
ピラミッドの石材の石質によって生じるレナード効果なんて些細なものではない。
ピラミッドパワーにはもっと大きな秘密があるのだ。そもそもピラミッドとは古代エジプトの……」

ホワイトボード上に水性ペンでひたすらに自説を書き進めていく提督。足柄は彼の言葉を理解することを諦め、瞼をゆっくりと閉じ、このうららかな昼下がりを優雅にシエスタして過ごそうと決意した。

・・・・

提督「起きたまえ!」 ピシャリとペンを足柄の額に投げつける。

足柄「ふぇっ!?」

提督「いいか。ワープというのはすなわち……」

足柄「あの! 私が聞きたいのはそういうことではなく! なぜ貴方が突然ワープだなんて突拍子もないことを言い出したのかが気になるのですが!」

提督「ふむ……そうか」

提督「では、原理や論拠まで述べていると時間が掛かり過ぎるので、概要だけ説明しよう」
431 :【28/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/03/23(月) 21:10:20.89 ID:gUE3VSVL0
ホワイトボードにあったピラミッドに関する説明を全て消し、何やら過剰書きを始めた提督。
地球や艦娘のイラスト付きで書き並べていく。

提督「こういうことになるな」

・地球の内部には空間がある(◇内部世界)
 −地球の空洞内部には我々が過ごす世界とは異なる世界が広がっている
 −内部世界は“上の世界”と“下の世界”の2つが存在
  ◇“上の世界”:『シャンバラ』『アガルタ』『高天原』
  ◇“下の世界”:『ニヴルヘイム』『ドゥアト』『根の国』  …などと呼ばれる
 −この地球表面上に暮らす生き物は下記の例外を除いて決して内部世界に行く事は出来ない(逆も然り)
・2000年周期で内部世界への出入口が開かれる
 −その影響で地上に現れたのが深海棲艦
 −2000年前も深海棲艦が地上を襲ったが、当時の艦娘がこれを撃退
・深海棲艦を滅ぼすには、“下”の内部世界の出入口である『タルタロスの門』を封印しなければならない
→封印を達成すれば以後2000数年間新たな深海棲艦は出現しなくなる
・『タルタロスの門』は南極の果ての島『メガラニカ』に存在

足柄「!? ? ? ……つまり?」

提督「まずな。深海棲艦と艦娘の戦いは今から2000年前、それと4000年前、6000年前……と2000年周期で起こっている。
地球の内側は異世界に繋がっているのだ。周期が近づくとこの内部世界への出入口が俺たちが住む地表世界に出現する」

提督「北極の島『ウルティマ・トゥーレ』には“上の世界”への出入口である『エーリュシオン』が存在している。そして、“下の世界”への出入口『タルタロスの門』がある南極の最果ての島『メガラニカ』……ここから深海棲艦はやってくる」

提督「“下の世界”への通路である『タルタロスの門』を封じれば地上に新たな深海棲艦が生まれることはなくなる」

提督「だから『タルタロスの門』がある『メガラニカ』へ俺たちが到達しなければならない。
が、常識的に考えて北極まで航海出来るはずがないのでワープして向かうというわけだ」

足柄(この人にとっての常識ってなんなのよ……)

足柄「ええと……つまり? とにかく、深海棲艦の根城を叩くってことよね。ワープして」

提督「そうだ。もっとも、タルタロスの門から深海棲艦の艦魂が湧いてくるだけであって、そこに深海棲艦が居るわけではないのだがな」

足柄「へぇ……。……その、“内部世界”っていうの? の、入り口が2つあるんでしょ? で、深海棲艦は“下の世界”から出てくると。
だったら、“上”はどうなってるの?」

提督「良い質問だ。“上の世界”からはその時代における最初の艦娘がやって来る。あとは妖精だな」

提督「“上”からやってきた最初の艦娘らが深海棲艦に抗う術を人間たちに伝えにやって来るのだよ」

提督「今となっては既に神話の世界の話になってしまうが、『アストライア』や『ノア』も人類に戦う術を教えた、それぞれの時代の“最初の艦娘”さ」

足柄「“ノア”って……あの『ノアの方舟』の!? 嘘でしょ!?」

提督「ああ。口伝のせいでいつの間にか人間だったということにされてしまったが、“ノア”というのは艦娘の名で、それを導いた人物……つまり当時の提督だな。そいつが今の時代に“ノア”と認識されている男だ」

提督「尤も、深海棲艦や艦娘、提督だなんてものは今の時代における呼ばれ方であって、当時は別の名称だったがな」

提督「深海棲艦の目的は、この地上の全てを支配し“上の世界”を侵攻する。それが目的だ。
一方“上の世界”は人類に艦娘を与えてこれを食い止めさせる……これが俺たちの生きる世界の摂理だ」

足柄「それ、いっそのこと深海側に着いた方が良くないかしら?」

提督「……お前は海の中で生きていけるか? という話だ。
それに、こっちが歩み寄った所で奴らにその意志はない。
深海棲艦と共存しようとして失敗した例が『アトランティス』や『ムー』だな」

提督「“上の世界”の連中が直接動けば深海棲艦を滅ぼすことは出来るのかもしれないが……そうなると戦場は俺たちがいるこの地上。
戦いのとばっちりで人類は絶滅してしまう……それゆえ“上”は動けない、ということらしい」

足柄「スケールが大きすぎてまるでイメージ沸かないわね」

提督「俺だって沸かんよ。……ま、今日の授業はここまでだな。勉強になったろう」

足柄「こんなこと私に話して平気なの?」

提督「お前のようにやたらめったら詮索してくる相手には話せる範囲で手札を明かした方が手っ取り早いと判断したから、少しだけ時間を割いてやっただけだ。それに、こんな話は他人に出来ないだろう」

・・・・

足柄(そりゃ、あんな話、誰かに話したところで正気を疑われるだろうけど……)

足柄(どこで提督はあのことを知ったの? 一体、何者なの?)

足柄(知れば知るほどに分からなくなっていく……)
432 :【29/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/03/23(月) 21:12:54.64 ID:gUE3VSVL0
安全第一と書かれたヘルメットを被り、削岩機で岩盤を砕いている皐月。

皐月「ふー……ちょっと休憩」 額から流れ落ちた汗を拭う皐月

文月「皐月ぃ。その姿、結構サマになってるねぇ〜」

皐月「なってないよ! にしても……『第零艦隊』『極秘部隊』『アノーニュムス』だなんて、大層な名前のわりにやることは地味だよねー」

文月「初めての任務が土木工事だもんねぇ……潮力発電所なんて作ってどうするんだろう」

皐月「座標を算出するために大量の電力が要るって言ってたけど……いったい何のことだかさっぱりだよね」

足柄「そこ、私語は慎みなさいな! ちゃっちゃっとやる!」

黙々と作業を進める足柄。着ているオーバーオールは既に泥まみれである。

皐月「足柄さん、タフすぎますよぉ〜」

足柄「軟弱ねー。遠征部隊上がりは鍛えが足りないんじゃないかしら?」

ムッとした様子で再び地面を掘り進める皐月。

足柄「あら、なんだまだやれるじゃない」

足柄「……にしても、確かに妙よね。こういうガテン系の仕事は体力バカの戦艦二人がやるべきだと思うんだけど。
金剛と比叡はどういうわけか執務室に呼び出し食らってるのよね。何か別の仕事でも与えられてるのかしら」

足柄「ま、どうでもいい事ね。こっちはこっちでガンガン行きましょう」

・・・・

足柄「完ッ成ッ! さ、後は妖精さんに任せて……早くお風呂に入ってご飯よ!」

文月「もう動けないよぉ……」

皐月「うぅ……」

力尽きて倒れている二人をヒョイとつまみ上げて風呂に駆け込む足柄。

・・・・

文月(ふみゅぅ……お風呂に入ったらだいぶ回復したけど、……強烈な人だなぁ)

足柄「あら二人とも。ずいぶんと長風呂だったわね。夕飯作っておいたわよ! さ、食べましょ食べましょ?」

机の上に盛られているおびただしい数のカツ。キャベツ。そしてカツ。

足柄「ご飯とキャベツはおかわり自由よ? たくさん食べてね?」

・・・・

皐月「なんだかんだお腹が空いてたから案外いけるもんだけど……普段じゃこれは食べられないなぁ」

足柄「あら? ヴェアヴォルフだったらこのぐらいの量は少ない方なんだけど」

皐月「えぇ……」

足柄「食べ過ぎて体調悪くなられても困るから、無理しないでね?(いざとなったら私が食べるし)」

皐月「いやまぁ、まだ平気ですけど……」

足柄「にしても奇妙なものねぇ。二人も龍田の一件に関わってたんでしょ?」

皐月「いや、ボクたちは何もやってませんよ」

足柄「そんなことは分かってるわ。そうだとしたらここに居るのはおかしいもの。
表立っての存在を公言しているわけじゃないから地位は与えないけれど、“アノーニュムス”は第一艦隊と同等の扱いをするって提督が言ってたし……。
あなたたちがどうして提督に認められたか気になるなって思ったのよ」

皐月「って言っても……ボクらも分かんないよねぇ」 文月と顔を見合わせる

皐月「本当に、なんでか分かんないんですよねー。結果的にはちょっと司令官の役に立てたみたいだけど、ボクらが特別何かしたわけでもなく……しいて言うなら運が良かったのかなぁ?」

足柄「ふーん。やっぱ何考えてるんだか分かんないわねーあの人。あなたたちもそう思わない?」

皐月「あー、それちょっと同意ですねー。なんか企んでそうっていうか……悪い人じゃないとは思うだけどなー」

足柄「いやいや、ひょっとすると世を欺く大悪党かもしれないわよ? 私たちであの人の謎を暴いてみない?!」

文月(この艦隊、大丈夫かなぁ……。不安だよぅ)
433 :【30/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/03/23(月) 21:21:09.31 ID:gUE3VSVL0
鎮守府内の休憩室。この鎮守府内にはいくつかの休憩所が設置されていて、艦娘たちは自由に利用することが出来る。
加賀との訓練を済ませた翔鶴は、一息つこうと休憩室を訪れた。

翔鶴(あら? 先客かしら)

引き戸を開けると、艦娘だろうか、長髪の女性が正座をしているようだった。
翔鶴は、そこはかとなく一人で過ごしたい気分ではあったのだが、見ず知らずの他人が傍に居てもあまり気にしない性分だったので、部屋にいた女性には構わず給湯器に手を伸ばした。
部屋に備え付けの急須に、給湯器から出る熱湯を注ぐ。
別段良質な茶葉というわけではないのだが、この休憩室で茶を飲むことが翔鶴にとってはささやかな癒やしであった。

カコン

この和室は、所詮暇を持て余した妖精が趣味で作ったものでしかない。
そもそも獣が出るような山奥でも無いのにししおどしが置いてあるあたり、あくまで“それっぽさ”を追求しただけの模倣の庭園に過ぎない。
しかし翔鶴は畳から香る藺草の匂い、部屋の外から見える枯山水の石庭、カランと鳴るししおどしの音……、その全てに風情を感じていた。

カーン

・・・・

加賀「これからは私も第一艦隊の皆さんと、決戦に向けて備えなければならないから。こうして稽古をつけることも出来なくなります。
それに、あなたたち二人はどこに出しても恥ずかしくないほど立派に成長しましたから。……私から伝えるべきことは、もうありません」

翔鶴「そんな! まだまだ先輩に教えてもらいたいことがたくさんあるのに……」

加賀「次の作戦であなた達は支援部隊だけれど。私はあなたたちの師として、手本となる道を示したいと思っています。
あなた達は私や赤城さんが前線で戦う姿から、自分にとって必要なものが何であるかを見出し、学び取ってください」

加賀「……今の私の基となる、正規空母加賀は当時敵対していた国の将兵を数多く殺しました。私だけでなく、それはあなたたちにも言えることです。
当時の価値観における正義を貫いただけのこと。私たちは人を殺し国を滅ぼすために生まれてきた兵器だったのだから」

加賀「実艦であった頃の、遥か昔の記憶があるわけじゃないけれど。私は“加賀”の名を背負って生きている。
けれど、私が今生きている理由は命を奪うためじゃない。赤城さんを、あなた達を、皆が居るこの鎮守府を守るため」

加賀「次の作戦はかつての“加賀”であった艦にとって最期の戦い。でも、私はそうはならないわ。
今の私は、人を殺すための兵器でなく、人を守るための兵器。
……私は、かつての“加賀”を超える。運命を、変えてみせる」

加賀「その為に、今の段階から最善手を打っておきたいの。どんなことが起こっても対応出来るように、自分を高めておきたいのだわ」

瑞鶴「……分かりました。あの、これっ」 加賀の手のひらの上に、黒い兎の編みぐるみを乗せる瑞鶴

加賀「何かしらこれは? 七面鳥のストラップ?」

瑞鶴「違います! そりゃ、不格好で、ちょっとブサイクだけど……」

加賀「冗談よ。兎でしょう。……これを私に?」

瑞鶴「ええ。一航戦の先輩なら、深海棲艦の敵なんて鎧袖一触! なんでしょうけど……一応、お守りです」

加賀「……良い後輩を持ったわ。ありがとう」 ポンポンと二人の頭を撫でる加賀

加賀「……そろそろ第一艦隊の会議の時間に行かなければいけないわ。二人とも鍛錬を欠かさないことね。では、次は戦場で会いましょう」

・・・・

翔鶴は、先刻の訓練後の会話を思い出していた。

あの時の加賀は、今まで自分たちに見せたことの無いような本気の表情だった。
苦悩と葛藤を乗り越えた先にあるかのような、決意に満ちた真剣な眼差しだった。
去っていく背中から感じたのは、明確な闘志だった。

自分が兵器であるという自覚はあった。敵である深海棲艦を打ち倒すことが使命であることは認識していた。
だが、加賀のように、自分は『誰かを守るための兵器』だなんて考えたことは無かった。

どうすれば先輩のようになれるだろうか。この戦いが終わったら、戦うことしか能がない自分はどうなるのだろうか。
そんなことばかり考えていた。それゆえ加賀の言葉は衝撃だった。
今の自分の居場所に居続けるためでなく、艦娘として戦果を挙げるためでもない。
大切なものを守るため……その一念で彼女は今の高みまで昇り詰めてきたのだと思った。

『大切なものを守りたい』……戦いに身を置く者なら、ほとんどの人が抱く感情だから、殊更おかしなことではない。
だが、その想いだけであそこまで強くなれるというのは並大抵のことでは無い。
出世したいだとか、強くなりたいだとか、誰かに認められたいだとか、そういった欲望の方が人間の根源的な欲望に直結しているからである。
欲望の強い者ほど高いレベルを求めるし、高いレベルに辿り着ける。
そういう意味では自分も他の艦娘に負けないぐらい貪欲だと思っていたが、先程の加賀と今の自分を比べた時、決定的な実力差を痛感したのだった。
想いの強さという点で、負けている、と。

翔鶴(いつか、一航戦の皆さんに負けないぐらい強くなる、なんて思っていましたが……。私は、あんな風になれる自信がありません)

翔鶴(でも、弱気になっていても仕方ないわ。先輩の言っていたように、この戦いで、私の進むべき道を見つけましょう……!)
434 : ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/03/23(月) 21:30:21.25 ID:gUE3VSVL0
本日はここまで。
日曜は友人の来訪があったので本日にずれこみました。
次回の投下を今週中に出来たら嬉しいな! 多分無理なので予告ではなく努力目標。

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獲得経験値(~30/100)
・足柄の経験値+8(現在値16)
・翔鶴の経験値+2(現在値9)

・雪風の現在経験値:5
・金剛の現在経験値:5
・響の現在経験値:6
・皐月の現在経験値:4
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////雷巡チ級////
今回はわりと箸休め的な感じなので少し自重……出来てませんね!
突然ワープとか言い出すようなお話で申し訳ございません。
既に「これ艦これでやる必要なくね?」級のハチャメチャが押し寄せてきてますが、次元を超越したり時間を遡行したり因果律を捻じ曲げたりするレベルのことはやらないつもりなんで許してくだち。
ここまで来るとむしろ艦これを題材にこんなことをやる奴他に居ねーよって感じはしなくもないですけどね。
いやぁ〜でも血気盛んなティーンエイジャーが書けばこのぐらいは余裕でぶっ飛ばせるぐらいの超設定が……(ry

今回(=第二部)は特にイチャイチャさせる気があんまりなかったので足柄さんの出番が多いわりに特にデレ的サービス要素はなしです。
でも最終的には経験値で誰とくっつくか決まるし今回は投票とかせずそのまま数値で決めるつもりなので今んとこ足柄さんルート寄りっぽい。
先の話なんでまだ分からないとこではありますが90/100ぐらい行ったらどのルートになるかが決定かなぁって感じです。
というか……提督偏屈すぎて超めんどくさい人って感じですね。こんなん誰ともくっつかなくても良いんじゃない?(オイ



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『Phase A』【31-35/100】
レス安価で登場する艦娘を決定します。
登場させたい艦娘の名前を1人分記名して下さい。
(雪風・翔鶴・金剛・響・足柄・皐月の中から一人)
>>+1-5

よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらいで流し読みするか>>351付近を参照下さい
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435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 21:32:01.29 ID:dKTgRLUto
皐月
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/24(火) 12:16:11.39 ID:TJVB/29q0

437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/28(土) 11:42:19.25 ID:S/Ztwk5/o
金剛
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 14:19:23.24 ID:IU+c7JMM0
皐月
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 14:57:18.14 ID:SLOJBDwUo
雪風
440 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/03/29(日) 23:52:03.27 ID:XRsWDmWZ0
>>435->>439より
・皐月2レス/響1レス/金剛1レス/雪風1レス
で『Phase A』が進行していきます。

////チラシ装填、再突入!////
次回の投下を今週中〜とか言ってたけどレスがつかなきゃ書けないのでしょうがない。
先読み・逆張りしてストック書いとけって? 残念ながらそこまで自由に使える時間があるわけじゃないのでー……。
なんだかんだ毎日このSSのことを考えてますけどね。これからどうやって展開させていこうか、このキャラは何を考えてどういう振る舞いをするだろうか……とか。
習慣になると案外楽しいもんで。毎日考えてたところでそれが作品として活きるか・作品のクオリティアップに繋がるか・投下スピードが上がるかは別問題ですけど。

レスの食いつきが悪い時は案外不安になりますねー。
『やっぱりちょっと突飛すぎたかーorやっぱりちょっと無難すぎたかー』だったり、『あぁーここのここはこうした方が後の展開が読んでる側も想像しやすいなー』とか、『ここの展開とかここの感情描写安っぽすぎるというか薄ら寒かったかなーノれると思ったけど痛いかー』、とかとかとかとか!
でもね、私は知っている! その不安のほとんどが杞憂であることを!
自分を中心に世界が回っているわけじゃないんで他者の動きに波があるのは当然なわけで。
そもそも見てて辛いなーと思われたら目に見えて勢いが衰えていくし、それに伴って自然と自分のモチベも下がっていくもんですよ案外。
滅ぶものは滅ぶべくして滅ぶのであってそれは自然の摂理であって逆説的に言うと今も存在しているということは存在意義があるから存在しているということであってー。
何を言っているかわからねーが的な感じのお話になってますが、そう! 滅ぶべきものは滅ぶべくして滅ぶ!
たとえそれが私が毎日楽しくプレイしている艦隊これくしょんというゲーム、ひいてはその艦これに類するコンテンツであっても。
艦これは2013年4月23日にサービスを開始したそうですね。今年の4月23日で2周年を迎え、3年目に突入すると。
世の中には『3』にまつわるジンクスが色々ありまして。まあジンクスですけど。ジンクスですけれども!
さりとて艦これというコンテンツにとってはここ一年は勝負どころでしょうね。アニメ(川内と那珂ちゃんは良かった)然りアーケード然り携帯機然り。
これまでのような快進撃とはいかんでしょう。

ぶっちゃけ私にとっては商業的部分なんてどうでもいいんですけれども。
ゲームは好きだしキャラも好きだし、二次創作とかも結構好きだけど、悪いけどそれ以外の部分に関しては知ったこっちゃないです。所詮1ユーザーだし。
と不遜な発言をしたところでフォローしておくと、艦これ及びその胴元である角川やDMMに対しては感謝していますけどね。そりゃあもちろん。
えと、何の話をしてたんだか。そうそう自然淘汰ってのはあるもんで。生まれたからには滅びがあるわけでしてハイ。
まあでもどうせいずれどこかでお別れしなきゃならないなら良い感じでありたいよね何事も的な微妙に締まらない締めくくりをして私はチラシをゴミ箱に捨てた。
441 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/04/07(火) 20:49:52.40 ID:0bMyPPYe0
次回の投下は明日……は無理そうなので明後日午後21時頃です。
年度末のしんどいシーズンは抜けたので、もうちょっとペース上げられそうなんですけどうーむ。
まあマイペースにやっていこうと思います。
変化のある環境じゃないので四月病は患わないで済んでますが、一足先に五月病にかかりそうです。びえー

あとあんまり余計なことは言うべきじゃないですね。後悔するならハナから言わんでおれという話なんですがまあ人間なんで……と言い訳しつつも反省。
442 :【31/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/09(木) 21:53:23.80 ID:NczNGcm00
皐月(司令官に案内されて来たけど……執務室の下にこんな場所が建てられていたなんて……)

皐月が今立っている場所は鎮守府の地下深くに存在する洞窟である。この洞窟は海と繋がっていて、満潮時には洞窟一帯は水没してしまう。
執務室の地下施設の更に下層にあるこの場所は、金剛・比叡らの手によって大規模な実験場として改造されたのであった。

龍田「あらぁ〜? 久しぶりねぇ」

皐月「え゛? なんで龍田さんが……?」

天龍「表向きには処分された……ってことになってるんだっけか。おっと、オレの名は天龍。よろしくな」 皐月の肩をポンと叩く

雷「準備出来たわー」 遠くから声がする

龍田「じゃ、ついてきてもらえるかしら〜?」

龍田に言われるがままついていく皐月。青白く光る奇妙な装置の台座の上に立たされると、装置から拘束具が出現し、皐月の身体を固定したまま台座は高速で滑走、そのまま皐月を海上へと吹き飛ばしてしまう。

皐月「!? え、ちょ……おわッ!」 ガシャコン!

洞窟の方から飛んできた艤装を装着し、海上を滑る皐月。

皐月「????? ……なんなんだこれ? 前にアニメで見たや……うおおお!?」

足元の渦潮に足を取られてしまい、必死で抜けだそうとする皐月。

皐月「クッ……なんだってこんな所に渦潮があるんだよぉ!」

逃げようにも完全に渦潮に嵌ってしまっているため苦戦を強いられている皐月。

皐月「え? 何これ? ……向こうにも渦潮が? あっちにも……って、全部こっちに迫ってきてるぞぉぉ!?」

複数の渦潮が重なり合い、非常に大きな一つの渦となる。瞬く間に皐月はその中心に呑まれていった。

・・・・

医務室。皐月の横たわるベッドの上に座る提督。何かの設計図のようなものが描かれた厚紙を眺めながらうんうんと唸っている提督。

提督「……やはり渦潮を利用したワープは可能なのだな。だが、生身では安全性に難がある……か。どうにも猫並みの三半規管が無いとゲロ酔いしてしまうようだ」ブツブツ

皐月「し、司令官? 一体何がどうなってるの……?」

提督「目が覚めたか。すまないな、どうにも今回の『エーギル計画』は失敗だったようだ。天龍、やはり『プロビデンス』が必要なようだ。素材の調達を急いでくれ」

黄緑色の縁に、明るい水色の内装。彼には似つかわしくないポップな色合いの携帯電話で天龍と連絡を取る提督(使う人が使えばオシャレなのかもしれないが、この提督が持っていては奇抜以外の言葉は出てこないと皐月は思った)。

提督「おや、奴らから説明を受けてなかったか? 地下で会っただろう」

皐月「何にも説明されてないって! そもそも何でたつ……」

龍田、と言いかけた皐月の頭と顎を両手で挟み、強引に口を塞ぐ。

提督「一応その名前は執務室の地下以外で口にしてはならない。……そうだな、説明すると長くなるが、“あれ”が俺なりの処分だ」

提督「任は解いたし、立場上は一般人と変わらんよ。……が、それは立場上の話。言い方は悪いが、私兵という表現が最適になるか」

皐月(つまり……表向きには龍田さん達を処分したけれど、実際は地下施設内で自分の管理下においている……ということか)

皐月(確かに、天龍さん達を蘇らせるのが龍田さんの目的であって、提督はそれを達成してみせた……。龍田さん達が地下で提督の為に働いているのも、経緯から考えればおかしくはないことなのかもしれないな)

提督「今回お前に協力してもらったのは、“アノーニュムス”の、最初にして最後の作戦遂行の為の実験だ。実験の目的は既に足柄や金剛には話してあるが……念のためここで話すのはよしておこう」

提督「……この作戦が終われば、恐らく、人と艦娘の在り方さえも変えてしまうことになるだろう。それは果たして正しいことなのだろうか……。
皐月。もし深海棲艦がこの世から居なくなったら、これからお前はどうしたい? 勿論、そうなれば最終的には解体されて艦娘の頃の記憶は無くなるだろうが……」

皐月「うーん。突然そんなこと言われても困る、っていうか……。ボクは、とりあえず文月と居れればいいかな。後は……もっと色んな人の話を聞きたいかな。
ほら、ボク、ずっと訓練生だったから。まだまだ艦娘がどういうもんか分かってない所あるし……他の活躍してる艦娘たちが、どうやって過ごしてきたか興味あるんだよね」

皐月「戦いが終わったら今第一線で活躍してる人らも皆ヒマになるだろうなーって」

提督「……だろうな。……戦いが終わらない方が、殆どの艦娘にとっては喜ばしいことなのかもしれん」

皐月「ボクはボクでわりと気にしないけど……否定は出来ないね」

皐月「ただ、やっぱり、誰かが終わらせなきゃいけないものなんじゃない? 艦娘だってこの戦いを終わらせるために生まれたわけだし」

皐月「司令官がそれを出来る、というのであれば、やるべきだと思うよ。……何より、ボクがこの戦いを終えることに直接貢献出来た、なんて誇らしいからね!」

提督「……そうか。ま、そうだろうな。そうすべき、か」

提督(ああ、そうすべきだ。だが、不確定要素ばかりで先が見えないのがどうも気がかりだ……)
443 :【32/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/09(木) 21:54:57.19 ID:NczNGcm00
鹿屋基地鎮守府内の執務室前(鹿屋基地は厳密には“基地”なので鎮守府ではないが、艦娘が在籍していて艦隊司令部のある大規模施設のことを“鎮守府”と呼ぶ通例がある)。
提督と金剛、比叡らは鹿屋基地の鎮守府を取り仕切る不破提督のもとを訪れていた。

提督「さて、話が着いて一段落だな。比叡の戻りを待つぞ。……どうした金剛?」

かつて鹿屋基地に在籍していた比叡は、提督の指示により、MI作戦の暗号が既に敵深海棲艦に流出していることを旧知の艦娘たちに伝えに行っていた。
その間に提督らは不破提督と会談し、今後自陣営に有利な展開になるように事を進めていたのであった。

金剛「あの提督……本当にワタシ達の言うとおりに動いてくれますかネー? これ、裏切られたらワタシ達がかなり不利になる気がしマース」

提督「そうだな。本来であればここ鹿屋基地の艦隊も含まれる呉鎮守府を中心とする第一次攻略大隊として出撃する手筈であり……。
しかる後に我々第二次攻略大隊が、第一次大隊が切り開いた道を進み敵本拠へ向かう。しかし、さっきも話したように、それは絶対に回避せねばならんのだ」

提督「第二大隊によって制空権を確保した状態で、第一大隊の戦艦部隊が敵を討つ。これが本作戦の概要だが……。
MI作戦の情報が全て深海棲艦に筒抜けなのは自明……どいつもこいつも聞く耳を持たないなら、いっそこちらはこちらで好きに動くしかあるまい」

金剛「敵の立場になって考えてみれば、制空権喪失または互角の状態で戦艦と真っ向から殴りあうのは避けたいハズ……。
となれば優先的に潰したいのは空母部隊に特化したワタシたち佐世保鎮守府の第二次MI攻略大隊になるでしょうネー」

提督「ああ、間違いなく敵は俺たちを先に潰そうとするだろう。だが俺たちはその上を行く」

提督「第一次大隊が出撃した後、敵深海棲艦はガラ空きの呉の本陣を強襲するだろう。
そうすれば第一大隊はUターンせざるを得なくなる。本丸を落とされてはどうにもならんからな」

提督「……作戦通りの流れであれば、先鋒隊と合流を果たせなかった我々第二大隊は棲地MIにて海の藻屑となるだろう」

金剛「それを逆手に取って佐世保第二大隊と鹿屋小隊は呉鎮守府付近で待機。敵の奇襲部隊を討ち果たしてからMIへ向かう……。
空母部隊だけでは火力に欠けますし、やっぱり鹿屋小隊には何としても動いてもらわないと、と思うのデスガ。
敵奇襲部隊を叩こうとしたつもりが、味方空母が中破以上の被害を受けて返り討ちにあった、なんて事になったらブラックジョークにもならないデース」

提督「(意外と冷静な分析力があるな。ただうるさいだけの奴と思っていたが……)いや、ここの連中は俺の言う通りに動くさ。間違いなく」

金剛「でも、なんだか上官相手とは思えない訝しげな態度でしたヨネー……?」

提督「人に信用されないのは慣れている。慣れているからこそ、信用していようがいまいが人を動かす方法も知っているということだ」

金剛「(ネクラだからこその交渉術、感心デース! ……って言おうとしたけどこれ以上心象悪くしたくないからやめときマス)」

・・・・

提督「なあ金剛。俺を恨んでいるか? 第一艦隊から外した事を」

金剛「ハイ」

提督「即答か……。ま、恨まれたところで気にはしないがな」

金剛「嘘デスネ。人に嫌われて平気な人なんて居まセーン。ワタシ、今はテートクのこと嫌いデスけど……。
今でもテートクに嫌いと言われたことは忘れられませんし、精神科に連行されたことは今でも根に持ってマース」

提督「事実嫌いなのだから仕方なかろう。俺は媚を売るような奴は嫌いだ。
それと、前にお前が俺に送りつけてきた手紙を読んで精神に異常を来たしていると判断したから精神科に連れて行ったのだ。根に持たれようが知ったことか」

提督「と、そんな話はどうでもいい。俺は、お前が第一艦隊から外された際もっと荒れると思っていたのだが……。
意外にも動じなかった事に驚いている。お前は誰がどう見ても野心家だし、強欲だし、自分が中心でなければ気が済まない性質の人間だろう」

金剛「言うに事欠いてとんでもない事を本人の前で直接言って来ますネ……。本音で言ってるだけに余計にムカつきますガ……。
鉄面皮のテートクのために論理的かつ理性的に接してあげマショウ」

金剛「ワタシは確かに、ナンバーワンが好きデス。自分が一番で居られるということは人間にとって最も幸せな事だと思いマス。
結果を出せば評価される。自分の為だけに行動して、自分だけが利益を得る。頑張れば頑張れるほど報われる。かつてのここの鎮守府のSystemはワタシの肌に合っていました」

金剛「デスガ……今は貴方がテートクになってそのSystemは瓦解しました。自分の為に動いても全体で利益を出さなければなりまセン。
それはもちろん集団のあり方としては当然デス……。でも、ワタシは“ワタシが”No.1でありたいのであって、他の事には興味無いデース」

金剛「そりゃあ、旗艦を外されたどころか第一艦隊まで外され、常設の艦隊にさえ入れてもらえないとは思ってマセンでしたけど……。
どうせLevelの低い艦隊に配属された所でMotivationが上がらなかったでしょうし。だったらこうしてテートクの懐刀として動いていた方が楽しいデース」

と言い終えた後、提督そのものは嫌いですけど、と付け足す金剛。

提督「ふむ……楽しいとはどういうことだ?」

金剛「これからどんなChaosな展開が訪れるか……結構興味ありマスよ。フフフ」

金剛「深海棲艦を滅ぼす……。でも、それは結果的には艦娘を滅ぼすことにも繋がりますよネ? ……テートクがどんな最期を迎えるか今から楽しみデース。
おっと、ワタシはテートクが独りぼっちになるまでは見届けてあげるつもりデスから、疑ったりしないで下サイネ?」

提督「お前、人格は最低だが、味方としては一番心強い部類の人間かもしれんな」

金剛「テートクには言われたく無いネー♪」

提督「やれやれ……」
444 :【33/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/09(木) 21:55:26.46 ID:NczNGcm00
執務室に置かれた円卓を囲む提督と二名の艦娘。

赤城「あの、会議なら会議室で行った方が良いかと思うのですが……」

提督「確かに、会議の場としては狭いが……。議論というより、俺が一方的に話すだけになるのでこのような形を取らせてもらった(ここなら盗聴も難しいしな)」

響「内容は例の作戦について、なのかな? 第一艦隊旗艦の赤城と、私。第三艦隊旗艦の霧島が見えないは気になるが……」

提督「霧島には別に話をするつもりなんでな。ひとまず……各艦隊の状況を訊きたい。円滑に事が運びそうな人選をしたつもりではあるが……隊としての練度の程度を知っておきたい」

響「第二艦隊は概ね問題ない。完全に纏まるまでもう少しかかりそうだが、作戦決行の日までには滞りなく動けるようになるだろう」

赤城「第一艦隊も問題ありません。今この瞬間に作戦を開始しても、提督の期待に沿えるように動けるでしょう」

提督(新第一艦隊の訓練の量は、これまでの第一艦隊の倍以上だというのは知っている。だが、短期間でここまで仕立て上げるのは並大抵のことではあるまい)

提督「そうか。それはご苦労。そうそう、暗号の件も上手くやれてるか?」

赤城「ええ……でも、どうして従来の暗号とは別の暗号を使うようにしたのでしょうか?」

提督「結論から言うと、既に我々のMI作戦攻略の暗号は全て深海棲艦に筒抜けになってしまっている。ALの動きも、MI第一大隊・第二大隊の動きも、全てが敵に予測されている。
その裏を掻く為に俺達は新しい暗号を使う必要がある。お分かりか?」

赤城「暗号……? そう、ですか……」

提督「赤城、顔が青いぞ。それに、心なしか震えているように見えるが……」

赤城「いえ、この程度……問題ありません!」

提督「……やれやれ。お前、毎晩悪夢にうなされているのだろう。加賀から聞いているぞ」

赤城「加賀さんが……? そうですか……やはり、隠せていませんでしたか」

提督「練度が上がれば上がるほど、精神が本来の実艦であった頃に近づいていくというのはどうにも本当らしいな」

提督「加賀から聞いているのはそれだけじゃない。悪夢による極度の不眠。それによる体調不良を補う為の過度の食事。
そして不安とプレッシャーからくる嘔吐……。恐怖を押し殺し、身を削っててまで強がるな」

赤城「はい。ですが……乗り越えなくては……」

赤城「遥か昔……先の戦いでの私は、私たちは、敵を侮っていました。慢心していたのです。私がもっとしっかりしていれば……皆を救えたのに……」

ゴホン、と咳払いして赤城の言葉を強引に遮る提督。

提督「……安っぽいヒロイズムは捨てろ。お前一人で抱え込もうとするな。
戦場で誰かが沈もうとそれはお前の責任じゃなく、自分の力量を見誤った当人と、そいつに指示を出しちまった大元の奴の責任だ」

提督「なあ赤城よ。俺が信じられないか? 俺は人間的な部分での魅力はともかく、戦略と智謀には絶対の自信がある。それはこれまでの戦いでも十二分に示してきたつもりだ。
お前は俺の言うとおりに動いていれば勝つ。それだけだ、何の心配も要らん。俺が信じられないのであれば、連合艦隊の連中を信じてみろ」

提督「いいか? 不退転の覚悟で命を賭けて戦うことを美徳と思っているなら、そんな考えは改めろ。
あるのは完全なる勝利のみ。お前は少し臆病になり過ぎている。思う通りに動いてみせろ」

赤城「慢心……」

ぽつりと、震え声で呟く。普段の毅然とした態度の赤城とは打って変わって、まるで涙をこらえている子供の姿のようだった。

提督「慢心? 上等だろう。お前のその慢心の責任は全て俺が負ってみせるとも」

・・・・

作戦会議が終わり、部屋を出て行く赤城と、なおも居残る響。そして提督。

提督「どうした? 戻らないのか?」

響「あぁ。……いやなに、司令官が甘いのは、私や雪風相手だけだと思っていたのだが。意外だったよ」

提督「(人をロリコンみたいに言うな……)俺は有能な人間に対しては寛容でいるつもりだが。有能で、かつ味方であればなおよい」

響「駒は多い方が良いからね。司令官のそういうドライな思考は少し憧れるところがあるよ」

響(……もっとも、誰もが誰もそういう風に考えられるわけじゃない)

提督「その通り。有能な人間の真の才能を引き出すことは上官として至高の愉悦だ。こればかりは役得だな」

響(司令官の他人に対する考え方は実にシンプルだが……他人も同じであるとは限らない)

響(人は……精神的に最も追い詰められている時に他者からの優しさに触れると、抗いようもない想いを募らせてしまうものだ。
土砂降りの雨の日に傘を貸してくれる人が居たら、その人の事を聖人だと錯覚しても無理のないことだと思う)

響(だがそれは所詮錯覚……。錯覚ではあるのだが……)

響(赤城……彼女はいずれ、私の敵になるかもしれないな)
445 :【34/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/09(木) 21:57:31.40 ID:NczNGcm00
執務室地下施設内のとある部屋。雪風と二人で食事を摂る提督。
二人が座る机に隣接する壁、その壁に開いた小さな穴を眺めている。
この穴は食堂と繋がっていて、時間になると妖精たちが食事を運んできてくれる。

サラダボウルから、コーンをフォークで突き刺して食べている雪風。さっきからコーンしか食べていない。
妖精たちが机の上にデミグラスソースオムライスの乗った皿を置く。

雪風「しれえ! そういえば、司令のお兄さんとお話して知ったんですけど……」

提督(龍田の一件で、天龍らを復活させるためには、俺の兄の力を借りる必要があった。雪風の力が無ければあの時点で兄さんと再会することは困難だったろう)

提督(俺の兄はコンピュータ上に存在する人工知能であり、彼を起動するためには様々な工程が立ち塞がっていた。俺のハード部分での技術に、雪風のソフト面での知識が加わり作業効率が上がったのだ)

提督(しかし雪風があそこまで使えるとは思わなんだ。一体どこで学んだのかは知らんが、いわゆるオタク気質なのかもしれんな……)

雪風「司令のお兄さんって、23番目に開発された人工知能だから“ニーサン”なんですね! 知りませんでした! 確かに人工知能と兄弟だなんてヘンだと思いましたけど……」
提督「それ嘘な」

雪風「ええっ!? 最初の人工知能は数百年前に『フリーメイソンリー』という秘密結社の研究機関が発明したって聞きましたよ。それから、ひいお爺ちゃんが『エシュロン』だって話も……」

提督「兄さんはお前のように真剣に話を聞いてくれる奴に出鱈目吹き込むのが好きなんだ。俺もガキの頃はよくやられた」

雪風「それじゃあ、2000年前に当時の深海棲艦と戦った人の遺伝子情報を基に生まれた人工知能ってのも嘘……?」

提督「いや、それは本当だ。人格の母体となっているのはそれだが、知識データベースには数千人分の知恵や情報が詰まっている。そうでなければ天龍らを蘇らせる方法や、深海棲艦が何故生まれるかなど知りようがない。話の中の嘘と真実が半々なのが特徴なのだ」

雪風(気まぐれだ……)

雪風「じゃあ、司令とお兄さんが兄弟なのは、どうしてなんですか?」

提督「むぅ……話すと長くなるからな。やめておこう。ただ、俺にとっては実の兄のようなものだ。尊敬しているし羨ましい」

雪風「羨ましい?」

提督「俺の知らないことを知っているのがな。俺が兄さんに教えてもらったことはあっても、俺が兄さんに何かを教えたことは無いからな」

雪風「ほぇ〜……でも、司令にも司令しか知らないことがたくさんあるんじゃないですか? 私たちや艦隊のことはほとんど知らなかったみたいですし」

提督「ん、まぁ、それに関しては兄さんに話すような話題でもないからな。というか、俺だってお前らのことはほとんど知らんぞ」

提督「俺が知っているのはお前らが有能かそうでないか、何が秀でていて何が劣っているか……。つまるところ俺にとって得であるか否かという点のみだ。それ以外に関しては知ったところで意味が無いしな」

・・・・

雪風「お兄さんよりしれえの方が人工知能に近い気がします」

提督「フッ、一理ある。俺はどうにもまどろっこしいのが嫌いな性分でな。要求がシンプルな奴は扱いやすくて助かる」

雪風「あーそれちょっと分かりますね。私、初対面の人と話すと緊張しちゃって……相手のことが分かると平気なんですけど」

提督「そういえば、あがり症だとかヴェールヌイが言ってたか。今の様子をみるに、さほど重度でもないようだが……」

雪風「最初はしれえの事怖い人かなと思ってたんですけど、意外とそんなこと無いんだなって分かってからは、緊張しなくなりましたね」

提督「他人からどう見えるかが気になるのか?」

雪風「はい。相手の前で良いカッコしたいとかいうわけじゃないんですけど……嫌われたらどうしようって。しれえは人から嫌われても平気なんですか?」

提督「そりゃそうだ。そんなこといちいち気にしてられんだろう。人に嫌われたら嫌い返してやればいいだろうが」

雪風「うーん……それは分かんないですね〜」 デザートのさくらんぼを口に含む

雪風「ひほ(人)に迷惑をかけるのは嫌ですし、かけられるのも嫌です」

ぷいとさくらんぼの種と茎を皿の上に吐き出す雪風。

提督(舌でさくらんぼの茎を結んだのか……? 器用だな)

提督「見かけによらず気にしいな奴だな。迷惑を誰にもかけず生きることなんて出来やしないのだ」

雪風「んぅー」 納得していないような呻き声を上げる

提督「そんなに気になるのであれば、かけた迷惑の分だけ恩で報いれば何も問題ないだろう」

雪風「なるほど……それはそうかもしれません」

雪風「ちょっとだけ司令のことが分かった気がします!」

提督「ちょっとだけか」

雪風「ちょっとだけです」
446 :【35/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/09(木) 21:58:07.58 ID:NczNGcm00
ボクは皐月。ボクたちアノーニュムスは、提督から与えられた極秘任務を達成すべく、『プロビデンス』という名前の船に乗って海上を進んでいる。進んでいるんだけど……。

提督「ビッド。チップは5枚」

皐月「む、いきなり上限とは攻めるねぇ……じゃなくて! なんでボクらはポーカーなんてやってるんだよ!」

提督「ヒマだからだろうが。それに、不安だと言ってたのはお前の方だろう。お前の恐怖心を紛らわすためでもある」

『プロビデンス』は船体がピラミッドを逆さにしたような形状で、底面以外は海中に沈んでいる。
船窓から見える景色は魚の泳いでいる姿だけだし、こんな状態じゃ不安にならない方がおかしいんだよ!
敵深海棲艦に見つかったら、一体どうするつもりなんだ!? 一応、見張りとして文月が船の上に立っているけれど……。

比叡「気合!! 入れて!! 漕ぎます!!」

金剛「ファアアアアアアアアアアアアアアック!!!!!!!」

下の階からは叫び声が聞こえるし……。なんでも、この船にはまともな推進力がないらしく、金剛さんや比叡さん、足柄さんが発電機のペダルを漕ぐことで進むんだとか……。

提督「何を長考している? コール(継続)か? レイズ(上乗せ)か? それともドロップ(棄権)か? 答えを聞こう」

皐月「(A4枚のフォーカード!? これは勝てるな)レイズ、5枚」

提督「ふむ。なかなか自信があるようだな……」

っていうか、どうして司令官までこの船に乗り込んでいるんだ?
いや、なんとなく予想は着くけれど、ボクたちが出発している間にMI作戦は開始してしまうわけで、そうなったら誰が艦隊の指揮を執るんだ?
司令官のことだから、何の考えもなしにやっているわけじゃないのは分かるけど……。

提督「悩み事か?」

皐月「司令官は、一体何を考えているの?」

提督「説明したろうに。全ては策の通りだ」

皐月「でも……この時期に鎮守府を離れるなんて正気の沙汰じゃないよ。何も今こんなことしなくても……艦隊の指揮を取れるのは司令官だけなんだよ!?」

提督「……分かった。では、このゲームに勝ったら教えてやろう……さて、俺の捨てるカードは五枚。さ、カードをよこせ。ドローだ」

皐月「全部!? 全部取り替えるってこと!?」

提督「そうだが」 皐月から五枚のカードを受け取る提督

皐月「(どういうことだ……?)ボクは、ドローはしない」

提督「そうか。じゃあビッド五枚。さらに上乗せだ!」

皐月(互いのコインの枚数は30枚。……ここで負けたら15枚のコインを失うんだぞ!? なのに司令官はなぜカードをめくろうともしない!? もういい、レイズ5枚だ! 勝ちに行くぞ)

皐月「レ……(いや、イカサマか……? この自信、何かあるはずだ……)」

皐月(表情や仕草からは何も伝わって来ない……。仮面の裏で一体何を考えてるんだ……? だが……ここでは退けない……! この手札で負けるハズが無いんだッ! そうだ、ボクが配ったカードだぞ? 何か仕組めるはずがない!)

皐月「レイズ五枚。ボクはハッタリには乗らない!」

提督「よかろう。では、互いの手の内を明かそうか」

皐月 ♥A ♣A ♦A ♠A ♥J / 提督 ♣4 ♣5 ♣6 ♣7 ♣8

提督「Aのフォーカードと♣の4から始まるストレート・フラッシュ……。ストレート・フラッシュ!? そ、そうか……俺の勝ちか」

提督「さ、さて、こちらのコインが50枚。お前のコインは10枚。だが、お互いのコインが無くなるまでゲームは終わらない……次のラウンドに移行しようか」

・・・・

その後も3ラウンド続いたが、結果は散々なもので、ボクは一度も勝つことが出来なかった。
司令官が何かイカサマをしているのかとも疑ったのだけど、全く分からないままジリ貧で負かされてしまった。

提督「……いやな、わざと負けるつもりだったのだ。お前の度胸を試そうと、イカサマをしていると疑わせるようなことをして煽ってみたのだが……運だけで勝ってしまったのだ」

提督「断じてイカサマではない。お前の勝負強さを確認したかったのだ。ストレート・フラッシュは計算外だったのだ」

提督「……なぁ、頼むからその卑怯者を見るような目はやめてくれ、心外だ」

ボクが喋らなくなると、司令官は珍しく少し困っている。ちょっと面白い。
でもやっぱり負けたのは腑に落ちない。

提督「分かった、これからの策の全貌を明らかにしてやろう。本来は勝ったら話してやる約束だったが……話してやると言うのだ。これで良いだろう?」

負けたけど、なんか勝った気になれたので、許してあげることにした。
447 : ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/09(木) 22:08:20.44 ID:NczNGcm00
本日はここまでです。
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獲得経験値(~35/100)
・皐月の経験値+2(現在値6)
・響の経験値+1(現在値7)
・金剛の経験値+1(現在値5)
・雪風の経験値+1(現在値6)

・翔鶴の現在経験値:9
・足柄の現在経験値:16
----------------------------------------------------------------------

皐月視点になったのに特に深い意味はないです。
一応、なんだかんだ今回は一レス完結を意識して書いてるのでこういうこともあるってことで。
ただ今回の投下分はそれぞれの話にまとまり無さ過ぎてちょいとカオス気味ですね。
わざと聞いたことがあるような無いような妙な固有名詞を出してみたりするのはいわゆる演出みたいなものなので、あまり重大な意味は持ってません。

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『Phase B』【36-40/100】
レスのコンマ値で登場する艦娘を決定します。
00〜17:雪風
18〜33:翔鶴
34〜51:金剛
52〜68:響
69〜80:足柄
81〜99:皐月
>>+1-5

よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらいで流し読みするか>>351付近を参照下さい。
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448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/09(木) 23:33:21.47 ID:MgwS61700
乙です
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/11(土) 04:22:04.57 ID:W8bGrCGjo
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/11(土) 17:40:45.40 ID:u8Ga5PPTo
乙、敬意を表したい
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/15(水) 11:09:00.27 ID:st7kBPUUO
ぽにゅ
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/15(水) 17:50:32.37 ID:75/l4ty0o
ぬぽっ
453 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/04/15(水) 23:58:30.21 ID:fryfm7gn0
>>448->>452より
・金剛3レス/響1レス/翔鶴1レス
で『Phase B』が進行していきます。



////チラシ////
4月の末にイベントがあるようで。私が艦これ始めたのもちょうど去年の今頃なんですよね。
当時の春イベはまだ2-4突破したてぐらいの状態で、E-2までしか攻略出来なかったんですよ。
天津風が欲しかったのになぁ……とちょっと悔しい思いをしたのも今となっては良い思い出。
(しかし、E2を突破し烈風改を得ていたことが後に大きなアドバンテージなるのであった)

今回はアニメからの新規参入者を意識した感じの難易度なんでしょうかね?
ま、どんな強敵が相手でもやってやんぜ……! という気概だけは持っておこうと思います。気概だけは〜。
454 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/04/21(火) 23:43:21.46 ID:y2ldvYJh0
次回の投下は〜今週水曜日または木曜日〜つまり明日or明後日を予定しております〜。
ひょっとしたら予告よりも遅れちゃうかもしれませんが、一応告知ですです。



////独り言////
アアアアアアアアアァァァァァァ〜〜〜こんなもん書いて良いのか〜!? 許されるのか〜〜〜〜〜〜!?!?!? と絶賛葛藤中です。誰も絶賛してませんが。
葛藤に負けてまともな路線にシフトしたら一週間ぐらい投下が遅れるかもしれません。
(私の理性や常識的人間性が狂気に勝利を収めることが出来たら投下が遅れます、とも言い換えることが出来るかもしれません)



あ、関係ないけど最近新編二航戦の任務クリアしました。羅針盤大暴れで結局バケツが40個ぐらい飛びました。
これで難関任務もようやく全部片付いた……と言いたいところですが最近追加された『新編「三川艦隊」ソロモン方面へ!』は激ヤバ度高いですね。
うーん、まずはレベリングからかなぁ(汗
455 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/04/23(木) 20:29:37.70 ID:/mfA6lmu0
先に予告。ごめんなさい投下遅れます。いや大体もう書けてる感じなんですけど。
オンメンテが……追加ボイスが……! フゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!(もはや言葉は不要)
これはもうSSどころじゃないっす。少しだけ私に艦これを満喫する時間をください。

遅くとも明日の夜までにはなんとかするので、ご理解ください。
456 :【36/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/24(金) 19:35:24.58 ID:x76Zqb8c0
腕を組みながら海上を進む響。

響「君な……今更緊張していてもしょうがないだろう」

雪風「大きな戦いの前はどうしても……心臓がバクバクします!」

響「昨日はグッスリ寝ていたじゃないか」

雪風「昨日は昨日、今日は今日です。……」 双眼鏡で遠方を眺めている雪風

響(私たち第二艦隊は先行して鹿屋小隊と合流。のち第一艦隊とも合流し、呉鎮守府周辺を警戒……果たして敵は司令官の読み通りに出てくるのだろうか)

大淀「呉鎮守府正面海域に敵艦隊が接近!」

艦隊に緊張が奔る。

響「ふむ、来たか……。敵の規模が分からない以上私たちだけで進むのは危険だな。後援の味方を待とう。利根・筑摩・大淀は周囲の索敵に専念してくれ。木曾・雪風、念のため戦闘準備を」

・・・・

響(無事鹿屋の小隊と合流出来たな。ひとまず安心か)

伊勢「鹿屋基地第一艦隊、参上致しました!」

響「ご苦労。ん? ……お前は、あの時の!」

加古「あっあ! あぁ、いやぁ、お久しぶりですー! どうもー!」

加古(例の件に関わってたのはあたしだけだ。ここの艦隊の連中は何も関係ない。何でもあんたの言う通りにするから、ここは黙っていてくれないか。頼む) 小声で響に耳打ちする

響「(こいつが信用出来るかどうかともかくは置いておいて、今はそれどころではないな……)分かった、下がれ。現状の説明をしよう」

響「……呉鎮守府に敵の艦隊が接近しつつある。本土への強襲を目論んでいるらしい。私たちで連携して敵部隊を討つ、いいね」

日向「こちらの暗号が深海棲艦に漏れていたというのは本当だったのか……。私たちまでMI方面へ向かっていたらここがどうなっていたのかを考えると、ゾッとするな」

日向(にしても、想定外の奇襲だというのに動きがスムーズすぎる……まるで本土決戦が敵の狙いだと予め分かっていたような落ち着きようだ。向こうの提督はこれを見越していたのか……?)

・・・・

響「随分早い到着だな。予定ではもっとかかるはずだったと思うが……」

鹿屋小隊の到着から間もなくやって来た第一艦隊。

赤城「えぇ。提督から、今回の作戦は私の裁量に委ねるとのことなので。少し急いでこちらに向かいました」

響「……状況を説明しよう。提督の予想通り、ガラ空きの呉鎮守府に敵奇襲部隊が迫っているようだ。大淀、敵の規模は?」

大淀「戦艦タ級flagship1隻、軽巡ヘ級flagship1隻、軽母ヌ級flagship2隻、駆逐ロ級後期型2隻で編成された艦隊が接近しています。背後からは潜水艦の気配もあります……。現状確認出来るのはここまでですね」

赤城「敵の規模から考えて、これが本隊ではないでしょう。主力部隊と合流されると厄介です! 早急に叩きましょう」

加賀「こちらが制空権を確保している以上、戦力差からいって相手に勝機はないでしょう。ですが、油断は禁物」

飛龍「ふふっ、慢心はダメゼッタイ、ですよね? 心得ていますよ」

響「私たちも行くよ。利根、筑摩、水上爆撃機を。木曾も雷撃の用意だ」

利根「我輩のカタパルトの出番じゃな! 任せておけ、不備は無い!」

木曾「自信満々に言われるとかえって心配だな……。ま、いいか。こっちも行くぜ!

赤城(全幅の信頼を寄せてくれている提督の為にも……)

響(完璧な勝利を期待している司令官の為にも……)

赤城&響(こんな所で立ち止まっている暇はないッ!)

・・・・

龍田「呉の方に動きがあったみたいね」 モニターを食い入るように見つめる天龍に話しかける

天龍「あァ〜……! 提督からの通信はまだ来ないのかよォ〜! なんだってオレが司令官代理なんてやらなきゃならねえんだ〜」 頭を抱えている

天龍「オレのせいで誰か沈んだらヤじゃんかよォ〜……こんなん向いてないっつうの」

暁「第三艦隊も第一次MI攻略大隊と合流出来たみたい。第一大隊が敵の本隊とぶつかる前にうちの機動部隊が合流出来るかが勝負ね」

天龍「昼に被害が出ることは無いだろうが……夜戦となったら話は別だ。こっちもただじゃ済まないかもしれない。日が経てば経つほど不利になるだろうな」

天龍(三日……。三日でどうにか出来なければ、この作戦は失敗だ……)

龍田「弱音を吐いていても仕方ないわ天龍ちゃん。責任を感じているのは分かるけど……あまり悲観的にならないで。今のところ全て順調よ?」

天龍「わあってるけどよぉ……やっぱ向いてねーって!」
457 :【37100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/24(金) 19:45:06.62 ID:x76Zqb8c0
霧島「佐世保第二次MI攻略大隊先鋒隊、霧島艦隊です!」

長門「おお、来たか! 私は第一大隊旗艦の長門だ」

扶桑「……? 第二大隊は空母機動部隊が主と聞いていましたけど……思いの外少ないですね」

霧島「ええ。私たちはあくまで先鋒隊です。攻勢に出るのは、後続の主力が来てからになるでしょう」

大和「空母の数が少なくとも、道中の雑兵相手に負ける私たちではありません。邁進します!」

武蔵「ふふ、そうだとも! 私に続け! 大手柄を立てやろうじゃないか!」

瑞鶴「随分と意気盛んだねぇ、翔鶴ねえ?」

翔鶴「ええ。大和型に装甲空母の投入……まさに総力戦というに相応しいでしょう。士気が高くなるのも当然のこと」

霞(問題は……深く攻め入り過ぎて敵の主力空母に反撃を食らう恐れがあること……。味方の増援が間に合えば万事解決なんだけど)

霧島「私たちは戦力を温存しつつ前線部隊の支援に回りましょう。翔鶴さん・瑞鶴さん。お二人は攻撃機とは別に、偵察機を放ち、敵増援の警戒もお願いします」

霧島(司令が何故私を第三艦隊に、榛名を第一艦隊に配置したかは分からない。私は榛名よりも戦える。そして司令もそう評価している……)

霧島(ならばなぜ私を第一艦隊にしなかったのでしょう。そして、なぜ第三艦隊の旗艦に? 周囲をまとめるなら、榛名の方が上手くやれそうな気がしますが……)

霧島(鶏口となるも牛後となるなかれ……か。司令が私をどうしたいのかは分かりませんが、旗艦としての最善を果たしてみせましょう!)

・・・・

武蔵「フッ、余裕だな」

轟音とともに主砲を打ち放し、敵駆逐艦を跡形もなく消し飛ばしていく武蔵。

清霜「すごい! さすが戦艦ね!! 私も早くなりたいなぁ……」

秋月「対空射撃! 撃ちます!!」

敵艦隊の後方から迫り来る敵艦載機を次々と撃ち落としていく、秋月を始めとする呉連合艦隊所属の駆逐艦たち。

大鳳「この際、徹底的に撃滅しましょう!」

大鳳の放つ高性能な艦載機が、敵戦艦を大破にまで追い込む。

瑞鶴「翔鶴ねぇ……私たち、要らないんじゃないかな」

翔鶴「そうね……。でも、そうも言ってはいられないわ。後衛としての任を果たしましょう!」

瑞鶴「もっちろん! 折角の勝ち戦なら、楽しませてもらわなきゃねッ!」

・・・・

清霜「昼の快進撃で、敵艦隊は鳴りを潜めてるみたいね。今夜は無事に過ごせそう?」

長門「……これ以上の深追いは無用だろう。敵本陣への道半ばで負傷するわけにはいかんからな」

川内「えー……夜戦はおあずけかぁ……」

長門「ところで、霧島よ。第二主力大隊……佐世保からの増援はなぜ来ない? 遅くとも今日の暮れには合流出来る手筈だったろうに」

霧島「さ、さぁ……どうしたんでしょうか……(呉鎮守府の奇襲に備えて待機している、なんて言ったら混乱は避けられないでしょう。合図が出るまでは誤魔化し続けるしかないわね)」

扶桑「まさか、何か不幸なことがあったんじゃないかしら……敵別働隊に妨害を受けているとか……ひょっとしたら、鎮守府が敵に強襲されているとか……!」

武蔵「フッ。大規模改装されて欠陥戦艦とは言わせないと息巻いていたのになぁ。もう臆病風に吹かれたか? 何を臆することがある! 前ッ進ッあるのみだ」

大和「今の私たちの戦力なら、制空権を捨ててでも前に進むのも選択肢の一つだと思います。それに、早期に決着を着けなければ、こちらが不利になるでしょう。それは提督も仰っていたことです」

霞(……敵にこちらの策がバレていなければ、そうかもしれないんだけど)

長門「大和型という切り札中の切り札を切って臨むほどの決戦だからな……。維持出来ている補給物資から考えると、持ってせいぜいあと二日だろうが……。どう思う吹雪?」

吹雪「ええ、私もそれは同意見です。……ですが、やはり味方の増援が来ないのは不安です。扶桑さんの言う通り、敵別働隊に妨害を受けている可能性があります。そうだったとして、ここから状況を確認する術はありませんが……」

霧島「今攻めるのは尚早です。私は第二大隊を待つべきだと主張します。制空権を失った状態では、不必要な痛手を追う恐れがあります。佐世保第一・第二連合艦隊の到着までは堅実に、周辺海域の敵艦を掃討していった方が……」

・・・・

霧島「なんとか、進撃を引き止めることが出来ました……。戦艦や重巡から来る侮蔑の視線が痛かったです……胃が……」

霧島「私、戦況を分析したりするのは得意ですけど……こういう交渉を通すのは苦手ですね……」

翔鶴「いいえ、よくやっていますよ。きっと提督も褒めてくれるはずです」

翔鶴(……霧島さんは、自分の使命を全う出来ている。私たち佐世保第三艦隊以外は皆、敗北の可能性を考慮していない状況の中で警鐘を鳴らして、その主張を押し通した)

翔鶴「いいえ、よくやっていますよ。きっと提督も褒めてくれるはずです(私も頑張らなくっちゃ。自分なりにやれることを探しましょう)」
458 :【38/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/24(金) 19:52:50.78 ID:x76Zqb8c0
提督?「提督・金剛の」

金剛?「ドキドキ♡これまでのあらすじ♡」

提督?「我々の乗っていた船『プロビデンス』は、『ドラゴントライアングル』を経由してワープしたのであった!
説明しよう! ドラゴントライアングルとは、房総半島の野島崎・小笠原諸島・グアム島の三点を結んだ地点のことだ。
渦潮の頻発するこれらの三地点の中でも、その中央は特に大きな渦潮が発生しやすいのだった」

金剛?「ここで補足デェース! 深海棲艦が海上に出没するようになってから地球の環境は一変しまシタ。
渦潮とは本来、流れの早い海流と緩やかな流れの海流との境界付近で発生する現象デス。かつては鳴門海峡のような狭い海峡内で限定的に見られるものデシタ。
But、深海棲艦が現れて数十年経った現在ではァー、海流の接触がない広く穏やかな海域でさえも大規模な渦潮が多発するような状態に変貌してしまったのデェース!」

提督?「ドラゴントライアングルに発生する渦潮の潮力をワープの動力として利用し、我々は南極へ辿り着いたのであった!」

金剛?「降り立ったのは一面銀世界! テートク曰く、南極の永久凍土の下にメガラニカはあるんダッ! ……ってことだったんデスガ」

提督?「エセ外人があろうことかこの俺に雪球をぶつけて来たことによって、事態は思わぬ展望を迎える!」

金剛?「仁義無き雪合戦の結果、ワタクシプリティー金剛は、アングリー鉄面皮の陰湿な策謀によって落とし穴に叩き落とされてしまうのデース」

提督?「いえいえ陰謀なんかじゃございません。前方180度が攻撃範囲の妖怪紅茶飲みと真正面から当たっては反撃を受けてしまう。
そこでデースガールと他の艦娘との対立を煽り、注意が逸れたタイミングで足払いをお見舞い!
尻餅をつきながらツルツルと氷の上を滑っていくマヌケ。やりました。
これだけでも面白い光景だが、そこですかさず追撃! しかけていた小型地雷を起動し、落とし穴を生成!」

金剛「外道! 卑劣! 男のやることじゃないデース!」

提督?「おっとぉ、誤解をされないように言っておくと、この落とし穴はアホを叩き落すためだけにぶち開けたんじゃあないぜ。
落とし穴の先は氷洞になっていて、先へ進めばメガラニカへ辿り着ける、というものだったのダー」

金剛?「氷洞を進んでいたワタシ達。二又の道に差し掛かったタイミングで突然のAvalanche! 雪崩がワタシ達を吞み込んだのデース!」

提督?「さてここで訂正が入った。突然などと事故のような口振りをしているが!
その真実は紅茶ばかが雪合戦の時に俺に撃とうとした鉄甲弾が数キロ先の氷塊にぶつかって、それが原因で迫ってきた雪崩である可能性が高」

金剛?「違いマース! そんな可能性はありまセーン! 事故デース! ネクストフロンティアへの冒険に犠牲はつきものデース!」

提督?「まぁ、そんなわけで……俺と金剛の二人は他の連中とはぐれてしまい、行き着いた場所は洞窟の行き詰まりという有様だ」

金剛?「道を引き返そうにも洞窟全体を覆う雪の壁。おまけに顔以外は全身雪に覆われていて身動きさえ取れないという始末……。Oh,Gosh!」

金剛?「ベタすぎる展開デスガ、友達未満恋人論外な二人はどうやってこの状況を切り抜けるのでショウカ!?」

・・・・

提督「うう、寒さで頭がやられてきた……幻覚が見える……。妖精が頭の上で何やらぴいちくぱあちくと揉め合っている……」

金剛(いい気味だと思ってしばらく放置してましたケド……さすがにヤバそうなことを口走り始めましたネ……)

提督「なぁ金剛……艤装の排熱で雪は溶かせないのか?」

金剛「とっくにやってマース! ワタシの周囲半径1mほど溶かすことができましたガ……まだまだそっちの雪を溶かすには時間がかかりそうデース。こんな狭い所で砲撃したら洞窟ごと潰れかねないし……」

提督「そうか……俺がここで死んでしまったら、お前たちは帰る術を失ってここに取り残されてしまうというのにな。残念だ。実に残念なことだ……しかし、この氷が溶けないのならば、それも運命か……」

金剛「分かりまシタ。仕方ないですネ〜♪」 水筒を取り出し、マイカップに紅茶を注ぐ金剛。そこにミルクと砂糖を加えて即席ミルクティーの完成である

提督「おい、暗になんとかしろと言っているのだ。艤装が自動で温度調節してくれるお前らと違って、人間は存外すぐに死ぬものなのだ」

金剛「ガミガミ言わないで下サーイ……今パワーを溜めてマース……」 ズゾゾゾ……

紅茶を飲み終えると、金剛は拳に力を込め、高らかに叫びだす。

金剛「ワタシのこの手が光って唸る! 氷を溶かせと輝き叫ぶ!」

提督「待て、猛烈に嫌な予感がするのだが」

金剛「必殺! シャイニングゥ・ラァァァヴッ・フィンガァァァー!」

ドゴオオオオオオオォォォォォォォン……。

周囲を覆っていた氷は、一瞬にして白煙に変わった。

提督(死を覚悟した)

金剛「ザッとこんなもんデース」

提督「ご苦労、助かった。さて、脱出を図るか……ん?」

氷の壁が溶けたことによって、洞窟の行き止まりとなっていた場所に道が出来ていることに気づく二人。

金剛「どうにもこっちに進むのが正解? ですかね」

提督「怪我の功名……かどうかは分からんが、ひたすら雪を溶かしながら来た道を戻るよりはマシだろう。行くぞ」
459 :【39/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/24(金) 19:55:35.29 ID:x76Zqb8c0
提督「ここが氷洞の出口か」

目の前には海原が、頭上には満点の星空が広がっている。

金剛「オーゥ。Beautifulなbeachデスネー」

提督「今は昼のはずだろう。なんなんだここは……」

ゴゴゴゴゴゴゴ……。天空を覆っていた夜空が、地の果てまで覆っていた海が、空間ごとねじ曲げられていく。

提督「空が……まるでノートのページを捲ったかのように変形していく……!」

突如現れた空でもなく海でもない空間に、巨大な門が垣間見える。

提督「これが“タルタロスの門”なのか……? 俺たちは目的地に辿り着いたようだ。俺たちが辿って来た氷洞が“門”のあるメガラニカの中央部に繋がっていたらしい」

提督「“門”のある座標に辿り着くまでは肉体が必要だ。だが、“門”そのものはこの世には無くイデア界……平たく言うと精神世界上に存在するのだ。
ここは俺とお前が無意識的に創り出した、仮想の世界。その仮想世界に干渉して現れたのがあの“門”。俺たちが探していたものだ」

突然海上から無数もの水柱が立ち上る。激しい地響きが起こる。

提督「おいでなすった……! 門番だッ!」

海の中から現れたのは、鋼鉄のように鈍く光る鱗、鬼灯のように赤い眼、八つの頭に八つの尾……そして、身の毛もよだつほどの殺気。

提督「トネリコの大樹を貪る害獣であり、異界から湧き出る化物どもにとっての神であり、俺達が脳内で生み出した恐怖の具現化だ」

金剛「まるでヒュドラデース! って、こんなんワタシ一人で倒せるんデスカ!?」

提督「心配するな。ここは現実じゃない。恐怖に打ち勝つという意志を具現化すれば……!」 提督の周囲の空間から眩い光を放つ剣が生成されていく

提督「このようにイッ!!」

大きく跳躍し龍の頭部に斬りかかる提督。

金剛「オッケー! 要するに、何でもアリって事デスネ!」

金剛「燃料弾薬気にせず撃ちまくれるんだったら、これほどEasyなGameはありまセーン! 全砲門斉射ッ! 徹底的に撃ちますッ!」 ダンダンダンダンッ!

龍めがけて容赦なく砲を打ち出していく金剛。弾幕が敵を覆う。

・・・・

金剛「一体いつになったら沈むんですカ……コイツ! 首を切り落としても、胴体に風穴開けても、すぐに再生しマスッ!」 バァン!バァン!

提督「ハァ……ハァ……。分からん、ダメージは入っているはずなんだ。それが、65535分の1程度の威力だとしても……」

龍の頭が提督めがけて突進してくる。避けようと身を逸らすもかわしきれず吹き飛ばされる。数メートル先の岩にめり込む。

提督「グッ…………!」 仮面にヒビが入る

提督(いくら精神世界で死ぬことがないとはいえ、普通に痛みはあるんだな……。しかし、そんなことはどうでもいい)

提督(金剛の言う通り、どれだけ攻撃してもすぐに元通りになってしまう。ゲームのように弱点があるわけでもない……どこを攻撃しても、一度に全体を攻撃しても同じだ)

・・・・

それから俺たちは、何日も、何十日も、戦っていたような気がする。
ずっと、ただひたすらに目の前の化物を倒すことだけを考えていた。

金剛「提督……本当は、倒すことなんて出来ないんじゃないですか?」

ついに俺に対して疑念の目を向けてきた金剛。
ああ、倒せないのかもしれない……。口に出かかったが、声に出すわけにはいかなかった。
俺は、こんなところで終わるわけにはいかないからだ……。

・・・・

提督「金剛。もう、休んでいていいぞ。ここで隠れていろ……俺一人で奴を倒す」

何かを悟ってしまったような声色でそう言うと、私に背を向けた提督。
バラバラに砕けた仮面の裂け目から彼の虚ろな眼が見える。
休んでいたい、という気持ちはあった。けれど、私は立ち上がって彼について行った。
私は、一人で居るのが嫌だったから……。

・・・・

延々と戦い続けているうちに会話する余裕が出てきたのか、金剛に話しかける提督。

提督「なあ金剛。お前、俺が来る前はずっと第一艦隊の旗艦だったろう。どうして一番であり続けることに拘泥していたんだ? 並大抵のことでは無かったと思うのだが。
地位を望むにしても、常時艦隊の中で一番上であり続ける必要性は無いだろう。それに、訓練も演習も嫌いなはずのお前が、なぜこの鎮守府の中で最も高い練度を保ち続けているのかに興味がある」

提督「お前、どう考えてもストイックに努力出来るタイプじゃないだろう」

ぴょんぴょんと宙を跳ねながら攻撃をかわしつつ、提督は金剛に質問を投げかける。
460 :【40/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/24(金) 20:00:33.43 ID:x76Zqb8c0
金剛「ワタシは誰もが認めるような、ナンバーワンであり続けたいデス」

金剛「人は……自分にとって価値がないと思った相手に対して、とてもとても冷たいデス……。昔、嫌というほど思い知りまシタ。艦娘も含めて人という生き物は薄情デス。
それでも……やっぱりワタシは、本気で人の事を嫌いにはなれないんだと思いマス。それ私の性格なのか、ワタシが艦娘だからなのかは分かりまセンが……」

金剛「人に嫌われるのは辛いデス。ワタシは……愛されていたいデス。認められていたいデス。それが、ワタシが一番であり続けた理由デス!」

金剛「提督こそ、どうして深海棲艦を滅ぼすためにそこまでやれるんですかネ。使命感や義務感、忠義が欠片も感じられないんですガ……。
宇宙に行きたい? とか言ってましたっけ。どうしてそんな夢物語みたいな目的の為に、こんな化物と戦っているのか理解に苦しみマスネ……」

次から次へと迫り来る龍の頭に、砲の嵐で順序良く吹き飛ばしていく金剛。

提督「俺はな、この世界に自分の居場所は無いと考えている。まるで良い思い出が無いしな」

提督「俺は知略に関しては誰にも負けない自信があるが、頭さえ良けりゃあどうにでもなるわけじゃないんだ。人間とはありとあらゆる限界が付き纏うもの……。
それでも俺は、俺のエゴを通したい。『人は一人では生きていけない』……そんなことは分かっている。承知の上だ。それでも俺は、誰にも邪魔されることのない、俺だけの理想郷を追い求めていたい」

金剛「?? テートクは、どうして人を拒むんですカ?」

提督「拒んではいない……分かり合えないだけだ。俺の世界は俺一人だけで完結する、他に何も必要はない」

金剛(そのわりには、結構人に甘い気が……)

金剛「そうデスネ……確かに、少なくとも今の私と今の提督とでは分かり合えない気がしマス。でも……きっとワタシは、人と人とは分かり合えると思いマス」

提督「なぜそう思う」

金剛「私がずっとそう信じて生きてきたからデース! ……人と人とが分かり合えないなんて、信じたくありまセン」

提督「と、綺麗事を言うわりに、お前は誰にも受け入れられてない気がするがな。日頃の行いが悪いせいじゃないか?」

金剛「」

提督「俺はお前のように一人で生きていく強さのない人間を軽蔑している。人に依存しきったその甘えた姿勢が気に食わない」

金剛「」 プルプル

提督「……それを踏まえた上で言うが。承認欲求だけで艦隊の誰よりも高みに登り詰めたという事実を俺は高く評価している。その意志の力たるや尋常なものではない。
こうして隣で戦っていて、お前が戦闘の天才であることがよく分かった。旧第一艦隊での連携が噛み合わなかったのは、お前が突出していて他の連中が追随出来なかったのだな、というのも今理解した」

提督「お前がここまで強くなれたの理由が、ただ単に誰かから愛されていたいなんて甘ったれた感情だけだったとは俺には思えない。仮にそうだったとしても、その渇望をこれほどまでに昇華させること出来たというのであればもはや見事としか言いようがない。
お前がこれまで試練に打ち勝ってきた経験に裏打ちされた強さ、立場を失った今でもなお精神的に一番であり続けようとしている気高さ……。それは認めたい」

金剛「貶してるのか褒めてるのかハッキリして下サイ……」

提督「褒めているわけでも貶しているわけでもない。ただ思っていることを言ったまで。ま、お前に対しての認識が変わった……それだけのことだ」

・・・・

金剛「なんか、喋ってたらあっという間に片付いたネー。ヤマタノナニガシも大したことないネー!」

提督「あぁ……存外拍子抜けだな。だが、何にせよ……これで一段落だ」 フゥと息をつく提督

金剛「こうして話しながら戦う前って、なんかもっと絶望的に強かった感じがしてたんですけどネー……。テートクとワタシの心の距離が縮まったお陰ですかネ」

門が閉じられていく。破れた世界は修復され、荒れていた海は鎮まり、雲に覆われていた星空は元の輝きを取り戻し始めた。

・・・・

精神世界から現実世界に戻った二人は、船に戻って他のメンバーの帰りを待つ。

提督「さっき無線が入った。あっちもうまくやってくれたようだ。……皆が戻ったら、急いで帰るぞ。全ての門が閉ざされた今、ここに用はない」

金剛「ですネ……」

沈んでいく夕日を物悲しそうに眺める金剛。

提督「どうした? 何か気になることでも?」

金剛「いえ。何十日もテートクと一緒に居た気がするのに、ほんの数時間の経っていなかったというのが不思議デ……」

提督「そうだな。俺もそう思う。奇妙なものだな……。現実ではたった一日しか経っていないというに。まるでおとぎ話のようだ」

金剛「……テートク、なんか優しくなりまシタ?」

提督「いや、そういうつもりは無いのだが……お前を嫌いにならない努力をしてみようかと思い立っただけだ。人から嫌われるのは嫌なのだろう?」

金剛「テートクゥ!」 ガシッ

提督の両腕を強く握り締め、号泣し始める金剛。

提督「おいおい、ブッサイクな顔で泣くんじゃあないぜ……。このハンカチをくれてやる。まず鼻をかめっての」

金剛「ビエェェェェ……でーどぐぅ……」
461 : ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/24(金) 20:09:52.82 ID:x76Zqb8c0
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獲得経験値(~40/100)
・金剛の経験値+6(現在値6)
・響の経験値+2(現在値7)
・翔鶴の経験値+2(現在値5)

・雪風の現在経験値:6
・足柄の現在経験値:16
・皐月の現在経験値:6
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2周年記念ボイス、『大切な日』とか『特別な日』とか結婚記念日みたいなノリで言ってくれるのがヤバいですね。
ここのスレに居る人なら皐月のは既に聴いてるとは思いますが、まだの人は是非……!

武勲艦じゃなくてもガンガン改二にしていく流れになってきてますねー。
どっちかっていうとこれからはサービス開始時から居た艦娘を改二にしていく流れなんでしょうかね。
何にせよ如月来たのは嬉しい誤算です。あとにゃしいちゃんも可愛くていいですね。

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『Phase A』【41-45/100】
レス安価で登場する艦娘を決定します。
登場させたい艦娘の名前を1人分記名して下さい。
(雪風・翔鶴・金剛・響・足柄・皐月の中から一人)
>>+1-5

よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらいで流し読みするか>>351付近を参照下さい
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////チラ裏////
今回は冒険しました。いや、内容も冒険してますけど。
まあそのなんていうか。まず第一に金剛とバトらせたいなってのがあって。
あとはそっから練っていったっていうか。

ファンタジーやメルヘンは好きなのですが、さすがに十レスも二十レスも使うわけにはいかないので超省略。
っていうか艦これの二次創作だしなこれ! 3レスも割いてる時点で相当狂ってるよ!
ああいうの出すと何でもアリになっちゃうからね。あくまでこれはネタです。
ある種のネタとしてこういう展開にしてみただけで、本流はこっちじゃないです。違います。艦これです。

40レスだしちょっと遊んでもいいかなと思ったけど色々ぶっ込んでみたけどこれはやりすぎたのじゃ……。
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/24(金) 20:11:25.38 ID:UUXOiwDeo
皐月
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/24(金) 20:18:06.08 ID:ncovTQWW0
翔鶴
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/24(金) 21:49:36.81 ID:x4ezOyUAo
足柄
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/25(土) 00:49:21.21 ID:4oc7mGAgo
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/25(土) 01:20:00.04 ID:zDu4Es2to
足柄
467 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/04/25(土) 01:30:16.20 ID:OYWRMyTB0
おっと、ミスってた……。こっちが正しいです。
----------------------------------------------------------------------
獲得経験値(~40/100)
・金剛の経験値+6(現在値11)
・響の経験値+2(現在値9)
・翔鶴の経験値+2(現在値11)

・雪風の現在経験値:6
・足柄の現在経験値:16
・皐月の現在経験値:6
----------------------------------------------------------------------



>>462->>466より
・皐月1レス/翔鶴1レス/足柄2レス/響1レス
で『Phase A』が進行していきます。

投下は来週の金曜に出来たらと思ってますが現段階では何も書けてないんで努力目標です。
468 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/05/04(月) 20:57:49.68 ID:Ym3CHsKO0
案の定伸び伸びになってしまってますね。そして未だに投下の目処が立っていないという……。
GW前から色々とバタついてましてね……いちおー8日頃には投下予定です。

////チラ///
イベント終わりましたー。
大型艦建造卒業効果による貯蓄も相まって前イベントよりはかなり楽に進みましたね。E6最終形態はやっぱりエグいと思いますけれども……(それでも冬よりはマシ)。
とりあえず全部甲でクリアし、Romaも高波も磯風もゲットして本懐は果たした感じです。

しかし、だ。しかし……能代、お前は今どこにいる。
能代が来ればコンプリートなんですが、掘り続けても全然出てくれないですね。弾薬がなくなっちまいました。
それでも大型艦建造を回すよりはコスパが高いのでイベントが終わるまでは羅針盤を回し続ける所存ですけどね。
469 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/05/08(金) 23:09:50.03 ID:gQ6OFyPb0
うへぇ、ごめんなさい。もちっと待ってください。
全然書けてないけど書こうという気概とアイデアとパッションだけはあったんだ。ただ時間が無かっただけなんや……(言い訳)。
土日のどっちかで続きをお見せ出来るように頑張りますっ!頑張って書きますっ!



////本編に関係あるようで関係ないわりとどうでもいい話////
せっかく延び延びになってしまったのでちょっとした小話でも。

船の名前を『プロビデンス』にしてしまったけど、提督が作った系のものは全部北欧神話から引っ張ってくるつもりでした。
つもりだったんだけど途中から忘れててそのまま投下してしまいました。読んでる人からしたら至極どうでもいい話ですが作者的には後悔ポイント。

(神話系の単語は中二感が強いのでわざとそのまま引っ張ってきてますが、)『Tor』とかあの辺の実在する固有名詞やらは微妙に綴りとか変えてぼかしてたりしてるのは敢えてです。胡散臭さ重点です。
なんかそれっぽい説得力を持たせつつも基本的には合ってるかどうか保証しないよという逃げだったりしたりしなかったり……(オイ
それは冗談として、意図的に胡散臭くして「現実的に考えればここってこうだよね」と読者にツッコミさせる気を奪って「この世界ならまぁこういうもんなのかな」と無理矢理納得させてしまおうという意図が……それはそれで酷いな。
あっでも『フリーメイソンリー』はモロじゃんか。徹底しきれてないじゃん! なんですぐ忘れるかなぁ! と自戒。

ほらアレだ……オペレーション・ベルダンディみたいなもんです(謎)
あくまで本筋には関係ないほぼ趣味全開な部分ですしね……こんなん枝葉のこだわりに過ぎないわけでしてー。
それよかもっともっと中身を練っていきたいですね。やたら提督がシャシャリ出てきてアレなのですが、艦娘を魅力的に描いてこそ! ですよ。そこが一番大事。
あんまその辺の自論とか書き出すとまた長くなるのでここでは書かねっすけど……。
偉そうなこと言ってても皆さんにお見せ出来るお話の内容が全てですからねー。キャプションで語らず中身で魅せていきたいところ!
理想は高く、現実は……まぁ、うん。それなりに頑張ります。
470 :【41/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/10(日) 23:59:51.18 ID:Kyid1WEC0
提督「残念ながら、もう一度ワープを使って鎮守府まで戻ることは出来ない。ここに渦潮は無いからだ。ゆえに……」

ウィーン ガシャンガシャン ガコン! ガコン! ガゴゴゴゴゴ……。

提督「乗れ」 ピラミッド状だった船がジェット機のような姿に変形する

提督「道中でお前らが必死こいて充電してくれていたおかげでどうにか鎮守府まで飛べそうだな。プロビデンス改め……『イカロス』とでも名づけておこうか」

金剛「ワ、ワーォ……超展開。これなら最初からこのジェット機でここに向かっていれば早かったんじゃないデスカ?」

提督「片道しか飛べんのだ。ジェットエンジンのブレード……プロペラの羽が回転による疲労でぶっ壊れて途中で墜落してしまうからな。それに、バッテリーも熱を持ちすぎて使い物にならなくなる」 説明しながらコックピットに全員を乗せるよう促す

・・・・

提督「今ちょうど赤道を超えたあたりだな。予定では鎮守府まであと数時間……フタマルマルマルには着くといった見込みか」 操縦室前に呼び出した比叡らに話しかける提督

比叡「はっやいですねー。もうそんなに進んでたなんて! まだ1〜2時間ぐらいしか経ってないんじゃないですか?」

提督「ああ、速さと引き換えに安全性を犠牲にしたからな。仮にお前たちが艦娘でなかったら失神している程度の速力は出している」

比叡「サラッと怖いこと言わないで下さいよ! 重大な欠陥じゃないですか!」

提督「……そう。速さと引き換えに安全性を犠牲にしている。その為、走り出したらもう二度と止まれない」 珍しく焦っているような口調

提督「どうにもブレーキがイカれたらしい、30分ほど前から全く制御が効かない。こうして会話している間にも速度が増していっている。
想定を遥かに超える速度で飛行している……マッハ4〜5程度だろうか」

足柄「ちょ、ちょっと! 今更そんなことを伝えてどうするのよ! 乗る前に言いなさいよッ」

提督「対処法が浮かんでいない段階で話しても混乱させてしまうだけだからな。……とはいえ、黙っていてすまなかった。
金剛、比叡、足柄。お前たちはここで降りろ。ここからなら自力で鎮守府にも帰れることだろう。
機体後部のシェルターに移動してくれ。シェルターを機体から切り離し、海上へ不時着させる」

比叡「そ、そんな!? そんなことして大丈夫なんですか!?」

提督「100%と断言することは出来ないが、恐らく死なずには済むはずだ。こういう事態が起こった時のために作っておいたものだからな」

金剛「……信じてマスヨ? テートクッ!」 困惑する他の二人を半ば強引にシェルターに押し込む金剛

提督「皐月と文月は操縦室に来てくれ! なに、心中はさせんよッ!」

提督(俺がこの席を離れてしまったら、シェルターを無事に着水させることが出来ない。本来なら皐月や文月も行かせるべきだが……それをやってしまうと俺が生還出来るビジョンが見えないからな)

操縦桿を思い切り手前に倒す提督。機体は天頂の太陽めがけて突き進んでいく。機体の角度が90度に達した瞬間、シェルターは切り離される。
シェルターは垂直落下しながらも四方八方へ次々とパラシュートを繰り出していく。空気の摩擦熱や空力加熱の影響で一部のパラシュートは炎上しているが、シェルターはほぼ無傷の状態で着水。
金剛・比叡・足柄三名の無事を伝える通信がコックピットに届く。

提督「さて、次は我々の番だが……どうしたものか」 機体をぐるりと縦に旋回させ、唾を飲み込む提督

・・・・

機体は空の上を猛烈な速度で突き進んでいく。ぬいぐるみを抱えながらフルフルと震えている文月。

皐月「邪魔っ……文月ィ、だからぬいぐるみなんて持って来るなって言ったんだよ」

文月が抱きかかえているのは、全長約60cmほどのぬいぐるみ。間抜けた表情だがどこか憎めないような、奇抜だが愛嬌のあるぬいぐるみだった。
だが、二人分の席しか用意されていないコクピット内では、余計に空間を圧迫する存在だった(座席に座れない皐月は提督と文月の席の間に挟まるように座っている)。

文月「このダンボオクトパスちゃんが無いと落ち着かないんだってぇ〜……これがないと不安で不安で」

提督「なんだそれは? 深海に生息するタコの類のようだが……」

文月「メンダコ科グリムポテウティス属の一種で、ダンボオクトパスって愛称で呼ばれてるんですよ〜」

皐月「こ、こんな状況で雑談してる場合じゃないよ……」

提督「こんな状況だからこそ平常心が大事なのだ。窮状であっても心の拠り所があれば人は踏み止まれるハズだ」

皐月「分かったような分からないような……。司令官は真面目なんだか不真面目なんだかよく分かんないねぇ」

切迫していた雰囲気が一時的に緩む。状況はまるで改善されていないにも関わらず、皐月も文月も、そして提督も、徐々にパニックを脱していく。普段の冷静な感覚を取り戻しつつあった。

提督「文月、そのぬいぐるみはお前にとって大事なものなのだな。であるならば、そいつを傷つけないで脱出する方法を考えなければならないな。
着水寸前に機体を内側から破壊して脱出……と考えていたがそれは厳しいな。フゥーム、こいつを停止させるには……」

提督は思考する。
ブレーキは効かない。この状況下で下手にエンジンを切ったらどうなるか分からん。いや、角度さえ間違えなければあるいは……?
しかし、果たして超音速の世界でも通用するのだろうか……。失敗すればさらに酷い状況になるぞ、死に直結しかねない。
……いいや、そうじゃない。このまま進み続けた方がリスクは高い。エンジンやバッテリーがいつぶっ壊れてもおかしくない状況だ。
言うなれば時限爆弾を積みながら飛んでいるようなもの。……やはりこれが最適解ッ!

提督「ええいッ! ナムサンッ!」

操縦桿を握る。機体をやや上向きに傾ける。不時着予定の地点が映し出されたレーダーの映像を目に焼き付ける。エンジンを切る。
『イカロス』はグライダーや紙飛行機の要領で空を滑っていく。あぁ、これで良いはずだ、これで……!
471 :【42/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/11(月) 00:16:58.17 ID:q5tPTK640
長門「一体どうなっている、霧島……。第二大隊は未だ来ず、ただ徒に戦力を消耗しただけ。幸いにしてまだ深刻な被害の出ている艦は少ないが、それでも数隻は戦線離脱を余儀なくされている」

霧島「で、ですが……昼戦にて道中の敵はほぼ全滅状態にまで追い込みました。これで何の障害もなく第二大隊はこちらへ向かうことが出来るはずです」

長門「そうではあるが……もう遅すぎる。仮に今から合流したとして、敵本隊を殲滅しきれるかどうか怪しいぞ。燃料はともかく、弾薬の残量が半分切った者が出始めているという報告も聞くしな」

武蔵「だから言ったろう? 今朝の時点で敵本陣へ攻め入るべきだったのだ。腰抜けの機動部隊など放って進撃していればな」

吹雪「み、味方のことを悪く言うのはやめましょうよ! それよりも、これからどうすべきかを考えないと」

秋月「明日の朝までに味方と合流出来ないようであれば、呉鎮守府まで撤退するのも選択肢の一つかもしれませんね」

長門(この期に及んで撤退だと? 提督から不退転の意志でこの決戦に臨むようにと命じられている……何としても進撃だ。進撃以外はありえない。
しかし……戦艦や重巡は俄然やる気だが、軽空母や駆逐艦の連中の士気は目に見えて低下している。この意識の乖離はまずいな)

大和「いえ……むしろこちらから攻勢に転じるというのはどうでしょうか。もうじき日が沈みます、夜戦にて敵本陣に雪崩れ込むのはいかがですか?
これなら敵も機動部隊戦力は使えないでしょう。もちろんこちらも無傷とは行かないでしょうが……手数で上回ることが出来ます。やられる前により多くの敵を叩けば問題ないかと」

川内「おっ! 夜戦かァ! いいねェ……水雷魂が騒ぐね! 駆逐艦の皆も、夜戦やりたくない!?」

夕立(Noとは言えないっぽい……)

睦月(にゃあ〜……こうなったらもう止められそうにないし……)

長門「よし分かった。これより第一大隊は、敵本陣めがけて」

霧島「お待ち下さい!」 長門の話を遮る霧島

長門「何だ? 夜戦であれば第二大隊を待つ必要はなかろう。明日の昼までに第二大隊の連中がここに来れば良し、来なくとも夜の内に敵空母に予め痛撃を与えておけば艦載機を放つことは出来なくなる」

霧島(むむむ。しかし、ここで食い下がるわけには……。『第二大隊が来るまでは何としても敵本陣へ向かわせるな』というのが司令のご命令。
何かここに足止め出来る理由が一つでもあれば良いのですが……まるで浮かびませんね。そもそもここまで第二大隊の到着が遅れるとは想定外でしたし、どうすれば……)

翔鶴「いいえ、ここは譲れません。佐世保鎮守府総括にして元帥である手取提督のご命令ですゆえ、通すわけには参りません。ここで第二大隊を待ちましょう」

長門らの進もうとした先に仁王立ちする翔鶴。突然の行動に、同じ艦隊であるはずの霧島や瑞鶴でさえ驚いている。

一同「!?」

瑞鶴(あわわ……翔鶴ねえ、突然何やってるの!?)

長門「待て、何を考えている? その理由をだな……」

翔鶴「言えません。が、何が何でも進ませるなと伝えられていますので」

長門「??? フザけているのか? 納得のいく説明もなく引き下がれと言われて、はいそうですかと従えるものか。
佐世保の意図は知らんが、我々呉連合艦隊はお前たちの訳の分からん茶番に付き合うつもりはないぞ」

武蔵「そうそう。そこの長門に第一大隊の全指揮権は委ねられているのだ。お前たちも第一大隊の構成員なら、旗艦様の言うことは従っておいた方がいいぞ」

吹雪「むっ、武蔵さん! そういう棘のある言い方はやめて下さい! 長門さんも睨むのをやめて下さい!
……そ、それより翔鶴さんに霧島さん。なぜそこまで進撃に反対するんですか? 言える範囲で構わないので、お話してはいただけないでしょうか?」

翔鶴「さぁ、分かりません。私はあまり提督から説明を受けていないもので。ただ、このまま先に進んではけないような気がするのです」

長門「分からない? 気がする? どこまで我々をコケにすれば……」

霧島(翔鶴さん、一体なぜこんな反感を買うような行動を……? しかし、彼女が私のフォローをしつつ時間を稼いでくれたおかげで、一つハッタリが浮かびました。
彼女がここまで大立ち回りしてくれるなら、それに乗っかってみるのも一興かもしれません!)

吹雪「どういうことですか? 翔鶴さん、貴方は自分の司令官の意向を理解しないままその命令にだけ従っている……ということ、でしょうか?」 長門に割って入り翔鶴に尋ねる吹雪

翔鶴「そうなりますね。ですが……私たちの提督は多くを語ろうとはしませんが誰よりも深く物事を考えている方です。
それに、第二大隊には私が尊敬してやまない先輩たちが居ます。先輩たちと肩を並べて戦えるのであれば、絶対に負けることはありません。それだけは保証できます」

霧島「えー、コホン。極秘中の極秘なので同じ第三艦隊のメンバーである翔鶴さんにも伏せていましたが……。数時間後に補給物資を積んだ数隻の艦娘と共に給糧艦が到着します。
それが全てです。給糧艦と会う必要が無いと判断されるのであれば、もうこれ以上止めることは致しませんが」

“給糧艦”という単語が霧島の口から放たれた瞬間、艦隊の温度が一変する。

夕立「給糧艦!? やったっぽい!」

山城「姉さま! 給糧艦ですって!! フフフ……給糧艦……!」 ガヤガヤ

長門(クッ……給糧艦と聞いただけで浮き足立ちおって、現金な奴らめ! 本当にこいつらの言うことが信頼出来るかどうかも怪しいというに……。
だが、給糧艦が来れば艦隊の連中の不満も全て消し飛ぶのは間違いない。まだ来ても居ないというのにこの態度の変わり様だしな)

長門「チッ、そういうことはもっと早く言ってもらわなければ困る。良かろう、夜が明けるまで待つとしよう(もしこの状況下で確信のない出鱈目を言ったとしたら大した強心臓だな)」

霧島(翔鶴さんの言っていたように、司令ならばこの事態が起こる可能性さえも予期出来ていたはず。そしてそのための策も用意していることでしょう……!
司令がこの事態を予測していたなら私のハッタリは実現するはずでしょう) 翔鶴に向けて親指を上向きに突き立てる霧島。ニッコリと微笑む翔鶴

瑞鶴「ねぇ翔鶴ねえ。この展開を予想して話に入っていったの?」

翔鶴「え? いや、霧島さんが困ってそうでしたので、自分が思っていたことを言っただけですよ?」 翔鶴の言葉に苦笑いを浮かべる瑞鶴
472 :【43/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/11(月) 00:25:48.89 ID:q5tPTK640
天龍「クソッ! 第一・第二連合艦隊はいつまで呉で足止め食らってんだ!? もう日没だぜ!? いつになったら合流出来んだァ?」 灰皿に積もっていく煙草の吸い殻

龍田「天龍ちゃん、気持ちは分かるけど駆逐の子たちが居るんだから煙草は止めた方が良いわよ〜? 貴方が焦っても何も解決しないわ」

天龍「……この状況下で余裕ぶっこいてられっかよォ。第一大隊はMI道中で足止め、第二台大隊は想定を遥かに上回る敵戦力とぶち当たり苦戦中……。戦艦棲姫が2体ってどういうことだァ!」 ペシッと床を蹴る

龍田「そうね。でも、第二大隊が第一大隊を待たずして敵本拠へと雪崩れ込んでいないだけ幸運と考えるべきよ。血気盛んな他鎮守府所属の面々をなだめている第三艦隊の気苦労を評価すべきだわ」

提督?「龍田の言う通りだ。前線で戦う者を案じてやれ……天龍」

天龍「? お、おせーよ提督! 今まで何やってた!?」

提督?「説明している場合ではないだろう。一先ずよくやってくれた天龍。これより反撃に出るぞ。
天龍、第四艦隊を率いてMIの第一大隊のもとへ向かえ。……この戦況をひっくり返す切り札を用意してある」

天龍「は? はァ? と、とにかくよく分かんねーが……提督が言うなら間違いねえな! 第四水雷戦隊、出撃するぜ!」

・・・・

提督「皐月! 文月! 見ての通りそろそろ滑空の限界だ! 今から3数えたら窓をぶち破り脱出だ、いいな? ……3・2・1! 行くぞォ」 バゴォォォォォオオオオオオオン

最初に窓をぶち破り『イカロス』から飛び降りる文月。続いて錨の鎖で簀巻きにした提督を担ぎながら飛翔する皐月。

文月「ふぇぇ……怖かったぁー」 パラシュートでゆらゆらと落ちていく三人

皐月「ねえ、あれ」 望遠鏡で遠くを見つめる皐月

皐月が指さす先に見えるのは、“何か”と衝突して爆炎を纏う『イカロス』。

戦艦棲姫「ッッッ……ナニ、コレハ……」 62 Critical Hit!

提督「……ほう、驚いたな。もう2日目の夜に差し掛かるというのに未だ決着つかずか。第二大隊が未だに呉の前で戦っているとなると……ウーム最悪の二歩手前といった状況だろうか」

皐月「大丈夫なの? この状況」

提督「赤城や響らもだいぶ手を焼いていたようだな。が、いかに戦艦棲姫といえど随伴艦が一隻も残っていない上に大きく損傷しているあの状態では長くは持つまい。
遅くとも明日の朝までにはMIの第一大隊と合流できるはずだ。第一大隊が進撃していなければの話だが……霧島であれば上手く足止めしてくれるだろう」

皐月「そうじゃなくて! アイツこっちの方メッチャ睨んでるよ!? 大丈夫なの!?」

提督「奴の位置から俺たちの飛んでいるここまでどうやって攻撃を当てる? 対空装備が無い時点で論外だ。ダンボのように空中遊泳しながら鎮守府まで帰るとしよう」 手を広げる提督

文月「どちらかというと魔法の絨毯じゃないかな……」

簀巻きにされた提督の背中の上に垂直に立っている皐月を見て、文月が一言。

・・・・

金剛「テートク達、大丈夫ですかネ……。もう空が暗いデース、月が見え初めまシタ……」

比叡(前は『テートクなんて嫌いデース!』とか言ってたのに、一体何があったんでしょうねー。司令と和解出来たならそれはそれで安心ですが……)

足柄「アンタさっきからそればっかりね。あの提督なら車で轢いても銃で撃っても溶鉱炉に突き落としても死にそうにないじゃない。心配するだけ無駄だと思うけど」

金剛「確かにそうですネー」

比叡(心配してたわりにあっさり納得しちゃった!?)

天龍「ん? お前らは……! 丁度良い。曳航手伝ってくんねーか? 超急いでるんだ!」

足柄「? アンタ第四艦隊の天龍じゃない。こんなトコで何してるわけ?」

天龍「それはこっちの台詞なんだが……。ま、とにかくVIPをお連れしてるんでな。給・糧・艦だ」

天龍とその随伴艦たちの後ろに小船が曳かれている。正面には御簾が垂れていて、平安時代の牛車を彷彿とさせる。

天龍「万々が一にも傷ついてもらっちゃ困るからこの扱いなんだが、どうしても急ぎで連れてかなきゃ行けなくてな。いわゆる緊急事態というやつだ」

金剛「……報酬はもちろん?」

天龍「金は出せないが……なんてったって給糧艦だからな? 分かるだろ? ……キラキラし放題だ」

足柄「乗ったァー!! よし! 手伝うわ! 手伝わない理由はないわッ!」

天龍「MI攻略の策源地までお連れするだけの簡単なお仕事だ。頼んだぜっ!」

金剛「気持ちは分かりますケド……なんか、餓えた狼って呼ばれてる理由が分かった気がしマース」

比叡「でも、確かにお腹減りましたねー。曳航するだけでオイシイ思いが出来るなら乗らない手は無いですからねー。チャチャっとやっちゃいましょうか」
473 :【44/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/11(月) 00:48:10.75 ID:q5tPTK640
清霜「霞! ホラ、ホラ見てアレ! 給糧艦! 来たよ!」

霞(霧島は本当に司令官から給糧艦がこの場に来ることを知らされていたのかしら……? 戦線の後方とはいえ、これから大決戦が行われようという場に給糧艦引っ張り出してくるなんて。
給糧艦の間宮や伊良湖は私たち普通の艦娘とは違ってとても脆い上に、そう易々と代替の効かない存在。そんなジョーカーを切ってでも足止めしたいってことは……この先に何があるのかしらね)

夕立「ヤッター! これでお腹いっぱい食べれるっぽい!!」

霧島(ほ、本当に来た……。司令にとっても、第二大隊がここまで遅れるのは想定外だったはず。
それでも絶対に第一大隊単独で進撃することは避けたかった……だから給糧艦という切り札を使って強引に艦娘たちをこの場に留めた。当てずっぽうに近い賭けでしたが……上手く行きましたね)

長門「なぁ霧島よ。お前の話では給糧艦とともに第二大隊もこちらに来るという話ではなかったか?」

霧島「あっ! 金剛お姉様! 第二大隊ももうじき到着しますよね!? そうですよね!」

金剛「? ああ。もうすぐ来ますヨー! No problemネー!(天龍から粗方の話は聞きましたけど……どうにも第二大隊の到着が相当遅れてるみたいですネ。あっちの旗艦の長門が妙に殺気立ってますし)」

長門「本当か? 主力部隊を差し置いて給糧艦が先に来るのはおかしいだろう。一体これは……」

長門の口にアイスをねじ込む吹雪。

吹雪「ま、まぁ……。『食える時に食っておかなけばな』ですよ! 長門さん」

武蔵「フッ……佐世保最強と名高いあの“鬼金剛”か? 今回は参戦しないと聞いていたが……こいつは光栄だ」 指をバキバキと鳴らしている武蔵

大和「まぁ、私たちも負けていられませんね」

長門(クッ……追求できる雰囲気じゃないな)

・・・・

足柄「いやぁ〜……かなり久し振りに感じるわね! ヴェアヴォルフ、ここに再集結! ってとこかしら」

霞「あら、アンタも来たのね。どういう経緯なのか気になるところだけど……今は再開を喜ぶべきかしらね。不良も居るわよ」

足柄「おっ! 朝霜。久し振りじゃない。生きてたのね」

朝霜「ヴェアヴォルフ創始者の朝霜様に向かって不良だの死人だの……ったく相変わらずロクでもねえ連中だぜ」

足柄「突然フラッといなくなったんじゃ死んだと勘違いされてもおかしくないわよ。ま、アンタを殺せるようなタマもそう居ないとは思うけどね」

霞「本当よ。人に散々心配かけておいて……この戦いが終わったらお説教させてもらうわね。覚悟なさい」

朝霜「うげェーッ! 勘弁してくれっての。ところで……腹ごなしに運動でもしねえか? 大淀が欠けてんのが残念だが……アタイらが戦場で集まったらやることは一つだろ?」

霞「アンタねぇ……昨日からの話聞いてた? 進撃するしないで大揉めしてたでしょうに!」

朝霜「だァーかァーらァー。バレないようにやりゃあいいじゃんって話だよ。水雷戦隊の基本は?」

清霜「『見敵必殺』!」

朝霜「水雷戦隊の夜戦での心得は?」

清霜「『先手必勝』!」

朝霜「はい清霜正解! 小隊を組むことの利点は?」

足柄「本隊から離れての『独断専行』……! フフッ、いいわ。燃えてきちゃった!」

清霜「ふっふーん♪ そういうことだから、霞。行くわよ?」

霞「揃いも揃って本ッ当にゴミね! 囮役は私が行くわ。清霜と朝霜はフォローお願い。足柄は好きに暴れていいわ」

足柄「ッしゃァー! みなぎってきたわ! 最高のコンディションよ!」 照明弾/照明弾/照明弾 シャッシャッシャッ

足柄「十門の主砲は伊達じゃないのよ! 撃てッ! 撃てェーッ!」 ボゴォォォォン

哨戒していた敵艦隊めがけて無差別的に撃ち放し大打撃を与えるも、あっという間に敵に囲まれてしまう。

霞「なんであいつ囮の私より目立ってんのよ! アッタマ来た! 私が直接ぶっ飛ばしてやるわ!」

足柄への行く手を遮る駆逐艦や軽巡を魚雷で警戒に葬り去りながら突き進んで行く。

足柄「うふふッ! 最高だわ! 感覚が研ぎ澄まされてるみたい!」

砲を撃ちつつ拳で敵艦を殴りぬけていく。
精神テンションが最大まで高まった彼女の戦闘スタイルを正確に言い表す言葉は残念ながらこの世に存在していないが、あえて名前を付けるならば舞空術という言葉になるだろうか。

朝霜「いやァ……戦いってモンが分かってる連中はやっぱ愉快だね! アタイらも行くよ清霜!」

清霜「私もッ! 負けませんからァーッ!」 ドガァァァァァン

足柄の動きを真似て人間では考えられないような動きで敵を翻弄していく朝霜と清霜。
今の彼女たちを数が多いだけの哨戒部隊ごときに止められようか? 土台無理な話である。
第二大隊が第一大隊本隊との合流を果たした夜更け頃には、まるで敵の哨戒部隊など最初から存在していなかったかのような静寂が周囲に漂っていた。
何事も無かったかのように足柄たちは艦隊へ戻っていく。カマイタチのような俊敏さと凶暴さがヴェアヴォルフの真の強みなのだ。
474 :【45/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/11(月) 01:00:22.97 ID:q5tPTK640
長門・陸奥・吹雪・赤城・響・霧島ら六名による最終決戦に向けての会議が行われている。

長門「やっと来たか……。遅れたワケを聞こう」

赤城「呉鎮守府に敵艦隊の猛襲がありました。敵の狙いは本土にあったのです。私たち第二大隊これを撃退し現在に至るという次第です」

長門「なんだとッ!? ……そうか、霧島。貴様、これを知っていたのか……」

霧島「ええ、もはや隠す必要もありませんか……。貴方たち呉およびその配下の連合艦隊をここMIの策源地に足止めさせ、攻め込ませず、されど撤退もさせず、というのが狙いでした。
自分の本陣がやられたらさすがに撤退しないわけにはいかないでしょうが……私たちが敢えて黙っていたのには理由があります」

赤城「ここでMIを叩く機会を逸してしまったら、次はより用心深くより強力な戦力を用意してくるでしょう。
そちらの鎮守府の方たちはご存知ないのかもしれませんが、今回のAL/MI作戦は深海棲艦側に作戦情報が漏洩していました、全て」

響「ゆえに呉鎮守府に襲撃があった。とっくに作戦を終えてこちらの支援に来ているはずのAL攻略組も未だに手こずっているようだ。
私たち佐世保鎮守府の司令官だけが、情報の漏洩に気づいていた。だから逆張りで事を進めていたということだ」

響「説明は以上。君達が血気に逸って進撃していないでくれて本当に安心しているよ。それをやられていたら最悪だったからな。
あとは従来の作戦通りに夜明けを待ち作戦通り制空権を確保し、徹底的に叩き潰すのみ」

長門「分かった……もういい」

・・・・

会議が終わった後、吹雪・陸奥を呼び出す長門。

長門「なぁ……。私は間違っていたのか? 提督に全てを託されて、舞い上がっていたのだろうか?」

陸奥「そんなことは無いわよ。結果的にあっちの言ってることが正しいように見えるだけ。私たちの提督も、長門も、間違ってなどいないわ」

長門「実はな。提督は深海棲艦に情報が漏れているかもしれないと、この作戦が始まる前に私に話してくれたのだよ。
『だが、仮にそうだったとしても、どうすることも出来ない』と。私にそう言ったんだ」

長門「もちろん。私も提督も、しょせん噂程度に過ぎないと、そう思っていた。そう思っていたから誰にも言わなかった。
……だが結果としてこのザマだ。佐世保の連中がああいう風に動いていなければ、今頃私たちは海の底だったかもしれない」

長門「あの佐世保の提督は、私の提督が『どうすることも出来ない』と言ったものさえも、当然のように乗り越えてしまった。
全て分かっていましたと言わんばかりに。手のひらで踊る私たちをあざ笑うかのようにな。
……昨夜、霧島や翔鶴が私の前に立ち塞がった時に、こいつらは本当に哀れで愚かな奴らだと思った。
全てを説明されているわけでも無いくせに自分たちの提督の言うことを盲信してそれに付き従う。あの段階では提督の命令が本当に正しかったのか、あいつら自身にも分かっていなかっただろうにな」

長門「だが、あいつらの信じた通りの結果になってしまった。……あいつらと私、提督を真に信じているのはどちらなのだろうか。不安になってしまったんだ」

吹雪「長門さん。それは違います。……確かに、今回結果的に正しかったのは佐世保鎮守府の手取提督です。敵の動きを看破出来なかった私たちの司令官は、失策でした。
でも、それは結果論であって。私たちの司令官は、私たちの司令官なりに今まで頑張ってきてくれたじゃないですか。だからこうして今の私たちが居るんです。
……司令官を疑うような言葉は、やめて下さい。司令官を疑う自分を疑うような言葉は、やめて下さい」

吹雪「司令官は……。佐世保の提督のように、完璧ではないかもしれません。時に間違った判断も下してしまうかもしれません。
でも、私たちのことをいつも考えていてくれて……。本心から従いたいと思わせるような、そんな素敵な人じゃないですか」

長門「……そうだな。本当に、優しくて魅力的な方だよ。涙が出るくらいに。
吹雪。お前は、提督のことを最初からずっと見てきたもんな。フフッ、羨ましいよ……本当に」

長門「吹雪、陸奥。司令官のこと、これからのこと……頼んだぞ」

陸奥「ちょっと長門!? どういう……」

長門「この戦いを以って戦艦長門をやめようと思う。……提督を少しでも疑ってしまった自分が許せない。提督への敬意と愛情が揺らいだ、自分への罰だ」

陸奥「……長門は。一度言い出したらきかない性格だものね。いいわ、罪が償えたら……いつでも戻ってきなさい」

・・・・

響(何やら湿っぽい話が向こうから聞こえるな)

響「赤城。……もうすぐ夜明けだね。準備はいいかい?」

赤城「ええ、勿論です。昨日一昨日でだいぶ手間取ってしまいましたからね。その分、今回は存分に暴れさせてもらいますよ」

響「ところで……司令官についてどう思う」

赤城「手取提督……ですか? そうですね。感謝しています、とても」

赤城「私がもしあの提督が居ない鎮守府に在籍していたら、きっとこの戦いで沈むんでしょうね。そんな気がします。
手取提督は……私に勝利しか与えません。その安心感が、私の中から悲愴感やトラウマさえも奪い去ってしまうんでしょうね。何だか今は負ける気がしなくって」

響「この戦いで沈むんだろうって所以外は同意だな。本当に、最高の司令官だよ」

赤城「そうですね。私もそう思います」

響「……なるほどな。そう思えるならやはり君は友人だ。そして、ライバルなんだな」

赤城「?」

響「雑談はこれまでだ。さ、持ち場に戻ろう。最高の勝利を、華麗に彩ってやろうじゃないか」
475 : ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/11(月) 01:12:48.50 ID:q5tPTK640
----------------------------------------------------------------------
獲得経験値(~45/100)
・皐月の経験値+1(現在値7)
・翔鶴の経験値+1(現在値12)
・足柄の経験値+2(現在値18)
・響の経験値+1(現在値10)

・雪風の現在経験値:6
・金剛の現在経験値:11
----------------------------------------------------------------------

>土日のどっちかで続きをお見せ出来るように
流石にこう言っておきながら
>2015/05/10(日) 23:59:51.18
……間違ったことは言ってませんがこれはもう詐欺の部類ですね。

----------------------------------------------------------------------
『Phase B』【46-50/100】
レスのコンマ値で登場する艦娘を決定します。
00〜19:雪風
20〜35:翔鶴
36〜51:金剛
52〜67:響
68〜80:足柄
81〜99:皐月
>>+1-5

よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらいで流し読みするか>>351付近を参照下さい。
----------------------------------------------------------------------
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/11(月) 08:39:29.46 ID:hGtm/IBco
熱い展開だ、乙
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/11(月) 20:25:35.27 ID:TBYXVGF/o
乙 ダンボオクトパスってまさかたこぶえ・・・いやなんでもない
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/11(月) 21:13:06.69 ID:AFDId7d1O
足柄と飲酒
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/11(月) 21:51:14.11 ID:j0yjbX3X0
はい
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/11(月) 21:52:03.39 ID:a8m83EUHO
はい
481 : ◆Fy7e1QFAIM [sage saga]:2015/05/13(水) 16:11:02.31 ID:fvAWxPzdO
>>476->>480より
・金剛2レス/翔鶴1レス/足柄1レス/雪風1レス
で『Phase B』が進行していきます。

ひとまず次回の投下でシナリオ的に一区切り着く感じです。
実は概ね25レス単位で区切れるよう作ってたりします。先のことはどうなるか分かりませんが。

次で50レスとスレ的にも区切りがつくんでそろそろちょっと仕様変更みたいなのぶっ込んでみようかなーとか思ったり思わなかったりしています。
これはこれで(書いてる自分は)楽しいんですけれども、そろそろなんかアクション起こすのもアリかなと。
具体的には安価時になんかシチュとか書くと実現する〜みたいなやつあたりを弄ろかなと。
扱いが難しそうだからわざと成功率低めに設定したんですけど、緩めてもそれはそれでいけそうな気がしてきたので。
あとは……まだ詳しく決めてないんで秘密。
次フェーズからはちょっと何か変わるかも、と書いておきます。



////Twitterにでも書いてろ的な////
能代やっと来ました。彼女一人を探すためだけに弾薬が10000以上消し飛んだよーな……。
遂に艦娘コンプです、やりました。
1年と1ヶ月でやれたんでそこそこ運が良い方ですかね(勿論プレイ頻度に依りますが)。
このゲームはいかに早く大型艦建造を脱却出来るかが一番重要だと思う……。

当面の目標は図鑑埋めですかねー。睦月改二・葛城改・Roma改・秋津洲改がまだなんで。
あとは長良・白露・村雨・朝雲・磯風・朝霜も図鑑には載らないけど改でグラ変わる系なんで育てようかなあと。
レベリングに終わりはないのだ。
482 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/05/22(金) 00:05:05.24 ID:hMVTwvEf0
どもども。大体二週間に一回のペースでの投稿間隔になりつつありますねー。
本当はもちっと早めたいところなんですがー。
口では早めたいと言っているのですが実際のところ……という感じでありましてハイ。

何はともあれ次回の投下は24(日)あたりを目処に書いております。
本当は今日の夜あたりに行っとくつもりだったんですが現状の進捗を鑑みるにダメそうなので……。



////人間は紙とペンさえあれば世界の神になれる 〜チラシの裏という無法地帯////
最近は友人がBesiegeというゲームをSteamで配信してるのでそれを見て時間潰してます。
分からん人には何のこっちゃって感じですが。
そもそも艦これにもこのSSにも全く関係ない話なんであんま気にしなくていいです。例によって読まなくてもいいです。

SteamってのはPCゲームのダウンロード販売プラットフォーム……iTunes StoreやWindows ストアの洋ゲー版ってとこでしょうか。
(厳密には違いますけどね。あと別に日本のゲームもあることにはあります)
そのSteamってので配信してるゲームにBesiegeってのがありまして。
日本語Wiki曰く『Besiegeは、中世の攻城兵器を作って要塞や集落、兵士、羊を蹴散らしていく物理ベースのシミュレーションゲームです。』らしいです。
ブロックを組み合わせて戦車やカタパルト、飛空艇なんかを自分で作ってステージを攻略していく……って感じのゲームです。
Robocraftってゲームが一番イメージとしては近いですかね。噛み砕いて言うとレゴブロックを組み合わせて兵器を作っていくような感じ?
まだテスト版なんでゲームとして完成してないんですけど、こいつが中々面白くて。
友人の作るカオスな兵器(艦上爆撃機めいた特攻兵器やデコトラのようなゴテゴテした戦車)を見て楽しんでおりますハイ。
完成版が出たら自分も買いたいなーと思っております。

……そんなんで時間使ってねえで続き書けや! ハイ! スミマセン! だって微妙に詰まってるんだもん!! だもん丸だもん!(誰だよ
わりと個人の特定が容易な書き込みばっかしてるんでリアルでの知人がこのスレ見たらすぐに誰が書いたかバレそうでアレである。
483 :【46/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/24(日) 22:25:00.94 ID:WT3SGm150
飛龍「索敵機が帰還しました! 駆逐ハ級後期型が3隻、駆逐イ級・駆逐ロ級の後期型が2隻、軽空母ヌ級flagship2隻、戦艦タ級flagshipおよび戦艦ル級flagship各1隻、空母ヲ級flagship2隻……」

蒼龍「護衛要塞の存在も確認されています! また、要塞の先に見慣れない大型の深海棲艦が2隻との報告が。警戒して下さい!」

赤城「呉強襲の時もそうでしたが、敵艦隊からこれまでとは比べ物にならないほどの殺意を感じます。
あの要塞の背後にどんな恐ろしい相手が隠れているのかは想像もつきませんが……終わりにしてみせます! 第一次攻撃隊、発艦!」 バシュッ

大鳳「私たちも続きます! 第六○一航空隊、発艦始め!」 次々に艦載機を撃ち出して迫り来る敵機を迎え撃つ赤城たち

加賀「翔鶴、瑞鶴。貴方たちに実戦で物を教えるのは初めてかしら。……これが私の最後の教えになります」

普段の構えを解き、正面の敵艦隊へと大きく前進する加賀。普段の彼女の姿からはまるで想像もつかない無防備なその振る舞いは、ともすれば敵の的となりかねない。瑞鶴が叫ぶ。

瑞鶴「一体何をやっているの!? 単機で敵陣に突っ込んでいくなんて!?」

飛龍「加賀先輩が構えを解いた……“アレ”、をやるつもりみたいですね。
普段はあんなに朴訥で慎重な戦い方をするわりに、攻めに回ると一番苛烈で執拗……味方で良かったと心から思いますよ」

加賀「『守破離』。……型を守ることは大事です。ですが、それを踏まえた上でより既存の型を破り、より自分に合った型を確立させなければ私や赤城のようにはなれません。
……そして、やがてはその型からも離れ自分自身が熟練した技術そのものとなるのです」

加賀「だからこの戦い方は私にしか出来ないでしょうし、真似ようとは思わなくて結構です。私自身、ここぞという大一番以外ではやりませんしね。あまりにも危険すぎるので……」

空から降り注ぐ急降下爆撃の嵐を駆け抜けながら前へ前へと進み次々と弓を引いていく加賀、敵戦艦の射程範囲寸前まで辿り着くと、目を閉じて一呼吸置く。

加賀「今です」 バシュッ……シュォォォォォオオオオオ

加賀が艦載機を放つと、後ろから来る赤城の射出した機体の動きに呼応して螺旋状に回転する。直掩機として動いているようだ。
加賀の艦戦が赤城の機体を守るように廻りながら敵機を蹴散らし、赤城の艦攻がただひたすらに真っ直ぐに突き進んでいく。
艦攻が護衛要塞に接近すると、ありったけの雷撃を撃ち放して要塞を粉々に粉砕する。

加賀「やりました」 後退していく加賀にウインクを送る赤城。目を閉じながら噛み締めるように口角を上げニヤケ笑いを浮かべる加賀

赤城「上々ね。……さぁ、姿を現しなさい! この戦いの決着をつけましょう!」 加賀へ向けた微笑みの表情から一変、キッと鋭く大敵を睨みつける赤城

中間棲姫「…………」 髪をかきあげ、赤城を睨み返す

空母棲姫「ヒノ……カタマリトナッテ……シズンデシマエ……!」 どす黒い海の底から、グロテスクな見た目の航空機を生成していく

二体の“姫”クラスが場に現れると、戦場の空気はそれまで以上に重苦しく、深刻なものに変わっていく。
喉を握りつぶすようなプレッシャーが、体にこびりつくような絶望感が場を支配する。
二体の繰り出す200機を越える敵の艦爆や艦攻が空を埋め尽くす。

赤城「艦上戦闘機の用意をッ! 飛龍さん、蒼龍さんは左をお願いします! 私と加賀さんで正面を叩きます!」

加賀「五航戦、右翼の敵は貴方たちに任せます。やれますね?」 艦戦を矢継早に繰り出しながら二人に話かける

瑞鶴「わっ、私たちだけでぇ!?」

加賀「師匠の無茶振りぐらい応えてみせるのが弟子ってものよ」

翔鶴「……瑞鶴。やりましょう。随伴艦の皆さん、撃ち漏らした敵はお願いします!」 空母の傍に迫り来る敵艦載機を吹雪や秋月といった駆逐艦たちが片っ端から叩き落していく

・・・・

空は未だ艦載機が跋扈している。死を恐れぬ異形の集まりである敵艦でさえ動くことを躊躇っているほどの激しい空戦が繰り広げられている。
戦場を駆け巡る烈日の如き熱風に、秋霜の如き冷たい緊張感。対空装備のない艦娘たちは固唾を呑んで空の様子を見守っている。

瑞鶴「ッにしても……盆と正月が一片に来たみたいな歓迎っぷりね。忙しいったらありゃしない!」

翔鶴「にしては随分生き生きしてるじゃない?」

瑞鶴「そりゃあ最後の晴れ舞台ですもの! 一航戦の先輩には負けないわッ! ……っと翔鶴姉、矢借りるよ」 ひょいと翔鶴の矢筒から矢を奪う

翔鶴「えっ? あぁん、瑞鶴! 持っていかないでって……もう射尽くしたの?」

瑞鶴「『百発の矢で倒せない相手ならば、一千発の矢で射殺すまで』よ! 翔鶴姉は慎重すぎるんだってば! 勿体ぶってても、大破したらそれまでだわッ」

翔鶴「つ、都合の良い時だけ先輩の教えを引き出さないの! 『初心の人、二つの矢を持つことなかれ』……一矢一矢が全てを込めた絶対無二の一撃。無駄にしてはいけないわ」

瑞鶴「うっ……でも、無駄にはしてないわ。大丈夫よ」

瑞鶴「私ね……加賀さんの期待に応えたい。なぜアレを私たちに見せたのかは分からないけど……加賀さんの背中を見て、超えてみせろって言われている気がしたの。
だから私は……私なりのやり方で加賀さんを乗り越えてみせるッ! 今、ここで!」

翔鶴(……瑞鶴。そんな事を考えていたのね)

翔鶴「……分かったわ。好きなだけ持って行きなさい。私は残りの矢でなんとかするわ。ふふっ」 弓を構えながら微笑みかける翔鶴

瑞鶴「? どうしたのさ翔鶴ねえ。今のどこが面白かった?」

翔鶴「瑞鶴らしくて面白いなと思ったのよ。……でも、そうね。私も負けてはいられないわ」 遠く先の敵艦を見据え、真っ直ぐに矢を放つ

翔鶴(加賀先輩や赤城先輩の意志を受け継いで、私たちは前に進む……ッ! その先へ!)
484 :【47/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/24(日) 22:25:51.51 ID:WT3SGm150
飛龍「やれやれ、何とか退けたわね。航空優勢、ってとこかしら」

蒼龍「これだけ空の敵を減らせば、弾着観測射撃も可能なはず。第一水上打撃大隊の方にもそろそろ動いてもらわないとですね」

赤城「砲撃戦に移行しますッ! 我々空母機動部隊は継続して敵艦載機の迎撃と敵艦の撃沈に努めます!」

長門「いよいよか……。首尾通り、私と陸奥で中央のあの巨壁……戦艦ル級を突破する。榛名・霧島隊は左翼、扶桑・山城・ビスマルク隊は右の雑魚を掃討しつつ前進。
大和・武蔵は後方より支援。形勢がこちらに向くまで前進は控えておけ」

武蔵「チッ、まあいい。私たちは圧倒的優勢か圧倒的劣勢でしか動かせんからな。秘密兵器というのも難儀なもんだ」 欠伸をする武蔵

大和「分かりました。大和型の射程であれば、ここからでも最前線の敵なら沈めることが出来ます!」 水上観測機を飛ばす大和

金剛「ワタシ達はどうすれば良いデスカ!?」

長門「好きにしろ。ハナから作戦に組み込まれていなかったイレギュラーな連中のことまで考慮出来るか。我々の邪魔にならないように動いてくれればそれでいい」

金剛「オッケー! 邪魔にならなければ何やっても良いってことですよネ? 行きますッ、Fire!」 敵からの砲撃を物ともせず前進していく金剛

長門「ばっ、バカ者がッ! 隊列を乱すんじゃない! 陸奥、私たちも奴に続くぞ。あんな英国被れに遅れを取ってたまるか!」

・・・・

群がる深海棲艦。苛烈な空襲と砲撃。左翼の榛名・霧島隊は壊走の危機に瀕していた。

榛名「榛名、全力で死守します!」 味方艦隊の殿として敵の的になる榛名

これまで比較的優勢に歩を進めていた榛名・霧島率いる左翼分隊であったが、敵戦艦の攻撃によって蒼龍が大破してしまう。
蒼龍の負傷により、左翼分隊の航空勢力は飛龍一人となってしまう。この痛撃に乗じて空母棲姫が左翼部隊めがけて突撃。
先に進んでしまった中央艦隊の支援は得られそうにないため、後退しつつ大和・武蔵率いる味方本隊との合流を図る榛名たち。

霧島(榛名……。第三艦隊に居た頃は口煩くて私の邪魔ばかりすると常々思っていましたが。
こうして艦隊を率いる立場になってみると、彼女のように劣勢に強い者は頼りになりますね……認めたくはありませんが、今この状況で一番力を発揮出来ているのは彼女でしょう)

霧島(自分に全ての砲火が集中しているというのに微動だにせずひたすら反撃し続けているとは……。とはいえ、長くは持たないでしょう。一刻も早く大和隊の援護を受けなければ……)

先頭を走る霧島。その表情には焦りの色が見られる。

榛名(功を焦りがちな霧島が撤退という選択を決断したのは意外でしたね。蒼龍が大破した段階で撤退を開始していたのは、結果論で考えれば英断と言えるでしょう。
あの空母の“姫”がこちらに接近していたのですから、あのまま前線に残っていたら取り返しのつかない被害を出していたでしょう) ドッゴオオオオン

轟音。嘘? 被弾した。一瞬の思考。その隙を突かれた。直撃したらしい。灼熱が肌を焦がす。血が吹き出る。視界が霞む。

榛名「ッ!」 シュゥゥゥウウ……

霧島「榛名!? 榛名ッ!」 榛名に駆け寄る霧島

榛名「…………。私に構わず、先に進んで……下さい。…………。後から、追いつきます……から。……まだ、やれます」

霧島「航行する力も残っていないくせに強がりは止してください。飛龍さん、艦爆隊の用意を。
加古さん達は負傷した艦を連れて大和隊と合流し、いち早くここに連れてきて下さい。私たちは敵を迎撃します!」

加古「了解!(これだけ追い詰められてるにも関わらずなんちゅー気迫だよ……。全身から殺すオーラが湧き出てるじゃんか……佐世保の艦娘は深海棲艦よりおっかないな)」

飛龍「蒼龍の仇は私が取ります! 徹底的に叩きますッ!」 鉢巻をギュッと結び直す飛龍。艦載機を発射していく

蒼龍(奮起してるのはいいけれど、人を死んだみたいに言わないで欲しいなァ……)

膝を震わせながらも立ち上がり、口元の血を袖で拭い、歯を食いしばる榛名。闘志は枯れていないようだ。

榛名「霧島……。ここで私が盾になった方が都合が良いのでしょう」

霧島「榛名“お姉様”、この際だから言わせてもらいますが。……私は貴方の『皆の為に』とか『誰かの為に』とかそういう自己犠牲精神が気に食わないです。
ほとんど歳が変わらないのに姉ぶって私の前で良いカッコしようという姿勢も嫌いです。私より常に上であろうとするその態度がいけ好かないですね」

霧島「ですが……。私たちの為に命を張ってくれている貴方を見逃せるほど、薄情じゃあありませんよ!
それに……どうも逃げ回ったり人と交渉したりするのは得意じゃないみたいでしてね。やっぱり戦場での殴り合いが性に合ってるみたいです!」

霧島「榛名。貴方だって私に思うことの一つや二つあるでしょう。私だけ不満をぶち撒けたんじゃ不公平ですから、どうぞ」

ダダッ、ダダッと砲を撃ちながら、言い放つ霧島。視線は少しも榛名の方へ向けようとしない。
ハァーと深く溜息をつく榛名。呆れたような顔で口を開く。

榛名「本当に……可愛げのない妹ですね。私の話は何一つ聞き入れようとしないんですから。それに、全然私の気持ちも分かってくれません。不器用すぎますよ……。
でも、私への不満を口にしてくれて、かえって少し気が楽になりました。そうですね、そんな風に思っていたんですね」

榛名「私よりも優秀なのを妬ましく思うことはありますし……どうして私を嫌うんだろうって、ショックを受けたりもしますけど……。
榛名は、霧島のことを嫌いだと思ったことなんて一度もありませんよ。たった一人の可愛い可愛い妹に、不満なんてあるわけないじゃないですか」

霧島の顔を見つめながらも、敵への砲撃は緩めない榛名。
視界がぼやけていても、聴力は普段より冴えているらしい。敵艦が水底に沈んでいく音まで明瞭に聞こえる。

霧島「ッ〜〜〜〜! な、なんですかそれは。私が意地を張っていただけみたいじゃないですか。なんなんですか、もう……。
やっぱり榛名とは波長が合わないみたいですね。調子が狂ってしまいます……」 口振りとは裏腹に、砲の命中精度は百発百中だ。次々と迫り来る敵を物ともしていない
485 :【48/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/24(日) 22:26:32.73 ID:WT3SGm150
遡ること一時間前。

赤城「追い詰めましたよ……! 周辺の随伴艦は全て叩きました。残るは貴方だけです」

中間棲姫「ノコノコト……誘ワレテイタコトニモ気ヅカズ……愚カシイ……」

長門(もう一体の方は我が隊の後方へ向かっているようだな。とはいえこちらの戦力は割けん、仕方あるまい……後方の大和・武蔵に動かさざるを得ないか)

加賀「覚悟は……良いですね?」

中間棲姫「……誘爆シテ……沈ンデイケ……!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

吹雪「敵艦載機接近! 迎撃します!」

熱を帯びる前線とは対照的に、艦隊の後列で若干やる気なさそうに話し合う金剛と比叡。

金剛「右翼の扶桑やビスマルクたちがこっちに向かって来ているみたいデスガ……左翼分隊の進みが悪いようですネ。“姫”サマはあっちに行ったと考えて良さそうデス。Hmm...」

比叡「二人が不安ですか? 確かに、少し荷が重いかもしれませんが……大和型が出るのであればどうにかなりそうな気がしますけど」

金剛「敵の首尾が良すぎだと思いませんカ。あのサイドテールのBossが大和たちより早く戦場に着いていたとしたら……?
ワタシ達は後方へ退いて、榛名や霧島たちの援護に向かいませんか? ここはワタシ達抜きでも突破できるデショウ」

比叡「構いませんが……お姉様が人の心配をするなんて珍しいですね。ま、そうは言っても大切な姉妹ですからね」

・・・・

金剛(ワタシを近くで見てきた比叡でさえ……『お姉様が他人の心配をするなんて珍しい』か……。当然といえば当然デスガ……。
第一艦隊では放っておいても死なないような連中しか居なかったし、気に留める必要が無かった。
いや、仮にその必要があったとしても……味方に危機が迫っていたとしても、私は助けるようなことはしなかったと思う)

金剛(じゃあ、どうして私はこうして榛名や霧島たちのもとへ向かっているんでしょうか? 自分の姉妹だから? いいや違う。
確かに、榛名や霧島のことを姉妹とは思っていますが……今更姉として会わせられる顔も無いでしょう。
自分の地位を脅かされることを恐れて、二人が対立しているのを見て見ぬふりをしていたのは誰? それどころか都合が良いとさえ思っていたのは誰?)

金剛(今更良い子ちゃんぶって何になる? 私は自分の為に、全てを犠牲に出来る人間になったはずだった。はず、だったのに……)

提督との回想が脳裏を駆け巡る。
“私は本気で人の事を嫌いにはなれない”、“誰かに愛されたい、認められたい”、“人と人とは分かり合える”……全て自分の言葉だ。
甘ったるい、弱い言葉だ。反吐が出る、苦々しい。

……けれど、自分の本心だ。あんな風に追い詰められていたからこそ出てきた言葉。自分自身で封じ込めて、見ないふりをしてきた本音。
どれだけ強くなっても、他人を押しのけて一番になっても、誰からも畏れられるようになっても、満たされなかったのは……それが本当の望みじゃなかったから。

金剛(提督……)

『お前を嫌いにならない努力をしてみようかと思っただけだ。人から嫌われるのは嫌なのだろう?』

金剛(……)

行こう、行くんだ。甘ちゃんでも構わない。他人からすれば偽善に見えるかもしれない、欺瞞に映るかもしれない。
いいんだ。それでもいい、それでも私は人を愛していたい。利害の繋がりだけじゃ、私の心は満たされない!

・・・・

比叡「気合ッ! 入れてッ! 行きますッ!」 ドドォン!! ドドォン!!

金剛と比叡の放った攻撃が空母棲姫に直撃する。背後からの攻撃は予期していなかったらしく、思わぬ痛みに苦しんでいるようだ。

空母棲姫「チィッ……アト一歩ノ所デ……。一体、何者ダ……」

金剛「榛名! 霧島! よく持ちこたえまシタ!」 ボロボロでへばっている二人にグッと親指を突き立てる金剛

霧島「金剛、お姉様……どうして……?」

金剛「妹を助けるのに、理由なんて要りますカ? 比叡、大和たちが来る前にカタを着けますヨ?」

比叡「承知しましたッ! 蹴散らしてやります!」 ドゴォォン!

砲のシャワーを軽やかに受け流しながら敵に強烈な一撃を叩き込んでいく二人。

榛名「霧島。休憩はこれくらいにして、私たちも続きましょう。こんな所で終われないでしょう?」

霧島「ッてて……体の節々が痛むんですけど……。本当に榛名はタフですね。ま……そういう所は、私も見習わなければいけませんね!」

即席で組まれた戦闘部隊とは思えないほどの一糸乱れぬ連携を見せる金剛たち。

比叡「こうして四人で戦ってると、昔を思い出しますねー! まだ皆右も左も分からなくて、戦い方もてんでなってなくて……」

榛名「それがここまで来た、というのはなんだか感慨深いものがありますね……。皆、自分なりに積み重ねて来たんだな、って」

金剛「さっさとこの戦いを終わらせて、皆で久しぶりにティータイムするネー! バァァニング・ラァヴ・ファイヤァァァ!!」 ドゴオオオオン
486 :【49/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/24(日) 22:39:58.44 ID:WT3SGm150
龍田「遅かったじゃないですか〜。結構焦ったんですよ?」

提督「すまんな、世話をかけた。それと、影武者の方の演技指導もバッチリだったようだな。褒めておこう(影武者というかただの代理だが)」

提督「ふむふむ。左翼分隊は主力である本隊と合流し、敵主力艦……仮称“空母棲姫”を撃破。中央分隊は右翼分隊と合流し、敵主力艦“中間棲姫”と交戦中。日没までには決着というところか。
右翼分隊の瑞鶴や翔鶴が存外活躍していたようだな、あの一航戦に迫るほどの戦果を上げているとは驚きだ」

龍田「現状の結果だけ見るとどうということも無かったかのように見えますけど……これでもだいぶ危ない展開もあったんですよ。
左翼分隊の空母蒼龍が負傷したところを狙いすましたかのように空母棲姫が奇襲。犠牲が出てもおかしくない状況でした」

皐月「おぉー、司令官。ひょっとしてこれを見越して金剛たちを降ろしたのかな? うまい具合に金剛と比叡がピンチに駆けつけているようだけど」

提督「偶然に決まっているだろう。ブレーキが壊れるだなんて予測できるはずない。ふむ……しかし、金剛に比叡か。なかなか見事な戦況判断だな。
後方に控えている大和隊の到着よりも先に空母棲姫が左翼分隊に攻撃を仕掛けているだろうと考えたのだろうな。だから目の前の中間棲姫を無視してUターンし、榛名・霧島らの救援に向かったと。
(しかし、仮に敵がボス級の戦力を中央以外に割くのであれば、戦力的に手薄である右翼分隊を狙うと思っていたが……。
純粋な戦力配分だけで判断せず士気や戦況の変動まで加味して動かしたのだとしたら……)暗号の漏洩も敵の配置の無駄のなさも、奴が居るとしたらありえなくはない展開だ」

提督「……急ぎ前線に通達してくれ。負傷した艦は鎮守府に帰投、健在な艦は夜が明けるまでは決してMI最深部から動くな。最大級の警戒を以って索敵を行え。絶対に油断するな」

・・・・

中間棲姫「トラエテ……イルワ……!」 総攻撃を受けながらもプレッシャーを放ち続ける中間棲姫

赤城(敵に余裕が無くなってきたわ。頃合ね)

赤城や長門らに加え、後から合流した金剛や大和たちの総攻撃を一身に受けているため防戦一方の中間棲姫。その隙を響は見逃さなかった。

響「灯台下暗し……というわけだな。随分しぶとかったようだが……прощаться。永遠に、さようならだ!」

もう日が沈みつつあるとはいえ、まだ陽光は照っている。そんな状況で敵艦に肉薄すれば反撃を被るのは必定。
しかし、圧倒的な攻撃力と対峙した中間棲姫は前方の猛攻を凌ぐことだけに意識が集中してしまった。脇腹に滑り込むように接近していた響に気づかなかった。

中間棲姫「ソンナ……ワタシガ、オチルト……いうの……?」 ドゴォォン!ドンドンドンドン! シュゴォォオオ……

響の容赦ない雷撃により、戦いの幕は閉じた。しかし、終わったという感慨に浸る間もなく、空が表情を変えていく。太陽は一瞬にして沈み、月が天頂を照らす。

雪風「!? 司令から伝令ですッ! 『空母及び負傷した艦は全速力で鎮守府に戻れ。健在の艦は決してその場を動くな。索敵を緩めるな。絶対に油断するな』だそうです!!」

響「なんだと……? どうなっている。まだ敵が居るとでも? 電探には何も引っかからないが……」

・・・・

川内「へっへーん! こういう時のための夜偵だよねー! やっぱ夜戦がないと面白くないからねぇ!」

吹雪「川内さん、どうですか? 敵艦らしきものは発見出来ましたか?」

川内「おっ、見つけた見つけた! 空母が一隻だけ居るみたいね♪ でも、なんだって空母……? 夜なら艦載機飛ばせないんじゃない? ひょっとして楽勝?」

吹雪「佐世保の提督が絶対に油断するなと念押しぐらいですから、警戒に警戒を重ねて挑むべきでしょう。それに、突然日が沈んで夜になってしまうなんて、何が起こっているのか……」

雪風(『空母ヲ級Nightmare』司令のお兄さんから聞いた話ですが……悪夢の名を冠するその深海棲艦は、高い知能を持ち、他の艦とは一線を画する力を持つという……。
夜を統べるその力は、闇の中でも敵を捕捉し確実に追い詰める……!)

雪風「敵がこちらの索敵機に気づいていないということは、一歩先手を取ったということ。大淀さん、司令と通信を繋いでもらえますか? あっ、ありがとうございます。
司令、“ナイトメア”ですよね? ……敵のおおよその位置を掴みました。まだこちらには気づいていないようです!」

提督「ガガピー……ガガ……。なぜお前がその名を知っているかについて聞いている時間は無さそうだな。……とにかく、知っているようなら話は早い。
敵にこの通信を傍受されるといけないから手短に伝えるぞ。奴は夜間でも艦載機を好き放題放てるとんでもない空母だ。見つかったら終わり……だが、偵察機がお前たちを捉えるのは時間の問題だ。
奴の位置が掴めているならば……そして奴に見つかっていないのであれば……一撃に全てを賭けろ。全艦のありったけの砲をぶつけろ、今すぐにだ!」

金剛「テートクのご命令とあらば! やるっきゃありませんネー!!」

大和「話がまるで掴めませんが……行きましょう! 全主砲、撃てぇッ!」

遠方から爆撃音。燃え盛る炎は、いかに威力が絶大だったかを物語る。しかし……。
体中に炎を浴びながらも、ゆらゆらと立ち上がる影。その右目に宿る蒼い炎は、砲によるものではなく燃え盛る憎しみの炎なのだろう。
それまで空を旋回させていた艦載機の全て……中間棲姫や空母棲姫のそれを上回る数の艦載機をこちらに向けてくる。さらに……。

陸奥「そんな!? 倒したはずじゃ……?」

深く暗い水底から浮かび上がってくる中間棲姫に空母棲姫。呉を襲った二体の戦艦棲姫まで現れる。

雪風「ダメでしたか! っ! 私が囮になります!! アイツを倒せば全てが終わりますから!」 近くに居た川内から探照灯と照明弾を奪い取り、真っ直ぐにヲ級への道を切り拓いていく雪風

川内「返せー! ってか、そんなことしたら敵の的になっちゃうっての!」

雪風「大丈夫です! 私が……あの空母までの道を照らす光となりますッ!!」

雪風がかつて“死神”と呼ばれていたのは、どんな無謀と思えるような作戦でも生き残ってきた浮沈艦であること。そして、もう一つ。
スイッチが入ると誰にも止められないほど猛威を奮うことである。そしてその真価は夜戦で発揮される。
空から、前後から、左右から来る砲撃と雷撃の嵐でさえスローモーションに感じられてしまうほど、雪風の感覚は冴え渡っていた。敵の攻撃を華麗に受け流しつつ魚雷を見舞いする。

川内「ヒューッ……やるじゃん。夜戦装備取られたのはムカつくけど……あの動き、水雷魂感じちゃうなぁ……! よっし! 私たちも行くよ。やってやろうじゃんか!」
487 :【50/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/24(日) 22:41:23.60 ID:WT3SGm150
長門「何がなんだかまるで分からんが……。川内! 吹雪! お前たちはあのヲ級を仕留めろ! このデカブツどもは、私たちが食い止める!

陸奥「戦艦のありったけの砲を食らったんだもの、持ち応えてこそいるけれど、かなりダメージを負っているはずよ。回復する前に早く!」

金剛「Wow! まさにBoss on paradeデース! ここまでえげつないとかえって燃えますネ……!」 手のひらに拳を打ちつけ、放火を背に立つ金剛

比叡「お姉様! 地獄の果てまでお供しますともーッ!」 巨大な化物相手に次々と砲をお見舞いする比叡

空母棲姫の攻撃を寸でのところで回避し、反撃を食らわせる武蔵。

武蔵「おおっと危ない! さっき振りじゃないか! ほとんど金剛型の連中に削られていた状態でまるで歯ごたえが無かったが……今度は楽しませてくれよ?」

大和「フフッ……ようやく本気が出せそうね! 大和型の力、その身で受け止めてみなさいッ!」

響「チッ……さっき永遠の別れっつったろうに……。アイツ、根に持ってるのかやたらこっちを狙ってくるな。
雪風。すまないが、私は戦艦連中と混ざって戦うことにするよ。君を守ろうと思っていたが……これじゃあ帰って狙い撃ちされてしまう」

響「大ボスはあそこのアホ共とあっちのアホ共に譲ってやるとする。いいかい雪風、勝手に沈んだら承知しないよ? 数少ない私の友人なんだからな。それじゃ」

アホ共……横から追ってきている川内たちと足柄たちを指差すと、響はぐるりと身を翻し巨大な化物を一瞥。降り注ぐ爆撃の雨をものともせず進んでいく。

雪風「響、司令……。雪風、必ず生き残ります!」 どんどん前へ前へ、“悪夢”へと突き進んでいく雪風

朝霜「なんかよく分かんねーけど、アッツイ展開じゃねーか! やってやんよォ!」 魚雷を好き放題打ち放す

雪風を追って猛烈な速度で疾走するのは、かつて“ヴェアヴォルフ”と呼ばれていた者たち。

大淀「ッ! 敵が多すぎて前に進むのも一苦労ですね!」 と言いながらも拳で敵駆逐艦をぶちのめしながら強引に突破していく大淀

清霜「こりゃいいわ! どこに撃っても敵に当たるわね。これだけ敵を倒してたら、どんどん強くなって、戦艦になれちゃうかも!?」

霞「なれないわよアホ。いい加減ッ!(ガスッ)現実をッ!(ボカッ)見なさいッての(ドシュッ)」

朝霜「倒すか喋るかどっちかにしろって、のォ!」 敵を避けつつ航行するのも面倒になったのか、八艘飛びで敵艦から敵艦へと飛び乗って前へ進んでいく

足柄「おっ! アンタ賢いわね! そのアイデアもらいっ!」

海上を大きく跳躍し着地ならぬ着艦を試みるも、踏み台にされた敵艦は哀れにも爆発四散してしまう! 爆風に吹き飛ばされ、大きく弧を描きながら遥か上空を舞う足柄(中破)。これには大淀も苦笑い。

清霜「ダイエットしたら?」 ぴょんぴょんと跳ね回りながら空中の足柄に話しかける。

足柄「うっ、うるさいわねッ! クッソ〜〜〜〜腹立つわ!」 吹き飛ばされながらも横向きに砲を撃ち、八つ当たりのように空中の艦載機を蹴散らしていく

足柄(とっ……ギリギリ届くか? うん、やれるわね!)

雪風の放つ明かりをもとに、空から海上を見下ろしながら着地点を計算する足柄。
吹雪や夕立、川内らの活躍により雪風の周囲の敵は打ち倒され、残るは“悪夢”のみだ。

足柄「敵“艦”直上、急降下ってね! これで終わりよッ!」

海を砕かんばかりの衝撃。破壊的威力のラムアタックがヲ級に襲い掛かる。ついに機能を停止し、前のめりに倒れ海に呑まれていくヲ級。

・・・・

ヲ級Nightmareが倒れると、再び夕焼け空の景色が戻り、復活していた深海棲艦も全て幻影だったかのように姿を消してしまった。
執務室に戻り、意気揚々と戦果を報告しに来た足柄。

提督「……負けることはないだろうと思っていたが、全く犠牲を出さずに奴を倒せたのは幸運だったな」

足柄「重巡足柄に不可能は無いのよ」

提督「お前一人の力でどうにかなったわけではないが……ま、認めざるを得まい。とはいえ、“悪夢”などと大層な名前を冠した古の怨念が、こんな形でやられてしまうとは浮かばれんな……」

足柄「敵に同情してどうするのよ。やられ方に意味なんてないわ。英雄だろうと勇者だろうと、やられる時はあっけないもんだわ」

提督「そうかもしれんな。……と、どうしてお前はここに来た? 戦果の報告なら明日で構わんと言ったし、外で戦勝会という名分の宴会が行われてるだろう? お前は行かないのか?」

足柄「提督こそ、顔を出さないんですか? 今回の作戦の主役でしょうに? 作戦を完全勝利に導いた伝説の提督! ってね」

提督「主役と言われても、俺はただ座って指示を出していただけだ。
それに、Nightmareクラスが潜伏していたことまでは予想し切れていなかったからな。最終的に運良く大団円になっただけで、完璧とは言い難いさ」

提督「ま、そういう事に関係なく、気が乗らんな」

「……もうじきこの鎮守府も離れるしな」と言いかけて言葉に詰まる提督。足柄が目の前に酒瓶をドンと置いてきたからだ。

足柄「ふっふっふっ〜。残念だけど、私、狙った獲物は逃がさない主義なのよ? 知らなかった?」 強引に提督の口元まで枡を運ぶ足柄

提督「ぐ。むむむ……これは世に言うアルコールハラスメントではないか」

足柄「この鎮守府ではそんな言葉存在しないのよ。ほら、じゃんじゃん飲みなさいって。ベロベロに酔っ払わせて皆の前に引きずり出してやるんだから」

提督(クソッ、なんてブラック鎮守府だ……)
488 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/05/24(日) 22:51:15.65 ID:WT3SGm150
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獲得経験値(~50/100)
・金剛の経験値+4(現在値15)
・翔鶴の経験値+2(現在値14)
・足柄の経験値+2(現在値20)
・雪風の経験値+2(現在値8)

・皐月の現在経験値:7
・響の現在経験値:10
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いやー押し切りましたね。
相変わらずマッシヴすぎて人を選びまくりな感じとりあえずここで一区切り……もう完結でいいんじゃないかこれ(えぇ
さてさて次回からなんか新要素っぽいのを加えてこうかなと思うのですが、わりとパワーを使い果たした感じがあるのでその話はまた後日。
ひとまずPhase Aのアレだけ書いておきますんで例によっていつも通りな感じですハイ。

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『Phase A』【51-55/100】
レス安価で登場する艦娘を決定します。
登場させたい艦娘の名前を1人分記名して下さい。
(雪風・翔鶴・金剛・響・足柄・皐月の中から一人)
>>+1-5

よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらいで流し読みするか>>351付近を参照下さい
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489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 05:21:46.81 ID:bZWNtbBOo
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 20:55:07.16 ID:j9owcFwYo
足柄
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 22:11:05.46 ID:y3WsvUZR0
雪風
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 22:11:38.04 ID:y3WsvUZR0
雪風
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 22:14:44.84 ID:jD3M6CS4O
足柄 なぜカツにこだわるかの話
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/26(火) 05:21:49.51 ID:JS8gGpRPo
連投なしだっけ
皐月で
495 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/05/26(火) 22:52:35.61 ID:TvgA6hAG0
えと、そうですね。最初の方に書いておきましたが、同一IDからの連投はなしの方向でよろしくお願いします。
裏を返せばIDさえ変わればOKということなので、日付が変わったらまぁうんっていう感じです。そこいら辺は戦略ですかね(謎

>>489-494より
・響1レス/足柄2レス/雪風1レス/皐月1レス
で『Phase A』が進行していきます。

と、ここでニューフェイス向けにあれこれ情報をまとめておきます。
居るのか分かりませんが途中から追っかけ始めた人向けに。
前に言ってた追加要素とやらは次のレスで説明します。



【バックナンバー】
>>360->>364:01-05話
>>374->>378:06-10話
>>388->>392:11-15話
>>401->>405:16-20話
>>414->>418:21-25話
>>429->>433:26-30話
>>442->>446:31-35話
>>456->>460:36-40話
>>470->>474:41-45話
>>483->>487:46-50話(今ここまで)

実はもう既に一回100まで到達してまして、現在は第二部って感じですね。第一部は>>16からです。
今現在やっている第二部の前身だけあってそれっぽい血は流れてますが、内容も独立してますし基本的に全く別物です。
えと、作者的には今読み返すと所々変な汗が出てくる感じでアレなんすけど……興味と時間がある方はよろしければどうぞ。



【このスレって何】
・安価形式で進む艦これSSです。
ヒロイン候補っぽいキャラが6人いて、最終的に提督と誰がくっつくかを見守るスレ……という想定でしたが、最近はよくわかんないです(え

・5レスごとに進行し、100レスまで行ったらおしまいです。
『Phase A』(安価で登場するキャラを決める)と『Phase B』(コンマで登場するキャラを決める)を交互に繰り返します。
地味に他にも色々あったりしますが今のところ微妙に全部死に設定と化してるのであんま気にしなくていいです。

・安価やコンマで登場することが決定したキャラをメインのお話が1レスずつ投稿されていきます。
登場した各キャラは『経験値』という名前のポイントがちょっとずつ溜まっていきます。最終的にこのポイントが高いキャラとエンディングを迎えます。

詳しく書くともっと色々めんどくさいのですが、雰囲気を掴むにはこのぐらいの説明でも大丈夫……かな?
自分のように3行以上の文章読むと読む気が失せるタイプ向けのざっくりした概要なんで、
詳しく知りたい方は>>336->>339,>>349->>351あたりも併せて読むと理解が深まるかと(面倒なのでオススメしません)。
496 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/05/26(火) 22:55:36.26 ID:TvgA6hAG0
これまでの要素に加え二つ仕様を追加(一つは変更?)させていただきます。

■「書いた内容が実現する」系の発動制約を無効化
なんのこっちゃという人の為に説明。

“各レスにシチュエーションや起こる出来事を書いておくと
・Phase Aならエクストライベントが発生した場合
・Phase BならIDに3つ以上数字が入っていた場合
書いたレスの内容が概ね実現します”(過去のレスより抜粋)

安価時にシチュエーションやら起こる出来事やらを書いておくと実現しますってのがあったんですよ。
上記のような特定条件下で実現するというものなのでしたが、ややこしいので取っ払います。
次回からは『書いた内容は無条件に実現します』。デウス・エクス・マキナも認めよう。
このスレの皆さんはもうこのお話の世界に干渉する力を持った特殊能力者になりました。力を得てしまったのだ……!(何

一応全てを受け入れる覚悟は決めましたが、ヤバそうなのが来たり展開的に難しそうだったらそこは解釈の力でなんとか逃げます。
なんで、思い通りにならなくてもそれはそれということでご容赦くだされ。
ま、任意なんで書いても書かなくても〜、って感じです。

■『Phase C』の導入
あまりにもエクストライベントが発生してくれないので業を煮やして生まれました。
エクストライベント同様、エンディングまでの100レスのうちにカウントされません(経験値は加算されます)。
『Phase C』は『Phase A』終了時および『Phase B』終了時に発生します。
ただし発生には条件があり、『Phase A』・『Phase B』決定時についたコンマ値の合計値が素数だった場合にのみ発生します。

『Phase C』では経験値が1レスにつき+2上昇します。
登場するキャラは、経験値が全体平均から低いキャラが優先的に選出されます。
新たに上昇する値も加味しつつ平均値にならす方向に作用します。
たとえば現時点では
足柄の経験値:20
金剛の経験値:15
翔鶴の経験値:14
響の経験値:10
雪風の経験値:8
皐月の経験値:7
なので、
皐月2レス(上昇値+4/累計経験値11)・雪風2レス(上昇値+4/累計経験値12)・響1レス(上昇値+2/累計経験値12)というように決定されます。
経験値の低いキャラでも上位のキャラと圧倒的大差をつけられにくくすることを意識した調整となっております。

発生率がそんなに高くないのでエクストライベント同様ほとんど発動しないかもしれませんが、そん時はそん時ですね。仕方ない。
逆に頻発する可能性もありますし。各フェーズ終了ごとに『Phase C』の発生判定が起きるんで、
『Phase A』→『Phase C』→『Phase B』→『Phase C』とPhase Cに邪魔されまくって全然レス数が進まないということもありえます。
とりあえず今回の『Phase A』では発生しなかったので、次回以降に期待ですかね。



////チリングハッシュ(いつものチラシの裏)////
ヲ級Nightmareは完全なオリキャラではなくちゃんと元ネタがあったりします。
hoge級eliteとかfuga級flagshipってのの他に、piyo級Nightmareっていうのがあるらしいんですよ。
没(?)設定みたいですけどね。今んところ内部データにも無いんじゃないかしら。
なんで、イメージ的にはその設定とアニメに登場した隻眼ヲ級の間の子みたいな感じです。

設定って言っても、名前しか知らないんですけどね……。
というか、『Nightmare』に関する情報は、内部の人間じゃないと知らないんじゃないでしょうか。
なんかの情報誌(?)にチラッとその名前が出てたぐらいだったはずなんで。

……こうやって二次創作でネタにしてたらその内実装されそうで怖いですね。
497 :【51/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 09:51:39.90 ID:tngg5+Sn0
提督「むぐ……酷い頭痛だ。人生最悪の目覚めかもしれん……足柄め許さんぞ」

提督(にしても……制服のまま寝ているとは。昨夜足柄に強引に酒を飲まされてから先の記憶が残っていないが……相当泥酔していたようだな)

提督(見慣れない天井。おそらく途中で意識を失ったところを誰かに介抱されたのだろう、情けない話だな。ん?)

胸ポケットに見に覚えのない封筒が入っていることに気づくと、封を切り中に入っていた書類に目を通していると、響が声をかける。

響「お遅いお目覚めだね、司令官」

響の声に気づくと、書類を胸ポケットに再びしまいこむ提督。

提督「ヴェールヌイか。……昨日、酔った俺は何か余計なことを話さなかったか? あるいは、何か俺から聞き出そうとしていた者は居なかったか?」

響「いいや、普段通りだったよ。早々に寝てしまったけれど」

提督「……そうか。わざわざベッドを貸してくれたことには礼を言うが、別に床でも構わなかったのだが」

響「何、今回の戦いの最大の功労者に対してそんな無碍な扱いは出来ないさ。それに私も一緒にベッドで寝たから問題ない」

提督(シングルベッドに二人で寝たのか? 狭かろうに……)

提督「昨夜も言ったが、俺はお膳立てしただけだ。それだって完璧には程遠いものだったしな。どうしてお前たちはそこまで俺を持ち上げるのか理解に苦しむな」

響(一緒にベッドで寝たことに関してはスルーか。予想はしていたが、手強いな)

響「私たち艦娘だけじゃないさ。この国も、ひいてはこの世界さえも君を認めざるを得ない。それだけの偉業を、君はやってのけた。当然のように成し遂げてみせた。素晴らしい功績だ」

手を大きく広げながら自分の意見を述べる響。ベッドの上の提督に少しずつ近づいていく。

響「この戦いでの大戦果は、長きに渡る深海棲艦との戦争の事実上の終結だ。数年も経たないうちに全ての深海棲艦は滅ぶだろう」

自分への呼称が普段の『司令官』から『君』に変わっていることに気づく提督。響にしては珍しく熱の籠った口調に気圧され気味の様子。

響「君は英雄だ。君の存在はこの世界を変える……君の活躍を隣で見ていたい。いつまでも、君の傍に居たい」

提督を真剣な眼差しで見つめる響。澄んだ水色の虹彩に、輝く漆黒の瞳。その瞳に吸い込まれるかのような錯覚を覚え瞬刻たじろぐ提督。ベッドから降りて数歩進み、彼女から背を向ける。

提督「ヴェールヌイ、お前は何か勘違いしている。俺は英雄などではない」

響「それは君一人がそう思っているだけさ。今に誰もが君を讃え敬うだろう、君には王の資格がある。導く力がある」

提督「違うなヴェールヌイ、それは全てお前の妄想だ。俺は……ただの異端者だ」

そう言い捨てて部屋を去る提督。

・・・・

提督が辞職する旨、および大本営の方針に従い軍縮に取り組む旨を全艦娘の前で伝えたのは、それから数時間後の出来事だった。
MI作戦開戦前の熱弁とは異なり、普段通りの淡白な口調で粛々と己の意向を伝える提督。十数分話して、それからそのまま執務室へ戻っていく。何事も無かったかのように。

大戦での勝利の余韻さえも奪い去る提督の唐突な言動に、大講堂は震撼に包まれた。
深海棲艦との大局は決した。大本営が軍縮の動きを推し進めたとしても不思議な話ではない。
だが、あまりにも急すぎる。この国の制海権と制空権を取り戻しただけで、世界にはまだ深海棲艦が残存している。
新たな深海棲艦が出現することが無くなったとはいえ、昨日の今日で突然平和が訪れるわけではない。

足柄(最も気がかりなのは……『艦娘を辞めても、艦娘であった頃の記憶を失うことはない』ということ。直接提督に聞いてみるのが早いかしらね)

・・・・

足柄(先客がいるみたいね。少し盗み聞きさせてもらおうかしら)

響「司令官、一体どういうことかな」

提督「先刻告げた通りだが」

響「……それは、君の意志か」

提督「確認するまでもないだろう」

響「いいや、その必要がある。……すまないが、その書類、君が寝ている間に読ませてもらった。封筒だけ取り替えておいたけれど」 提督の胸ポケットを指差す響

提督「読んだのか。ならば話は早い、そういうことだ。俺もまたそれに従うというだけのこと」

響「わざわざ鍵のかかった私の部屋まで侵入してまで君にその書類を寄越すぐらいだ。脅されているんだろう? 『艦隊指揮から身を引け』と」

提督「脅されているわけではない。大本営の連中と利害が一致しているだけだ。俺も提督であることに拘りはないしな」

響「ま……いいさ。そういうことなら、それでもいい。貴方がこの舞台から降りる気でいるならば……私がその気にさせてあげるよ、司令官」

響「私が……貴方を連れ戻してみせる。必ず」

『君』、『貴方』、『司令官』。彼女がどういう理屈で自分への呼称を使い分けているのか、提督には分からなかった。ひょっとすると響自身にも分かっていないのかもしれない。
ただ、後に波乱が起こるのは確かなのだろう、と提督は予感していた。
498 :【52/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 09:54:26.23 ID:tngg5+Sn0
足柄「見てたわよ。……随分と提督にご執心みたいじゃない、あの子」

提督「お前は何の用でここに来た?」 機嫌の悪そうな提督

足柄「提督とお話に。でも、ここじゃ雰囲気が出ないし……お昼ご飯でも一緒にどうかしら?」

・・・・

鎮守府内の定食屋(『れつや』という名前らしい)に連れられる提督。足柄曰く昼時は混雑するため、待たずにテーブル席に座れるのは珍しいことらしい。

提督「雰囲気を気にするならこういうガヤガヤした大衆食堂よりも、空いている店の方が良いと思うのだが」

鉄仮面を被っている自分は目立つのではないかと思って周囲を見渡すと、店内に二、三人自分と似た仮面を被っている。
それだけではない。何某かの仮面を被っている者が店内に四、五人はいる。

提督「なんだこの店は。悪魔的儀式でも行っているのか」

足柄「ああ。提督は知らないでしょうけど、MI作戦が始まるちょっと前あたりからうちの鎮守府で流行ってるのよ。戦勝祈願? とかなんとか言って。
私も初めて見た時は面食らったけど、今じゃわりとよく見る光景ね」

提督「ゾッとするな……正気の沙汰とは思えん。心底気持ち悪い」

足柄「自分に憧れてる人たちをそんな風に言うもんじゃないわよ? 風貌を真似るぐらい尊敬しているってことなんですから。
今じゃストラップやタオルまで発売されてるし、今度提督の言行録をまとめた本なんかも出るそうよ」

提督「(俺の許可など一切なくよくもまあ好き勝手に……)最悪だな。退役を早めに表明しておいて助かった、こんな所に居られるか」

足柄「……私が気になるのは。なぜこの鎮守府を解体するのかってこと。提督がお辞めになる理由は、例の目的とか、大本営との何某かの関係性とか、色々あるんでしょうけど。
だからって何もこの佐世保鎮守府を解体して、艦娘も方々へ解散させるというのはよく分からないわ」

提督(例の目的……あぁそうか。こいつと雪風は知っているんだったな)

足柄「さすがに仮面を被ってそこら中をうろつくのは理解出来ないけど、皆それだけ貴方やこの鎮守府に思い入れがあるってことだと思うの。
最初に貴方がここに来た時と比べたら、今の佐世保はすごく居心地が良いわ。他の皆もそう思ってるんじゃないかしら、一体感がある……っていうのかしらね」

提督「最初、か。確かに……ま、お前にそう言わしめるぐらいの働きが出来たのであれば、成功だったのかもしれんな」 出会った頃の足柄とのやり取りを思い出し、クスクスと笑う

提督「だが、なればこそだ。この鎮守府は力を持ちすぎたのだろう。大本営から恐れられるぐらいにな。
艦娘を用いた人類と深海棲艦の戦いが終われば、次に始まるのは艦娘を用いた人類同士の争いになるだろうからな」

提督「この鎮守府で立て続けに三人も提督が死んでいるのは、どうにも水面下でのそういう小競り合いがあったかららしいな。
他鎮守府と共謀して上の支配から逃れようとした者が始末され、次に来た大本営の刺客は逆に他の鎮守府の者の手によって殺され……そういう血生臭い争いがあったようだ」

提督「俺はいわば派遣社員のようなもの。大本営に下がれと言われたら身を引くしかないだろう。俺にとっても都合が良いわけだしな、これでようやく本懐に専念できるというわけだ」

足柄「なるほどね……。誰にも縛られていないように見えていたけど、ガッチリと雁字搦めにされていたというわけなのね」

提督「そうでもないさ。わりと見えないところでは好き勝手やらせてもらったからな。それに……これからは完全に自由だ、俺の好きにやらせてもらう」

足柄「貴方にとっては深海棲艦との決着でさえ本当に通過点だったのね。なんというか……それでこそ、というべきかしらね」

・・・・

目の前に置かれたカツ定食。カツをワイルドに貪り食う足柄。

提督「随分と豪快な食いっぷりだな……。本当にカツが好きなんだな」

足柄「ええ。自分で作ったやつも好きだけど、ここのカツはまた違った味わいがして好きなのよ!
この店の雰囲気も好きね! 食べることが好きな人が集まっていると自分もつられて食べたくなるっていうの? テンション上がっちゃうわよねー」

足柄「なんていうの? 自分の気持ちを昂ぶらせてくれるものが好きなのよ。
自分の感情を剥き出しにするのは大人げないけれど、真剣になった時のあの感覚、熱狂している時のあの衝動こそがこの私を突き動かす原動力なのよ!」

提督「その、自分の感情を高揚させてくれるものの中にカツも含まれるのか」

足柄「ええもちろん。そりゃあテンションアガるでしょうよ?」

提督「ふぅーむ。そうか」 あまり興味なさそうに自分の筑前煮定食を食べ進める

足柄「あら、反応薄いわね……大淀や清霜なら同意してくれるのだけど」

提督「俺もカツは嫌いではないが同意するほどではないな……。が、我を忘れるほど夢中になっている時の感覚というのは心地いいものだよな。
お前たちといたこの数ヶ月間は、俺にとって中々悪いものではなかった。狂奔の中にこそ生の実感があるのかもしれないな」

ニヤリとニヒルな笑みを浮かべる提督に対して、ガタンと席を立ち上がって激しく頷く足柄。

足柄「そうそれよ! それ! やっぱりそうよね。私たち、案外気が合うのかもしれないわねっ!」

・・・・

提督と思わぬところで意気投合(?)して、満足げに定食屋を後にする足柄。

足柄(しまった、興奮し過ぎて肝心の『艦娘を辞めても、艦娘であった頃の記憶を失うことはない』ってのがどういうことなのかを聞き忘れてたわ。
でも……提督が辞めるというのなら、あの背筋がゾクゾクする感覚が味わえないというのであれば。いっそ艦娘をやめてしまうのもありかもしれないわね)
499 :【53/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 09:56:08.09 ID:tngg5+Sn0
提督の退役発表から数日後。他鎮守府の提督、大本営の将官、政治家、官僚、近隣国の権力者、報道関係者……佐世保鎮守府には多くの人間が出入りするようになった。
多くは提督らの活躍の表彰・評価に訪れていたが、中には提督に取り入ろうとする者や、自らの傘下に引き入れようとする者も居た。
提督はそれらの訪問者全てに対して平等に軽くあしらい、ほとんど相手にしなかった。
しかし“相手にしない”というアクションを起こすためにも行動は必要であり、この時の提督は『ぞんざいな対応をするための対応』に追われるという奇妙な状況の中に居た。

廊下を歩いていた提督の前からやってくるみかん箱を抱えた皐月だった。

皐月「あっ司令官。お疲れ様。今日の面会は終わったの?」

提督「あぁ、全くどいつもこいつも暇な連中だ。……その箱は荷造りか?」

皐月「うん。しばらくしたら鎮守府を離れなきゃだからねー、今から準備してるんだ」

・・・・

大本営からの軍縮勧告。それは全ての艦娘を呉鎮守府と横須賀鎮守府にて管理し、(佐世保や舞鶴も含めた)全ての施設および組織を解体するというものだった。
また、艦娘に対しても政府と協力し退役後の就労支援施策を行い手厚く補助すると約束。元艦娘の社会進出を促した。

元艦娘がなぜ記憶を持ったまま人間社会に溶け込むようになったのか。足柄が数日前に抱いていた疑問は、昨日提督が行った全体向けの通達によって氷解した。
一言で言い表すならば、『そうせざるを得ないから』という理由が正しい。

艦娘の艤装を解体すると燃料や弾薬・鋼材が得られる。艦娘の艤装が解体されれば、それまでの記憶を失った少女が残される。
解体によって得られる僅かな資材と、一切の記憶を失った少女を教育するための費用。天秤がどちらに傾くかは明白である。
ようやく復興が始まったとはいえ、軍事一辺倒だったこの国に人口の十数パーセントを占める少女たちを養う術などあるはずがない。

そこで大本営は、艦娘であった頃の記憶が無くなっても社会に完全に適応できるようになる時期まで待ち、段階的に解体していくことを決定した。
意外にも艦娘の反発は少なかった。艦娘とはそういうもの、兵器とはそういうもの。平和になれば無用の長物となる。必要とされなくなる日がいつか来る……そう教えられてきたからである。
むしろ今まで憧れていた人間社会を体験できると歓迎する者さえ少なくはなかったようだ。

・・・・

皐月「まさか生きてる間に戦いが終わるなんて思ってもいなかったからなぁ。荷造りは進んでるけど、これから何をしようかで迷ってるよ」

艦娘をやめて社会に溶け込むにせよ、他の鎮守府に移るにせよ、いずれここは離れなければならない。
立退きの期日はまだ数ヶ月ほど先ではあるが、自主的な退居を推奨していたためか既に準備を始めている艦娘も少なくはなかった。

提督「何か希望はないのか? 内容によっては取り計らうぞ」

皐月「あー……どんな職に就きたいかってのは決まってないけど、軍に残る気はないかな。呉や横須賀に行ったらまた訓練生時代と大差ない扱いになるだろうしねー。
あっ、そうだ。前から学校に行ってみたいと思ってたんだけど……ダメ?」

提督「ふむ、確かに軍の中に居てはアカデミックな学問や専門性の高い分野は学べんからな」

皐月「いやぁ、大学とかそういうのじゃなくて。ボクも青春というものを味わってみたいんだよ」

提督「なるほど(よくわからん)。……しかし、お前たち艦娘は見た目が人間の中高生と変わらないというだけで中身も脳の発達具合も成人のそれと変わらんだろう。
解体されたら記憶は失せるとはいえ、学習で得た知識や頭脳そのものを失うわけじゃない。艦娘の記憶が無くなったら“ただ分かりきったことを教えられた”という記憶になるぞ」

皐月「そうなんだよねぇ。でもさ、人間って結構見た目に引きずられるもんだと思うんだよね。
そりゃボクだって、足柄さんみたいなプロポーションだったら学校に行きたいだなんて思わなかっただろうさ」

皐月「でも、せっかくこういう見た目でいられるんならちょっと興味があるなーってさ。
普通に勉強して、普通に友達と喋って、普通に恋をして……。兵器として生まれたからこそ、そういう人間としての“普通”を知りたいんだよねー」

提督「そうか……学校か。ま、不可能ではないな。お前や文月には命を救われた礼もあるしな、どうにかしよう」

皐月「本当!? おぉ、言ってみるもんだな。ありがとう、司令官!」

提督(確かに……人は案外見た目につられるものかもしれんな) 無邪気にはしゃぐ皐月を見て、提督は思った

・・・・

「学校に行けるかもしれない」と意気揚々と報告する皐月に対し、歓迎しながらも不安を述べる文月。

皐月「ンー。艦娘って言っても元でしょ? 武器持ってうろついてるわけじゃないんだからさ。
鎮守府の外の人間なんて、艦娘が具体的に何をやってるか分からないんだしさ。国を守ってる正義の味方程度の認識か無いでしょ」

文月「だから怖いって話だよー。変な偏見を持たれて排斥されちゃわないかなって……」

皐月「深海棲艦との戦いが終わったって言っても、まだまだこの国には余裕がない。少なくとも、復興して十分な力を蓄えるようになるまではそんな風にはならないはずだよ」

皐月「まだまだ艦娘という存在は必要さ。深海棲艦によって破壊された臨海都市や港の復旧。漁業の基盤を敷くための整備。近海をうろつく海賊の取り締まり。
制海権と制空権が深海棲艦に取られたまま何十年も経ってしまったから、飛行機や船の技術だって私たちが伝承していかなきゃロストテクノロジーのままだよ多分。
労働力や技術力の都合上、艦娘や元艦娘を無碍に扱ったりなんて出来るはずないってことさ。あ、それと、外国にはまだ深海棲艦がいるわけだしね」

文月「言われてみるとそうかも……。皐月、なんだか変わったね。あたしの知ってる皐月はもっと抜けてて頼りなかった子だったなぁ〜ってイメージが……」

皐月「相変わらずボクに対しては遠慮がないよなぁ。ボクだって成長するのさ、ふっふーん♪」

文月「司令官の影響かなぁ。ちょっと真面目になった?」

皐月「それはあるかもしれないなー。ま、結構あの人のこと尊敬してるしねー。やっぱり学ぶことは多いよね。ハッタリの通し方とか、うまく面倒事をサボるコツとかさ」

文月「前言撤回。もっとまっとうなことを学んでよぉ……」
500 :【54/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 09:57:10.65 ID:tngg5+Sn0
MI作戦成功から三週間の時が流れた。外部訪問者の数も減り、進路の決まっている艦娘は少しずつ鎮守府を離れ始めた。執務室で会話する提督と雪風。

雪風「しれえ……響、行っちゃいましたね」

提督「ああ。あいつはまだ軍属を続けるつもりらしいからな。ま、あいつなら呉に行ってもうまくやるだろう」

雪風「司令は寂しくないですか? せっかく仲良くなれたのに、離れ離れになるのは少し寂しいです……」

提督「寂しくはないな。皆、それぞれ自分の道を歩んでいくのだからな。これまでは各々の利害が一致していたから団結していただけで、これからは違う。それだけのことだ」

提督(願わくば、この先も雪風の力を借りたいところではあるが……無理強いするのは良くないか)

・・・・

コンコンとを扉をノックする音。招き入れる提督。現れたのは見慣れない艦娘。

提督「貴様何者だ。うちの所属にお前のような艦娘は在籍していないが」

磯風「私は磯風だ。大本営の遣い、とでも思ってもらえれば良い」

提督「おや、お目付け役か。この鎮守府は解体されるし俺もじき辞任するというのに、そんなものを遣わす理由が分からないな」

磯風「いいや、私が監視するのは貴方が退役後だ。貴方の動向を監視させてもらう。と言っても、既に以前からこの鎮守府を監視していたのではあるがな。ともかく、だ。
貴方が今後どうするつもりなのかは把握しているし、援助するとも約束しているが……それはこちらに干渉しなければの話。万が一こちらに盾突くようなことがあれば」

提督「逆らうわけないだろう。オーナーに噛みつく飼い犬がいるものか」

磯風「貴方にそのつもりが無くとも……そそのかれて心変わりされては困る。貴方の存在はそれだけ重要人物なのだ。ま、その口ぶりなら今のところは心配なさそうだな」

磯風「と、ここまでが大本営から送られてきた艦娘磯風としてのオフィシャルな話。ここからは私個人の話になる。
見事だな、哀。君は私の予想以上の働きをしてくれた……あと二年はかかると思っていたが」

手取 哀(てとり あい)。提督の本名であるが、今まで誰一人として彼を名前で呼んだ艦娘はいない。

提督「雪風、いつでも砲を撃てる準備をしておけ……嫌な予感がする」 奥歯を軋ませ、警戒心を剥き出しにする提督

磯風「おや、随分な反応じゃないか。なに、私は君に喧嘩を吹っかけに来たわけじゃない。……償いに来たんだ。
もう、君に苦しみを背負わせたくはない。これからは軍や政府などに関わらず穏当に生きていて欲しいんだ」

提督「フッ……苦しみ、だと? 俺は自分の人生に起こる全ては自分の責任だと思っている。何も背負っている気はないし、勝手に心配される筋合いもない。
こうして提督になったのも己の意志だ。そうしなければ、この先の未来にある自分の目的を果たすことが出来ないからそうしたというだけのこと」

提督「これまでの道程も、これからの道筋も……全ては俺の望む通りだ」

磯風「本当に…………。立派に育ったな。少し嬉しい」

提督「母親じみたことを言わないでくれないか、気色悪い(実際の母親がどういうものかは会ったことがないから分からないが……)」

磯風「ふふふ……、まぁそう言うな。今日からたっぷり可愛がってやるから覚悟しろ?」

提督「(金剛とは別のベクトルで鬱陶しい奴だな……)雪風、こいつをなんとかしてくれ。仕事の邪魔だ」

・・・・

私は生まれた時からいつも独りだったような気がします。戦場では死神と呼ばれ畏怖されることはあれど、誰かに認められたことなど一度も無かったのでしょう。
いつからか他人の目を見て話すことが出来なくなっていました。自分以外の人間から見える自分はどんな化物に見えているのだろうかという意識が先行して会話に集中出来なくなってしまう……。

この鎮守府で初めて出来た友人、響。
彼女は私を少しも恐れませんでした。対等の友人として接してくれました。たったそれだけのことだけれど、彼女にとっては当たり前のことなのかもしれないけど。私はそれが心の底から嬉しかった。

そして、司令。
命令に従う兵器として、じゃない。戦場を共にする同僚として、じゃない。敵を屠る“死神”として……でもない。
ただ私、雪風という個人を評価して受け入れてくれた、初めての人。
独りの寂しさを紛らわせるためにひたすらコンピュータと向き合っていた私を、気味悪がらず、それどころか私の特技として認めてくれました。

なぜだか、司令のお兄さんを起動させるために徹夜した時のことを思い出します。
提督はひたすら部品を作ってお兄さんの稼動を安定させるための電源を作るのに躍起になっていて、私は黙々と黒い画面を叩き続けました……。
あの時は自分には無茶だと思ったけど……司令が私を信じてくれるから、頑張らなくちゃって。本当に、我ながらよくやったなあと思います。

それから、MI作戦が発令された直後に司令に呼び出されて……。
司令と司令のお兄さん、私の三人で船を設計して……完成が近づいたら、龍田さんや天龍さんにも手伝ってもらって……あれも大変だったけど楽しかったな。
戦果で尽くすことよりも、それ以外の部分で必要とされていたことの方が多くて、なんだかおかしいですね。

鎮守府が解体される話を聞いて、響が鎮守府を去るのを聞いて、心が大きく揺れました。これからどうしようと、本気で悩みました。
でも、着いていけなかった。彼女は彼女で、自分の道を歩み始めたから。半端な覚悟で着いていくべきじゃないと思ったから。
そして今。目の前の司令を見て。どういう関係かは分からないけど司令に母親のような愛情を向ける磯風を見て。鎮守府の地下室に居る司令のお兄さんを思い出して。
私も司令の傍に居続けたいと思いました。たとえ鎮守府が無くなっても、それが私の意志だと、今はっきりしました。

雪風「しれぇ! これからは雪風もお傍にいますね!」

提督「??? 唐突すぎて話が読めないが……そう言ってくれるのであればありがたいな。俺にとってお前の力はまだまだ必要だ」

困惑の眼差しを向ける司令。やっちゃいました……。そりゃ、いきなり自分の思っていることを話されたらそういう反応になりますよね。
でも、受け入れてくれるんですね。なんか……ちょっと照れくさいです。
501 :【55/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 09:58:27.71 ID:tngg5+Sn0

足柄「トンカツは一枚ずつ揚げるのがコツなのよ。横着して2枚以上同時に入れると油の温度が下がってうまく揚がらないのよねー」

清霜「油の量は多めにね。天ぷらを作る時よりも温度は低めなのがポイントよ。160℃から170℃ぐらいがベストかしら?」

足柄「揚げすぎると食感がパサパサになっちゃうのよね。揚げた直後に切ると少し中のお肉が赤いぐらいが丁度いいの。衣の中に余熱が閉じ込められるから、それぐらいでもちゃんと火が通るのよ」

朝霜「……アタイに向けて解説してんなら、聞いてないししなくていいぞ。っていうか、わざわざ休暇貰って来てみたらまーたカツかよ!」

足柄「ま、そう文句垂れないのよ。ほら、お皿用意して」

・・・・

一同「いただきまーす!」

大淀「やっぱり足柄さんが作るカツが一番美味しいですね! このためだけに雇ったと言っても過言ではありません!」

足柄「ちょっとそれどういう意味?」

清霜「まぁまぁ。そーいえば、朝霜と霞は呉に行ったんだよね。そっちの鎮守府はどう?」

朝霜「ま、退屈だわなー。復興作業だなんだ言われてもやる気でねーしなぁ……。霞は外国の深海棲艦を叩く部隊に配属されたみたいで忙しいらしいけど。うらやましー」

朝霜「個人的に大淀と清霜が艦娘辞めたのはなんとなく分かるけどさ、足柄まで辞めちまったのは驚きだわなー」

足柄「ええ。天下の横須賀や呉といえど、あの提督がいた佐世保には敵わないわ。ちょーっとだけ様子を見に行ったりはしたけど、全然昂ぶらなかったんだもの。士気が違うわ」

朝霜「ほぉー。狂犬足柄を飼い慣らす奴がいるってのは驚きだなぁ」

大淀「そういえば、佐世保鎮守府は私たちが離れた後どうなりましたか?」

朝霜「すぐに更地になったみたいだよ。鎮守府の跡地には“宇宙開発研究所”予定地、みたいな看板が立ってるとか聞いたっけな。あと、近くに喫茶店とか道場とか学校ができたらしい。霞が言ってた」

清霜「へー……手取司令、あの後何してるんだろうね。あのまま辞めてなければ絶対偉くなれたのにねー」

足柄「(フッ……そう。“宇宙開発研究所”ね。)ま、あの提督のことだからわりと好きに生きてるんじゃないかしら。そんな気がするわ」
502 :【55/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 09:59:23.92 ID:tngg5+Sn0
白塗りの壁に彩られた、西洋風の瀟洒な建物。大淀に案内されて部屋に入ると、足柄と清霜は感嘆の声を上げる。

清霜「鎮守府の頃と比べると天井は低いけど……設備は最高だねー。最新鋭オフィスって感じ!」

部屋に入るやいなやふかふかのソファにダイブする清霜。

大淀「フフフ……驚いてくれましたね」

足柄「シンプルだけど洗練されてるあたり、大淀らしくて良いわね」

大淀「ええ、この“大淀法律事務所”には退職金の五分の三をつぎ込みましたからね。もっと驚いてくれなきゃハリが無いというものですよ」

足柄「しっかし……アンタ一体いつ司法試験なんか取ったのよ。そんなことおくびにも出さなかったのに」

大淀「そりゃあ……落ちてたら恥ずかしいですからね。勉強自体は数ヶ月前の軍縮のお達しが来てから初めてましたけど……手取提督の前代の秘書艦をやっていた頃から興味があったので」

清霜「おぉ〜! じゃあ私たちがだらだらと鎮守府で過ごしてた間も黙々と勉強してたわけね。偉い!」

大淀「えっへん。ま、ちょっとした野望でしたからね。実現するとは思いませんでしたけど」

足柄「どうして弁護士の資格を取ろうなんて思ったわけ?」

大淀「身も蓋もない言い方をすれば……ニーズの関係ですかね。法律というものは基本的に知らない人がソンをしますからね。
私たち艦娘は戦闘に必要なことだけを学んできました。一般的な社会常識に関する知識はお世辞にも多いとは言えないでしょう。
そして、知らなければ間違いを起こしてしまうこともあるでしょうし、知らないのを良いことに利用されてしまうこともあるでしょう。
そういった場合、より元艦娘の視点で物事を考えられる者が弁護に立つべきではないか、と思いましてね」

大淀「詰まるところ自分の身内を守りたい……ということになるんでしょうか。我ながらあまり立派な理想じゃないですね。
自分なりに正義とは何かを追及したい、ってのもありますけどね。あとは『異議あり!』って言ってみたいかな……」

清霜「やっぱりそれかあ。言いたいよね〜『異議あり!』って」

足柄「『異議あり!』」 スパァァァン

清霜「おお! すごい! なんか足柄は検事っぽいよね」

足柄「そう? じゃあここの事務員やめて検事になってみようかしら」

大淀「だ、ダメですダメです! 足柄さんはここに居る『意義あり!』ですっ!」 ズビシッ

朝霜(なーにやってんだこいつら)

朝霜がオフィスに入ってきても誰も気づかない。ツッコミ不在の空間とは恐ろしいものである。

・・・・

大淀法律事務所の二階は居住スペースになっていて、それぞれの部屋やキッチン、風呂などが設置されている。
キッチンに、エプロンをつけた足柄と清霜が立っている。その様子を朝霜がつまらなそうに見ている。

足柄「トンカツは一枚ずつ揚げるのがコツなのよ。横着して2枚以上同時に入れると油の温度が下がってうまく揚がらないのよねー」

清霜「油の量は多めにね。天ぷらを作る時よりも温度は低めなのがポイントよ。160℃から170℃ぐらいがベストかしら?」

足柄「揚げすぎると食感がパサパサになっちゃうのよね。揚げた直後に切ると少し中のお肉が赤いぐらいが丁度いいの。衣の中に余熱が閉じ込められるから、それぐらいでもちゃんと火が通るのよ」

朝霜「……アタイに向けて解説してんなら、聞いてないししなくていいぞ。っていうか、わざわざ休暇貰って来てみたらまーたカツかよ!」

足柄「ま、そう文句垂れないのよ。ほら、お皿用意して」

・・・・

一同「いただきまーす!」

大淀「やっぱり足柄さんが作るカツが一番美味しいですね! このためだけに雇ったと言っても過言ではありません!」

足柄「ちょっとそれどういう意味?」

清霜「まぁまぁ。そーいえば、朝霜と霞は呉に行ったんだよね。そっちの鎮守府はどう?」

朝霜「ま、退屈だわなー。復興作業だなんだ言われてもやる気でねーしなぁ……。霞は外国の深海棲艦を叩く部隊に配属されたみたいで忙しいらしいけど。うらやましー」

朝霜「個人的に大淀と清霜が艦娘辞めたのはなんとなく分かるけどさ、足柄まで辞めちまったのは驚きだわなー」

足柄「ええ。天下の横須賀や呉といえど、あの提督がいた佐世保には敵わないわ。ちょーっとだけ様子を見に行ったりはしたけど、全然昂ぶらなかったんだもの。士気が違うわ」

朝霜「ほぉー。狂犬足柄を飼い慣らす奴がいるってのは驚きだなぁ」

大淀「そういえば、佐世保鎮守府は私たちが離れた後どうなりましたか?」

朝霜「すぐに更地になったみたいだよ。鎮守府の跡地には“宇宙開発研究所”予定地、みたいな看板が立ってるとか聞いたっけな。あと、近くに喫茶店とか道場とか学校ができたらしい。霞が言ってた」

清霜「へー……手取司令、あの後何してるんだろうね。あのまま辞めてなければ絶対偉くなれたのにねー」

足柄「(フッ……そう。“宇宙開発研究所”ね。)ま、あの提督のことだからわりと好きに生きてるんじゃないかしら。そんな気がするわ」
503 : ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 10:18:24.76 ID:tngg5+Sn0
>>496で書いた『Phase C』ですけど、コンマの値が素数だった場合だけでなく、
ゾロ目(222とか)やキリ番(234とか)だった場合も発生条件に加えることにします。
それでもわりと発生率低そうですけど。

あと>>501はコピペミスです。暴発しました許して。

----------------------------------------------------------------------
獲得経験値(~55/100)
・響の経験値+1(現在値11)
・足柄の経験値+2(現在値22)
・雪風の経験値+1(現在値9)
・皐月の経験値+1(現在値8)

・翔鶴の現在経験値:14
・金剛の現在経験値:15
----------------------------------------------------------------------

////チラシの裏////
おはようございます。土曜日に投稿しようと思ったら徹夜してた。ダメすぎ。
まーた二週間かかっとりますね。もっとガツガツ書いてかなアカンのですよ。
このペースだと完結が最短でも10月半ばとかその辺になっちゃいますからネー……。

しっかし書いてて楽しいですな!
楽しいなら安価が出揃ったタイミングで書き始めればいいじゃん! →はい
いやね、楽しいけどね……楽しいけどほらあれさ。

----------------------------------------------------------------------
『Phase B』【56-60/100】
レスのコンマ値で登場する艦娘を決定します。
00〜19:雪風
20〜34:翔鶴
35〜49:金剛
50〜67:響
68〜80:足柄
81〜99:皐月
>>+1-5

よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらい眺めてなんとなくわかった気になってください。
(または>>495->>496あたりを見てわかった気になってください)
----------------------------------------------------------------------
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 11:05:26.48 ID:s1O8bVSN0
えい
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 18:49:46.84 ID:IIGhN9lI0
へい
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 18:58:09.57 ID:Y/WErN7YO
足柄と食事したときに調味料入れでチェスしながら会話
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 19:53:53.44 ID:Fq64ZIZAO
こう
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 20:00:45.37 ID:IIGhN9lI0
さて
509 : ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/07(日) 22:54:30.03 ID:tngg5+Sn0
>>504-508より
・金剛3レス/皐月1レス/響1レス
で『Phase B』が進行していきます。
(合計値:270 なので『Phase C』は発生しません)

『足柄と食事したときに調味料入れでチェスしながら会話』……はい。
これ……足柄メインの時でもいいですかね(次フェーズとか)。
流れ的に出番なさそうだし無理矢理出すよりメインで書いた方がいいよねー、と。



来週末ぐらいには投下したいですね。そんな感じで行こうと思います。
510 : ◆Fy7e1QFAIM [saga sage]:2015/06/15(月) 02:37:46.72 ID:OKQC9Mr60
むーーー。先週末にと言ってましたがやっぱりダメでした。ゴメンナサイ。
遅くとも水曜日までにはなんとか……! 早ければ今日明日でどうにかお披露目したいですハイ。



せっかく(?)セルフ締め切りを遂行出来なかったので、また関係あるようでないようなどうでもいい話でもしましょうか。
メインで書きたかったキャラの話とかちょっと語っちゃいますか。なるべく本編関係なさそうな方面でね。いくつか書いてみますよ。
誰得かは知らねえっすけど。

・神通
わりと書きたかったキャラその1。ゲームでは夜戦で戦艦殺すウーマンとして皆さんも重宝してるんじゃないでしょうか。
儚くも力強いキャラクターが魅力ですよね。二次創作ではわりと鬼教官として描かれることが多いですが、それを逆手に取って書いてみたかったなーと。
個人的に神通はあまり後輩に無茶な指導をするタイプじゃないと思ってまして。あくまで個人的にですけど。
ホラ、時代が時代ですし。死ぬほど努力! 育まれる友情! 死線を超え勝利! とかそういう潮流はあんまないじゃないですか。
僕はそういうのも嫌いではないですけど、自分が書くとしたら神通がそういうこと言ったりさせたりするイメージは無いですね。
後輩相手には厳しいけど理不尽ではない感じの、わりとロジカルでクールな神通さんが書きたかったですね。
一方で提督相手には自分の悩みを打ち明けたり……とかそういう感じですね。なにせ体が火照っちゃいますからね!(?)
中間管理職としてもエースとしても活躍する神通さんとか、そんな感じのアレを書く予定でした。まあ安価で出なかったんで特に今後も登場しないと思いますが。

・山雲
わりと書きたかったキャラその2。結構新キャラなんで、「誰?」って人も居るかもしれませんが。デリケートでセンシティブな爆雷の子です。
こういうフワフワした雰囲気のキャラいいですよね〜。ちょっとどのキャラとも系統が違うというか、なかなか味のあるキャラですよね。
自分が書いてその魅力を引き出せるかっつったら微妙ですけど。浮き沈みのなさそうな彼女の内面を探っていったりするのも面白いかなと。
起伏のないように見える中から僅かな情動を探っていくみたいなそんなニュアンスのワビサビあるアレとかがやってみたかったっすね。
朝雲との絡みもいいですよね。彼女らどんな話してんだろとか想像するもをかし。基本的には彼女とのふんわりした日常を書けたらなぁとか思ってました。
ま、あんまメジャーなキャラじゃないので選ばれるとはハナから思ってなかったっすけど……。

・熊野
わりとの子その3。いいですよねこういう腐れ縁タイプの子。
「一捻りで黙らせてやりますわ!」とか川内のことをどこかのバカよばわりしてたりとか、育ちのわりに結構荒っぽい性格してますよね。
でもあばたもえくぼというか、そういう尖った部分があるキャラの方が書きやすいんですよね、書く側としては。
歯に衣着せぬ物言いとか舐め腐った態度とかがすごく相棒ポジションで映えるんだよなー。
この子はわりとシリアスな話でも活躍しそうかな、とか思ったり。あんまりそういうイメージないかもしんないっすけれども。
なんだろう、このキャラは追い詰められた時に精神的な高貴さを見せつけてくれるんじゃないかなあとか勝手に思っています。
普段は減らず口ばかりだけど、やる時はやる……みたいな方向性ですかね。お嬢様キャラとはあんま合致してないっすね。
まぁでも……気取ってるわりには結構俗っぽいじゃないですか(何

他にもありますが眠気が来たので今回はここまで。っていうか、眠い状態で文章書くとあんま良くないっすね。



////チラシ////
最近(と言っても少し前)漫画版アルペジオを読みました。
「アルペジオ? 艦これとコラボしてたっていうやつだよね」ぐらいの認識しかなかったので、わりとゆる〜い感じなのかなとか思ってましたが(なんだその偏見は)わりとガチですね。面白いですね。
と同時に艦これアニメイションもこういうディレクショナリティをチョイスしていたらもっとエキサイティングなエクスペリエンスをプロバイド出来たのではなかろうかとはほんのちょっぴり思いました。
ま、それはそれこれはこれであんまり関係ない話なのでやめときましょう。
511 :【56/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/17(水) 23:47:42.05 ID:GhW31TLF0
旧佐世保鎮守府正門前、現在は宇宙開発研究所予定地という立て札が立っている。
急ピッチで建設が進んでいるようで、作業員が忙しなく出入りしている。
榛名と霧島は金剛に呼ばれてここで待ち合わせをしていた。

榛名「お姉様はどうして私と霧島を呼んだのでしょうか。手伝って欲しいことがある……だそうですが」

金剛「フフフ……よくぞ訊いてくれまシタ……! 実はワタシ、政治家になろうと思ってマース! 二人にはそのための手伝いをして欲しいノデス!!」

真顔になる榛名と霧島。金剛の自信に満ちた表情に対し、どう声をかけていいのか分からず顔を見合わせる。


金剛「ア、アレ……? なんですカその冷たい反応は……。い、一応Policyとかも考えてありマスヨ!」

霧島「お姉様、シビリアンコントロールってご存知ですか?」

榛名「文民統制といって、簡単に言うと軍人や言に所属していた経歴のある人は政治家にはなれないんですよ。私たち元艦娘にもそれは適用されます」

金剛「マジ……?」

霧島「マジですよ。というか、その為に私たちを……?」

・・・・

金剛「い、妹たちが頑張ってるから……ワタシも何かしようと思ったのに……みっともないデース……」

霧島「いや……別に金剛お姉様のみっともない所なんて昔からよく見慣れてますし、今更どうとも思いませんよ」

金剛「ウワアアァァァァァン!! クソメガネ眼鏡割れろデース! だから二人とは同じ艦隊になりたくなかったんデス!」

榛名「(お姉様かわいい……)ま、まぁ、聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥って言いますし……」 金剛の様子を見て笑いを堪えている

金剛「ワタシ別に聞いてなかったヨネ!? 微妙に雑なフォローするぐらいなら黙ってて欲しいデース! っていうか、クスクス笑ってんのバレバレですヨッ!」

金剛「ウゥ……こういうのは私のキャラじゃないデース……」

霧島「ところで、どうしてお姉様は政治家になろうと?」

金剛「抉ってきますネ……。ワタシが鎮守府を出た後、volunteerをしていたのデスガ、会う人会う人皆がワタシたち艦娘は希望だって言ってくれたカラ……。
艦娘のワタシが政治家になったらもっと皆の為になれるかなって……。皆をワタシの力でHAPPYにしたいデース」

霧島「希望、ですか。そういう方向性ならアイドルなんてどうでしょうか。難しいとは思いますがお姉様なら無理ではないかなと……」

金剛「もう既に偉大な先駆者が居ますネ……。今度舞道館でライブやるらしいデスヨ……流石のワタシでもあのバイタリティには敵いそうに無いデス……」

鎮守府解体の報が伝えられるやいなや真っ先にアイドルの世界に身を投じ、実力だけで頂点にまで上り詰めたシンデレラガールの名を知らぬ者などこの世にいるはずもなかった。

榛名「そもそも『皆を幸せにする』って、皆って具体的に誰ですか。人によって幸せなんてそれぞれ違いますよ。手を差し伸べても感謝されるどころか憎まれたりすることだって少なくはありませんし……」

金剛「まさか妹にガチ説教を食らうとは思ってなかったデース……」

榛名「ごめんなさい。でも、私も昔それで悩んでいたので……。お姉様はまず誰かを幸せにしようと考えるよりも自分が幸せになった方が良いのだと思いますよ?」

霧島(昔からお節介焼きで厚かましいと思っていたけれど……榛名も榛名なりに考えていたのね)

金剛「ワタシにとっての幸せ……Hmm。ヤッパリ、テートクに会いたいですネ……」

霧島「手取司令と? 第一艦隊の旗艦から降ろされて、てっきり恨んでるとでも思ってましたが……それは意外ですね」

金剛「だまらっしゃい! ワタシとテートクの間には山よりも高く海よりも深い絆があるのデース!」

榛名(と思ってるのはお姉様の方だけなんじゃないでしょうか……とか言ったらまたうるさいのでやめておきましょう)

霧島「おぉー、もしかして司令のことをお慕いしてるとか?」

金剛「そっ、そんなんじゃありまセンッ! ワタシは、提督に対してはそういうのじゃなくてもっと……」

金剛「やっと、少しだけ近づけた気がするから……。もっと知りたいんデス……テートクのこと。このまま離れ離れじゃ、惜しい気がするんです……」

霧島(この姉、見かけによらず純情! そして初心! だがそれがいい……!)ガタッ

榛名(こんな乙女チックなこと言う程度には本気みたいですね)ガタッ

身を乗り出す榛名と霧島。先ほどの白けた対応は正反対に、若干興奮した様子だ。

榛名「決まりですね! 手取提督の足取りをつかみましょう!」

霧島「他の艦娘から情報を聞き出して手かがりとなる情報を集めた方が良さそうですね。司令が退職後の自分の居場所を漏らすとも思えませんが、一から探すよりは効率がいいでしょう」メガネクイッ

金剛「ちょ、ちょっと! 何勝手に話を進めてるんデスカ!? そ、それに、仮に会うとして、いきなり前の仕事の部下に会いに来られても迷惑なだけでしょう……」

榛名「理由なんて後から作ればいいじゃないですか。お姉様そういうの得意そうですし。会いたいから会いに行く! それだけですよ!」

金剛「……イ、イミワカンナイデース!! 強引に押し切ろうとするのやめてくだサーイ!!」

二人に引きずられながら鎮守府跡地を後にする金剛。
512 :【57/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/18(木) 00:02:45.41 ID:yXhYsAag0
霧島「MI作戦であの第二大隊の旗艦に選ばれた赤城さんなら、何か知っているかもしれません。早速会って話してみましょう」

金剛「エー……アカギとはあんまり仲良くなかったから会いたくないんですケド……」

赤城は艦娘を辞めた後に弓道場を開設し、ほぼ無償で近隣住民や志願者に弓術を教えている。
現代武道の弓道とは教え方に少し差があるが、艤装の力が無くとも彼女の卓抜した技術は人の域を超えていた。
そのため今では弓道の達人が彼女に教えを乞いに来るほど赤城弓道場の名は知れ渡っていた。
和室に案内される金剛たち。この施設の客間らしい。

赤城「珍しいですね。私に用があるみたいですけど……どうかしましたか?」

金剛「Uh……赤城に用はないんですガ……。テートクの行方を知りませんカ?」

赤城「残念ですが、私にも分かりませんね……。本人に聞いたのですけど、答えてくれませんでした」

金剛「そうですカ……。赤城にも言ってないってコトは、きっと他の誰にも居場所を伝えてなさそうデスネ……」

赤城「どうして提督を探しているんですか? 提督を探しているということは、何か目的があるのでしょう。違いますか?」

金剛「(この感触、何か知っている……? 少し揺さぶってみますか)目的があったとして、それをここで教える必要はありまセン」

赤城「それもそうですね。そういえば……それとは別に私も貴方に伺いたいことがあったんですよ。MI作戦の時、貴方はどうして戦線に加わったのですか?
第一艦隊から外されて、私の知る限りではどこのユニットにも属していなかったはず。作戦の名簿にも名前が書かれていませんでしたし、提督から遠回しに戦力外通告を受けたのだと解釈していましたが……」

金剛「そういうイジワルな言い方をされると答える気をなくしマスネ〜」

部屋にあった空の湯飲み茶碗を勝手に取り出し、持参した水筒で紅茶を注ぐ金剛。

榛名(い、居心地悪いですね……こんな仲悪かったんですねこの二人)

赤城「答える必要がない、答えたくない。理由としては結構ですが、自分がそういう態度で接しているのに私から情報を聞き出そう、というのでは不公平だと思いませんか?」

金剛「……という言い方をするってことは、そっちもまだ何か隠してるってことですよネ? ……まだるっこしい話はやめにしまショウ。
お互いにお互いの情報を欲している。なら、手持ちのCardをOpenするだけで済む話でショ?」

金剛は、自分が提督を探している理由は、純粋に彼に会いたいからだということを話した。
MI作戦時に自分は新たな深海棲艦の出現を食い止めるための任務を遂行していたのだと掻い摘んで説明した(南極に行ったことや精神世界で怪物と対峙したことまでは話さなかったが)。

赤城は素直に驚いていた。自分に力があるのを良いことに艦隊の和を乱し身勝手な振る舞いをしていた彼女に、そんな大役が与えられていたとは思いもよらなかったからだ。
(ついでに榛名や霧島もMI作戦序盤で金剛が何をしていたのか知らなかったため驚いていた)

赤城(任を果たすだけの力があるとあの提督に認められ、そして実際に期待に応えてみせた……ということですか。どうにも私は彼女を過小評価していたようですね)

金剛「サ。次はそっちの番ですヨ?」

赤城「分かりました。話しましょう……と言っても、手取提督の居場所を知らないのは事実です。
彼が辞意を示した時に、私が鎮守府を離れる時に、彼が提督としてあの鎮守府に居た最後の日に。三度尋ねましたが、三回とも断られてしまいました」

霧島(三顧の礼ならずですか。司令はそこまで厳しい人ではないという印象でしたが……確かにプライベートな話はしたがりませんでしたね)

赤城「ならば、彼の道について行こう……とも思ったのですが。それも断られてしまいました。手厳しいですね。
ですが、彼への手がかりを何も得られなかったわけではありません。彼の連絡先を教えてもらいました」

金剛「Oh! それ、ワタシに教えてくれませんカ? もちろんタダでとは言いませんヨ? ア、お金で解決するとかそういう意味じゃないですケド」

赤城「ごめんなさい。それは出来ません。提督の信頼に背くことになりますから」

金剛「デスヨネー」

赤城「ですが。私が『会う必要がある』と判断した時に、応じてくれるそうです」

金剛「I see. ナルホドナルホド……。じゃ、赤城に提督と会う必要があると思わせればいい、ってことですネ」

赤城「貴方にそれが出来ればの話ですが、ね」

金剛「オッケー。それだけ聞ければ十分デス。この金剛、舐めてもらっては困りマスヨ?」

・・・・

金剛さんたちは『私が提督と連絡を取り、直接会う必要がある』と思わせるような情報を探しにどこかへ行ったようです。
彼女が提督から密命を受けていたことも驚きですが……もう一つ驚いたのは、彼女の表情ですね。

提督に会いたいと語る彼女の姿からは、一切の私欲も打算も感じられなかった。
私の知る彼女は、こんな風に目をキラキラと輝かせて話をしたりはしない人物だった。
野心でも、恋慕でもなく、ただ純粋に会いたいのだという思いが伝わってきた。
彼が提督についての話をしていた時の、幼子のような天真爛漫な表情が印象深く残っている。
あの姿こそが彼女本来の気質なのか、提督に影響されて発露した彼女の一面なのかは分からない。

ただ……彼女は自分よりも提督と長い時間を過ごしてきたのだということだけは、悟ってしまった。

今、私の胸に渦巻いているこの感情が……嫉妬、なのでしょうか。彼女は……私が知らないあの人の表情を知っている……。

いえ、よしましょう。これ以上考えるのは。また、拒まれた時の事を思い出してしまう……。
何事もない日常の感覚に身を慣らしましょう。安らぎに満ちた平和の味を噛み締めましょう。あの人は……私にとっての、在りし日の幻想なのだから。
513 :【58/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/18(木) 00:07:47.52 ID:yXhYsAag0
旧佐世保鎮守府や赤城の弓道場からそう遠くない場所にある喫茶店『モンテーニュ』。
テーブルを囲んでいる金剛・榛名・霧島の三人。ここで今後の作戦を練るようだ。

榛名「お姉様、赤城さんとのやり取りすごかったですね……俄然やる気じゃないですか」

金剛「べ、別にそういうワケでは……でも、ここまで来たらテートクの顔を見ずには下がれませんからネ! ワタシも腹を括りました。
要は赤城や提督をギャフンと言わせるScoopをバシッと突きつけてやれば良いってことでショ!」

霧島「その意気ですお姉様! でも、どうして赤城さんは自分が提督と連絡を取れることを話したんでしょうね」

榛名「どこかお姉様を試しているような雰囲気がありましたよね」

金剛(まるで“何か”を期待しているかのようだったんですよネ……彼女も提督に会いたいと思ってはいるはず。
提督を引っ張り出せるほどの“何か”……)

霧島「うーん……スクープ、ですか……。と言っても、ここ最近はニュースも平和そのものですからねぇ。
違法漁や略奪などの海賊行為もだいぶ減ったみたいですよ。それまで深海棲艦と戦っていたような艦娘が海上パトロールしているみたいですし、当然といえば当然ですが」

金剛(ですよねぇー……今のところは“何か”が起こりそうな気配がないんですよネー)

・・・・

金剛「甘すぎデース……榛名パス」

金剛の目の前の皿には、大盛りスパゲッティが鎮座している。
スパゲッティといってもただのスパゲッティではなく、麺の上には生クリームやフルーツがトッピングされていて、雰囲気はパフェに近い。
が、目の前にある“それ”はパフェのような生易しい代物ではない。麺はイチゴシロップ(のようなもの)で着色されているらしく、ショッキングすぎるピンク色をしている。
ギトギトに油ぎった熱々の麺、麺の熱で溶ける生クリームと生温いフルーツ、苺(のような何か)の甘ったるい香り……。
甘党を自負していた金剛もこれには難渋しているようである。

榛名「ひゃるな……らいひょうぶじゃないれす……」

こめかみを押さえる榛名。目の前の山盛りのカキ氷を減らそうと努力していたものの、ついにスプーンを机の上に置く。いわゆる匙を投げたという状態に限りなく近いようだ。
とても数分前に『カキ氷! いいですね〜……子供の頃を思い出します』などと可愛らしいことを言っていた女性と同一人物とは思えない。
頭を抑え天を仰ぎ見る彼女の苦悩に満ちた表情は、シスターが神に祈りを捧げる姿のそれにどことなく似ている。

霧島「自分で頼んだんだから、なんとかしましょうよお姉様方……」

金剛「霧島! 榛名のばっかり食べてないで、ワタシの方も食べるデース!」

霧島「いやそっちはちょっと……」

二人とは対照的に、ストイックに自分の料理を食べ進めている霧島。
激辛ソースで塗りたくられたピラフを一口二口食べては榛名のカキ氷に手を伸ばしている。
日頃から辛い物を好んで食べていたのかギブアップする様子はなさそうだが、彼女の身体は明確に危険信号を発しているようで滝のように汗を流ている。

金剛「どうして霧島は自分しか食べられないようなものを選んじゃうんデスカ!? そもそもそんな辛いのに味がするんですカ?」

霧島「ええ。味というには微妙ですが……ナノデスソースのアイアンボトムサドンデス味に似てますね」

榛名「なんですかそれ……」

霧島「でも、量が多いのさえなんとかなればどうにかなりそうじゃありませんか? あの、その、なんていうか、身内にもっと独創的な味の料理を振舞う方が……」

金剛「確かに……ヒエーのよりはマシですネ……。そう思えばわりといける気がしてきまシタ」

・・・・

呉鎮守府第三艦隊会合室。作戦指示書を旗艦である比叡に届けに来たようだ。

響「これが次の作戦の指示書だ。……欠伸の出るほど簡単な内容だが、一応機密だ。他言はしないように」

比叡「はい! ありがとうゴザイマス!」

響「しかし……意外だな。君が姉と離れてまで艦娘であり続けることを選ぶとは思わなかったよ。君はどうしてここに居ることを選んだ?」

目を細めた渋い顔をして、うーんと唸る比叡。

響「いや……難しいなら無理に答えなくても構わないが」

比叡「んー……理由と言えるかは微妙ですがねー。今のお姉様は何か違うというか、うーん。今まで私が見てきたお姉様と違うんですよねえ。丸くなった、んでしょうけど……。
それが気に食わないんですよね! なんでかは分かりませんがッ!」

響「むっ、意外だなそれは……興味が湧いた。話が聴きたい」

比叡「いや、お姉様のことは今でも尊敬していますし、嫌いになったわけではありませんが。お姉様に聴かれた時も、やんわりと伝えてはぐらかしましたけど……ちょっと納得いってないですね。
なんですか艦娘をやめてボランティアを始めますって……。榛名や霧島みたく明確にやりたい職業があったならともかく……」

比叡「大体、あれだけ練度が高いのに艦娘をやめるだなんて勿体なさすぎますですよ! 一体何のためにあれだけ強くなったっていうんですか。
そりゃ自分がオイシイ思いをするためだとか、偉くなって人に認められたいからだとか、動機は邪だったかもしれませんけど! それを全部捨てて、今度は慈善家にでもなるのかって感じですよ!」

不満というのはひとたび口にすると堰を切ったように零れてくるものである。比叡の愚痴にも似た不満を、響は少し愉快な様子で聞いていた。
実のところ響と比叡はそこまで親しい間柄ではない。佐世保に居た頃は所属していた艦隊が異なり、性格的にも似通った部分はない。
しかし『同じ佐世保に居た艦娘』という経歴が親近感を生んだのか、このとき二人は妙に意気投合していた。
514 :【59/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/18(木) 00:25:20.23 ID:yXhYsAag0
呉鎮守府大会議室。鎮守府を総括する井州提督、重鎮である大和・武蔵、最古参の吹雪・陸奥など錚々たる顔ぶれが揃っている。
この会議に響もまた出席していた。旧佐世保鎮守府からの移入組も代表としてである。

井州「少し堅苦しい形式になってしまったが……あまり気張らなくていいよ。どうにもお堅いのは似合わないしなぁ。
っと……ひとまず、皆にはお礼を言わなきゃだね。未だに私についてきてくれてありがとう」

呉・横須賀鎮守府は、軍縮の影響によって元来在籍していた艦娘のほとんどを辞めさせなくてはならなかったという事情があった。
佐世保をはじめとする他鎮守府の艦娘を受け入れなければならなかったためである。
呉・横須賀に在籍していた艦娘は、鎮守府に残留するために厳しい試験を突破する必要があったのだった。

大和「私たちにとっては、ここが生まれ故郷みたいなものですから」

武蔵「フッ……地獄の果てまでお供させてもらうさ」

井州「うーむ。にしても大本営もヒドイ事をするよなぁ。わざと外部からの艦娘を受け入れさせ、元からいた艦娘は離れさせるなんてね。あっいや、君らに対して不満があるわけではないのだが」

響の方に笑みを向ける井州提督。手取提督と比べると態度や喋り方にまるで威厳がないと響は思った。

響「いいえ、結構。そう思うのも無理はないだろう。新参者よりも馴染み深い面々の方を遇したいのは当然だ」

井州「君らもうちの鎮守府に加わった以上は家族のようなものだし、もちろん君たち流入組のことも考えているが……どうにも軍縮の制約が厳しくってね。
まるで大本営は鎮守府が存続することを望んでいないかのような動きを見せているんだよね。艦娘が艦娘であり続けることを許さない、なんてところかな。完全にこっちの被害妄想だけど」

陸奥「深海棲艦との戦いに区切りが着いた以上、そういう動きになるのは分かるけれど……どうにも急すぎるのよね。提督率いる艦娘勢力がクーデターを起こす、なんて恐れているのかしら」

井州「であれば、手取提督が退役させられたのも納得行くんだけど……。やっぱり分からないなぁ、真意がどうなのか。かつて佐世保は紛争地帯だったからねぇ……」

響「紛争地帯、とはどういうことかな。手取提督からそういう話は聞かされていなかったから、純粋に興味がある。聞かせてくれないか」

井州「あぁ。ま、ちょっとしたいざこざがあってね……。あの提督が来る前に事故や事件があったのは君も知っているだろう? あれは我々のような各鎮守府と大本営の争いがあったからなんだよ。
……私はあまりそういう手荒なのは好きではないが、他の鎮守府の提督もそうであるとは限らないからね。大本営の刺客とこっち側の人間とで、いざこざがあったわけさ。水面下でだけどね」

井州「その点あの提督はよくやっていたよ。どの立場にも属していないような立ち振る舞いだった。恐らくは大本営側の人間なんだろうが、にしてはやたらこっちに対しても協力的だったからね。
そして真意の分からないまま退場していった……。全く食えない御仁だよ、どうやっても勝てる気がしない」

井州「後から振り返ってみればMI作戦時の彼の行動なんかは間違いなく大本営の意図から外れた行動なんだよねぇ。あちらさんからすれば呉や横須賀といった抵抗勢力の戦力は削いでおきたいだろうから。
彼は深海棲艦にこちらの作戦が看破されていることに気づき、やたら作戦の変更を進言してきた。あの時私は彼を信じられなかったからそのまま作戦通りの動きをしてしまったが……。
ともかく、彼が完全にあちら側の人間だったなら、そんな忠告はせず見殺しにしていたと思うんだよね」

武蔵「呉の我々を囮にして敵を叩いた方がスムーズにやれただろうにな」

井州「これでも私は彼には感謝しているんだ。彼の戦略が結果的に私たちの艦娘の命を守ることにも繋がったわけだからね。感謝しないわけがない」

井州「私も、横須賀の提督も、権威欲でこの仕事を続けているわけじゃない。自分の艦娘を守りたいんだ。横須賀の彼のやり方は手荒すぎるゆえに大本営との対立を生んでしまったが。
私と思想の根本は同じだ。だからこそ私は彼の側についている。もちろん、彼の『自分の艦娘を守るためなら人を殺しても構わない』とでも言わんばかりの非人道的なやり口は賛同しないがね」

井州「提督とはつくづく業の深い職業だな。国を守るため、国民を守るため……そのために指揮をしていたはずなのに、いつからか目的が変わってしまうんだ。
私は君たちを失うことが何よりも哀しい。国よりも、平和よりも……今は君たち艦娘を守るためにこの命を捧げたいと思っているぐらいにね」

井州「だから今の大本営のやり方とは相容れないんだ。もちろん、離れいこうという意志を持って離れていく艦娘については仕方ないと思う。むしろ本人の望むべき道に進むのだから喜ぶべきだ。
だが、まだ軍に残ることを望んでいる艦娘たちから強引に居場所を奪おうとする……これを私は見過ごせない」

井州「っと、いけないいけない。こういう真面目な話はあまり私らしくないね。とにかく、まあ佐世保とその周りではそういうことがあったんだよ。本題に戻るね。軍縮への対応だ」

吹雪「ええ。大本営からの通達では、今年中に艦隊の規模を現在の半分にまで縮小するように……とのことです。とはいえ……」

陸奥「不可能ね。今この鎮守府には、外から来たにせよ元から居たにせよ、私を含めてテコでも動かないようなのしか揃っていないもの。ここを離れるなんて絶対に嫌がるわ」

響「…………だったら。簡単じゃないか。本当にクーデターを起こしてやればいい」

立ち上がり、言い放つ響。ざわつく。場の空気が変わる。なおも毅然とした態度を崩さないままの響。

吹雪「ちょっ、ちょっと! そんなことしたら……」

響「そんなことしたら何だい? そこの提督も、君達も、この鎮守府を離れたくないのだろう? そして今、大本営によって引き裂かれようとしている」

吹雪「そんな!? 大本営を敵に回すってことは、この国を敵に回すってことですよ!? 私たち艦娘が生きていくための資材だって……」

響「だったらこの国丸ごと乗っ取ってやればいい。簡単な話だろう?」

井州「響君、さすがにそれは……」

響「なに、ほんの冗談だよ。ただ、私の提督だったならやりかねないし、やるとなったら成就させるだろうと思っただけだ」

言い捨てて、退室する響。なおも室内のざわめきは止まない。

大和「不遜な物言いですね」

井州「そう言うな。彼女は彼女なりに思うところがあるのだろう。……とはいえそんな君達を危険に晒すような選択はしないさ。安心してくれ」

井州(この状況をどうにかしなければ私たちに未来がないのは事実なんだけどね……参ったなこれは)
515 :【60/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/18(木) 00:25:55.70 ID:yXhYsAag0
皐月「残念ながら桜の季節は逃してしまったけど……これからボクの学園生活が始まるわけだ! 楽しみだねぇ」

社会的には元艦娘という分類に含まれているが、皐月も文月もまだ艤装が解体されていない以上、実際には艦娘としての力が残っている。
艤装を直接装備しているわけではないので深海棲艦と対峙した時のような人間離れした力は発揮出来ないが、それでも成人並みの体力や知能が皐月たちには備わっていた。
つまり、見た目がどうであろうともう既に大人なのである(社会的にも、元艦娘はいかなる見た目をしていようと成人とみなす風潮が強かった)。
その為提督は「決して艦娘であることを悟られないこと」というのを条件に二人を学園に忍び込ませたのであった。

・・・・

いかに環境が変わったといえど、数日経てば十分慣れてしまう程度には二人の適応力は高かった。
昼休みになり、クラスメイトと『賭けポーカー』に興じる皐月。余計なことを口走らないか監視する文月。

『賭けポーカー』。この学校では皐月たちが来る前から流行っていた遊びで、要はただのポーカーに賭博要素が絡ませただけのものである。
といっても、学生の間で金銭を賭けるとなれば各々の家庭の財力によって負担度が変わってきてしまう。
そのため賭けるのは専ら“情報”である。この学校では、自分の好きな子に関する情報を聞き出すのも、テストの過去問に関する情報を聞き出すのも、全てこのポーカーによって行われる。
重要な情報はポーカーを介して聞き出せ……それがこの学校の不文律だそうだ。

皐月は、転校してきてから無敗の勝負師として早くも学校中に知れ渡っていた(設定上、皐月と文月はこの学校に転校してきたということになっている)。
訓練生時代がほとんどだったとはいえ、ある程度の死線は当然のごとく超えてきている。人生経験の乏しい高校生からすれば、皐月の勝負強さが鬼神のように感ぜられても不思議ではない。

文月「もっと真っ当に青春というものを謳歌しようよ……」

皐月「ふっふーん、ゲームもまた青春さ」

???「ちょっと良いかしら。次は私にやらせてもらえる?」 赤毛の少女が皐月の前に現れる

皐月「よそのクラスの子だね、君の名前は? そしてボクの何の情報を賭ける? それと、負けたら何を差し出す?」

陽炎「私の名前は陽炎。そっちが勝ったら私の過去に関する質問に3つだけ答えてあげる。負けたらその逆。これでどう?」ドドドドドド・・・

文月(陽炎……ひょっとして、艦娘じゃない? 司令官に艦娘であることをバレちゃダメって言われてるし、この勝負は受けない方が良いと思うんだけど……)ヒソヒソ

陽炎や皐月といった名前は、別段珍しいものではない。ありふれた女性の名前として認知されている。
また、かつて実在した駆逐艦にちなんだ名前と言っても、歴史の授業ではわざわざ駆逐艦の名前など知りはしない。クラスの中に一人か二人いる“歴史オタク”でも長門の名を知っているぐらいである。
それゆえ皐月や文月も駆逐艦として自分に与えられた名前をそのまま引き継いだが、相手が艦娘というのであれば話は別だ。
文月が陽炎の名を聞いて艦娘かと疑ったように、相手もまた自分たちのことを艦娘だと疑ってくる可能性は高い。

皐月(いいや。もし相手が艦娘なら……逆に情報を引き出してやればいい。負けなければボクたちは得をする!)

文月(『負けなければボクたちは得をする!』って、当たり前じゃ……)

皐月「乗った! 相手になるよ」

陽炎「そうこなくっちゃね。それじゃ、始めましょ」

・・・・

コインの枚数は皐月が39枚、陽炎が21枚。やや皐月が優勢なようだ。

皐月「勝負を挑んできたわりには、退け腰じゃない? 二度もドロップして、三度目もコールして結局ドロップ。さて今回はどのタイミングでドロップする?」

これまでの三回ともブラフ(ハッタリ)を通してきた皐月。しかし、皐月には皐月なりの考えがあった。

皐月(普段のボクなら相手が途中でドロップするのを期待してブラフ……なんてのはあまりやらない。
あくまで手札が強い時にだけ勝負に出て、やり口が読まれそうになった時だけブラフで掻き乱す。ま、定石だよね。
とはいえ……相手がボクの情報を事前に集めていたとしたら話は別だ。戦いの傾向を分析しているかもしれないからね……。そしてこの『かもしれない』は的中していたみたいだ)

キーンコーンカーンコーン

陽炎「……ビッド21枚、全てを賭けるわ。さ、勝負といこうじゃない!」

皐月(『鐘ルール』か……! 最初からこれを狙っていたのか)

『鐘ルール』。この学校では、授業の開始と終わりにチャイムが鳴るのではなく、授業の終わりと次の授業の開始五分前に鳴るのであった。
『賭けポーカー』ではこの授業開始五分前の鐘が鳴ったら、ポーカーを早く終わらせて次の授業の準備をすべく、
チップの枚数制限なくビットすることが出来るようになるというローカルルールが普及していた。
子供の遊びだから許されていた青天井なしのチップ乗せも、艦娘二人がやるとなったらそれはもう静かな戦争であり、教室には覇気と覇気がぶつかり合っている。

陽炎「さ、どうする? ちなみに私はここであなたがドロップしても、次もその次も私は21枚のチップを賭けるわ」

『鐘ルール』には他にも、チャイムが鳴ってからはドロップは三度までしか使えないというものがある。
そのため皐月も陽炎も、“絶対に勝てる手札”を待っていられるほど悠長な戦い方は出来なくなった。

皐月「……ドロップだね。さすがにそこまで強気で来られちゃあ敵わない」

陽炎の手札はキングとクイーンのフルハウス。一方皐月の方はツーペア。安堵する皐月。

皐月(さてドロップできるのはあと二回……願わくば強い手札を引き当てたいが……!)

皐月「……ノーペアか、これじゃ勝負にならなそうだ。ドロップ」

攻める陽炎に対し、二度目のドロップ。陽炎の方はまた上等な役が揃っていたようだ。
冷や汗をかく皐月に対し、余裕たっぷりの陽炎。
しかし焦りを表情には出すことはなく、神妙な面持ちで配られたカードを覗く皐月。数秒カードを眺めてから……深呼吸してから、陽炎を見据えた。
516 : ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/06/18(木) 00:43:32.41 ID:yXhYsAag0
----------------------------------------------------------------------
獲得経験値(~60/100)
・金剛の経験値+6(現在値21)
・響の経験値+2(現在値13)
・皐月の経験値+2(現在値10)

・雪風の現在経験値:9
・翔鶴の現在経験値:14
・足柄の現在経験値:22
----------------------------------------------------------------------

ちょっと推敲荒いかもですが一応水曜日に投下ということで滑り込みセ……アウトだろこれ。

そういえば今月はランカー入りを目指しております(現在EO全消化で404位)。
目指しているからといってなれるかどうかは別として目指してみてます。
5-4周回も積もり積もると資材とバケツが結構飛びますねー。
その分レベルはガンガン上がるのでレベリング海域としてはアリなのかもしれない。
そろそろ重婚も視野に入れる時期が来たようだな……。

----------------------------------------------------------------------
『Phase A』【-65/100】
レス安価で登場する艦娘を決定します。
登場させたい艦娘の名前を1人分記名して下さい。
(雪風・翔鶴・金剛・響・足柄・皐月の中から一人)
>>+1-5


よくわからない方は前後数十レスを6秒ぐらい眺めてなんとなくわかった気になってください。
(または>>495->>496あたりを見てわかった気になってください)
----------------------------------------------------------------------
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/18(木) 00:54:50.12 ID:IaOI4HM/O
乙 >>506
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/18(木) 00:56:56.79 ID:U69R89SAO
雪風
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/18(木) 00:58:12.65 ID:NvN55iNAO
皐月
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