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【安価とコンマで】艦これ100レス劇場【艦これ劇場】
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【21/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2015/03/13(金) 21:41:37.63 ID:lrMYVIKO0
深夜の軍事刑務所……龍田らと同様に収容されて牢屋の中に居る皐月に話しかける提督。
提督「直接会うのは二度目になるな。訓練生の頃の面接試験以来か」
皐月「はっ、はいっ! 司令官」
牢の中ではすることもないので不貞寝していた皐月であったが、提督が来たことに気づくや否や姿勢を正し敬礼をする皐月。
提督「こんな牢の中に閉じ込めてすまなかったな。文月ともども明日の朝には釈放してやる」
提督「第四艦隊に入って日の浅いお前たちがこの一件に噛んでるとは思えん。そもそも第四艦隊の動きが怪しいということはハナから分かっていた上でお前たちを配属させたのだしな」
皐月「? ……でもボク、あ! いえ、私、何も司令官の役に立って居ませんが」
提督「前に会った時も言ったが、無理に一人称を直さんでもいい。不自然に畏まった態度を取られるぐらいなら敬語も必要ない。尋問しているわけではないのだから、あまり俺を恐れるな」
提督「お前たち二人を第四艦隊に回したのは、龍田の信頼をそれなりに得られる見込みが高く、かつ、懐柔され奴の手駒にならなそうだったからだ。つまり、毒にも薬にもならないというわけだな」
皐月(否定出来ないけど失礼だ……)
提督「龍田について何か分かったことは無いか? 奴の真の目的が知りたい」
提督「常設の艦隊に所属しているのであれば、まず金には困らないはず。だのになぜ奴は例の取引に手を出したのか……そこには私利私欲を超えた何かの理由があるはずだ、と睨んでいる」
提督「……何か知っている顔だな。やはりお前たちを選んで正解だったようだ」
・・・・
皐月「あの人は……どうやってそれを実現するつもりかは分からないけど、轟沈するはずだった艦娘を蘇らせようとしているみたいだ。その為にお金も必要だったんだと思う」
かつて龍田・文月と訪れた一室で見た出来事を話す皐月。
提督「なるほど、力尽きた艦娘は修復剤を使っても傷が治るだけなのか……知らなんだ。艦として死んだから意識が戻る事はなく、人として生きているから身体が腐ることもない、というわけか」
皐月「……うん。あの時の様子からして、機能を停止した艦娘の復活……それがあの人の本心なんだと思う」
提督「どんな手を使ってでも、というわけか。……なるほどなるほど。フフフ、フフ、ハハハハ」
提督「良いだろう。全容は見えた、そしてそのゴールもだ」
皐月「?(突然高笑いしだした……一体どうしたんだ)」
提督「ご苦労だったな皐月。お前は十分に役に立った」
高笑いしながら部屋を出る提督。
皐月(一体なんだったんだ……)
・・・・
数日後。再び取調室で顔を会わせる提督と龍田。
提督「海賊をけしかけるなんて考えたな。“菱餅”で煽ったか?」
提督「その顔、図星のようだな。港町や島を襲って生計を立てている荒くれどもといえど所詮生身の人間。数百人集まったところで駆逐艦一隻にも勝てやしない」
提督「大本営、政府、その他研究機関……その中でもごく限られた人間にしかその真価は分からない。いや、ひょっとすると連中でさえ分かっていないのかもしれないな。
見た目はちゃちいが『オーパーツ』『聖遺物』『神器』……そんな風に呼ばれてる代物だ。当然裏のルートで捌けば莫大な金になる」
提督がポケットから“菱餅”を取り出す。
底面が菱形の四角柱、桃色・白色・緑色と三層に色の分かれているその姿はまさに実物の菱餅と見紛わんばかりである。しかしこれは当然単なる菱餅であるはずがない。
現代の科学ではその謎が完全には解明されていないため、ロストテクノロジー、あるいは、深海棲艦が独自に発明した物質と噂されている。
その実態は謎に包まれているが、この“菱餅”や“菱餅”と同様の性質を持つ、“プレゼント”(立方体の箱のような形状をしている)・“チョコレート”(柱体で面の形がハートに似ている、茶褐色の物質)は深海棲艦が極稀に所持している。
これらの稀少なアイテムを原料に、艦娘の装備をより強力にする為に必要な消耗品である“ネジ”(『改修資材』と呼ばれている)などが生成される。
その為、深海棲艦を倒し“菱餅”などを得た提督は報酬と引き換えにそれらを大本営に渡すことが暗黙のルールとなっている。
大本営は提督から得た“菱餅”などをもとに、軍備を強化する為の“ネジ”や“指輪”を作り、提督も大本営からその恩恵を授かる……いわゆるwin-winの関係である。
提督「だからあの海賊共はリスクを犯してでも“これ”を盗みに来た。迷いなく資材庫に向かったんで実に分かりやすかった、混乱に乗じようが大した相手ではなかったな」
提督「残念だったな龍田。“この前お前が確認しに来た時は”あったのにな。……どうやら監視カメラの台数が増えていたのには気づけなかったようだな」
龍田「でも〜海賊さんの財布が潤っても……それが私に何か影響があるんでしょうかぁ〜?」
提督「では今回見事な働きをしてくれた雪風に引導を渡してもらうとしよう。雪風、例の資料を!」
部屋に入ってきた雪風。龍田の部屋にある、彼女の自前のパソコン画面を撮影した紙を机の上に並べる。垂れてきた冷や汗をハンカチで拭いだす龍田。
提督「お前の部屋に、海賊の頭領と思しき人物が訪れていた。お前の代わりに送金しようとしているところを捕えておいたよ。お前の同士に今まで稼いだ金を送るつもりだったんだろ」
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