【安価とコンマで】艦これ100レス劇場【艦これ劇場】

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483 :【46/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/24(日) 22:25:00.94 ID:WT3SGm150
飛龍「索敵機が帰還しました! 駆逐ハ級後期型が3隻、駆逐イ級・駆逐ロ級の後期型が2隻、軽空母ヌ級flagship2隻、戦艦タ級flagshipおよび戦艦ル級flagship各1隻、空母ヲ級flagship2隻……」

蒼龍「護衛要塞の存在も確認されています! また、要塞の先に見慣れない大型の深海棲艦が2隻との報告が。警戒して下さい!」

赤城「呉強襲の時もそうでしたが、敵艦隊からこれまでとは比べ物にならないほどの殺意を感じます。
あの要塞の背後にどんな恐ろしい相手が隠れているのかは想像もつきませんが……終わりにしてみせます! 第一次攻撃隊、発艦!」 バシュッ

大鳳「私たちも続きます! 第六○一航空隊、発艦始め!」 次々に艦載機を撃ち出して迫り来る敵機を迎え撃つ赤城たち

加賀「翔鶴、瑞鶴。貴方たちに実戦で物を教えるのは初めてかしら。……これが私の最後の教えになります」

普段の構えを解き、正面の敵艦隊へと大きく前進する加賀。普段の彼女の姿からはまるで想像もつかない無防備なその振る舞いは、ともすれば敵の的となりかねない。瑞鶴が叫ぶ。

瑞鶴「一体何をやっているの!? 単機で敵陣に突っ込んでいくなんて!?」

飛龍「加賀先輩が構えを解いた……“アレ”、をやるつもりみたいですね。
普段はあんなに朴訥で慎重な戦い方をするわりに、攻めに回ると一番苛烈で執拗……味方で良かったと心から思いますよ」

加賀「『守破離』。……型を守ることは大事です。ですが、それを踏まえた上でより既存の型を破り、より自分に合った型を確立させなければ私や赤城のようにはなれません。
……そして、やがてはその型からも離れ自分自身が熟練した技術そのものとなるのです」

加賀「だからこの戦い方は私にしか出来ないでしょうし、真似ようとは思わなくて結構です。私自身、ここぞという大一番以外ではやりませんしね。あまりにも危険すぎるので……」

空から降り注ぐ急降下爆撃の嵐を駆け抜けながら前へ前へと進み次々と弓を引いていく加賀、敵戦艦の射程範囲寸前まで辿り着くと、目を閉じて一呼吸置く。

加賀「今です」 バシュッ……シュォォォォォオオオオオ

加賀が艦載機を放つと、後ろから来る赤城の射出した機体の動きに呼応して螺旋状に回転する。直掩機として動いているようだ。
加賀の艦戦が赤城の機体を守るように廻りながら敵機を蹴散らし、赤城の艦攻がただひたすらに真っ直ぐに突き進んでいく。
艦攻が護衛要塞に接近すると、ありったけの雷撃を撃ち放して要塞を粉々に粉砕する。

加賀「やりました」 後退していく加賀にウインクを送る赤城。目を閉じながら噛み締めるように口角を上げニヤケ笑いを浮かべる加賀

赤城「上々ね。……さぁ、姿を現しなさい! この戦いの決着をつけましょう!」 加賀へ向けた微笑みの表情から一変、キッと鋭く大敵を睨みつける赤城

中間棲姫「…………」 髪をかきあげ、赤城を睨み返す

空母棲姫「ヒノ……カタマリトナッテ……シズンデシマエ……!」 どす黒い海の底から、グロテスクな見た目の航空機を生成していく

二体の“姫”クラスが場に現れると、戦場の空気はそれまで以上に重苦しく、深刻なものに変わっていく。
喉を握りつぶすようなプレッシャーが、体にこびりつくような絶望感が場を支配する。
二体の繰り出す200機を越える敵の艦爆や艦攻が空を埋め尽くす。

赤城「艦上戦闘機の用意をッ! 飛龍さん、蒼龍さんは左をお願いします! 私と加賀さんで正面を叩きます!」

加賀「五航戦、右翼の敵は貴方たちに任せます。やれますね?」 艦戦を矢継早に繰り出しながら二人に話かける

瑞鶴「わっ、私たちだけでぇ!?」

加賀「師匠の無茶振りぐらい応えてみせるのが弟子ってものよ」

翔鶴「……瑞鶴。やりましょう。随伴艦の皆さん、撃ち漏らした敵はお願いします!」 空母の傍に迫り来る敵艦載機を吹雪や秋月といった駆逐艦たちが片っ端から叩き落していく

・・・・

空は未だ艦載機が跋扈している。死を恐れぬ異形の集まりである敵艦でさえ動くことを躊躇っているほどの激しい空戦が繰り広げられている。
戦場を駆け巡る烈日の如き熱風に、秋霜の如き冷たい緊張感。対空装備のない艦娘たちは固唾を呑んで空の様子を見守っている。

瑞鶴「ッにしても……盆と正月が一片に来たみたいな歓迎っぷりね。忙しいったらありゃしない!」

翔鶴「にしては随分生き生きしてるじゃない?」

瑞鶴「そりゃあ最後の晴れ舞台ですもの! 一航戦の先輩には負けないわッ! ……っと翔鶴姉、矢借りるよ」 ひょいと翔鶴の矢筒から矢を奪う

翔鶴「えっ? あぁん、瑞鶴! 持っていかないでって……もう射尽くしたの?」

瑞鶴「『百発の矢で倒せない相手ならば、一千発の矢で射殺すまで』よ! 翔鶴姉は慎重すぎるんだってば! 勿体ぶってても、大破したらそれまでだわッ」

翔鶴「つ、都合の良い時だけ先輩の教えを引き出さないの! 『初心の人、二つの矢を持つことなかれ』……一矢一矢が全てを込めた絶対無二の一撃。無駄にしてはいけないわ」

瑞鶴「うっ……でも、無駄にはしてないわ。大丈夫よ」

瑞鶴「私ね……加賀さんの期待に応えたい。なぜアレを私たちに見せたのかは分からないけど……加賀さんの背中を見て、超えてみせろって言われている気がしたの。
だから私は……私なりのやり方で加賀さんを乗り越えてみせるッ! 今、ここで!」

翔鶴(……瑞鶴。そんな事を考えていたのね)

翔鶴「……分かったわ。好きなだけ持って行きなさい。私は残りの矢でなんとかするわ。ふふっ」 弓を構えながら微笑みかける翔鶴

瑞鶴「? どうしたのさ翔鶴ねえ。今のどこが面白かった?」

翔鶴「瑞鶴らしくて面白いなと思ったのよ。……でも、そうね。私も負けてはいられないわ」 遠く先の敵艦を見据え、真っ直ぐに矢を放つ

翔鶴(加賀先輩や赤城先輩の意志を受け継いで、私たちは前に進む……ッ! その先へ!)
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