【安価とコンマで】艦これ100レス劇場【艦これ劇場】

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470 :【41/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/05/10(日) 23:59:51.18 ID:Kyid1WEC0
提督「残念ながら、もう一度ワープを使って鎮守府まで戻ることは出来ない。ここに渦潮は無いからだ。ゆえに……」

ウィーン ガシャンガシャン ガコン! ガコン! ガゴゴゴゴゴ……。

提督「乗れ」 ピラミッド状だった船がジェット機のような姿に変形する

提督「道中でお前らが必死こいて充電してくれていたおかげでどうにか鎮守府まで飛べそうだな。プロビデンス改め……『イカロス』とでも名づけておこうか」

金剛「ワ、ワーォ……超展開。これなら最初からこのジェット機でここに向かっていれば早かったんじゃないデスカ?」

提督「片道しか飛べんのだ。ジェットエンジンのブレード……プロペラの羽が回転による疲労でぶっ壊れて途中で墜落してしまうからな。それに、バッテリーも熱を持ちすぎて使い物にならなくなる」 説明しながらコックピットに全員を乗せるよう促す

・・・・

提督「今ちょうど赤道を超えたあたりだな。予定では鎮守府まであと数時間……フタマルマルマルには着くといった見込みか」 操縦室前に呼び出した比叡らに話しかける提督

比叡「はっやいですねー。もうそんなに進んでたなんて! まだ1〜2時間ぐらいしか経ってないんじゃないですか?」

提督「ああ、速さと引き換えに安全性を犠牲にしたからな。仮にお前たちが艦娘でなかったら失神している程度の速力は出している」

比叡「サラッと怖いこと言わないで下さいよ! 重大な欠陥じゃないですか!」

提督「……そう。速さと引き換えに安全性を犠牲にしている。その為、走り出したらもう二度と止まれない」 珍しく焦っているような口調

提督「どうにもブレーキがイカれたらしい、30分ほど前から全く制御が効かない。こうして会話している間にも速度が増していっている。
想定を遥かに超える速度で飛行している……マッハ4〜5程度だろうか」

足柄「ちょ、ちょっと! 今更そんなことを伝えてどうするのよ! 乗る前に言いなさいよッ」

提督「対処法が浮かんでいない段階で話しても混乱させてしまうだけだからな。……とはいえ、黙っていてすまなかった。
金剛、比叡、足柄。お前たちはここで降りろ。ここからなら自力で鎮守府にも帰れることだろう。
機体後部のシェルターに移動してくれ。シェルターを機体から切り離し、海上へ不時着させる」

比叡「そ、そんな!? そんなことして大丈夫なんですか!?」

提督「100%と断言することは出来ないが、恐らく死なずには済むはずだ。こういう事態が起こった時のために作っておいたものだからな」

金剛「……信じてマスヨ? テートクッ!」 困惑する他の二人を半ば強引にシェルターに押し込む金剛

提督「皐月と文月は操縦室に来てくれ! なに、心中はさせんよッ!」

提督(俺がこの席を離れてしまったら、シェルターを無事に着水させることが出来ない。本来なら皐月や文月も行かせるべきだが……それをやってしまうと俺が生還出来るビジョンが見えないからな)

操縦桿を思い切り手前に倒す提督。機体は天頂の太陽めがけて突き進んでいく。機体の角度が90度に達した瞬間、シェルターは切り離される。
シェルターは垂直落下しながらも四方八方へ次々とパラシュートを繰り出していく。空気の摩擦熱や空力加熱の影響で一部のパラシュートは炎上しているが、シェルターはほぼ無傷の状態で着水。
金剛・比叡・足柄三名の無事を伝える通信がコックピットに届く。

提督「さて、次は我々の番だが……どうしたものか」 機体をぐるりと縦に旋回させ、唾を飲み込む提督

・・・・

機体は空の上を猛烈な速度で突き進んでいく。ぬいぐるみを抱えながらフルフルと震えている文月。

皐月「邪魔っ……文月ィ、だからぬいぐるみなんて持って来るなって言ったんだよ」

文月が抱きかかえているのは、全長約60cmほどのぬいぐるみ。間抜けた表情だがどこか憎めないような、奇抜だが愛嬌のあるぬいぐるみだった。
だが、二人分の席しか用意されていないコクピット内では、余計に空間を圧迫する存在だった(座席に座れない皐月は提督と文月の席の間に挟まるように座っている)。

文月「このダンボオクトパスちゃんが無いと落ち着かないんだってぇ〜……これがないと不安で不安で」

提督「なんだそれは? 深海に生息するタコの類のようだが……」

文月「メンダコ科グリムポテウティス属の一種で、ダンボオクトパスって愛称で呼ばれてるんですよ〜」

皐月「こ、こんな状況で雑談してる場合じゃないよ……」

提督「こんな状況だからこそ平常心が大事なのだ。窮状であっても心の拠り所があれば人は踏み止まれるハズだ」

皐月「分かったような分からないような……。司令官は真面目なんだか不真面目なんだかよく分かんないねぇ」

切迫していた雰囲気が一時的に緩む。状況はまるで改善されていないにも関わらず、皐月も文月も、そして提督も、徐々にパニックを脱していく。普段の冷静な感覚を取り戻しつつあった。

提督「文月、そのぬいぐるみはお前にとって大事なものなのだな。であるならば、そいつを傷つけないで脱出する方法を考えなければならないな。
着水寸前に機体を内側から破壊して脱出……と考えていたがそれは厳しいな。フゥーム、こいつを停止させるには……」

提督は思考する。
ブレーキは効かない。この状況下で下手にエンジンを切ったらどうなるか分からん。いや、角度さえ間違えなければあるいは……?
しかし、果たして超音速の世界でも通用するのだろうか……。失敗すればさらに酷い状況になるぞ、死に直結しかねない。
……いいや、そうじゃない。このまま進み続けた方がリスクは高い。エンジンやバッテリーがいつぶっ壊れてもおかしくない状況だ。
言うなれば時限爆弾を積みながら飛んでいるようなもの。……やはりこれが最適解ッ!

提督「ええいッ! ナムサンッ!」

操縦桿を握る。機体をやや上向きに傾ける。不時着予定の地点が映し出されたレーダーの映像を目に焼き付ける。エンジンを切る。
『イカロス』はグライダーや紙飛行機の要領で空を滑っていく。あぁ、これで良いはずだ、これで……!
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