【安価とコンマで】艦これ100レス劇場【艦これ劇場】

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442 :【31/100】 ◆Fy7e1QFAIM [saga]:2015/04/09(木) 21:53:23.80 ID:NczNGcm00
皐月(司令官に案内されて来たけど……執務室の下にこんな場所が建てられていたなんて……)

皐月が今立っている場所は鎮守府の地下深くに存在する洞窟である。この洞窟は海と繋がっていて、満潮時には洞窟一帯は水没してしまう。
執務室の地下施設の更に下層にあるこの場所は、金剛・比叡らの手によって大規模な実験場として改造されたのであった。

龍田「あらぁ〜? 久しぶりねぇ」

皐月「え゛? なんで龍田さんが……?」

天龍「表向きには処分された……ってことになってるんだっけか。おっと、オレの名は天龍。よろしくな」 皐月の肩をポンと叩く

雷「準備出来たわー」 遠くから声がする

龍田「じゃ、ついてきてもらえるかしら〜?」

龍田に言われるがままついていく皐月。青白く光る奇妙な装置の台座の上に立たされると、装置から拘束具が出現し、皐月の身体を固定したまま台座は高速で滑走、そのまま皐月を海上へと吹き飛ばしてしまう。

皐月「!? え、ちょ……おわッ!」 ガシャコン!

洞窟の方から飛んできた艤装を装着し、海上を滑る皐月。

皐月「????? ……なんなんだこれ? 前にアニメで見たや……うおおお!?」

足元の渦潮に足を取られてしまい、必死で抜けだそうとする皐月。

皐月「クッ……なんだってこんな所に渦潮があるんだよぉ!」

逃げようにも完全に渦潮に嵌ってしまっているため苦戦を強いられている皐月。

皐月「え? 何これ? ……向こうにも渦潮が? あっちにも……って、全部こっちに迫ってきてるぞぉぉ!?」

複数の渦潮が重なり合い、非常に大きな一つの渦となる。瞬く間に皐月はその中心に呑まれていった。

・・・・

医務室。皐月の横たわるベッドの上に座る提督。何かの設計図のようなものが描かれた厚紙を眺めながらうんうんと唸っている提督。

提督「……やはり渦潮を利用したワープは可能なのだな。だが、生身では安全性に難がある……か。どうにも猫並みの三半規管が無いとゲロ酔いしてしまうようだ」ブツブツ

皐月「し、司令官? 一体何がどうなってるの……?」

提督「目が覚めたか。すまないな、どうにも今回の『エーギル計画』は失敗だったようだ。天龍、やはり『プロビデンス』が必要なようだ。素材の調達を急いでくれ」

黄緑色の縁に、明るい水色の内装。彼には似つかわしくないポップな色合いの携帯電話で天龍と連絡を取る提督(使う人が使えばオシャレなのかもしれないが、この提督が持っていては奇抜以外の言葉は出てこないと皐月は思った)。

提督「おや、奴らから説明を受けてなかったか? 地下で会っただろう」

皐月「何にも説明されてないって! そもそも何でたつ……」

龍田、と言いかけた皐月の頭と顎を両手で挟み、強引に口を塞ぐ。

提督「一応その名前は執務室の地下以外で口にしてはならない。……そうだな、説明すると長くなるが、“あれ”が俺なりの処分だ」

提督「任は解いたし、立場上は一般人と変わらんよ。……が、それは立場上の話。言い方は悪いが、私兵という表現が最適になるか」

皐月(つまり……表向きには龍田さん達を処分したけれど、実際は地下施設内で自分の管理下においている……ということか)

皐月(確かに、天龍さん達を蘇らせるのが龍田さんの目的であって、提督はそれを達成してみせた……。龍田さん達が地下で提督の為に働いているのも、経緯から考えればおかしくはないことなのかもしれないな)

提督「今回お前に協力してもらったのは、“アノーニュムス”の、最初にして最後の作戦遂行の為の実験だ。実験の目的は既に足柄や金剛には話してあるが……念のためここで話すのはよしておこう」

提督「……この作戦が終われば、恐らく、人と艦娘の在り方さえも変えてしまうことになるだろう。それは果たして正しいことなのだろうか……。
皐月。もし深海棲艦がこの世から居なくなったら、これからお前はどうしたい? 勿論、そうなれば最終的には解体されて艦娘の頃の記憶は無くなるだろうが……」

皐月「うーん。突然そんなこと言われても困る、っていうか……。ボクは、とりあえず文月と居れればいいかな。後は……もっと色んな人の話を聞きたいかな。
ほら、ボク、ずっと訓練生だったから。まだまだ艦娘がどういうもんか分かってない所あるし……他の活躍してる艦娘たちが、どうやって過ごしてきたか興味あるんだよね」

皐月「戦いが終わったら今第一線で活躍してる人らも皆ヒマになるだろうなーって」

提督「……だろうな。……戦いが終わらない方が、殆どの艦娘にとっては喜ばしいことなのかもしれん」

皐月「ボクはボクでわりと気にしないけど……否定は出来ないね」

皐月「ただ、やっぱり、誰かが終わらせなきゃいけないものなんじゃない? 艦娘だってこの戦いを終わらせるために生まれたわけだし」

皐月「司令官がそれを出来る、というのであれば、やるべきだと思うよ。……何より、ボクがこの戦いを終えることに直接貢献出来た、なんて誇らしいからね!」

提督「……そうか。ま、そうだろうな。そうすべき、か」

提督(ああ、そうすべきだ。だが、不確定要素ばかりで先が見えないのがどうも気がかりだ……)
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