僕っ娘剣士「黙れ犬!僕を女扱いするな!」少年「でも、お嬢は女だし……」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:01:30.29 ID:ZPljtdP8O
剣と魔法が何よりも尊ばれるその世界では、学校の授業でそのどちらかを生徒本人が選択することが可能だった。
基本的に男の子は剣を、女の子は魔法を選択することが多いのだが、それは別段、男女における性格の相違からそのような傾向となっているわけではなく、身体的構造の違いからそれぞれ適した授業を選択しているに過ぎない。
無論、自在に魔法を操ることを夢見る男子や、そして剣の道を志す女子なども初等部低学年にはちらほら見受けられるが、成長していく中で諦める者がほとんどであった。
いかに器用な男子生徒でも女子生徒のように繊細に魔力を操ることは困難であり、そしていかに剣の筋の良い女子生徒でも男子生徒の筋力には敵わない。
それがこの世界の摂理である。
しかしながら、実のところ例外は存在する。
人類の敵である魔王が率いる悪魔で構成された魔王軍と交戦する最前線において、剣の姫と呼ばれる女性剣士はまさしく天下無双の強さを誇り、同じ戦場で地形を変えるほどの大規模魔法を涼しい顔で発動する魔法使いの性別が男だったりする。
「だから僕は剣の道を極める」
そんな英雄に憧れて、剣の道を極めんと息込むひとりの少女が剣の名門の中学に入学してきたことから、物語は幕を開ける。
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2
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:05:36.78 ID:ZPljtdP8O
「ここが剣の名門と名高い中学か」
その少女は奇妙な出で立ちをしていた。
校則で定められた女生徒用の制服を着用せずに、代わりに男子用の制服を着ている。
以下略
AAS
3
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:08:13.64 ID:ZPljtdP8O
「たのもー!」
中に入るや勇ましく声を張り上げる少女であったが、所詮は女の声であり、迫力はない。
「おやおや? どうしました。ここは女の子が来るような場所ではありませんよ」
以下略
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4
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:10:50.72 ID:ZPljtdP8O
「貰った!」
主人が自信満々に叫ぶのも無理はない。
この左右からの居合い抜きは無敵であり、これまで打ち破られたことはなかった。
以下略
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5
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:13:33.35 ID:ZPljtdP8O
「まだやりますか?」
「くっ……!」
眼前に切っ先を突きつけられて、少女は敗北を認めた。鋭い眼光で男を睨みつけながら。
以下略
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6
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:18:15.51 ID:ZPljtdP8O
「くそっ……! こんな筈では!」
「どんな予定だったんだよ?」
「真っ先にこの学校で一番強い奴を倒してから他の学校に遠征しにいく予定だったの!」
「お嬢のその自信はどこからくるんだ?」
「お前はもっと自信を持て!」
以下略
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7
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:21:54.06 ID:ZPljtdP8O
「そんじゃ、おやすみ」
犬が部屋の灯りを消すと、小さな声で。
「犬……一緒に寝て」
以下略
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8
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:24:07.42 ID:ZPljtdP8O
「おにぎりが食べたい」
「そりゃ俺も食いてぇけど……」
「作って!」
宿舎で出される食事はパンばかりで、魔王領に近い辺境出身の主人の口には合わない。
以下略
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9
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:27:34.12 ID:ZPljtdP8O
「お? あったあった」
米は思いの外、早く見つかった。
何軒か店を回って、目的の品を手に入れた。
あとは学校に戻って炊くだけなのだが。
以下略
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10
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:29:53.66 ID:ZPljtdP8O
「それで、何のご用でしょうか?」
「あ、実はこの米を炊きたくて……」
「コメ?」
キョトンと首を傾げる魔法調理師。
以下略
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11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:31:46.87 ID:ZPljtdP8O
「えっと、俺はこの間この学校に来た……」
「わんちゃんさんですよね?」
「は?」
「その首輪、とても似合ってます!」
「はあ……どうも」
以下略
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12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:33:20.75 ID:ZPljtdP8O
「よし。そろそろ火の勢いを弱めてくれ」
「がってんです!」
沸騰してきたので中火にして貰う。
微妙な火加減の調整もお手の物。
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13
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:37:04.50 ID:ZPljtdP8O
「あんたは魔法使いなんだよな?」
「はい! 魔法で料理を作ってます!」
「この目で見させて貰ったけど、あんな魔法の使い方があるなんて知らなかった。もしかして、実は凄腕の魔法使いとか?」
「はい! 実は私は凄腕なんですよ!」
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14
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:40:46.34 ID:ZPljtdP8O
「んん? 今、あそこの窓に誰か……?」
「さあ、わんちゃん! そろそろご飯が炊き上がったのではないですか? 良い時間です!」
「あ、そうだった! よし、上手く炊けた!」
犬が何分蒸らせば丁度良いのか伝えていないのに、魔法調理師はまるで炊き方を初めから知っていたかのようにジャストタイミングを知らせてきた。明らかに不自然である。
以下略
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15
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:43:44.75 ID:ZPljtdP8O
「ただいまー!」
「なぁにが、ただいまだ!」
犬が宿舎に帰ると主人が仁王立ちしていた。
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16
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:48:02.21 ID:ZPljtdP8O
「せっかく、作ったのに……」
犬は純粋な少年である。怒りよりも悲しい。
「たいして美味くはないかも知れないけど、それでも俺は……お嬢に食べて欲しかった」
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17
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:50:34.04 ID:ZPljtdP8O
「お腹、空いてませんか?」
時刻は真夜中。
疲れ果てた少年はその存在に気づいた。
いつからそこに居たのだろう。
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18
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:53:22.88 ID:ZPljtdP8O
「あの女……」
今まさに中庭で倒れ伏した犬の元に走り出そうとしていた主人は口惜しげに唇を噛んだ。
あれはきっと魔女だ。男を誑かす魔性の女。
調理室で少女は目撃した。魔女の大きな胸を掴む、犬の痴態を。スケベ。えっち。変態。
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:57:04.12 ID:ZPljtdP8O
「おや? ご自慢の飼い犬はどうしました?」
「どうでもいいだろ」
「ははあん。さては逃げられましたね?」
「黙れ! さっさと稽古をつけろ!!」
「ふふふ。これは相当荒れていますねえ」
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20
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 19:59:31.99 ID:ZPljtdP8O
「抜け。言葉は不要だ」
「の、望むところだ!」
それから白い生徒との修行が始まった。
これまであの胡散臭い師匠はなんだかんだ言っても要所要所で理論を説明してくれた。
以下略
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21
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/19(土) 20:01:57.71 ID:ZPljtdP8O
「起きろ」
「うわっ!?」
顔面に冷水をかけられて覚醒した。
強かに打たれて、頭がガンガンする。
以下略
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