僕っ娘剣士「黙れ犬!僕を女扱いするな!」少年「でも、お嬢は女だし……」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/19(土) 19:33:20.75 ID:ZPljtdP8O
「よし。そろそろ火の勢いを弱めてくれ」
「がってんです!」

沸騰してきたので中火にして貰う。
微妙な火加減の調整もお手の物。
やはり、魔法とはすこぶる便利である。

「あとはもう火を止めていい」
「完成ですか?」
「いや、このまま余熱で蒸らすんだ」
「ほほう。なかなか手間がかかりますね」
「手間がかかる分、美味しくなるんだ」

犬の少年は知ったようなことを言う。
とはいえ、あとはただ待つだけである。
なので、魔法調理師は雑談を始めた。

「わんちゃんさんは剣士なのですか?」
「わんちゃんさんっておかしくない?」
「じゃあ、わんちゃんは剣士なんですか?」
「ああ。たしかに俺は剣士だ」

わんちゃん呼ばわりを意に介することなく、剣士の証である腰の刀を抜いて見せた。

「わあ! 綺麗な剣ですね!」
「だろう? これはカタナと言って……」
「興味ありません!」
「あ、そう……」

愛刀を褒められて気分を良くした犬は次の瞬間には落胆して、泣く泣く刀を鞘に収めた。


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