1: ◆9Vso2A/y6Q[saga]
2018/02/08(木) 14:38:54.89 ID:NWn4bXkJ0
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503749258/
↑の続き
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:39:57.45 ID:NWn4bXkJ0
【届けたい何か】
「それでさ」と部長さんは本題に入ろうと話を切り替える。
3:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:40:50.22 ID:NWn4bXkJ0
「私も何かでストーリーを考える時によくやるの。
まず最初に頭の中でイメージを膨らませて、それからそれを絵にしたり、文字に起こしたり、
一次創作は勿論そうだし、原作のある二次創作ならなおさらね」
4:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:41:27.60 ID:NWn4bXkJ0
「いわゆる、イラストノベル? みたいな形にできたらなって思うんです。
それだったら、文を書き終えさえすれば、普通の短編にはなりますから」
"私"ではなく"締切"という面での完成に焦点を当てた場合の保険を口にする。
5:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:42:05.78 ID:NWn4bXkJ0
「一枚にかける時間は?」
「えっと、三から四のつもりです」
6:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:42:46.93 ID:NWn4bXkJ0
そんなのおためごかしではないかと問われれば、たしかにそうなのかもしれない。
でも、私は届けたい。私の精一杯を、側で見ていてくれる彼女に届けたい。
「うん」
7:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:43:32.78 ID:NWn4bXkJ0
彼女は私を見下ろしていて、私は彼女を見上げている。
背伸びしなくてもいいように屈んでくれている状態が、いつのまにか普通になっていたことに気がついた。
「それって」と言いながら、私は椅子にもたれていた背中を外して、彼女の手を引っ張る。
8: ◆9Vso2A/y6Q[saga]
2018/02/08(木) 14:44:36.67 ID:NWn4bXkJ0
少ないですが今回の投下は以上です。
完結までもう少しだけお付き合いください。
9:名無しNIPPER[sage]
2018/02/08(木) 15:35:03.24 ID:mFWRRkej0
乙!
今更だけど、前スレの最後こっちに誘導すれば良かったんじゃ
10:名無しNIPPER[sage]
2018/02/09(金) 11:52:46.41 ID:mUKsCTUnO
新スレ乙!
11:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:02:01.21 ID:rPbMqZ0L0
【変化】
もうすぐ十九時を回ろうかという頃になると、部室には全員が揃っていた。
12:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:02:55.97 ID:rPbMqZ0L0
彼女は絵を描いていた。
あんなに、描けないと言っていたはずの。
すらすらと、脇目も振らずに、ただまっすぐ目の前の紙に鉛筆を滑らせるその姿からは、以前彼女が語っていた"恐怖"は一切見受けられなかった。
13:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:04:11.08 ID:rPbMqZ0L0
「これ食べる?」と。
「あ、いただきます」と。
「はい、あーん」と。
14:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:05:28.65 ID:rPbMqZ0L0
いや、あれは甘すぎる。キャンディーよりもチョコレートよりも、
メイプルシロップとホイップクリームがこれでもかというくらい乗ったパンケーキよりも、だだ甘い。
目の前の先輩のことなんて気にならずに(おもしろいとは思ったけれど)、先ほどの光景を反芻していると、ネクタイをぐいっと掴まれる。
15:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:06:26.01 ID:rPbMqZ0L0
そう宣言するように叫んで、萩花先輩はつかつかがらっと扉を開け、迷わず隣へ座り肩を寄せた。
「それ、私も食べたい」
16:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:07:08.82 ID:rPbMqZ0L0
気付けば甘い空気は消えていた。砂糖菓子の匂いは残っていたけれど、空気という面で考えれば、そこで何かしらの行動を東雲さんが取れば甘さは持続したのに。残念。
彼女は先輩二人のことなんて気にも留めずに、イヤフォンをかけて音楽を聴いていた。
まあそれもそうか、とまた自分の作業に戻ろうとしたが、今度は反対側からのノックの音で遮られた。
17:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:07:44.07 ID:rPbMqZ0L0
場の空気に溶け込んではいるから、まったくもって慣れていないわけではないんだろうけど、
ここにいるのはみんな年上だし、一人を除いて黙々と作業をしているから、声をかけづらいことは間違いない。
俺もここに来てからは寝る前と朝起きてからの挨拶くらいで、ほとんど会話らしい会話を交わせていない。
18:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:08:26.07 ID:rPbMqZ0L0
「お金渡すから私の分もよろしく」と胡依先輩が手をあげて言えば、
「私のも、ちょっと手が離せないからお願いできるかな」と東雲さんがそれに続く。
二人がそうなら、みんなの分を買ってくるのが正解かと頭の向きを変える。
19:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:08:59.52 ID:rPbMqZ0L0
「おまえは?」
五人分ともなると、結構な荷物になるだろう。
それほど距離はないから二人でも問題ないが、部員以外の(関係ないかもしれないけれど)奈雨に重いものを持たせるのはあまり気が進まない。
20:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:09:46.34 ID:rPbMqZ0L0
奈雨は既に上着を羽織っていて、もう外へ行く準備は万端らしい。
続いて立ち上がったところで、目の前に何かが差し出された。
「これでよろしく!」
21:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:10:16.58 ID:rPbMqZ0L0
【食紛争】
鍋たって材料は決まっているようなものだしさっさと済ませよう、と考えてはいたのだが、スーパーを出て時刻を確認すると二十時をとっくに過ぎてしまっていた。
341Res/257.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20