6:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:42:46.93 ID:NWn4bXkJ0
そんなのおためごかしではないかと問われれば、たしかにそうなのかもしれない。
でも、私は届けたい。私の精一杯を、側で見ていてくれる彼女に届けたい。
「うん」
と彼女は満足げに頷く。発した言葉に悩む余裕を与えてくれないまでの早さで。
「ね、シノちゃん。私からも一つだけお願いしていいかな」
「……はい」
「私がシノちゃんを見てる間は、シノちゃんも、私のことを見ててほしいの」
「……」
何も考えずにそのまま受け取っていいはずなのに、そこに他意はないはずなのに、私は彼女の様子に若干の据わりの悪さを感じた。
いつも通りの、明るい声音。
包み込むような、柔らかな笑み。
癖なのだろうか、言葉を切ると同時にくいっと手を引かれる。
一見すると何も変わらないように思えて、けれど唯一いつもと違っていたのは、私と目線が合っていないこと。
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