7:名無しNIPPER[saga]
2018/02/08(木) 14:43:32.78 ID:NWn4bXkJ0
彼女は私を見下ろしていて、私は彼女を見上げている。
背伸びしなくてもいいように屈んでくれている状態が、いつのまにか普通になっていたことに気がついた。
「それって」と言いながら、私は椅子にもたれていた背中を外して、彼女の手を引っ張る。
予期していなかった行動だったのか──私自身も無意識のものだったけれど──彼女の身体は存外簡単に、てこのようにこちらへと近付く。
「べつに、今と変わらないですよね?」
肩の位置を合わせてそう発すると、部長さんはじっと私を見つめて、先に窓の方へと目を逸らした。
「うん。……よろしく」
頬をぽっと朱に染めて、ごにょごにょと小さい声で紡ぐ言葉に、私まで少し気恥ずかしくなる。
彼女がたまに見せる素の反応は、とても少女的で、かわいらしくて、
口元が自然に緩むと同時に、自分の心のなかの一部が、静かに揺らめいたように思えた。
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