17:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:07:44.07 ID:rPbMqZ0L0
場の空気に溶け込んではいるから、まったくもって慣れていないわけではないんだろうけど、
ここにいるのはみんな年上だし、一人を除いて黙々と作業をしているから、声をかけづらいことは間違いない。
俺もここに来てからは寝る前と朝起きてからの挨拶くらいで、ほとんど会話らしい会話を交わせていない。
今は何をしているんだろう、と向き直ると、彼女もまた文庫本を片手にこちらを見ていた。
目線でどうしたのかと訊ねると、奈雨は「お」と口を開けて手をひらひら振る。
それからきょろきょろ辺りを見回して、すーっと部室の扉を指差す。
どうやら外に出たいらしい。
「どっか行くか?」
「うん。ちょっとお腹すいた」
「ファミレス?」
「えっと、軽くでいいかな」
「じゃあコンビニでいいか」
「ん、わかった」
短いやり取り。それでも周りが静かだったから目を引く。
じとっとした目。生温かい目。戸惑ったような目。なぜか気まずい。
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