1:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:08:35.58 ID:xHPbDruOo
私には、みんなに言えない秘密が、1つある。
それは私が、実は「人間じゃない」ってこと…。
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凛「ここのラーメンが絶品なんだにゃー」
ラーメン屋ののれんをくぐり、店内に入ったところで
まるで我が家を紹介するかのように、自慢げに話し始める凛。
そんな凛に続いて店内に入ってきたのは、にこと花陽、そして真姫だ。
にこ「あんた、ラーメンならなんでもいいんじゃないの?」
凛「む〜っ。違うよ〜。凜はこれでも結構料理の味にうるさいんだよ?」
花陽「ふふっ。にこちゃん、ほんとだよ。
凛ちゃんって、私のおにぎりの握り方や塩加減も
その日のおにぎりを一目見ただけでわかっちゃうくらいなんだから」
にこ「…それは…どうなのよ?」
ラーメン屋の店主「はい、ご注文どうしましょう?」
凛「ここはこの注文で決まりにゃ。『とんこつラーメン、にんにくあり』で!」
にこ「え〜、にんにく〜? にこ、そんなの困っちゃう〜」
花陽「え?にこちゃん…まさか、これから男の人と…」
凛「はい、にこちゃんとかよちんも同じ注文ね」
にこ「ちょっと!別にこの後、何の予定もないけど、少しは疑いなさいよ!」
凛「はいはい。で、真姫ちゃんは?」
真姫「…」
凛「真姫ちゃん?」
真姫「…ご、ごめん。私、どうしてもにんにくが苦手で…」
凛「…あ、そうなの? で、でも、ここのラーメンはにんにくを抜いても十分おいしいから、絶対おすすめなんだにゃー!」
真姫「…うん。じゃあ、チャーシュー麺、にんにく抜きで」
店主「あいよーっ!」
にこ「あ、肉はがっつり系なのね…」
花陽「私はライスもお願いしますっ!」
にこ「あんたもぶれないわね!」
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2:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:09:08.17 ID:xHPbDruOo
そう、私は人間ではないのだ。
でも普通の人間と同じように暮らしている。
ただ一つのことを除いては…。
3:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:09:37.81 ID:xHPbDruOo
私たちの種族が正体を隠しているのには理由がある。
まずは、人間たちの閉鎖性。
彼らは、自分たち以外の知能の高い生命を決して認めはしない。
4:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:10:04.00 ID:xHPbDruOo
私たちは恐れている。
自分たちの正体が人間にばれてしまうことを。
5:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:10:34.33 ID:xHPbDruOo
本当なら、目立たず、騒がず、
静かにひっそりと生きていくべきなのだろう…。
しかし、なぜ私たちが人間たちの顔色をうかがいながら、おとなしく生きていかなければいけないのか。
以前から一族の生き方に疑問を感じていた私は、最近、人間たちの世界に積極的に関わろうとしている。
6:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:11:00.72 ID:xHPbDruOo
闇にまぎれて潜むように生きてきた今までとは、まったく違う体験。
私たちの歌声に、私たちの踊りに、みんなが笑顔や歓声を返してくれる!
ライブの後、私は自分の胸の鼓動の速さにいつも驚かされている。
7:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:11:27.51 ID:xHPbDruOo
話の巧拙はともかく、やり口は完全に私たちのそれだ。
だけど、神に…いや、違うわね、一族に誓って、
「私は吸っていない」。
それだけは確かに言える。
8:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:11:57.41 ID:xHPbDruOo
雑談は終わり、いつも通りの練習が始まる。
9:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:12:25.67 ID:xHPbDruOo
最近、少しだけわかってきたことがある。
「今を精一杯楽しむ」という感覚。
それは、私たち一族の生き方にはなかったものだ。
10:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:12:53.78 ID:xHPbDruOo
…たしかに、上を見れば私たちよりも優れたパフォーマンスをするグループや、
私たちより上手に歌うグループはたくさんいるだろう。
昔の私なら、彼女のように、自分たちの不甲斐なさに怒っていたかもしれない。
でも今の私は、少し冷めた目で彼女を見てしまっている。
11:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:13:23.23 ID:xHPbDruOo
私の歩幅は、こんなに広かっただろうか。
普段の歩幅は思い出せないけど、いつもと違うスピードで歩いているのはわかる。
どうやら今日のあの子の言葉に、気持ちが乱されているようだ。
12:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:13:57.30 ID:xHPbDruOo
うまく寝付けずにふらふらと夜の街をさまよっていた私は、
今、目の前の少女のダンスにぼんやりと見惚れていた。
弱々しい灯りに照らされながら、額に汗を浮かべて一心に踊るその少女の姿は、
まるで、大勢のお客さんの前でスポットライトを浴びながら踊っているように真剣で…。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:14:42.49 ID:xHPbDruOo
ベンチに座って、目の前の女の子と話しながら、
私の心には、さっきの疑問が再び湧きあがっていた。
私たち自身がライブを楽しんで、そして観客も楽しんでくれるなら、それでいいじゃない?
14:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:15:21.35 ID:xHPbDruOo
そうか。私がμ’sにこだわる理由が今になってやっとわかった。
スクールアイドルについて熱く語る目の前の少女の真剣な表情を見つめていた私は、ようやく納得する。
15:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:15:48.61 ID:xHPbDruOo
ふと夜空を見上げると、そこにはまんまるのお月様。
ざわりと全身に悪寒が走る。
だめだ、満月だけはいけない!
16:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:16:20.36 ID:xHPbDruOo
自分の行動を、少し離れた位置からぼんやりと眺めているような感覚。
そういえば、今の私の状態をわかってもらえるだろうか。
17:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:17:13.13 ID:xHPbDruOo
あと少しで首筋にたどり着く。
ああ、この白い首筋に歯を突き立てて、この子の血を思う存分吸い尽くしてあげよう。
もう後のことなんて知らない。
18:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:18:08.34 ID:xHPbDruOo
…ああ、私は、なんてことをしてしまったのか。
目の前にぐったりと横たわる少女。
その首筋からは、赤い線が滴り落ちている。
19:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 11:59:28.95 ID:VTThAZwSO
ハノケチェン…
20:名無しNIPPER[sage]
2017/10/26(木) 18:38:24.22 ID:gnm0TtGL0
はよ
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