【ラブライブ】満月の夜に
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18:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:18:08.34 ID:xHPbDruOo
…ああ、私は、なんてことをしてしまったのか。


目の前にぐったりと横たわる少女。
その首筋からは、赤い線が滴り落ちている。



でも…。私はあの瞬間を頭の中で反芻して軽く身悶える。

なんて素晴らしいひとときだったのだろうか。
穂乃果の血が私の口中に広がった瞬間、私はこれまでに感じたことのないほどの幸福感を味わっていた。
この世にこんなに美味しいものがあったなんて…。
それに、血を吸う前の、穂乃果の笑顔…。
あの素敵な笑顔に、私の理性は…。


と、横たわっていた穂乃果がむくりと体を起こした。


大丈夫かと声をかけようとする私に、穂乃果はにこりと笑顔で答える。



「おはようございます、マスター」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

にこ「ったく、なんの冗談なのよ!」

真姫「ご、ごめん」


ベンチから立ち上がり、パタパタと服をはたくにこ。
そして同じようにベンチから立ち上がり、所在無さげに髪をくるりんする真姫。


それは、真姫にとって初めてのことだった。
血を吸う直前で、吸血を止めるなんて。


真姫(なんでだろう…)


真姫は自問する。
人の血を吸うことを覚えてから、真姫にとって人間はただの道具にすぎなかった、
それなのに、今は、今だけは、その本能に抗いたいと思ってしまった…。


にこ「まあ、メンバーすら虜にする、宇宙ナンバーワンアイドルの魅力のせいってことかしらね?」


おどけながら笑顔を見せるにこ。
そして、そんな笑顔につられてしまう真姫。

真姫「ふふっ、なに言ってるのよ。ちょっと足がもつれて倒れちゃっただけなんだから」


そう言いながら、真姫は心の中で安堵する。


真姫(ああ、この笑顔だ。この笑顔を、私は失いたくなかったんだ)



真姫が空を見上げると、そこには、まんまるのお月様。
胸のざわめきを押し殺しながら、真姫は初めて、夜というものはこんなにも静かだということに気がついたのだった。


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