12:名無しNIPPER[sage]
2017/10/23(月) 01:13:57.30 ID:xHPbDruOo
うまく寝付けずにふらふらと夜の街をさまよっていた私は、
今、目の前の少女のダンスにぼんやりと見惚れていた。
弱々しい灯りに照らされながら、額に汗を浮かべて一心に踊るその少女の姿は、
まるで、大勢のお客さんの前でスポットライトを浴びながら踊っているように真剣で…。
特別に上手な踊りというわけではないけれど、一心不乱に踊る姿には見るものを引きつける不思議な力があった。
ライブが終わったばかりなのに、
からだはくたくたに疲れているはずなのに、
審査員や観客がみているわけでもないのに、
それでも、あんなに一生懸命に踊ってるなんて。
なによ…少しだけ、格好いいじゃない。
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どのくらいの時間、真姫は、にこの踊る姿を眺めていただろうか。
やがて、にこは踊りを止めて、公園のベンチに置いてある「や〜い、水」のペットボトルを取ろうとして、
ベンチの向こう側に立つ真姫の存在に気がついた。
にこ「げっ!」
真姫「…ちょっと、『げっ』ってなによ! 私が見てちゃいけなかったわけ?」
にこ「いや、別に、そういうわけじゃないけど…な、なんか、恥ずかしいじゃない!」
真姫「何よ、今更」
そうして2人は、どちらから言い出すわけでもなく、
公園のベンチに隣り合ってちょこんと座り、ぽつりぽつりと話し始める。
にこ「どこから見てたのよ?」
真姫「ついさっき、にこちゃんが2つ前の曲を踊ってるところからよ」
にこ「ふ〜ん」
真姫「…なかなか上手だったじゃない?」
にこ「は?なんで上から目線なのよ?」
真姫「『私に言わせれば、あんな踊りでラブライブに出場しようだなんて、甘すぎるわね!』」
にこ「もしかして、絵里の真似のつもり?…」
真姫「…似てない?」
にこ「ぷっ、全然似てないわよ」
真姫「ふふっ、そっか」
ひとしきり笑いあった後、2人の間に唐突に訪れる沈黙。
その沈黙に耐えかねてか、ペットボトルの口を開けてごくりと水を飲むにこ。
勢いが強すぎたのか、水が口元から少しあふれて、あごを伝い、首筋にまで垂れていく。
そして真姫は、にこの口元を…いや、流れ落ちた水でぬらりと濡れるにこの首筋をじっと見つめているのだった。
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