忍野扇「だから忘れないでください。この愚か者」阿良々木暦「ああ……わかった」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:18:35.36 ID:hAYTqdlSO
『えへへ、来ちゃった』
『おお、よく来たな、千石。まあ、上がれよ』

あれはまだ、僕と千石との関係が破綻する前。
自宅に訪れた千石を、僕は自室に連れ込んだ。
僕が知る千石撫子は長く伸ばした前髪で目を隠していて目立たず大人しい女の子だったのだが、その日の彼女は珍しくヘアバンドをつけて前髪を上げていた。可愛らしい顔立ちだった。

「ふむふむ、なるほど。気合い充分ですね」
「あれは千石なりの気合いだったのか?」
「それはもちろん。落とす気満々ですよ」

今更そう言われても、もうどうにもならない。
僕はどうやら俗に言う鈍感系主人公らしいので、前髪を上げキャミソール1枚でミニスカートを穿く千石の気合いとやらに気づけなかった。

「いえいえ、ちゃんと気づいていましたよ」
「いやいや、全然気づかなかったよ」
「またまた、謙遜は要りませんって」
「君は僕の何を知っているんだ、扇ちゃん」
「私が知っているのは、愚か者には罪が憑き物だということだけです。なのであなたの罪は、愚かなあなた自身がよくおわかりでしょう? 」

愚か者の罪物語。
愚か者には罪が憑き物。
この物語に名前を付けるならばまさに。

そのタイトルが相応しいと、愚かにも思った。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:21:14.48 ID:hAYTqdlSO
『暦お兄ちゃん! ツイスターゲームしよ!』

いつもと違い女性的な魅力を前面に押し出してくる千石であったが、その発想力は所詮中学生というべきもので、愚かにもこの僕に対してツイスターゲームを挑むという愚行を犯した。

「愚かですねぇ。魂胆が前髪透けて見えます」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:24:21.30 ID:hAYTqdlSO
『うう……どうしよう。足が届かないよぉ』
『おいおい、千石。もう降参か?』

思いの外簡単に、あっさり趨勢は決した。
千石の身体は柔らかいけれど小柄である。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:26:20.29 ID:hAYTqdlSO
『僕が支えてやろうか?』
『えっ!? い、いいの?』
『ああ、安心して任せろ』

あの時、不安定な千石を僕は支えてやった。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:28:10.57 ID:hAYTqdlSO
『暦お兄ちゃん……』
『どうした、千石。顔色が悪いぞ』

ゲームを続行して、しばらく経った頃。
千石の顔色が悪いことに僕は気づいた。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:30:00.03 ID:hAYTqdlSO
『どうしてブルマーを穿いているんだ?』
『暦お兄ちゃんに褒めて欲しかったから……』

ブルマー姿の扇ちゃんを見て思い出した。
あの時、千石もブルマーを穿いていた。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:31:35.01 ID:hAYTqdlSO
『実は今朝からお腹が痛くて……』
『そう、だったのか……』
『お部屋を汚しちゃってごめんなさい』

あの日、ゲームに没頭していた僕の耳に。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:32:58.63 ID:hAYTqdlSO
『大丈夫だ、千石。僕は何も見なかった』
『ほんと……?』
『ああ、何もなかったんだ。だから大丈夫』

僕はその日の出来事を全て忘れることにした。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:34:06.52 ID:hAYTqdlSO
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅぅ〜っ!

「フハッ!」

ブルマーごしに、肌に伝わる生温かさ。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:35:14.90 ID:hAYTqdlSO
「どうして再び、罪を繰り返したのですか?」
「は?」
「まさか憔悴し切った阿良々木先輩が懲りずにまた盛大に哄笑するとは思いませんでしたよ」

何を言っているんだこの子は。理解出来ない。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:36:39.90 ID:hAYTqdlSO
後日談というか、今回のオチ。

「みっともない姿を見せて、ごめん」
「いえいえ、目の保養になりました」

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:38:06.13 ID:hAYTqdlSO
「事故ではなく、事件ですけどね」
「せめて事案に留めておいてくれ」

泣く泣くそう願い出ると、扇ちゃんは少し考えるそぶりを見せてから、きっぱりした口調で。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:38:51.73 ID:hAYTqdlSO
おまけ

「意味なんてないわよ」

友達はいらない。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:40:00.84 ID:hAYTqdlSO
「どうして雨なのにシーツを干してるんだ?」
「だから、意味なんてないわよ。嫌いだもの」

ベランダに干してあったシーツに目が留まる。
今日は土砂降りなので、乾く兆しはなかった。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:41:14.75 ID:hAYTqdlSO
「なんで急にシーツを洗濯したんだ?」
「意味なんてないって言ってるでしょ」

最寄りのコインランドリーにて、濡れたシーツを乾燥機に入れ、ドラムがグルグルと回転する様子を眺めながら、乾くまで手持ち無沙汰な僕と老倉は、一見雑談とも見て取れるものの、その実、完全に一方通行な独り言を呟き合った。

以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:42:35.98 ID:hAYTqdlSO
常時情緒不安定な老倉育は、俯いて何やら考え込んでいたり、そして忍笑いをしてみたり、かと思えば頭を抱えて恐慌状態に陥ったりする。

「うう……阿良々木におねしょがバレた。恥ずかしい。死にたい。消えてなくなっちゃいたい」

一見すると狂人じみてはいるが、今となってはそれを彼女の個性として僕は受け入れ、あまり心配することなく、黙って落ちつくのを待つ。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:44:07.08 ID:hAYTqdlSO
「阿良々木」
「なんだよ」
「今すぐ消えて」

僕は消えない。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:45:19.82 ID:hAYTqdlSO
「子供が欲しいわ」

乾燥機が止まり、さあシーツを回収しようとした矢先、老倉育がおかしなことを口走った。

「どこかに落ちてないかしら」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:46:39.33 ID:hAYTqdlSO
「ひとまず」

老倉育は自分の考えを総括するように呟いた。

「何よりも先決なのは、子供の前で今日みたいにおねしょをしないようにすることよね」
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:47:41.09 ID:hAYTqdlSO
「阿良々木」
「なんだ?」
「もう二度と嗤わないで」
「どうしてだよ」
「幸せそうに悦に浸るお前が嫌いだから」
以下略 AAS



21:名無しNIPPER
2020/01/29(水) 01:03:18.82 ID:6cdsBbTS0
余接がノーパンで阿良々木が尻子玉食われるの書いた人か


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