忍野扇「だから忘れないでください。この愚か者」阿良々木暦「ああ……わかった」
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:41:14.75 ID:hAYTqdlSO
「なんで急にシーツを洗濯したんだ?」
「意味なんてないって言ってるでしょ」

最寄りのコインランドリーにて、濡れたシーツを乾燥機に入れ、ドラムがグルグルと回転する様子を眺めながら、乾くまで手持ち無沙汰な僕と老倉は、一見雑談とも見て取れるものの、その実、完全に一方通行な独り言を呟き合った。

「阿良々木の息の根を止める夢を見たのよ」
「へぇ……それはなんとも、縁起が悪いな」
「すごく気持ち良くて、おねしょをしたの」

老倉育が今、なんと言ったのかは知らない。
少なくとも断じて僕の耳には届いていない。
そういうことにして、独り言に耳を傾ける。

「阿良々木」
「ん?」
「今の、聞かなかったことにして」
「ああ。わかってるよ」

老倉の独り言に、僕は相槌を返す。
すると彼女は何やらモジモジして。
僕の袖をくいくいっと引っ張った。

「阿良々木」
「なんだよ」
「やっぱり聞いて」
「ちゃんと聞いてるよ」
「聞かなかったことにしてって、言ったのに」

僕は呆れない。
溜息を吐かない。
不器用な老倉の隣で、聞こえないふりをする。


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