忍野扇「だから忘れないでください。この愚か者」阿良々木暦「ああ……わかった」
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16:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:42:35.98 ID:hAYTqdlSO
常時情緒不安定な老倉育は、俯いて何やら考え込んでいたり、そして忍笑いをしてみたり、かと思えば頭を抱えて恐慌状態に陥ったりする。

「うう……阿良々木におねしょがバレた。恥ずかしい。死にたい。消えてなくなっちゃいたい」

一見すると狂人じみてはいるが、今となってはそれを彼女の個性として僕は受け入れ、あまり心配することなく、黙って落ちつくのを待つ。

「阿良々木。そこに居るの? ねえ、阿良々木」

老倉育はしきりに僕の名を呼ぶ。
そして僕が隣に居ることを確かめる。
時折、おずおずと袖口を引っ張る。

「阿良々木、耳を塞いで」

僕が黙って乾燥機を眺めていると、彼女は安心したように綺麗なハミングで鼻歌を奏でた。

それは先日、数ある物語シリーズの楽曲の中で、僕が個人的に気に入っている扇ちゃんのテーマ曲を老倉に聞かせたもので、正確な旋律から察するに、その日以来、お風呂にでも浸かりながら口ずさんでいたのかも知れないと想像すると、この不器用な幼馴染が愛おしく思えた。

「別に、意味なんてないわ」
「ああ、わかってる」
「意味なんて、嫌いだもの」

友達はいらない。
友達を作ると、人間強度が下がるから。
しかし果たして、友達が居なかった僕は、人間として高い強度を持ち合わせていただろうか。

「私は阿良々木が嫌い」

全てに対し、嫌いと嫌いが嫌いで嫌いの嫌いへ嫌いな嫌いは嫌いを嫌いだと口にする彼女は。

「私は私のことが嫌い」

手を握りたいけれど、握ったら壊れてしまいそうで、人間としての強度は感じられなかった。


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