忍野扇「だから忘れないでください。この愚か者」阿良々木暦「ああ……わかった」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/10/26(土) 22:38:06.13 ID:hAYTqdlSO
「事故ではなく、事件ですけどね」
「せめて事案に留めておいてくれ」

泣く泣くそう願い出ると、扇ちゃんは少し考えるそぶりを見せてから、きっぱりした口調で。

「いけませんね。揉み消しは認めません」

と、言ってから、わざとらしく胸を隠しつつ。

「揉ませませんよ」

なんて言われると僕としても、そもそも君に揉めるくらいの胸があるのかと言いたくなるもので、しかしそれを口にしたらそれこそ事案が発生して、事件となり、立件されてしまいそうな気がしたので、やむなく黙秘権を行使した。

「それと、最も大切なことなのですが」
「まだ何かあるのか?」
「私は阿良々木先輩とこうして戯れ合った思い出をなかったことになんてしたくありません」

そう言って、扇ちゃんは萌え袖で包まれた存外温かい手のひらで僕の両頬を挟み込み、昏い瞳を閉じ、額をこちらの額にコツンとぶつけて。

「だから忘れないでください。この愚か者」
「ああ……わかった」

たとえ、どんな罪を犯しても。
たとえどれだけ罪を重ねても。
それを背負い忘れないことが。

愚かな僕に課せられた使命であると理解した。


【罪物語】


FIN


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