1:1[saga]
2018/03/20(火) 20:55:29.54 ID:NiGcwUvh0
0. プロローグ
モノトーンだった日々に、渇いた日常に水滴が垂らされた。
水滴は光を選り分け、7色の虹を作る。
水滴は私の心を濡らし、潤してゆく。
これはあなたの水滴の物語。
これは私たちが願い探し求め、辿り着いた最後の世界の物語。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:1[saga]
2018/03/20(火) 21:05:41.16 ID:NiGcwUvh0
けいおんクロスss『白金の空』第二部です。
第二部は四月は君の嘘とのクロスオーバーです。
第一部はこちらです
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1521297992/
3:1[saga]
2018/03/20(火) 21:06:23.89 ID:NiGcwUvh0
【中学時代】
1.
4:1[saga]
2018/03/20(火) 21:07:27.40 ID:NiGcwUvh0
2.
「なんで……泣いてるんですか?」
私は2階の少女に、心持ち背伸びをするように話しかけた。
5:1[saga]
2018/03/20(火) 21:08:08.82 ID:NiGcwUvh0
3.
「何をやってたんですか?」
私は少女が階段から降りてくるのを待って、そう切り出した。私たちは帰るために生徒玄関へ向かう。
6:1[saga]
2018/03/20(火) 21:08:35.49 ID:NiGcwUvh0
4.
「平沢先輩、アイス食べて行きませんか?」
平沢先輩はぎこちなく私の隣を歩いていて、私の言葉を聞いて不思議そうにする。
7:1[saga]
2018/03/20(火) 21:12:13.62 ID:NiGcwUvh0
5.
「アイスがそんなに珍しいですか?」
二段アイスにがっつく平沢先輩を横目に、私はちまちまと山を崩していった。
8:1[saga]
2018/03/20(火) 21:13:10.89 ID:NiGcwUvh0
6.唯side 同日夜
「どうしたの? お姉ちゃん」
「ん、なにが?」
9:1[saga]
2018/03/20(火) 21:14:17.63 ID:NiGcwUvh0
7.梓side 次の日 昼休み
私はお弁当を持って二階の廊下を歩く。入学したばかりの中学校は、とても広く感じた。
「失礼しまーす……」
10:1[saga]
2018/03/20(火) 21:14:55.80 ID:NiGcwUvh0
8.
他愛もない話。どこにでもある日常。
そんな当たり前を、私たちは人の目を逃れて楽しんでいた。
11:1[saga]
2018/03/20(火) 21:19:02.70 ID:NiGcwUvh0
9.
「正直な話、上手く弾けてるとは、自分では思ってます。でもよく言われるんです。お前の演奏はつまらないって」
ドの音にはドの音、レの音にはレの音。じゃあ私の感情には、何の音を出せばいいのだろう。
12:1[saga]
2018/03/20(火) 21:20:11.05 ID:NiGcwUvh0
10.
「ピアノは弾かないよ」
唯先輩はピアノの前に座り、鍵盤を撫でた。謝るように、私に背を向けるように。
13:1[saga]
2018/03/20(火) 21:23:12.45 ID:NiGcwUvh0
11.夕方
「梓ー! お風呂入っちゃいなさいよー!」
「……もうちょっとで行くー」
14:1[saga]
2018/03/20(火) 21:24:28.49 ID:NiGcwUvh0
12.past 憂side
お姉ちゃんがピアノを初めて弾いたのは、4歳の誕生日。お母さんがおもちゃ屋さんで買ってきた、小さなキーボードだった。
お姉ちゃんはそれからキーボードにのめり込んで、ピアノ教室に通うようになるほどにまで熱中していた。
15:1[saga]
2018/03/20(火) 21:27:07.23 ID:NiGcwUvh0
13.梓side 3日後 昼休み
「あの、平沢憂さん、だよね」
私は決心して話しかける。同じクラスにいた平沢という苗字。調べてみると、唯先輩の妹だということがわかった。
16:1[saga]
2018/03/20(火) 21:27:51.96 ID:NiGcwUvh0
14.
「私とお姉ちゃんはね、もともと小中高一貫の、有名な音楽大学の附属校に通ってたの。私もお姉ちゃんもピアノをやってたから。でも小学校を卒業するとき、お姉ちゃんのいじめが原因で転校することにしたんだ。私も一年遅れて、小学校卒業からお姉ちゃんが通ってるこの中学校に進学したの」
よく考えればあり得る話だ。その学校の中でも、唯先輩は飛び抜けていただろう。周囲からは疎まれるかは分からないが、少なくとも浮いていく。唯先輩は子どもっぽいから尚更、同級生は劣等感を感じたのだろう。
17:1[saga]
2018/03/20(火) 21:28:25.22 ID:NiGcwUvh0
15.
「お姉ちゃんは、とっても寂しい思いをしてると思うの。私はお姉ちゃんのことを1番近くで見てきたから、苦しんでる姿も1番見てきた。でもね、」
今までごちゃまぜな感情で強く拳を握っていた平沢さんが、優しく私の手を握った。
18:1[saga]
2018/03/20(火) 21:32:00.58 ID:NiGcwUvh0
16.
ーー私、唯先輩に、もう一度ピアノを弾いて欲しいんだ。
唯先輩もきっと、それを望んでいる。唯先輩はずっと音楽室に、ピアノのそばにいたのだ。
19:1[saga]
2018/03/20(火) 21:34:49.69 ID:NiGcwUvh0
17.憂side 放課後
校舎の中に自動販売機はなかったから、私は校舎のすぐそばのコンビニに寄ってから音楽室に向かった。手に持つのはお姉ちゃんが大好きないちご牛乳と、コーヒー牛乳。梓ちゃん、気に入ってくれるかな。
音楽室の窓からこっそりと中を覗く。2人は私が図書館でもらってきたコンクールの資料を床に座って眺めていた。
20:1[saga]
2018/03/20(火) 21:38:19.78 ID:NiGcwUvh0
「ここ、差し入れ置いとくね」
「あ、ありがとう。憂」
「できたよ、梓ちゃん!」
21:1[saga]
2018/03/20(火) 21:40:11.26 ID:NiGcwUvh0
18.唯side 練習中
ーー近寄んないでくれないかな、バカが移るから。
ーー天才はいいよね〜私たちのこと見下してるんでしょ。
92Res/82.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20