唯「四月は君の華」
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10:1[saga]
2018/03/20(火) 21:14:55.80 ID:NiGcwUvh0
8.

他愛もない話。どこにでもある日常。
そんな当たり前を、私たちは人の目を逃れて楽しんでいた。

「梓ちゃん、それ……」

唯先輩は私のギターを指差す。

「ああ、これは私のギターです。ムスタングっていうんですよ」

「そういえば、梓ちゃんはギタリストだって言ってたよね」

私はケースから取り出し、ムスタングを抱えてみた。唯先輩はかっこいいだとか何とか、とても女子らしい発言をしていた。

「弾いてみて……くれないかな?」

「いいですよ」

私は最近練習している曲のワンフレーズを弾いてみる。もちろん自信のある部分だ。

音が楽譜を正確に掴む。一直線のライン。だけど音は、響かない。



唯先輩はもう気づいただろう。私の音には、感情がない。



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