11:1[saga]
2018/03/20(火) 21:19:02.70 ID:NiGcwUvh0
9.
「正直な話、上手く弾けてるとは、自分では思ってます。でもよく言われるんです。お前の演奏はつまらないって」
ドの音にはドの音、レの音にはレの音。じゃあ私の感情には、何の音を出せばいいのだろう。
「だから……」
だからこそ。
私は唯先輩の目を見て言った。
「5年前、私はあなたのピアノを聞いた時、それからずっとあなたの音が忘れられないんです」
昨日聞こえてきた音楽プレイヤーの音。
それは私の知っている、5年前の音だった。
あなたは、唯先輩は……
「もうピアノ、弾かないんですか……?」
悲しげなリズムに合わせて、春の風が窓を揺らした。
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