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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 19 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:22:45.05 ID:sTNFGTqg0
- 七乃に先導されて俺たちは夜の洛陽をひた走る。足音一つ立てず――黒装束もあって――ともすれば見失いそうになるほど七乃は穏行していて。彼女の本領を改めて認識する次第である。
通りごとに足を止め、手鏡で先を慎重に確認しているのに追いつくのも一苦労である。
治安のよろしくないエリアを通っているので、そこいらのごろつきに絡まれそうになることもあるが、猪々子が瞬時に黙らせる(物理)。
七乃に続くのは猪々子、麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。そんな構図(フォーメーション)である。
迷いなく進む七乃。いや、実際大したものである。
基本、何進という裏表に絶対的な影響力がある存在があった。その手前、洛陽では諜報活動を自粛していたのだが、美羽様入内が決まってからは精力的に動き回っていた、みたいです。
きっと、今進んでいる道だって彼女の地道な積み重ねがあってのルート選定なのだろう。
そして、目的地にたどり着く。そこは門扉……などではなく、洛陽を取り囲む防壁である。
「はい、到着しましたー。ひとまず私のお仕事はここまでですねー」
そ、と視線を外に向け、索敵を。いつ追手が来るか分かったもんじゃないしな。いや、雷薄や風がうまいことひきつけてくれているとは思うのだが。
「じゃあ、私達の出番ですね」
にこり、と斗詩は笑って準備運動を始める。背負った荷物を下ろし、ゆっくりと柔軟体操(ウォヲーミングアップ)を始める。
それは、いつも俺たちの鍛錬の前にやっていたルーチン。万全を期すためにもこれは外せない。
「頼むぜー、斗詩ー。アタイらの未来は斗詩にかかってんだからさー」
にひひ、とお気楽な口調で猪々子が煽る。
「うん。文ちゃん。そうだね。今、すごく気合いが入ってるよ。すっごく身体が軽い。怖いものなんてない。
そう。絶好調、ってやつかな」
斗詩にしては珍しくそんな軽口を叩く。屈伸、そして伸び上がり、軽く跳ねる。
にか、と猪々子は笑ってこちらを見る。
「アニキ、アタイらはいつでもいいぜ」
軽く頷き、三尖刀を手にする。
俺の身体能力はこの二人に及ばない。だが、こいつの力を発動させることで俺の力は猪々子に匹敵するのである。
これを知るのは袁家でも限られた面子。そしてこの子らはずっとそれを知っていて。その上で俺を。
「よしこい!斗詩!」
三尖刀に何かが吸われ、全能感が身体に満ちる。筋肉の一筋、細胞の一つまでもが活性化されたようなそれに意識を馴染ませる。
俺と猪々子が並び立つその中央めがけて斗詩が全速力で走ってくる。一陣の風となり、踏み込む。
- 20 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:23:11.36 ID:sTNFGTqg0
- 「そおおおおおおおおおおおおおおおい!」
斗詩のその運動エネルギーを、ベクトルを上方に置換する。捕えた足からもたらされる運動エネルギーを全て上方に変換して跳ねあげる。いけ!
ぶち、と筋肉の切れる音が内側から響くのも構わずに。
「ああああああああああああ!」
猪々子の絶叫がかすかに耳に入る。
そう、これは昔日によくやった遊びの延長。どれだけ高く飛べるかを競ったそれの延長。
違うのは、その行為にかかっているものが大きいということ。
見れば、ぎゅん、と斗詩は上昇を続ける。跳んでいく。斗詩の運足の妙あってのことだ。俺や猪々子ならば城壁にぶち当たってしまう。
ぐんぐんと上昇し、その最頂点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。だがそれは織り込み済み。
ギン!と鋭い音が響く。いつの間にか手にしていた双剣を、見事詰まれた石の隙間にねじ込んだのだ。
「――ふう、うまくいったか」
「そう、みたいだね。
よかったぁ」
ぎゅ、と猪々子が後ろから抱きついてくる。僅かに振るえているのはそれでもやはり心配なのだろう。
これからが斗詩に無茶振りした正念場である。
「きっと、大丈夫だよね?アニキ……」
双剣だけを頼りに、少しずつ斗詩が登り始める。石の隙間に双剣を突き立て、その身体をじり、じりと持ち上げていく。
突風の一つもあれば飛ばされそうなほどそれは危うくも見える。
「斗詩さん……」
心配そうに麗羽様が俺に縋り付いてくる。美羽様は無言でぎゅ、と。
ええい、見守るだけの身が情けない。
急速に力が抜けていく感覚に身を委ねながら、俺は無言で斗詩を見守ることしかできない。
どれだけの時間が過ぎたのだろう。永劫とも思えるそれは案外そうでもなかったのかもしれない。
じりじりと、それでも確実に上る斗詩。まあ、たまに剣が弾かれた時にはもう心臓がタップダンスを踊ったものだが。
それでも、ようやくに城壁の上に到達したのを見て。
「よ、よかったあ」
門扉が警戒されてるならば城壁を越えればいいじゃないというのを通しきったのだが、精神的に疲れた。いや、多分一番疲れたのは斗詩だろうけども。
「はいはーい。二郎さんは周囲の警戒お願いしますね。ここまできて捉えられたら意味がないですし」
にこりと笑って七乃が壁際に立つ。
――呆けていた俺たちに代わって周囲を警戒していてくれたのだと今更ながらに気づく。
- 21 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:23:38.33 ID:sTNFGTqg0
- 「それでは、お先です。美羽様、お待ちしておりますねー」
斗詩が落としてきたロープをノールックで掴み、軽やかに駆けあがる。
うん、登攀するというよりは駆け上がるというべき速度で、たちまちに登り詰める。
「うし、次はアタイだな。アニキ、何かあったら呼んでくれよな。駆けつけるから」
いや、駆けつけるというか飛び降りるって感じだろうが。そんな突っ込みをするまでもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。
俺ときたらこの場では役立たず一直線なのに、信頼が重い。頑張る。
そしていよいよ俺たちの番だ。
垂れるロープを腰に巻きつけ、美羽様を背負い、麗羽様を――。
「失礼します」
真正面から抱きかかえる。常ならば落とす不安なぞないのだが、今の俺にそんな筋力があるかは疑問。
それを知っている麗羽様は、ぎゅ、と俺にしがみついてくる。
「二郎さん……」
ずり、ずりと引き上げられる。猪々子が引き上げているのだろう。あっという間に洛陽の街を見下ろせるほどの高さまで到達する。
振り向いて袁家の邸宅らしきを灯りを探す。
ほ、と息をつく。どうやら、火は放たれていないようだ。
ぎり、と歯を噛みしめて呟く。
「雷薄。死ぬなよ……」
ぎゅ、と背後から伸ばされた手、俺に抱きつく手が震えた気がした。
「ここから出て、当てはありますの?」
微かに振るえながら麗羽様がそんなことを問うてくる。
「勿論。まあ、伊達に放浪しちゃいませんって」
軽薄に応えながら、思う。
雷薄、風。無事でいてくれよ、と。
- 22 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:25:19.65 ID:sTNFGTqg0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!未定です。
何もなければ遁走とかになります!
あと4エピソードくらいで終わりそう
なんとか上皇様のお誕生日には再開したいものです。
がんばゆ
- 23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/25(月) 23:05:42.60 ID:CxclsI7TO
- 「勝利への脱出」って書こうと思ったらまんま昔あったスタローンのサッカー映画のタイトルだったww
- 24 :青ペン [sage]:2019/11/26(火) 05:08:46.76 ID:aXQ+BbN6o
- >>18
はい、そーゆーことです(笑)
- 25 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/28(木) 21:43:18.03 ID:+YAhAMYQ0
- >>23
どもです。
あれ、スタローンがGKやってるやつですよね
地味にペレが出てて草生えましたな
アクションがサッカーで超地味な感じという印象w
>>24
くさ
- 26 :赤ペン [sage saga]:2019/12/02(月) 16:44:37.69 ID:qofE6UVT0
- 乙でしたー
>19
>>七乃に続くのは猪々子、麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。 接続詞に違和感が
○七乃の後ろに猪々子、そして麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。 こんな感じでどうでしょう
>>ゆっくりと柔軟体操(ウォヲーミングアップ)を始める。 ケアレスミスですね
○ゆっくりと柔軟体操(ウォーミングアップ)を始める。 こうですね
>>20
>>その最頂点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。 【頂点】に既に最もの意味があるので
○その最高点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。 もしくは【その頂点に達しても】の方がいいと思います
>>見事詰まれた石の隙間にねじ込んだのだ。 すし詰め的な?
○見事積まれた石の隙間にねじ込んだのだ。 こうですね
>>僅かに振るえているのはそれでもやはり心配なのだろう。 これだと《剣を振る》とかの意味ですね
○僅かに震えているのはそれでもやはり心配なのだろう。 こうですね
>>21
>>そんな突っ込みをするまでもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。 【するまでもなく】だとちょっと意味が違うような
○そんな突っ込みをするひまもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。 もしくは【する間もなく】でもいいですね
>>振り向いて袁家の邸宅らしきを灯りを探す。 【を】が多いですね
○振り向いて袁家の邸宅らしき灯りを探す。 それとも【邸宅らしき辺りを探す。】でしょうか?
>>微かに振るえながら麗羽様がそんなことを問うてくる。 さっきの震えは雷簿を思って、今度の震えはこの先を思って、かな?
○微かに震えながら麗羽様がそんなことを問うてくる。 大丈夫だ、問題ない(震え声
猪々子もどちらか代わってあげれば…いや実際最後の3人の場面で襲われたら二郎ちゃん2人足手まとい護りながらはかなりきついぜ
そして斗詩が凄い勢いでフラグ立てて「こいつぁやべえぜ」って思ったねw
- 27 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/02(月) 22:00:09.75 ID:CvCetfbh0
- >>26
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
さて。
>猪々子もどちらか代わってあげれば…いや実際最後の3人の場面で襲われたら二郎ちゃん2人足手まとい護りながらはかなりきついぜ
むしろ二郎ちゃんも足手まとい状態です!
なのでさっさと三人引き上げようという態勢ですね。
七乃さんに周囲警戒任せて引き上げ斗詩猪々子。
非常時には(消耗度合いの高い)斗詩が飛び降りて壁となる感じでした。
実はここは追撃戦が設定されてたんですけど、七乃さんの隠密スキルが活きてしまったのです。
本気になった七乃さんはすごいなあ、と観念したのでした。
しゃあない。
物語的には脱落者が出た方が美しかったとは思うのですけどね。
ここらへんは内緒でござるよ。
- 28 :赤ペン [sage saga]:2019/12/03(火) 10:19:51.11 ID:fQc/ZrE10
- ゲーム世界、漫画世界に転生モノで主人公が【原作を知ってるけどある日気づいたらその世界にいた】タイプのモノって二次元キャラが三次元になった違和感はどの程度なんだろうか
特に髪の色とか目の大きさとか…たまに【知らない天井だ→ふと鏡を見るとそこには大好きなゲームの誰誰の顔が!】みたいなのあるけど見える世界そのものの現実との違いがありそう。趙雲の髪?ハハッ
- 29 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/03(火) 21:02:49.60 ID:lI6EtF5s0
- 脳内くちゅくちゅされて違和感が仕事しない、だと闇が生まれるます
あくまでディフォルメだけど、そのキャラだと分かるってどういうことだってばよ
- 30 :赤ペン [sage saga]:2019/12/04(水) 09:44:26.75 ID:VA/eXJld0
- 銀魂(実写)の世界なら銀魂世界だと気付きつつ違和感も少ないかもしれないかな?
DB(ハリウッド)の世界に転生したよ!とかだったら主人公がそれを受け入れられるか…
ネギ魔も確か実写があったっけ…とはいえアニメや漫画やエロゲの可愛いorエロいキャラをリアル化されてそう受け止められるのか
- 31 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:02:54.65 ID:c1wVtIMX0
- 銀魂はイメージしやすいですねえ
見た瞬間銀さんとか神楽ちゃんとか分かりますし
ああいうレベルで脳内変換されるのかなあ
しかし平穏に生きようとして自分の容姿が銀髪オッドアイとかだったら草生えるw
無理じゃんw
- 32 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:58:07.10 ID:c1wVtIMX0
- 「総員、傾注!」
白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に喝を飛ばす。
いや、厳密に言えば彼ら彼女らは直属の部下ではない。袁紹、袁術。そして四家の長に仕える近侍たち。
いずれも素性の正しく、将来を嘱望される幹部候補生たちである。いずれは彼らが袁家を担っていく。そうなってもらわないといけない者たちだ。
そんな、まさに人財を雷薄は睥睨し、躊躇いなく使い潰すことを選択する。
多くは言わない。
「まことに済まんが、死守だ!」
明敏な彼らにはそれだけで十分。これから稼ぐ時間により仕える主たちの命を贖うのだ。贄となるに異存はない。
「いやー、参ったなー。でもまあ、ここが踏ん張りどころってね!」
へらへらと鉄鞭を手にした青年が口を開く。口先の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、この際そうも言ってられない。
「はいはい、泣き言は後でたーっぷり聞いてあげるから黙ってようね。おじさんたちの頑張りが袁家の命運を握っているんだからさ」
鷹の目、と異名をとる少女が混ぜっ返す。
「はうー。かあいいかあいい美羽様のためだもの。頑張っちゃうかな、かな」
かつての如南攻防戦にて功績を挙げ、袁術の真名さえ許された彼女が笑う。
彼ら彼女らはけして使い潰していい人材ではない。雷薄は苦虫を噛み潰したような顔で内心詫びる。
……雷薄の生まれは貧農の三男坊だ。食うに困って軍に志願したクチだ。腕っぷしには自信があった。が、野盗になるのは嫌だった。彼自身が貧農出身だったから、だ。
それに、畑を耕すよりは兵隊になった方が女にちやほやされるだろう。そんな思いもあった。
恵まれた体格と膂力で頭角を現し、あの匈奴戦役でも生き残り、武勲も立てた。気が付けばまさかまさかの大出世である。
だから、自分に関しては命燃やす時は今と決意している。巻き込む若人らに詫びる言葉を雷薄は持ち合わせてはいない。
いや、それでも。
それでも死んでくれと言わなければならないのが指揮官というものなのだろう。
きっと目の前の彼らはそんな逡巡すら見抜いてなお自分の判断に付き従ってくれるのだろう。
では自分も、彼らに相応しい立ち振る舞いをせねばならない。
「では、多くは言わん。一秒でもいい。我らが主君を逃がすための捨て石として、死兵となってくれ」
言い捨てて、門扉に向かう。
既に此処は戦場。既に包囲されている。まさに、死地であった。
- 33 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:58:33.34 ID:c1wVtIMX0
- ◆◆◆
「貴様ら、ここが四世に渡り三公を排出した名門袁家の当主、袁紹様。
そして畏れ多くも入内が決まっている袁術様の逗留先と知っての狼藉か!
ただちに立ち去れい!下郎ども!」
隠しもしない殺気を込めて雷薄が威圧する。
場を圧倒するその声量。それは紀霊が高く評価するもの。堂々とした体格から発せられるそれは質量すら感じさせるほどになり、並の胆力では抗うことすらできない。
「その袁紹殿に用がある!袁紹殿はいずこにおわすか!お目通り願いたい!」
であるから、それでもなお怯まずに述べる彼の胆力は評価されるべきであろう。
雷薄の威圧に刹那怯むも朗々と用件を述べる。
「既に時間も遅い!明日出直すがよかろう!」
門前払いである。が、それを予想していたのだろう、気圧されることなく歩を進めてくる。
「ええい、話にならん。ことによれば力ずくでもいいのだぞ――」
取り囲むは数百。守るは十数名。力押しされたならば鎧袖一触であろう。
さて、どうしたものかと雷薄が考え込もうとした時。
「行きます」
雷薄の横を通りながら、口も動かさずに伝える。
それで張家所属と分かる。
その極秘の話法。それこそは伝え聞く張家の秘伝の一つ。
それに彼女は如南攻防戦にて袁術から真名を許された英傑の一人である。そうと知って雷薄は覚悟を決める。
どうせどん詰まりなこの状況。動かすならば彼女のような英傑が相応しい。
そして火消しならば慣れている。得意というのは語弊があるだろうが。
- 34 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:59:00.41 ID:c1wVtIMX0
- ◆◆◆
「呂家軍の将軍様。
ご進言が。ご進言があるのです」
気弱げな口調、しとやかな仕草。女官としての気品、そして漂う色気に対した呂家軍の士官は。
「ほほう、どうしたというのかね」
前に出てしまう。
「ああ、そこにいられましたか。
耳寄りな情報がございます。お求めになっているものです」
歩を進める女官がしゅるり、と帯を緩める。
媚びを売ろうというのであろうか。その身体で何かを贖(あがな)おうというのであろうか。
その期待にごくり、と生唾を飲み込み、更に数歩進み出る。
ゆるり、とした運足。ゆらりとした脱衣。彼女が場を支配していたからこそ、達した。
「しゃおらぁあああああ!」
闇に紛れての一撃。衆に混じりて成した会心の一撃。まさか後方から、自軍から成されるとは思ってもみない。
だからそれはまさに必殺。
会心の雄叫びを上げるのは、これもまた如南攻防戦の英雄。
兵士を、領民を鼓舞し士気を高止まりさせた口先の英雄。
そして今ここに、口先だけではないことを証明した。彼の手にした鉄鞭は見事に指揮官の頸椎を砕き、返す一撃で顔面を粉砕する。
「は、ちょろいもんだぜ!」
残心もそこそこに先の女官に並び立つ。
両者が纏うのは黒装束。
「あはは、流石だね!
知ってたけど、ここでそうくるかー。
私がやっちゃうつもりだったんだけどなあ。
これは、負けてられないなあ」
すらり、と女官が構えるのは鉈、のようなもの。
男と背を合わせ、周囲を睥睨する。
「まあ、俺だってたまにはいいとこ見せないと、な」
「そうだね。うん、すっごく格好よかったよ」
「俺に惚れたら火傷するぜ?」
「だったら、それもう手遅れ、かな。今更だし。
全身火まみれで、燃え上がっちゃったよ」
軽口を叩く二人を取り囲むのか、袁家邸宅に突入するのか。指揮官なき董家軍。
その揺れを歴戦の雷薄は見逃さない。
轟く声。
重低音のそれは場に響き渡る。
かつて紀霊が、夏候惇にすら匹敵するとまで評したそれは場を支配する。
「総員、突撃ぃ!
袁家の存亡ここにあり!踏ん張れい!」
指揮官先頭は紀家の伝統とばかりに雷薄は吶喊する。連携なんぞは激戦のうちに生まれるものである。
そして、力の限り足掻いて見せよう。
それが今の自分にできる最善であると信じて。
手にした得物を振りかぶり、矢嵐を受けながら雷薄の口元はニヤリと吊り上っていた。
- 35 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:59:26.73 ID:c1wVtIMX0
- ◆◆◆
「誰かある!」
応えは、ない。
初手において敵指揮官を潰し、一時は優勢ではあったが流石に多勢に無勢。
統制なくとも数の暴力に押されて下がりに下がって背にした扉は屋敷の最奥。
ここが突破されればここに袁家首脳がいないことが決定的に露見してしまう。そんな最終防衛線にいるのは雷薄ただ一人。
幾多の勇士既に散った。散ってしまった。
「やらせるものかよ……」
それでも雷薄は気力を振り絞って迫る敵を睨む。
白を基調とした甲冑は返り血のみならず自ら流した血で紅く染まっており、修羅もかくや、という姿である。
幾本も矢が突き刺さり、傷からは血が流れ出て意識が白くなりそうである。
いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになる。
数瞬意識すら手放し、顔を上げるのも億劫だ。
それを好機と見たか、或いは力尽きたと見たか、敵兵がとどめとばかりに槍を突き立ててくる。
その激痛すらどうでもよいとばかりに倒れ伏したくなる。
それでも、それでも。
「やらせはせん!やらせはせんぞ!貴様らごときに、やらせはせん!
袁家の栄光を!世の平和を!やらせはせん!」
吠えて手にした得物を振るう。暴風がごときその勢いに押されて包囲の輪は距離を取る。
「ここを通りたくば!俺の屍を越えていけい!」
仁王立ちする雷薄は凄絶に笑い、威圧する。
その威を畏れ、矢嵐を以って無力化しようとするも揺るぎもしない。
むしろ呵々大笑して煽るほど。
さしもの董家軍が、その武威に三度下がったという。
絶命してなお威圧する武威は後世語り草になった。
- 36 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 22:01:04.44 ID:c1wVtIMX0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
難産でした。
題名案
「防戦」
ネタ案
「暁に雷薄死す」
いやもうjほんとにお助けくだしあー
後少しで区切りだがそれが遠いよ助けろくだし
- 37 :青ペン [sage]:2019/12/05(木) 00:21:43.81 ID:28k68zu1o
- >>36
乙なんだよー
歴連の猛将、命賭して民草を護る
でどない?
- 38 :赤ペン [sage saga]:2019/12/05(木) 15:41:24.03 ID:OnfMPz4J0
- 乙でしたー
>>32
>>白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に喝を飛ばす。 【喝】だと叱責とかの印象があるので(例えばざわついてて落ち着きないとかならともかく彼らは後の幹部候補とあるのでそういう事はなさそう)
○白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に檄を飛ばす。 コトバンクさんによると《自分の主張や考えを広く人々に知らせ同意 を求める。また、それによって人々に決起を促す。》なのでこれでどうでしょう
>>袁紹、袁術。そして四家の長に仕える近侍たち。 この書き方だとこの場に袁紹、袁術がいる様にも読めるっちゃ読める(言いがかり
○袁紹、袁術、及び四家の長に仕える近侍たち。 もしくは【袁紹、袁術……そして四家の】とかかな?
>>口先の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、 《彼》の異名は口先の魔術師だけど【口先の英雄】って揶揄っぽくない?
○弁舌の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、【演説】、【口舌】、【弁論】、【饒舌】…この辺が良さそうかな
>>34
>>全身火まみれで、燃え上がっちゃったよ」 【火まみれ】…言わなくはないけど何となくこれだと【火の粉にまみれてる】感が
○全身火だるまで、燃え上がっちゃったよ」 それとも【火あぶり】?全身火傷してるような表現ならやっぱり【火だるま】かなあ?
>>35
>>いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになる。 これは(気を一瞬失って)気が付くと、という意味かしら?それだと実際に膝は着いた?ううむ
○いや、実際気を抜くと、膝をつき倒れ込みそうになる。 (一瞬でも気を抜いたら)膝をついて倒れ込みそうだ。と言うならこうかな?
○いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになった。 ふと気が付いたら膝をついていた、あと少しで倒れ込むところだった。ならこうですね
>>さしもの董家軍が、その武威に三度下がったという。 《さしもの孔明が騙された》とかだとちょっと違和感があるので
○さしもの董家軍も、その武威に三度下がったという。 《(勇敢で知られる)さしもの董家軍(ですら)も》を縮めた言い方と思えば
信念に殉じて死ぬなんて漢としてはさいこうだろうけど約束を反故にされた上司とか残された家族としては溜まったもんじゃないぞ!!…いやまあ皆うすうすは彼らがここを死地と定めたことを分かってたけどさ(美羽様も多分感付いてたよね
【死中に活を見る】…自分の命を公平な重さで天秤に乗せたこの20人弱が生きていればこの先袁家がどれだけ楽だったことか
- 39 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/09(月) 20:19:47.24 ID:sH1+4U600
- いやあ、師走師走。
割と忙しいですね。さっさと仕事やめて隠遁したいものです。
仕事やめたら社会貢献するんや。
>>37
どもです。
>歴連の猛将、命賭して民草を護る
素敵すぎです。
浪漫ですね。
流れるようなその表現、妬ましい
>>38
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>信念に殉じて死ぬなんて漢としてはさいこうだろうけど約束を反故にされた上司とか残された家族としては溜まったもんじゃないぞ!!
本人はやりきった感ですね。
周囲は「ちょ、待てよ!」状態
美談になるエピソードですが、ご指摘の通りなのは確定的に明らか。
それでも彼は何度でも同じ選択をするでしょう。
さて、虜囚になって交渉材料とされることを拒んだのか的な指摘が外部からきましたが、
多分そこまで考えてなかったんじゃないかなー
ただひたすらに目の前の案件を処理する現場指揮官なのであろうと
>…いやまあ皆うすうすは彼らがここを死地と定めたことを分かってたけどさ(美羽様も多分感付いてたよね
そこはどうでしょうね。つきあいの長い七乃さんくらいかな?
少なくとも二郎ちゃんは全く勘づいていません
>【死中に活を見る】…自分の命を公平な重さで天秤に乗せたこの20人弱が生きていればこの先袁家がどれだけ楽だったことか
実際、十年単位で人事を考えている袁家にとっては晴天の落雷ですものね
ものっそいコストかけて教育していた珠玉の人材が……
そらもうね、人の情としても、袁家の面子としても全力で潰さないといけないやつになります
あと一話で章が終わります
クリスマスくらいからあっち投下開始かにゃあ
- 40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/10(火) 10:58:20.31 ID:lGWgJYZK0
- 猪猪子は勘で気づいてそう・・・あの子もいざとなったらそういうことするタイプだし
- 41 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:17:21.09 ID:YdM4ueeZ0
- >>40
ああ、確かに!
猪々子は勘づいて層ですね。
あの子は大切なものを見失いません
じゃけんさっさと逃亡しましょうねー(本編ムーブ
- 42 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:55:48.81 ID:YdM4ueeZ0
- 次々ともたらされる報告に賈駆は時に頷き、時に顔をしかめて次々と指示を飛ばす。
今のところ、想定の範囲内だ。
もとより最善の結果なぞ望むべくもない。時間的猶予などなく、根回しなんて何一つできずに蜂起せねばならなかった。ならなかったのだ。
李儒の要求はただ一つ。――何進の誅滅である。
何進、である。あの馬騰と互角の豪傑であり、この董家軍を引き上げてくれた恩人でもある。そしてその武勇は目の当たりにしている。彼を討つなぞ手持ちの札では呂布しかありえない。
最重要のそれは上手くいった。
だが、後は何とも言えない。
その馬騰については、張遼を宛てた。自刎して果てたというが、まあ、はなから抱き込めるとは思っていなかった。せめて虜囚とできればと思っていたのだが。
それでも、これで馬家軍は敵となる。だがそれもまた想定の範囲内。なに、それでも韓遂を動かせばなんとでもなる。馬騰ならばともかく、馬超相手であればどうにでもなるのだ。
朱儁についてもそうだ。軍権を示せば、万が一くらいには恭順するかと思ったのだが。
それもいい。禁軍の司令官が恭順しないのであれば除くのみ。この洛陽で執金吾たる董家軍の次に武力を抱えるは禁軍。その首魁を除けたのはまずまず。
張遼と陳宮は悄然としていたが、賈駆にとっては想定の範囲内。最悪は避けられたとすら思っている。
「なんですって……」
だが、続く報告にはさしもの賈駆も言葉を失う。
曹操の行方が知れないのはまあ仕方ない。宦官より情報が漏れていたのであろう。しかし、皇甫嵩までその足跡を追えないとは、不覚である。
彼奴はやっかいだ。禁軍にも影響力があり、なにより清流派の首魁の一人。どう蠢動するかなぞ考えたくもない。
苦虫を噛み潰していた賈駆に、とっておきの凶報がもたらされる。
「袁家当主袁紹の逗留地に於いて、現在交戦中!敵指揮官は雷薄!
奇襲により痛撃を喰らうも、現在優勢に戦局は推移しております!」
くら、と眩暈を覚える。
なぜ、と思う。平和裏に袁紹の身柄の確保を命じたのにどうしてそうなる。
それに雷薄だと?
匈奴大戦を生き残り、一兵卒から将軍までに出世したという立志伝の主人公もかくや、というほどの紀家の宿将が防衛戦に立つとはどういうことだ。
なによりどちらから仕掛けた。袁家と仕掛ける意味を分かっているのか。
- 43 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:56:15.21 ID:YdM4ueeZ0
- 「な、なんですって!退きなさい!袁家との交戦は認めないわよ!」
その舌の根も乾かぬうちに派遣した指揮官が袁家の兵卒――あくまで董家軍からしたら一兵卒でしかない――により討たれるという報に呆然とする。
「な、な……!」
転がるように移りゆく戦況に自失する。
そして、貴重な。贅沢なその時間は失われた。
「敵指揮官雷薄討ち取りました!」
誇らしげに報告する士官に罵声を投げるのを辛うじて自重する。
いやあ、難敵でしたなどと得意げに語るその士官の口調に絶望する。これでは、これでは。
いや、自失していてはいけない。今でもできる最善を。
「よ、よくやったわ。天晴れ寡兵にて挑んだ彼の死を汚してはいけない。丁重に扱いなさい!首は塩漬けにしてけして腐らさないように!」
同時に、抵抗した兵卒――それが兵卒でないことには流石に賈駆も思いが至る。主の逃亡を助けるにあたり身を挺して刻を稼ぐなど――についても死体を汚さぬように厳命する。
せめて、せめてそれくらいはしないと交渉の席にもついてはくれないであろう。
袁家は、それくらい情が深いということを賈駆は知っているのだから。
それが幸か不幸かはともかく、である。
「なんでよ。なんでよ。なんでよぉ……」
がくがくと震える身体を抱きしめて、暫し賈駆はうずくまる。
せめてこの震えを配下には見せてはいけない。抱える腕に爪が食い込み数条の紅い筋が流れるのも構わずに。
それでも賈駆は立ち上がる。顔色は白く、唇は朱に染まっても。
- 44 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:56:40.96 ID:YdM4ueeZ0
- それからの報せは、ことごとく凶報であった。皮肉にも賈駆の想定通りに。
曰く、曹操、行方分からず。皇甫嵩、行方分からず。
曹操はまだいい。宦官を手駒とした時からある程度こちらの動きを察されていたはず。あわよくば巻き込もうとしたが果たせず。
まあ、それはいい。
だが、皇甫嵩の不在は痛い。朱儁亡き今、禁軍に号令をかけられるのは彼くらい。せめて誅滅したかったと思う。
取り逃がした魚の大きさに歯噛みする。
「ほ、北面の大門に於いて袁家の一行を捕捉しました!」
だから、賈駆はそれにすがる。
なんとか、袁紹の身さえ確保すれば。あの、あの男に窮状を訴えればなんとかなるのではないかと。
だから今度こそはしくじるわけにはいかない。
「て、丁重に扱いなさい!ボクが行く!」
目の前に垂らされた蜘蛛の糸に飛びつく。
「二郎さえ……袁家さえ抱き込めば大丈夫、なんとでもなる。二郎ならばなんとでもしてくれる。
雷薄の討死についてはどうしようもないから、素直に謝ろう。そこで謀ったら取り返しがつかない。
もう、ボクはどうなってもいいからどうにかして二郎を懐柔しないと……」
馬を急がせながら賈駆はそれでも思考を放棄しない。
そして、彼女を待ち構えるのは、蜂蜜色の髪の、眠たげな少女であった。
紀霊が全幅の信頼を寄せる程立その人である。
「いやあ、これは参ったのですよ〜。風はこの荷物を南皮に届けるべし。可及的速やかに、と指示を受けたのですね」
ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。
「おおこわいこわい。いや、いささか誉められない手段であったのは自覚してますよ〜。
ですが、この北面についてはそれが常習化していたようだったので、風は風で最善を尽くしたまでなのです〜。
いや、これは命乞いをした方がよろしいのですかねえ」
くふふ、とほくそ笑む程立。わざとらしいその笑みはこちらの神経を逆なでるためのものであろう。そんな安い挑発に賈駆は乗らないしそんな暇もない。
「いいから袁紹殿と二郎を出しなさい。貴女じゃ話にならない」
その声に程立はにんまりとほほ笑む。それは微かであるも、わざとらしく、狩人が獲物を罠に嵌めた笑み。
「いやいや、ここにはそんなお偉方はおりませんので、お引き取り願えればと思うのですよ〜。
無論、洛外に出るのは明日以降にしますので〜。
こんなところで時間を使ってはいけないのではないですか?
老婆心ながら風は心配するのですよ。
ええ、二郎さんと浅からぬ縁のある貴女を風は心配するのですよ」
くふふ、と笑う程立になんと言ってやろうか。いや、そんなことに関わっている余裕すら自分にはない。
この一行の荷物は大きな匣であったり壺であったり。ややもすれば人が隠れるに相応しいもの。
ここで袁家当主たる袁紹。入内を控える袁術。そして彼女らに大きな影響力を持つ紀霊。いずれかを捉えるだけで状況は変わる。変わるのだ。
◆◆◆
――そして程立が率いる一行の、思わせぶりな荷からは誰一人発見できなかったのである。
- 45 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:58:27.96 ID:YdM4ueeZ0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
この章最終話dす
案については 破綻 かなあ
もっと格好いいやつ募集しまくりんぐですよ本当に!
ほんとこれいつもお助け頂いております
ボスケティ
そして、クリスマスめどにあっちで投稿し始める見込みです
頑張るぞいっと。
頑張るので、オナシャス。
- 46 :青ペン [sage]:2019/12/12(木) 01:27:12.86 ID:3r3X7NyMo
- >>45
乙なんだよー
【撒き遅れた毒、飛び立った翼】
かな
- 47 :赤ペン [sage saga]:2019/12/12(木) 12:09:15.74 ID:tT+/wq930
- 乙でしたー
>>42
>>苦虫を噛み潰していた賈駆に、とっておきの凶報がもたらされる。 【とっておき】だといざという時の為の隠し玉、みたいな感じなのでちょっと違う気が
○苦虫を噛み潰していた賈駆に、最大級の凶報がもたらされる。 《とっておきの秘策》みたいな感じなので誰が取っておいたのよ?となるので…これでどうでしょう
>>袁家と仕掛ける意味を分かっているのか。 意味は分かりますが
○袁家に仕掛ける意味を分かっているのか。 あるいは【袁家と相対する】とか?
>>44
>>曰く、曹操、行方分からず。皇甫嵩、行方分からず。 上でもこのあたりの事言ってるので一か所にまとめた方が良さそうですね(>>42の曹操の行方が〜考えたくもない。のあたり)
これは>>42の該当部分を削ってこっちにまとめればすっきりしそうかな
>>ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。 【ですから】に違和感が
○だから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。 これはこれで変か?
○ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのですとカタる程立を買駆は睨む。 どう考えてもそれ【騙り】だよねと言うツッコミをしつつ
その暴力で適当な宦官やらなんやらの一切合財の鼻と耳を削いで人質にでもした方が良かっただろうに(なお月の生存確率)
向こうは謀略とかにステ振りしてるんだからそっちで争わずに武力で争った方が勝ちの目が大きいのにそうしなかったのは、まあ油断してたんだろうなあ
- 48 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/12(木) 21:12:57.82 ID:LxwWnE9U0
- 頑張るぞいっと。
>>46
どもです。
>【撒き遅れた毒、飛び立った翼】
かっこいいやつありがとうございますー!
これはいけるね
>>47
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>その暴力で適当な宦官やらなんやらの一切合財の鼻と耳を削いで人質にでもした方が良かっただろうに(なお月の生存確率)
実際悪手この上ないのですよね。
多分、月ちゃんの髪の毛一房でも贈られてきたら詠ちゃんは何もできませんわ
それが指の一本とかにいつなるか、と。
>向こうは謀略とかにステ振りしてるんだからそっちで争わずに武力で争った方が勝ちの目が大きいのにそうしなかったのは、まあ油断してたんだろうなあ
油断、慢心、環境の違い……
イイ感じに月ちゃんが地歩を固めてましたからね。まさかね。
謀略は仕掛けた方が有利、を地で行く李儒さんです。
李儒恐るべし、ということで一つ。
- 49 :赤ペン [sage]:2019/12/12(木) 22:13:30.65 ID:tT+/wq930
- そりゃもう持ってきた人とその親類縁者を市中引き回しにしてそいつの家は焼き討ちよ
何進と袁家と馬家を敵に回すくらいならこれやってそれ以外を敵に回した方がましだわ
殺したら向こうも董卓をどうするか分からんけど引き回した後は牢屋にでも押し込んでおけば
指一本送ってきたら適当な人一人磔にしてお返しすれば交渉のレートも理解するでしょ(暗黒微笑
天涯孤独の単独犯相手ならともかく敵対しちゃいけない人たちを抜いて残った有名人宅にほんの200人程度で訪問すれば袁家みたいなガンギマリ相手じゃ無ければ楽勝よ
- 50 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/13(金) 21:02:13.75 ID:SOsEyI0/0
- >>49
まあ、テロリストの要求を呑んじゃいけないってのは鉄則ですわなあ……!
ここぞというところで選択を誤るのが詠ちゃんにしてもそれは悪手ですよ(原作無印感)
- 51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/14(土) 10:27:58.76 ID:lc+OwmL60
- テロリストの最大のアドバンテージは一方的に攻撃できて相手側に守勢に回らせられることだからなあ
本拠地の割れてる上に明確なトップがいない組織でそれやっても・・・普通なら大鉈(物理)振るって終わりのような
あり得るかはともかく京都とか大阪の府知事が東京じゃなくウチが日本の首都だって武装蜂起(都知事人質)したようなもんじゃろ?
- 52 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/16(月) 20:55:37.46 ID:71dAkpsp0
- >>51
>テロリストの最大のアドバンテージは一方的に攻撃できて相手側に守勢に回らせられることだからなあ
>本拠地の割れてる上に明確なトップがいない組織でそれやっても・・・普通なら大鉈(物理)振るって終わりのような
広義の謀略ですね
そして、仕掛ける方が圧倒的に有利なのですよね。
これが宦官勢力なのか董家のことか分かりませんが、本質はいっしょですわね
>あり得るかはともかく京都とか大阪の府知事が東京じゃなくウチが日本の首都だって武装蜂起(都知事人質)したようなもんじゃろ?
んー?
クーデターだから警察とか自衛隊じゃないっすかねえ。日本には州軍ないですものね。
州軍蜂起が近いのか?
なんにしても武力ですよ武力。
大体のことは暴力が解決するのです。
なお。
- 53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/17(火) 10:47:23.19 ID:lOt8Guii0
- 都知事(皇帝)を人質にしてクーデター起こした警察(董卓軍)を裏で操る府知事(十常待)? や、どっちかっていうと十常待は官僚だけど
野党(何進)がトップになったら首が確定してる官僚とかが近いか
- 54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/24(火) 20:56:57.15 ID:fFMtIlkS0
- 乙ー
ご無沙汰しております
最近忠臣蔵が恒例の年末再放送されてたので違うのに近しい何かを感じます
幽州や洛陽が北の方で雪も多そうなのもその一つww(実際は乾燥しててあんまり降らないっぽい
凡将伝ならともかく、三国志とか時代劇とかは海外の人には理解も受けもしにくそうだなー
- 55 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/24(火) 21:26:19.38 ID:oQj4ap7k0
- >>54
どもです。
まあ、長いことやってますからねえw
リライトですし。じゃなかった、リトライだ。
>凡将伝ならともかく、三国志とか時代劇とかは海外の人には理解も受けもしにくそうだなー
円卓とか、ギリシャ神話とか受けてますからいけますって。
訳者の筆ちから次第かなって
頑張るぞいっと。
それはそれとして忠臣蔵はねーw
あえて凡将伝的に語るとどうしても吉良上野介側が袁家なのでねw
しかし老人一人、殺しきれない浅野内匠頭って、という評価見て、綱吉さんの偉大さを思い知りましたよ
- 56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/27(金) 12:58:07.07 ID:vjuLT/Eo0
- 稀によくいるから…30代で大暴れしてその後悠々自適。からの主筋が世代交代して「あの老害が敵に回るとヤベえからやっちゃおうぜ」しようとしたら60越えて覚醒する奴
- 57 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/27(金) 19:32:37.06 ID:0IXAyBNc0
- 伊能忠敬が浮かんだす
- 58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/28(土) 11:06:13.53 ID:3AfxkL/70
- 強い爺ちゃんで真っ先に浮かんだのは朝倉さんちの宗滴三かな…そのお方でも撲滅できなかった宗教狂いもマジパネエが
- 59 :青ペン [sage]:2019/12/30(月) 00:14:59.93 ID:lSoQxd+Mo
- 個人的には水野勝成かなぁ…
↑30代暴れまくり60でもパネェ
- 60 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/30(月) 21:18:30.89 ID:iBLF60Rs0
- 大久保彦左衛門は実際の印象ないです
上泉信綱が最高にして最強というイメージ
個人的には、佐久間象山と大村益次郎が生きてたら歴史がそれなりに変わったと思っています
ですが、どっちも人格がアレなのでどっかで暗殺不可避かなあって
でも万次郎は酷使したいし江川英龍は過労死せんようにしたい
そうなったらどんな世界になったかを観測したいっすなあ
- 61 :赤ペン [sage]:2019/12/31(火) 22:17:06.57 ID:lLGJ+Qr00
- 今年もあとわずか…来年もよろしくお願いします
- 62 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/01(水) 06:56:30.58 ID:lDibUuBz0
- 明けましたおめでとうございます!
本年もよろしくお願いします。
今年での完結は難しいですが、なんとかかんとかしたいです。
蕪農家として独立ワンチャンあると思ってます。
頑張るぞいっと。
- 63 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/02(木) 14:17:46.55 ID:J2kZHEdW0
- ようやくあっちの予約投稿終わったわ
しんどかったすわ
明日から頑張ろうそうしおう
- 64 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/01/03(金) 12:24:50.12 ID:bWmA4woE0
- 謹んで新年の喜びを言上仕ります(明けましておめでとうございます)
兼業蕪農家としてアドバイスすると、「数こそは力」「忙しなく動くな」「最低利益は常に確保せよ」これですね。
蕪専業なら、撤退資金は絶対必要ですよ。蕪仲買は手数料が命ですんでとにかく動かそうとしますのでね、それもばかにならない。
撤退資金の温存先なら日本国債かなぁ。
そういや専門系にしかニュースになってませんが、例のリクシル騒動。あれで結構損食った人いるとおもいますよ。
私も漬けてますが珍しく追証払いましたね。乱高下が一番迷惑。
さて今年はまずは新しい命に全力です。おとっつあんになるんだし、いやならせてほしいっす(超願望)
年末に靖国の御霊にすがりましたし、新年は氏神様に三回頭下げましたし、なんなら伊勢の御二方にもお願いしておきましょうかね。
「子供の顔が見れたら死んでも」で嫁に思いきり引っぱたかれましたwwwそりゃそうか。
本年もよろしくお願い致します。
- 65 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 19:41:37.76 ID:LwXD1POj0
- >>64
明けましたおめでとうございます!本年もよろしくお願いします。
>兼業蕪農家としてアドバイスすると
やったぜ
>「数こそは力」「忙しなく動くな」「最低利益は常に確保せよ」これですね。
元手がないとリターンがアレっすからねえ
動きは、それなりですかねえ。かつては数百円の利益でキャッキャしてましたw
いやまあ、ランチ代稼げたらええやん!みたいなw
離角が一番難しいですね。上への握力は割と弱いっすわw
>蕪仲買は手数料が命ですんでとにかく動かそうとしますのでね
基本的に自分との戦いなので、卸さんが凸してくることはめったにないですね。
禿Gの時には2回ほどありましたが、その後上司さんからお詫びの連絡がありましたな
あれは空売りでインしたかったw
>例のリクシル騒動
鹿サポなので情報はすっごく見てました。あれはひどい事件だったね(日暮感)
久美子さんHDよりはマシかな?屋台骨まではいかへんかったから。あ、手は出してないです。
まあ、損ぶっこいてるのも多いですけどね、街のホットステーションとかレモン堂とか!
鉄は国家なりはどうしたもんかなってw
>さて今年はまずは新しい命に全力です。
ここは本当にね。本当に。こればっかりは。。。
>嫁に思いきり引っぱたかれましたw
こういうさりげない惚気が素敵なご夫婦だと思います。
健やかなれ。
本年もよろしくお願いします。
- 66 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:50:07.96 ID:LwXD1POj0
- では今年もよろしくお願いしますということで投下します
- 67 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:50:35.35 ID:LwXD1POj0
- 董卓、叛す。そして何進、馬騰、朱儁を誅滅。
遺勅により今上帝を廃位。弘農王とする。
弘農王とは劉協の陳留王と比較し、相当位の低い地位である。
劉弁はこれに異を唱えず、大人しく皇位を譲った。
そして至尊の座に就いた劉協により、董卓は相国となり絶大な権力を手にした。漢王朝をその手に握ることになったのである。
その報せは衝撃を以って中華を駆け巡る。
最も衝撃が大きかったのは間違いなく袁家であろう。先帝たる、現弘農王への輿入れに向けて調整をしていた矢先の変事である。
これで動揺しない方がおかしい。
それを何とか抑えきっている沮授と郭嘉の能力と尽力は賞賛されるべきであろう。無論、あらゆる支援を行っていた張紘にもそれはあてはまる。
今のところ袁家の首脳の行方については情報が途絶えている。死んだとも、捕えられたとも伝わってはいないのだが。
「……そろそろ、抑えきれないかもしれません」
常ならば涼やかな笑みを浮かべる沮授が、流石に疲労困憊といった風に呟く。
「いや、沮授はよくやってるぞ。もう董卓の謀反から三か月だ。これまで表立った動きがなかったってのは、すげえことなんだぞ」
張紘の言葉は本心ではあるが、慰めにしかならない。
袁家の今後は誰が担うのか。水面下では動きが本格化している。留守居役が沮授であるのもそれを助長するのだ。
袁家の権力争いからは身を遠ざける彼の姿勢(スタンス)は、能あっても欲なしと好意的に取られていた。彼はあくまで袁家の補佐に徹するというのは袁家の共通認識である。
だから、逆に、である。
誰が袁家を牛耳っても、沮授さえ抱き込めば。と思う輩が出てくる。無論それを座視する沮授ではないのだが、袁家の後継争いに口を出すわけにもいかないという二律背反(ジレンマ)。
「こうなると、いかにも袁胤様の件は痛かったですね……」
まさに痛恨、である。
- 68 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:51:02.44 ID:LwXD1POj0
- 袁紹の予備として袁逢は袁術を産んだ。だがその袁術が輿入れとなれば予備がいなくなってしまうのだ。
その座には袁胤があるはずであった。であるからこそ不穏な動きがあっても袁胤は誅されなかったのである。
李儒の一手はこの上なく袁家に深刻な影響(ダメージ)を与えていたのだ。
「幸い、景気はいい。そのおかげで民の動揺はない。
ほんと、それだけが救いって感じかなあ……」
不穏な空気も、目前に迫っていた黄巾の脅威に比べれば雲の上の出来事。目前の好景気により袁家領内の民は落ち着いている。
黄巾賊残党は半ば流民と化して袁家領内に流れ込む。それを養うために大規模な公共工事――大規模農場や鉱山、橋梁建設に街道や港湾整備他多数――が計画、実行される。その需要に応えるために各種生産活動は全力(フル)回転。
それを支えるための財政出動があるが、袁家の金蔵は揺るぎもしない。
治安出動のための軍備の強化も相まって、袁家領内は空前の好景気に沸いていた。
それがあるから、これまで袁家内部の蠢動も抑えられていたのではあるが。
「流石にそろそろまずいですね。
いや、つい数か月前までは袁家は盤石と思っていたのですが……」
肩を落として盛大にため息と弱音を吐く。張紘の前だからこそであろう。
張紘も深く懊悩の表情を浮かべる。ぐったりとした様相の親友にかける言葉もない。
そんな二人を黙って見ながら茶を淹れ、甲斐甲斐しく茶菓子を出していた赤毛の女性――赤楽――が呆れたように口を挟む。
「本当に君ら二人だと辛気臭いな。
あの暢気かつ軽佻浮薄かつ女好きであれこれ厄介ごとを呼び込む御仁がいないと見てられないのだな」
そしてつかつかと歩みを進め、張紘の頬を引っ張り、弾く。
盛大に。
「い、痛いぞ?!」
恋人の抗議の声に赤楽はフン、と呆れたように鼻息を一つ。
「当たり前だろうが。痛くしたんだからな。
目が覚めたかな?ああ、それは結構。
そもそもだ。あえて聞こうか。これは本気で疑問なのだがね」
やれやれ、といった風の仕草から問う視線は炎。
それが二人を射貫く。
「君らはあの御仁がこんなことで儚くなるなんて本気で思っているのか?」
それは決定的な言。これまで敢えて口にしなかったもの。
「これは手厳しい。確かに二郎君の安否についてはあえて口にしていませんでしたとも。
ですが、それは最悪を想定していたからこそです。
備えはしています、が……。
いえ、これは甘えというものですかね」
「よせやい、おいらだって認めたくなかったのさ。
それは、思っても、言ったらそうなっちまうんじゃないかって、な」
やれやれ、とばかりに赤楽は肩をすくめる。
「便りのないのは良い便り。あの御仁がこんなことでくたばるはずはないさ。
君らは義兄弟なのだろう?君らが信じてやらなければ誰が信じるというのだ?」
ニヤリ、と口を歪ませる麗人に沮授と張紘は呆然とする。彼女は最悪に備えろ、と言ったのではなかったのか。
そんな二人の表情を愉快そうに見て再び口を開く。双眸は力に満ち、碧眼は炎すら纏いそうで。
「あの御仁、ひいては仕える主君がこんなことでどうにかなるはずはないだろう。
考えても見ろ。まあ、袁紹殿の豪運については語るに及ばないよな?
ここではあの御仁についてだけ語ってみようか」
艶然と微笑む。楽しそうに。
- 69 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:52:47.10 ID:LwXD1POj0
- 「たまたまお忍びで市場に来ていたらたまたま居合わせた張紘と私に出会ってその場で口説き落とした。
たまたまふらりとこれまた街中を歩いていたら李典、楽進、于禁という俊才に出会い、登用した。
たまたま立ち寄った料理屋で知り合った典韋殿を、たまたま立ち寄った町で見かけ、そのまま登用した。
武者修行と称して出奔したら旅先で皇族に連なる劉璋殿を助け、誼(よしみ)を結んだ。
更にその道中で程立、趙雲、郭嘉なぞという傑物が野盗に襲われている現場に巡りあって、なんだかんだで全員登用した。
――こんなに天に愛されている御仁がこんなことで果てるわけがないだろう」
文句あるか?とばかりに、どちらかと言えば薄い胸を張る赤楽に張紘は苦笑する。
「いや、すまねえ。確かに二郎は生き汚いからな。こんなことで死ぬはずはないや。
おいらとしたことがどうにもいけねえや。随分弱気になってたみたいだ」
「そうですね。二郎君ならばそれこそ何をしてでも同行されている方々を無事に送り届けるでしょう。
いや、女は強しと言うべきですかね?いや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」
言いながらも沮授は舌を巻く。時折見せていた明敏さに加えてこの事態においても全く揺るがない。
彼女であれば袁家内部においても柱石となれるであろう。間違いなく。
「クク、沮授殿。
よしてくれよな。これは岡目八目という奴さ。私にとっては結構他人事だからな?
おのずと見える景色も違うというだけさ。
ウン、そうだな。もっと言えば一度死んだような身さ。だからあれこれ好き勝手に言えるってだけ。そしてね」
――身一つで惚れた男一人ならばいかようにも養ってみせるさ。
そんな、無言の悪戯っぽい目線を受けて沮授は苦笑する。
「そうですね。僕らの動揺。それはたちまちに波及してしまうでしょう。そうですよね。
いや、今日はご馳走様でした。色んな意味でね。
二郎君が帰ってきたときに余計な気苦労を背負わせないようにするとしましょうか。
ええ、本当にご馳走様でした」
訪れた時と同様に、にこやかに。しかし含んだ表情は変わって明るく、沮授は席を立つ。
「なに、漢朝全てを敵に回してもお釣りがくるほどですよ。気楽にいくとしましょう」
それも全てはあの男が無事であったならば、である。
言外のそれを理解して張紘も笑う。
「二郎は楽をしたがるからなあ。だったら先回りして徹底的に楽をさせてやるってのもいいな」
「それはいいですね。
いつも二郎君には驚かされてばっかりですから、たまには僕らが驚かせてやるのもいいかもしれません」
「その時の二郎の顔、見てみたいもんだな。
いやあ、楽しみが増えたな」
軽口を叩く二人を見て赤楽は暢気にむしゃり、と茶菓子を頬張るのであった。
- 70 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:54:01.09 ID:LwXD1POj0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案
「その頃の南皮 男子会編」
いまいちなので、もちっとおセンチなのオナシャス。
- 71 :青ペン [sage]:2020/01/04(土) 03:19:21.77 ID:o6ZV7E2Fo
- >>70
新年乙ー。
んー、そうね。
【時の奔流に抗うは龍の担い手】
かなぁ
- 72 :赤ペン [sage saga]:2020/01/04(土) 16:48:56.35 ID:9aX5fMzJ0
- 乙でしたー
>>69
>>いや、女は強しと言うべきですかね?いや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」 間違いでは無いですがちょっと【いや、】と言いすぎかな?
○いや、女は強しと言うべきですかね?いやはや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」 それとも先の方を【いやはや……女は強し】にしたほうが良さげかな?
今回はペケマーク付けるような部分は無かったのでムリクリ一か所
袁紹様以下主要な人員の生死不明は痛いよね…雷簿に付き従った100人足らずもその全員が次代の幹部候補だったし
むしろ幹部になったら迂闊に外に出れなくなるから今のうちに首都の観光しとこう、みたいな感じだったのかもしれん
それにしてもこうして見るとやっぱり違和感…怠け者の劉弁をわざわざ廃さなくてもそのまま何進の後釜に座っても良かっただろうに
劉協に配慮する必要がどこの誰にあった?逆に劉弁が病気を拗らせなかった(を殺さなかった)理由は?あの3人は殺すしかなかったといえばその通りだけどそれで言うなら求心性のある劉弁も殺すしかなさそうだけど
この辺考えるとあの怠け者も結構面白いことになりそう
- 73 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 19:25:58.98 ID:5YCEdtDt0
- >>71
どもです。
>【時の奔流に抗うは龍の担い手】
かっけえ
時の奔流はいいですね。これは使うかもですよ本当に!ありがとなす!
>>72
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>今回はペケマーク付けるような部分は無かったのでムリクリ一か所
滅茶苦茶久しぶりですねそれってw
頑張るぞいっと。
>袁紹様以下主要な人員の生死不明は痛いよね…雷簿に付き従った100人足らずもその全員が次代の幹部候補だったし
割とこれはマジでしんどい
マンチェスターUのボビーさんが味わったアレよりしんどいかもしれないっす
>むしろ幹部になったら迂闊に外に出れなくなるから今のうちに首都の観光しとこう、みたいな感じだったのかもしれん
それはあるかもしれません。幹部候補生の交流もかねた、あれか、修学旅行的な!
>それにしてもこうして見るとやっぱり違和感…
ご考察楽しみにして、ますーw
太陽と月のあれ、好評でしたよ!
- 74 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 21:32:34.44 ID:5YCEdtDt0
- 郭嘉は手元に届いた書付にため息を漏らす。
どこをどうやったのか、厳重に情報封鎖されている洛陽からの便りである。送り主は、彼女の親友。
「反董卓、連合。ですか……」
その五文字のみが記されていた書付。巧妙に隠蔽されたそれにより、親友の無事を知る。
そして苦笑する。大きく出たものだ、と。
今の袁家にそのような余裕はない。内部の権力闘争を押さえるのに精いっぱいなのが現状。
矢継ぎ早に出された大規模投資計画により、官僚の業務負荷を増大させて暗躍できぬようにするのもそろそろ限界であろう。
そもそもの根幹に対しては何ら対策を打てていないというのが実際のところである。
……こうなると郭嘉が重用されるようになった経緯、後ろ盾であった存在――無論紀霊その人である――そのものが足を引っ張る。
郭嘉の能力は万人が認めるものではあったのだが。
「おやおや、これはどうもお疲れの様ですね。少し休まれた方がよいかもしれませんね」
声をかけてきたのは、今や袁家の屋台骨を一身に支える沮授である。
貴方こそ憔悴しきっているではないか。
そう言ってやろうとして振り向く。そこには、にこやかな笑みはそのままで、見違えるように生気に満ちた表情である。
誰だこれは、などと思う。
いや、涼やかな笑みに胡散臭い香りがまとわりつく。そういえば沮授という人物は本来こういう感じであったか。
「……。
そうですね。正直、見違えました」
郭嘉の言に沮授は笑みを深める。
くすり、という笑みの口元にはごまかされない。鋭い視線が周囲を睥睨しているのだ。
ふむ、何があったか知らないが本調子に至ったということであろうか。
探る郭嘉の視線を真正面で受け止めて尚笑みは柔らかく、深い。
「いや、正直僕も追い詰められていたようで。知人に叱られましたよ。
辛気臭い、ってね」
一体誰がこの青年にそんな言葉を投げることができるのだろうか。さしもの郭嘉も言葉を失う。
「いささか、現状維持に汲々としすぎたかもしれません。袁紹様や二郎君が帰還した時にこれでは呆れられてしまいます。
いかにも袁家の首魁となるには権謀術数に長けねばなりません。ですがそれでは足りません。
さて、蠢動する方々。様々です。
郭嘉さんから見てどう思われますか?」
- 75 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 21:33:00.60 ID:5YCEdtDt0
- ふむ、と郭嘉は幾人かの顔を思い浮かべようとするが、どれもこれも小粒にすぎる。
なるほど。袁紹というのは傑物なのだと今更ながらにそう思う。
彼女の日輪の如き光輝が目に焼き付いているためであろうか、有象無象はいずれも取るに足りない存在に思えてしまうのだ。
なるほど。
「――陰謀ごっこで袁家を牛耳って、私たちの主人面しようとする凡骨たちが多いなと思ったものです。
いえ、夢想するのは勝手です。ですがその夢に酔っているのに付き合うというのは実際苦痛でしかないですね」
我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。
なるほど、本来の彼はこうなのかと郭嘉は内心で沮授という人物の評価を改める。
唯々諾々とした官僚かと思えば、こんなにも覇気があるのではないか。袁家の差配を任される訳である。
非常時にこそ、その人物の真価が発揮されるというのは誰の言葉であったろうか。
なるほど。
「ええ、そうですね。袁家の本領は武に在ります。袁家に覇を唱えるのであれば、武勲なくしては叶わぬというのは必然というもの。
ええ。袁家の当主が滞在する邸宅を襲い、紀家の宿将を討つ。このような暴挙に対して黙するなぞありえません。
一当てせねば武家として面目が立ちませんもの」
いささか挑発的な言を郭嘉は吐く。
探るような視線の郭嘉に沮授は応える。にこやかに。
「そうですね。大義名分なぞ勝ってから考えればいいでしょう。
まあ、必要最低限のことは陳琳さんにお任せするとしましょうか」
沮授の言に郭嘉は声を出して笑う。ああ、それは適任だ。さぞかし名分を起草してくれるだろう。
「では。そちらのあれこれは、お任せしますよ。流石に僕が出るわけにはいきませんから。
取りあえずはお任せします。二郎君が惚れこんだ軍才、当てにしていますよ?」
す、と眼鏡を整えて郭嘉は応える。
託されたものを確認する。
「では、任されました。これより袁家は反董卓連合を糾合します。
まずは涼州に遣いを出し、馬家軍と連携を謀ります。これにより二正面作戦を強います。
此方は、まず星を如南より呼び戻して兵を率いさせます。襄平よりは公孫賛殿を招聘。彼女の白馬義従あれば董家軍の騎馬軍団に伍することも可能でしょう。
そして南方よりは孫家に派兵を求めます。最悪将だけでも。彼方は歴戦。客将としても使い様があります」
次々と流れる郭嘉の言。それに沮授は満足げに頷く。流石である、と。
眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだろう。
郭嘉が語る百の戦略に対して、沮授は千の内憂を想定する。
それらを全て平らかにして、沮授は微笑むのだ。
そして、郭嘉という軍事的才能の塊がいよいよ本領を発揮することになるのはこれ以降のことである。
- 76 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 21:34:21.19 ID:5YCEdtDt0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は
「臨戦」
「臨戦、その前に」
なんかいまいちなので、格好いい奴オナシャス
- 77 :青ペン [sage]:2020/01/05(日) 08:27:00.38 ID:viekSq/jo
- >>76
乙なんだよー
前回の流れから【龍の背に乗るは鬼才】
- 78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 20:39:16.51 ID:A0cM2VU/0
- 乙ー
ありそうなのにこの二人の組み合わせは珍しい気がします
そのせいかいつもに比べると袁家の(官僚達の)どろどろした感があんまりないですね
色置いてみたら一応見られる程度になったので(p:BL)
ttps://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org629287.png.html
(475×800、56.1kb)
ttps://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org629288.png.html
(1286×3164、179kb)
いつものお年賀お待たせしました(待ってません
一応凡将伝(Boshouden)大好き(Love)の略です(何
BLに引っ張られ過ぎたのか一樹きゅんが妙に恵体にww
気が向いたらその内仕上げたいなぁ
- 79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 20:41:02.02 ID:A0cM2VU/0
- 間違えましたBonshoudenでした
重ね重ね申し訳ありません
- 80 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/06(月) 20:58:45.70 ID:MCe9xQOR0
- >>78
やったぜ
支援絵ありがとうございますー嬉しいワッショイ
>ありそうなのにこの二人の組み合わせは珍しい気がします
大体三人一緒ですからね。仕方ないね。
まあ、実務者協議としては二人はなかよし!じゃなくてそこそこ打ち合わせしてると思うんです。
うん、描写してないだけですね!
>気が向いたらその内仕上げたいなぁ
楽しみにして、ますーぶへへへへ
- 81 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/06(月) 20:59:50.61 ID:MCe9xQOR0
- >>77
どもです。
>【龍の背に乗るは鬼才】
流れが出る題って考えたらやってないんですよね
その弐とかでやってるので
こういう連続性は思いつくのすげえなって。
嫉妬。
- 82 :赤ペン [sage saga]:2020/01/08(水) 17:49:36.69 ID:MhjvHt710
- 乙でしたー
>>76
>>眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだろう。 間違いが本当に見当たらないので違和感があったここを
○眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだ。 もしくは【起きるのだろう】ですかね【〜しようとしているのだろう】だとなんか仮定が二重っぽく読めますので
○眠れる獅子はいよいよ目を覚まそうとしているのだ。 もしくはちょっと弄ってこんな感じ?【眠れる獅子はいよいよ目覚めようとしていた。】とかも有りかもしれない
ところで>>「――陰謀ごっこで袁家を牛耳って、〜中略〜「ええ、そうですね。袁家の本領は武に在ります。〜中略〜いささか挑発的な言を郭嘉は吐く。
これだと>>「ええ、そうですね。 の部分も郭嘉の言葉っぽく誤読しそうなので
>>我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。 これの前に移動させて
○いささか挑発的な言を吐く郭嘉に、我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。 とかにした方が良さそうかな?と思います
そりゃまあ袁紹様と比べても見劣りしないような人がいたら既にそれ相応の派閥になってるわ
- 83 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/09(木) 22:04:21.18 ID:QMZNhXRi0
- >>82
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>そりゃまあ袁紹様と比べても見劣りしないような人がいたら既にそれ相応の派閥になってるわ
これがまあ、袁胤様でしたのですよね。
続きも頑張るぞいっと。
- 84 :赤ペン [sage saga]:2020/01/14(火) 13:05:26.03 ID:0VCnxJNF0
- そう言えば向こう見てて気づいたんだけど
>>凡人と絡新婦(接触編)
>>実際どう考えても騙しにきているとしか思えないんだよなあ・・・・・・。
このあたりまで3点リーダーの使い方間違ってたんですね……知らん振りしとく?
- 85 :青ペン [sage]:2020/01/14(火) 14:15:46.04 ID:L0aqVzNMo
- >>84
あっちは修正利くから
気づいたらするんじゃないかなっと
- 86 :赤ペン [sage saga]:2020/01/14(火) 15:30:09.99 ID:0VCnxJNF0
- つ?○○ !○○
本来ならスペース空けないといけないらしいけどローカルルールと言う事にして空けていないんよ
それにしてもナロウのアニメ化作品見ると世界観が訳わかめで二次創作の便利さがよく分かる…女が強かろうが時代的にあり得ないものがあろうが原作にそれっぽさがあれば気にしなくていいから
逆に1から作ると常識を知らないはずの転生主人公が主席入学したり、中世ヨーロッパっぽい異世界でマヨネーズ作ったり、商品(奴隷)を滅茶苦茶雑に扱ってる商人がいたりすると読者から突っ込まれたりするからなあ
- 87 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 19:25:36.57 ID:GCp+HjRp0
- り、リソースは有限じゃけえ……
手が空いたら対応したいという気持ちがあるということは忘れず、大切にしていきたいと思っております。
- 88 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 21:18:38.00 ID:GCp+HjRp0
- 約束した董家ルートも実装できてませんしねぇ
いや、筋は完成したんよ
出力するリソースが足りないのん
早く農家にならねば
- 89 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 21:50:19.07 ID:GCp+HjRp0
- ☆その頃の劉璋ちゃん
「こら、ここから出しなさい!
こんな所に私を閉じ込めるとか、どういうつもりなの!」
こんな所と言うが、ずいぶんと立派な邸宅である。
それは分かっている。
それでも劉璋は黙らない。
何が起こったか。おおよそのことは理解している。ならば、それならば、だ。
自分にしかできないことがあるのだ。
皇族である自分にしか。
「弁君に会わせなさい!協君を呼びなさい!」
敢えての呼び方。そしてそれが出来るのは自分のみ。
二人の橋渡し、仲立ちなんてできない。そういう状況でもない。
それは理解している。
それでも。
それでも皇族として劉璋には義務がある。世を平らかにする義務がある。
そして自分に価値があるというのも理解している。学んだ知は力であると確信する。
自分の身に価値があるということを最大限に利用する。
そうして知った事実にはちょっと脱力してしまったりしたものだが。
いや、自分を守るべき厳顔がとっくに逃亡していたというのは、流石に思うところがあった。
だがしかし、考えれば彼女は母である劉焉の部下。
であれば今の洛陽の状況を確実に伝えるというのはそれが本来の業務であるのだろう。
馴染んで、気安かったのは確かだが。
それはまあ、そういうことなのだろうと劉璋は割り切っている。割り切った。
それはそれとして自分のできることをするのみ。
自分の言jは、けして無視できないものである。
それを理解している劉璋は、発声を鍛えることにする。
どうせならば洛陽全土に自分の叫びを伝えよう。
「えっと、声量には肺活量だったかな。肺活量って確か息が苦しいほど鍛えられるのよね。
それには鍛錬あるのみ、と。
水練が一番いいって二郎は言ってたけど流石に無理よね。
だったら走るか、馬術か、よね」
劉璋としては宮廷内を身軽な格好で走って、ついでに情報収集をしたかったのだが、流石にそれは許されることはなかった。流石に。
なので、幽閉されている劉璋がひたすら馬術に興じていたというのは、複数の資料に記されているのである。
- 90 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 21:51:30.95 ID:GCp+HjRp0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
正直最近、JANE使いづらいんですよねえ。
いいや、誤差範囲内ですが。
書き込みと本スレの切り替えができないとか、なんとかならんかなあ。
- 91 :赤ペン [sage]:2020/01/15(水) 00:07:01.43 ID:+nwLZWTs0
- 乙でしたー
>>89
>>馴染んで、気安かったのは確かだが。 はて…いつだったかの黄巾に兵を出す出さないで溝が出来たと思ってたけど修復できたんか(安堵)…そして即行で投げ捨てたんか(溜め息
>>自分の言jは、けして無視できないものである。 これは単純なミスですな
○自分の言は、けして無視できないものである。 もしくは【自分の言葉は、】かな?
乗馬は許されたんか…まあ小さい馬で馬も走ると言うより歩く程度だったのかも知らんが
いっそ馬走らせる場所で劉璋ちゃん走らせちゃいかんのか
- 92 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/15(水) 20:50:15.26 ID:Hvp11W2u0
- >>91
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
さて
>乗馬は許されたんか…まあ小さい馬で馬も走ると言うより歩く程度だったのかも知らんが
>いっそ馬走らせる場所で劉璋ちゃん走らせちゃいかんのか
ちょっと面白いかもしれませんね。
考えてみよう
- 93 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 20:02:13.86 ID:LgjHVKE/0
- 明日は阪神大震災の日です
なんで悲惨な記憶を掘り起こすことしかメディアはしないのか
そこから復興したとか未来に希望を見いだすようなことが何故出来ないのか
やっても数字が取れないのかなあ
後ろ向きで鬱々とばっかりしているようなのが、と
不景気な面してる方が視聴率とれるのかなあ
NHKの特集予告で思いました
でもNHKって視聴率関係ないよねスポンサーいないし
ああやだやだ辛気くさい
以上、愚痴でした(これはこれで後ろ向き)
どうにも調子がよくないなあと
- 94 :青ペン [sage]:2020/01/16(木) 21:03:34.39 ID:UlvST0T/o
- >>93
わすれちゃいけない。
でも引きずっちゃいけない。
難しいよね。
- 95 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:06:52.87 ID:LgjHVKE/0
- >>94
自分自身被災者ですが、本当にね。
悲惨な話の方が飯の種になるってのはいけないな、と思います。
最近では災害の時の自粛について反論異論が出るようになってマシだなと思うのです。
マグマのような感情を込めて書き溜めするのぜ。
- 96 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:12:21.06 ID:LgjHVKE/0
- 「ち、父上が死んだ……?
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!そんな馬鹿なことがあるか!
あんなに強い父上がやられるはずがないだろう!」
三か月前のその慟哭を厳顔は忘れることはないだろう。悲痛な、幼子(おさなご)のようなその声は何かしら胸をうつものがあった。
……厳顔がここ涼州にいるのには理由がある。
董卓が起こした変事の詳細について可能な範囲で情報を集め、辛くも洛陽を脱した彼女が向かったのは益州ではなく、涼州。
最も激発する可能性が高いのが涼州であったからだ。可能性としては袁家もあるが、馬家と違い未だ当主はじめとした首脳は行方不明。
なれば袁家は捜索に力を注ぐであろうという判断である。
一方馬家については馬騰の死亡が確認されている。
馬超はいささか直情径行にあり、暴発する可能性は大いにあった。その場合益州にも派兵の要請が来たであろう。
まあ、函谷関で防がれる分には問題ないが、馬超の武勇を考えれば洛陽まで迫る可能性もある。
そのまま押し切ることもありえるであろう。その場合、劉璋を人質とされている益州が兵を出すことはありえず、それを逆恨みされることもありえる。
故に馬超の暴発を抑えるために厳顔は涼州に赴いたのである。
無論、劉璋を置き去りにしたことに対する風当たりは厳しいものがあるであろう。
だが、同じく囚われるよりは主君に正確な情報を送り、その上で最善を尽くすことこそが肝要。
直接的な地位も権力も持たない劉璋が害される恐れはほぼないと言っていい。
名よりは実を。主たる劉焉が常々言うことである。
そして厳顔は益州と密に連絡を交わしながら涼州にある程度の影響を築くことに成功していたのである。
「とは言ってもねえ。多分お姉さまもうすぐ爆発するとたんぽぽ思うなー。
まあ、これまで抑えていたのが不思議なくらいだしね」
肩をすくめながら馬岱は厳顔に言う。そろそろ限界だと。
「とは言え、函谷関は要害。更に韓遂の蠢動もある。いかにも動くのは不利であろう。
何より、相手は主上を奉っておるぞ?
武の名門馬家を逆賊とするのは本意ではなかろう?」
お主ならば分かっておるじゃろとばかりに厳顔は馬岱に目線を向ける。
馬岱は、たははと手を振り。笑って応える。
「いや、あのね。何て言うのかなあ。こんなに厳顔さんと私たちで認識に差があるとは思ってなかったなあ。
確かに月さん……いえ、董卓は今上陛下を擁立してるよ。でも、それは大したことじゃない。
厳顔さんも分かってるんでしょ?今上陛下が正統だとは言えないということ。
ならばそれを糾すのが武家の名門たる馬家の義務なんだよね。董卓を配下にしていた馬家ならなおのことだよ。
おじ様からよく言われてたんだよ。『命を惜しむな、名を惜しめ』ってね。
あの時は分からなかったけど、今ならよく分かる。
うん、覚悟完了、って奴かな」
- 97 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:12:47.59 ID:LgjHVKE/0
- 「な、なんと?
しかし、韓遂は難物なのだろう?」
くすくす、と馬岱は澄んだ笑みを浮かべる。いかにもおかしげに。いや、これは見知っていた馬岱なのであろうかと厳顔は瞠目する。
その表情に迷いなく、面差しには覚悟が現れている。
「うーん。正直、今のお姉さまだったら鎧袖一触だと思うなあ。
それに韓遂だって根っこは同じだと思うよ?何せおじ様の義兄弟だしね。
それでなお立ちふさがるならばまあ、錦馬超の真価、というやつ。その武威ってやつ。それを、ね。
身をもって知るんじゃないかな?」
「……匈奴はどうする。背後の備えは」
「洛陽を落としてから返す刀で蹂躙すればいいでしょ。匈奴に領土欲はないからね。あっさり逃げると思うし。
まあ、もし長城を越えて本当に来たならば、こちらも長城を越えるだけだし」
血で血を洗う戦場を駆け抜けた少女と、要害に楽園を築こうとしていた艶女の認識の差は埋めがたく。
「お姉さまをね、止めていたのは。準備が整っていないからというのは厳顔さんにも言ってたよね。
あれは方便じゃなかったの。
そしてその準備は整ったんだなこれが。
ああ、そんな顔しないでほしいなあ。たんぽぽ嘘は一度も言ってないし。勝算だって十分あるしね」
勝算?首を傾げる厳顔に馬岱は笑いかける。
「うん。馬家が万全に戦の準備を完了したんだから、袁家だって同じだと思うよ?
根拠?
だって、二郎様とたんぽぽは気が合ったもの。武家の匂いがしたもの。
だからおじ様もあんなにも気に入ってたの。分かるかなあ。分からないかもしれないけどね。
袁家と馬家は似た者同士だよ。そりゃあ、色々と違って見えるし、実際違うんだろうけどね。でも、根っこは同じ」
さて、お前はどうする?益州劉家はどうするのだと笑う。
これが連綿と国境を守っていた武家の凄味かと厳顔は思う。ならば。
「劉璋様には申し訳ないことになるかもしらんな……」
主たる劉焉に送る書状の内容を推敲しながら厳顔はそうつぶやいていた。
- 98 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:13:15.11 ID:LgjHVKE/0
- ◆◆◆
「という訳で、どうやら袁家は出兵の準備をしているようですね」
諸葛亮の報告にふむふむと北郷一刀は頷く。なるほど、袁紹という盟主がいなくとも歴史の流れは変わらぬのかと。
――県令として劉備が任地に赴任し数か月がたつ。余り紀霊と友好的な関係を結べていないこともあり、とんでもない僻地、荒地に左遷されるのではないかという危惧は杞憂に終わった。
前任者はそれなりに有能、それなりに善良であったようでよく治められている。
これまで政に携わったことのなかった劉備一行にはあれこれと丁寧に引継ぎすらしてくれており、今のところ大過なく治められている。
――劉備の治世についての領民の評判はすこぶるいい。清貧を地でいく劉備の人徳もあるが、官庫を開いたことが大きい。
二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。
余程の天変地異でもない限り問題はない程度に食糧、金銭の貯蓄を減らす。更には付き従う義勇兵には開墾を命じる。
屯田兵、と北郷一刀が命名した彼らは実に熱心に地を耕している。きっと秋の収穫には大いなる実りがあるはずである。
なに、慣れぬ農作業も農徳新書さえあればある程度の収穫は見込めるというものである。
――閑話休題。諸葛亮の報告を受けて北郷一刀は口を開く。
「反董卓連合、か」
その推察が自らのそれと重なり諸葛亮は改めて自らの主人に心服する。これだけの限られた情報でそこまで至るとは、と。
「洛陽で暴政を敷く董卓。大いにありえますね」
諸葛亮の言に劉備は戸惑う。
「え、でもでも!
月ちゃんがそんなことするかなあ。あんなにいい子だったのに。
ねえ、ご主人様。本当に月ちゃんがそんなことするって思う?」
劉備の疑問は無理からぬこと。あの穏やかな娘が権力を求めて蜂起するなど。
「だから、ここにいちゃあそれも分からないから。だから俺たちも洛陽に向かおう。
本当に何があったのかを見極めよう。もし、月が本当にそんなことをしていたのなら、叱ってやろうよ。
そして、誰かに騙されているんだったら救ってやろう。
きっと洛陽に向かい挙兵がある。それに乗じて俺たちは俺たちで動こう。
きっと俺たちにしかできないことがあるはずさ」
そう。思えば劉備が飛躍したのは反董卓連合での活躍からだったはず。
だったら、そういうことなのだろうと北郷一刀は思う。
天下三分の一つを占めながらも徒花と散った蜀。
自分がここにいるのはきっと彼女らを導くためなのだ。それが、右も左も分からぬ自分を守ってくれた彼女らに対する恩返しのはずだと北郷一刀は確信する。
桃園の三人に加えて伏竜と鳳雛がいるのだ。何を畏れることあろうか。
「桃香、頑張ろうな。皆が笑って暮らせる世界のために!」
そう、まさに北郷一刀と劉備。それは雌雄一対の剣であるのだ。
- 99 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:13:41.33 ID:LgjHVKE/0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
- 100 :青ペン [sage]:2020/01/17(金) 01:04:48.83 ID:auBaa/izo
- >>99
乙なんだよー
【西涼に馬家気炎を挙げ大徳は都に走る】
かなぁ
- 101 :青ペン [sage]:2020/01/17(金) 01:06:53.79 ID:auBaa/izo
- >>95
ぶっちゃけるとおいらも2016の被害者ではある。
まあ、被害ほぼなかったけどね。
だから、あの言葉が出た次第さね
- 102 :赤ペン [sage saga]:2020/01/17(金) 15:23:52.54 ID:W7xtXCNi0
- 乙でしたー。昨日の事のように思い出される。とかテレビで言ってたけど…いい加減踏ん切り付けて過去のことにして前向いて歩いていいと思うけど
>>96
>>馬岱は、たははと手を振り。笑って応える。 間違いと言うほどでは無いですが
○馬岱は、たははと手を振り、笑って応える。 の方が良さそうかな?手を振った後の笑顔に含みを持たせたいなら【たははと手を振り……わらって応える。】とかどうでしょう
>>97
>>それでなお立ちふさがるならばまあ、 上の方は父の言葉を思い返してる感じもあったのでそのままでいいかと思いますがここは彼女自身の言葉っぽいので
○それでなお立ちふさがるならまあ、 【ならば】だとちょっと硬い感じがするのでちょっと違和感
>>錦馬超の真価、というやつ。その武威ってやつ。それを、ね。 【やつ】が2回続くとちょっとしつこい感じが
○錦馬超の真価、……その武威ってやつそれを、ね。 でどうでしょう
>>98
>>余り紀霊と友好的な関係を結べていないこともあり、とんでもない僻地、荒地に左遷されるのではないかという危惧は杞憂に終わった。 そうされる危惧があっても趙雲をスカウトするあたり…というかあの件は良くないことをちゃんと諫言したんかあわはわ軍師
>>本当に何があったのかを見極めよう。 間違いでは無いですがこの場合の意味だと
○本当は何があったのかを見極めよう。 の方が良さそうかな?
ところで、さ>>前任者はそれなりに有能、それなりに善良であったようでよく治められている。 この人が溜めてた【領地の財産】を
>>二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。 こうすることで劉備の評判を良くするとかなかなかできる事じゃないよね
と言うか屯田兵とか既に農徳新書で使われてるんでねーの?フジリュー太公望が鍬を振る動きと剣を振り下ろす動きは似てるとかなんとか言ってたし
そもそもこいつらは何なんだ?基本領主の土地を耕して戦争の時は兵士になる(命と稼ぎを搾取されるブラックと言うのもおぞましい何か)?基本は農民(耕した土地は自分のもの)で戦争の土地は兵士になる(そりゃ戦国時代の足軽だ)?
よっぽど裕福か騎馬民族に四六時中狙われてて常備軍で防波堤してるのでも無けりゃ平時の兵士の食い扶持稼ぐために元から領兵たちも土地耕してそうだが
兵農分離するってことは基本的に何の生産性もない存在を作るってことなんだが…そしてそいつらが食うための給料を領主が出す
前任者が兵農分離してたんなら袁家の意向で多分ココ匈奴の略奪をうける場所だし、してないなら既に農徳新書ブースト受けて十分開墾されてそう(劉備SUGEEされなさそう)
- 103 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:04:24.08 ID:KqZ5Idpj0
- どもです。
ちょっと間が開きましてすみませんです。
>>100
>【西涼に馬家気炎を挙げ大徳は都に走る】
かっこい!
この勢い的なものは本当に妬ましい
>>101
正直余計なことを言ったかもです。
まあ、金出すならルミナリエ的なものにも金出せよ!と思うのです。毎年資金難らしいし。
>>102
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うひょう。
>昨日の事のように思い出される。とかテレビで言ってたけど…いい加減踏ん切り付けて過去のことにして前向いて歩いていいと思うけど
たとえば殺人事件案件なら絶対そうなりますよね熊谷とかね
>前任者が兵農分離してたんなら袁家の意向で多分ココ匈奴の略奪をうける場所だし、してないなら既に農徳新書ブースト受けて十分開墾されてそう(劉備SUGEEされなさそう)
劉備すげーできないからこそ、飛躍が必要なのです。多分。
正直平時の事務仕事ってすごい手柄とか無理ですもの。
そういうとこで飼い殺しにしたかったんですよ。
なお野心。
- 104 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:38:26.16 ID:KqZ5Idpj0
- 政権奪取より数か月。
賈駆は相国となった董卓の腹心として国政を思いのままにしている、と世間一般では思われている。
権勢をいいことに先帝に退位すら強い、権勢は留まるところを知らない、とされている。
だが勿論、実際はそうではない。
董卓を人質に取られ、最早李儒――或いはその背後――の操り人形に近しい。
朝廷の人員からは冷たい目で見られ、官僚たちからも面従腹背(サボタージュ)状態であるのが実際のところである。
それでいて、辛うじて政権運営が果たされているのは賈駆の有能さと勤勉さを示すものであろう。
とは言え、最早それは恐怖政治に近しいほどに成りはてている、あまりに不服従の過ぎる官僚は幾人かが見せしめとなっている。
それを見てまた官僚が反感を募らせるという悪循環を分かりながらも賈駆は止まることが出来ない。
そして更に扱いに困るのが禁軍である。
呂布、或いは張遼に押さえさせようとするも内部の政治的抵抗が激しく、ままならない。
だが、意に沿わない武力集団を抱えることほど危ういことはない。煩悶しながらも打つ手なく賈駆は摩耗していく一方である。
そんな時に来客が告げられる。
正直それどころではないと門前払いしようとするも。
「ここで李儒、か……。通しなさい」
ぎり、と歯ぎしりしながら賈駆は身なりを整え、軽く化粧して出迎える。
「あら、思ったより元気そうね。お仕事は順調かしら?」
くすくす、と笑うこの女を今すぐ縊(くび)り殺してやりたいとばかりに無言で賈駆は李儒を睨む。
「やだ、こわいこわいわね。そんな目で見られたら、やあね。うっかり手が滑っちゃいそうねえ」
にまりと何かを示唆しつつ李儒は笑う。蛇のような湿度に賈駆は改めて嫌悪を感じ、それを押さえ込む。
- 105 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:38:52.55 ID:KqZ5Idpj0
- 「何の用よ」
素っ気なく賈駆はもはや態度を繕おうともしない。どうあっても、何をしても事態は改善されないのである。目の前の存在に忖度しても自分がすり減るだけである。
「いえね。あまりにも貴女が大変そうでね。正直、色々と回ってないでしょう?
いえね、よくやっているとは思うのよ、本当に。でもね。あまりにお粗末だから心配になってね。
多少なりとも助けてあげようかな、って思ったのよね」
「アンタに助けてもらうくらいならば今ここでアンタを刺すわよ。
どうせボクでは無理だろうから、そろそろ武官でも呼ぼうかなって思ってるくらい」
「怖いわねえ。でもまあ、なんでだか私は嫌われているみたいだから。
だから、貴女の助けになりそうな方を紹介しようと思ってね」
す、と手を上げる。それが合図であったのであろう。人影が姿を現す。
「何だな。この状況だと僕は悪者一直線なんだが……。
もうちょっと話の流れとか、そういうものについて気配りしてほしいなあ」
苦笑しつつ姿を現したのは皇甫嵩。賈駆が取り逃がした漢朝の大物の一人である。
「な、なんで!アンタら、あんたらっ!
そうか、そうか……っ!
最初から、つるんで、たの……ね!」
絞り出すよな賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。
「そう思われても仕方ないけどね。まあ、経緯は置いておこう。そしてはっきり言おう。
君らの統治は見ていられない。ああ、見ていられない。
だからね、せめて禁軍の面倒くらいは見てあげようというのだよ。
それで大分違うだろう?」
確かにそうだ、その通りだ。禁軍を皇甫嵩が押さえてくれるならば、相当賈駆も楽にはなる。
だが、それでいいのかと思う。それはいけないと思う。この、目前の男は信用してはならないと本能が警告してくる。
だが、それでも賈駆には選択肢はあってなきが如し。李儒が提示した選択肢をどうこうできるわけもない。それでも。
「まあ、思うところはあって当然さ。僕だって思う所あるしね。
ただまあ、それで被害をこうむるのは、か弱い民たちさ。
まあ、ひとまずよろしくね。
ああ、主上にもご挨拶しときたいなあ。頼まれてくれるかな?」
にこやかな皇甫嵩を苦々しげに賈駆は睨む。
だが、確かに、確かに皇甫嵩が禁軍を掌握するにつれて賈駆の負担は減っていったのである。
故に賈駆は皇甫嵩その人の真意は捨て置くことにする。
いや、それを深く考える余裕なぞなかったと言ってもいいであろう。
まさに忙殺、であった。
そして、それより暫し時を置き、時代を動かす人物が再び舞台に姿を現すことになる。
その報を受け、賈駆は項垂(うなだ)れ、皇甫嵩は舌打ちする。そして李儒はほくそ笑むのだ。
その無益さ。
それに気付くにはもう少し時が必要となる。
- 106 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:39:37.23 ID:KqZ5Idpj0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
今回は前回と合わせてなんかしたいですねというか、次からがいよいよなので区切りたいというか。
よろしくお願いします。
- 107 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:23:39.49 ID:kZuWh2Jg0
- ――目の前に広がるは曇天。今にも雨が降りそうな黒いそれは、今の漢王朝の行く末を思わせる。
どんよりとした空気は重く、湿っぽい。ひょっとしたら薄く雨粒が落ちているのかもしれない。それくらいに粘つく空気だ。
それでも、それでも俺はこうして生きている。だったら歯を食いしばってでも生きるしかない。前に進むしかない。
などと珍しくシリアスさんと仲よくして雰囲気に浸(ひた)っている俺に声がかけられる。いや、人間暇だとロクなこと考えねえってことさね。
「旦那!あね……呂伯奢様がお呼びだ――ですぜ!」
あいよと軽く応えてどっからどうみてもごろつき寸前の男に手をひらひらとさせて持ち場を離れる。
今の俺は呂伯奢率いる商会の用心棒……ぽい感じで振舞っている。
呂商会は母流龍九商会がカバーできていない南皮から洛陽の北回りのルートを牛耳る商会だ。
その会頭たる呂伯奢と知り合ったのは俺が放浪している時にたまたま――って訳じゃあない。
「お呼びだそうで。入るぞ」
応えも聞かずに戸を開け、室に踏み込む。
「おや、お早いお着きだことで」
出迎えるのは着飾った妙齢の麗人。艶然と笑いながら俺を差し招く。優雅なその様は貴人のもの。漂う色香は成熟したそれであり、思わせぶりにしなをつくる。
まあ、普通に魅力的な麗人ではあるのだが、それどころではないのである。今の状況がね、それどころじゃないのですよ。
「うるせえよ。さっさと用件言えってば」
「つれないねえ。そんなんじゃ女にもてないよ……と言いたいところだけど、そうでもないみたいだしね。
ま、いいさね。南皮までの道程に敵影なし。明日払暁に発つことにする。
二刻もすりゃあ無事に我が家への帰還がかなう見込みさね」
くすり、と妖艶と言っていい笑みで呂伯奢――ええい、面倒だ。張燕がそう言う。
そう、俺が、俺たちが南皮までの道程を、身を任せたのは黒山賊であった。
「まあ、しかし驚いたよ。まさかアタシ達のとこに来るなんて思ってもみなかったからね」
艶然と、しかし苦笑気味に張燕は呟く。
「そうかい。お前さんがそうなら、他の誰にも読むことはできんってことだろうからな。そりゃあよかったよ」
洛陽を脱出した俺たちが身を寄せたのは薄汚い寒村。洛陽からほど近いそこは実は黒山賊の出先機関。
政局、機を見るに敏。その張燕は中央の動きには非常に高い関心を寄せており、いち早く動きを捉えるために村一つを買収していたのだ。
その、いわば隠れ里的なそれを俺が知っていたのは張燕に渡された一枚の地図。黒山賊のそのようなアジトを克明に記したそれのおかげだ。
「でもねえ、思わなかったのかい?アタシが、アンタたちを売る、ってことは」
挑発的なその言葉。
まあ、そうよねえ。でもね。
「ないね。生死を問わず、洛陽に俺たちを売ったとしたら黒山賊に未来はない。
面目にかけて袁家は本気で黒山賊を討つさ。それくらいは自明の理。そんな選択をするかね」
- 108 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:24:05.25 ID:kZuWh2Jg0
- 張燕は、フン、と何か拗ねたように口を尖らせる。
「ああ、そりゃあ勘弁願いたいねえ。あたしゃ大きな博打は勘弁さね。
一世一代の大博打に勝ったんだからさ、あとはこつこつと積み重ねていきたいものだよ」
そして、打って変わったようにけらけらと軽やかに笑う。
そう、そうだからこそ。それが分かっていたからこそ俺は黒山賊を選んだのだ。表面的には不倶戴天の黒山賊――実際は馴れ合いも甚だしいのだが――に身を預けたのだ。
それは成算あってのこと。張燕という女傑を高く評価しているからこそ、である。
「まさかに、黒山賊を率いる女傑がなあ。言行不一致甚だしいとはこのことだろうな」
「おやおや、アンタがそれを言うのかい。袁家という巨大な組織を牛耳るアンタがそれを言うかね。
まったく。重ねて言うけどね。あたしゃ分の悪い賭けは大嫌いでね。アンタだってそうじゃないのかい?」
フン、と一つ笑って俺は言う。
「賭け事は、胴元に限る」
その言に呵呵大笑する張燕。いつぞやもこうだったな、と思い出す。
黒山賊の本拠地に身を寄せた時に、裂帛の気迫をひた隠しにしながら問われた時だ。
――曰く、アンタの目指すところはどこだ、と。
無論、応えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。隠居した後にあれこれ悩むのも面倒だから、世は平らかでないといけないと。
だから、俺はさっさとのんびり隠居したいだけだと。そのために色々やっていると。
いや、張燕みたいな麗人が呆けた顔というのは中々見れないから、ある意味眼福であったのだろう。艶姿の今よりもきっとね。
まあ、張燕が恐ろしいのはそれだけではない。いつまでも野盗なんかやってられないとばかりに母流龍九商会に目端の利く者を数十名送り込んできた。
そしてでっちあげたダミーカンパニーの呂商会。これにより直接物流に携わる。南皮から洛陽までの最短ルートはもともと黒山賊が押さえていたこともあり、これが莫大な利益を生む。
張燕がしたたかなのは、これを呂商会独占としなかったことだ。他の商会もそのルートを使う。ただし護衛料がマージンとして上乗せされるので、価格的優位性はダントツ。
野盗まがい、というよりほとんど野盗の集団であった黒山賊を、一部とはいえそうして使いこなし、十万とも言われるその数をきっちり養う。しかも合法的に。
その、ソフトランディングのための調整能力というか、統率能力というか、先見性に俺は感嘆しきりなのである。
「まあ、黒山賊と袁家は不倶戴天の敵だけどな」
ぴしり、とそれでも馴れ合うつもりはないと一応主張してもまあ、蛙の面になんとやらである。
「ま、固いことはいいっこなしさ。そら、一献」
いつのまにか手にした酒を、これまたいつのまにか掴ませた酒杯に注いで張燕はにんまりと笑う。俺もしょうがないから、笑う。
「そうだな。できることなら、長いお付き合いであってほしいね」
「おや、嬉しいことを言っておくれでないかい。そうだね、どうせならより親しくなっとくかい?」
むわり、と成熟した女の色気が俺を取り巻く。肌を重ねるか、と露骨に問うてくる。
「いや、俺は情に流されるからな。それはやめとく」
あらそうかい、と残念そうに身をひるがえす。
「ま、きっちり南皮まで送り届けてやるよ。姫さんたちと一緒にね。
今後とも。どうぞお引き立てのほどを」
その言葉を聞き流し、思う。
明日だ、明日には帰れる。南皮に帰れる。
それから、どうするんだ?決まっている。でも、気が進まない。それは許されない。
室に一人。
酒精を呷りながら、意識が混濁していくのを心地よく迎えて、沈む――。
- 109 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:24:36.61 ID:kZuWh2Jg0
- ◆◆◆
郭嘉は其の報を受け、走りだした。
それが真ならば、真ならば。
――郭嘉はそれほど身体能力に恵まれてはいない。いや、劣っていると言ってもいいであろう。
謀士なんぞにはそれほど価値を求められない世の中だ。彼女は大いに苦しんだ。
脳髄の冴えを誇ろうとも、武家に於いては枝葉末節。故に、約束された声望を捨て、流浪したのだ。
遠回りをしたように思う。結局今自分が仕えるのは袁家なのだから。だが、かけがえのない友人に恵まれた。
郭嘉は走る。既に脳髄には必勝の戦略が幾筋も出来上がっている。
だが、その根源を、前提を満たすための材料がまだ足りない。だから郭嘉は走る。脆弱な心肺が悲鳴をあげる。
その悲鳴すら弱々しく、ひゅぅ、と鳴る。それでも郭嘉は棒となった足を前に進める。そして夜明けの一番鶏を合図に開く城門。
そこに立つ青年を見る。
多少薄汚い恰好であっても見失うものか。全く。身を隠すならば得物くらいは取り繕うべきなのだ。
必死に呼吸を収めて、努めて平静に声をかける。
「お早い御着き、とは言えませんね。ともあれ、ご無事でなによりです。
それでは、後ほどに。落ち着いたらご相談と承認を頂きたいことがあります」
踵を返す郭嘉に戸惑ったような声が追いすがる。
「え?稟ちゃん?ちょっとそれ冷たくない?久しぶりの再会なんだし、もうちょっとこう、反応があると思うの。
あれ、稟ちゃん?稟ちゃんさーん?」
フン、と郭嘉は決して振り返らない。
その彼女の脇を弾丸と化した幼女――多分典韋だろう――が通り抜ける。
後方でドゴォ!と微笑ましい音響が響き、やや遅れて駆けてくるのは、もう一人の親友。常山の昇り龍。
「おお、稟よ。主が帰って来たというのは真か?
いや、これまでも幾度もそのような報はあったが。稟が動くということは今度こそは、という奴だな」
この、心根が真っ直ぐな親友になんと言ってやろうかと思うのだが。
「そうですね。どうやら今回は確かだったようです。どうぞ歓迎はお任せしますとも」
きっと、立場的にも、性質的にも、彼の横に立つのは武人であるべきだ。
誰にともなく言い訳しながら郭嘉は歩を進める。自らの責務を果たすべく。
反董卓連合。既に考え付く状況において袁家は最終的に勝利する。
それを郭嘉は確信するのであった。
- 110 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:25:25.24 ID:kZuWh2Jg0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は、
「凡人、還る」
ですけどもちっと色気あるやつが欲しいなあ欲しいなあ。
よろしくお願いします。
- 111 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:39:19.64 ID:+gB018zg0
- さて、大騒ぎです。南皮は大騒ぎです。
そりゃあそうよね。消息不明だった幹部が揃って帰還したんだから。
稟ちゃんさんとか流琉とか星とかは俺の顔を見たらそれで納得したけど、中枢の官僚はそうもいかないわけで。
呂家の馬車から麗羽様と美羽様が降り立った時のどよめきはすごかった。
いや、お二人の御髪というのもあるとは思うけどね。
それも、麗羽様の一喝で皆通常業務に帰っていった。流石麗羽様。オーラ半端ない。流石です麗羽様。さすれい。
今も動揺する領内安堵のため各方面に送る書状をしたためられている。
美羽様だって拙いながらも頑張ってらっしゃる。具体的には如南の動揺を抑えるために色々とご尽力されてらっしゃるのだ。
なんでも、如南攻防戦で功のあった奴らに書を出すそうだ。十傑衆に、四十七士、かあ。十傑衆の中に沙和の名を見て愕然としてしまったのは内緒だ。
七乃は張?に引き継ぎをしている。
「……聞いているのですか?」
稟ちゃんさんが俺に冷たい目線をくれる。ありがとうございます!ありがとうございます!という性癖はないので、普通に謝る。ごめんねって。
「ああ。風から聞いてたから、な。反董卓連合。それに異はないさ。ないとも。
だが、馬家を函谷関に向かわせるのはなしだ」
俺の言葉に怪訝そうに稟ちゃんは聞いてくる。
「何故です。純軍事的に、敵に二正面作戦を強いるのは有効ですよ?
しかも董家軍に将帥少なく、その効果は計り知れません」
確かにそうだろう、そうだろうとも。
- 112 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:39:45.72 ID:+gB018zg0
- 「稟ちゃんさん、よ。勝ちゃあいいってもんじゃあないんだよ。
袁家が本腰を入れるんだ。勝てばいいってもんじゃあない。
つまりな。
誰が漢朝を背負うのか。ここからは、それを問う戦いになるのさ。
だからね。有力諸侯だけじゃない、全諸侯に使者を放て。
敢えて言えば、そうだな。お前らはどっちに与するか、ってね」
――ショー・ザ・フラッグ゙!
「こっから先は漢朝全土を相手取るくらいの意気込みでないといかん。
そして、袁家は勝者でないといかん。勝たねばならんのさ。色々とね。
そして、勝つ算段は任せるよ」
「さて。ご信頼はありがたく、確かに。
しかし、いいのですか?賈駆殿は……」
情を通じた愛人だろう、と鋭く俺の心を抉る。
「……。詠は、詠ちゃんは、さ。優先順位を間違えない。きちんと大事なものを選べる子だ。
だから、月を選んだ。だったら、そういうことだ。そういうことさ。
何度やっても同じ選択をする。そういうこと、さ」
ああ、そうだ。そうだろう。きっと月を誰かに人質に取られたとかそういうことなんだろう。
だとしても、俺にも譲れないものはある。大事な人がいる。だから。
「では、諸侯に檄文を発します。既に草稿は陳琳に作らせていますので推敲をお願いします。
……それでよろしいのですね?」
「ああ。脅し付けろ。どっちにつくか、選ばせろ。兵を出せないならば銭か物資を拠出させろ。
従わない奴らは……。まあ、勝ってから考えよう。精々見せしめにしてやろう。
単に勝つだけじゃない。逆らう気を起こさないくらいに徹底的に勝つ」
無論、圧倒的な戦力を見せつけるのは敵というよりは。
「諸侯に見せつける。袁家の武威をな。
そして、勝つ。無論、勝つ。
洛陽にて暴政をする董卓を討つのは袁家だ。
そこんとこ、よろしく」
「承りました。なるほど、董卓は暴政を敷くのですね。
ええ、風が洛陽に残るというのはそういうことなのでしょう。董卓の治世は、荒れるのですね」
フン、と応じるしかない。そうか、風ならばそれを果たすだろう。やるのだろう。
俺にだって思うところはある。あるのだ。
「――雷薄が、やられた。奴の下に付けてた若手もそうだ。みんなだ。
袁家の次代を担う奴らが死んだんだ。皆死んだんだぞ。
だからさ。
袁家を敵に回すってことはどういうことかを、示さないといけない。いけないってことだ。
ああ、そうだな。それでこそ破邪顕正ってもんだ」
「……よろしいでしょう。なれば袁家の総力戦、ご相談申し上げます。ええ、ご相談申し上げますとも。
勝つのみにあらず、大いに結構。大いに結構ですとも」
「……頼んだ。頼む」
心から、頭を下げる。負けられない。負けてはならない。その思いが今更背を貫き、身を震わせる。
――おずおずと伸ばされて、俺を包んだその手は思いのほか、温かかった。
◆◆◆
- 113 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:40:41.74 ID:+gB018zg0
- 「まあ、ご無事でなにより、と言わせてもらいましょう」
沮授の言葉を聞きながらぐびぐびとお酒を頂いております。いやあ、美味しい。
沮授と張紘。俺の半身とも言える義兄弟。多忙極まる中お時間いただきまして恐縮でございます。あれ、半身が二人いたら俺、いらなくね?とか言ったら、流石にそれは笑えない。と冷たい視線が来た。
すまぬ。
「ほんと、これで沮授なんか相当狼狽えてたからな。いや、勿論おいらもだけどな。
二人揃ったら辛気臭いことこの上なかったみたいだぞ」
マジか。お前らが鬱々としているなんて想像もつかんのだが。
「それで、陳琳殿に檄文を書かせるんだろ?概略は二郎が指示したって聞いたが」
――反董卓連合。それに参加を呼び掛ける檄文は陳琳に任せている。そしてその骨子は俺が指示した。
とは言え、それはこれしかないというもの。
「君側の奸を除く。それしかないだろうさ」
漢王朝に叛くのではない、佞臣を除くための蜂起なのだ。陳腐ではあるが、それしかないとも言える。
「――二郎君はそれでいいのですか?」
「いいも悪いもない。やらなけりゃあ、やられる。それだけさ」
「そうですね。益体もないことを言ってしまいましたね。ですが、二郎君の本気度が分かってよかったですよ。
そして、袁家と相対するならばその最大の敵を動員するはずでしょう、彼女ならば。
ええ、そうです。匈奴と結び、けしかけるでしょう。僕ならそうします。そうしない理由がない。
かなりの譲歩に利権を提示してでもそうします。それほどまでに匈奴は、強い」
ああ、そうだろう。俺だってそうするよ。袁家と対するとしたら外患を招いてでも牽制せんとまともな勝負にならない。
だが、そうはならない、そうはさせない。
「袁家の戦力、武家四家を洛陽に向けたならば確かに匈奴からしたら好機だろうさ。だが、そうはさせない。
沮授に留守番は頼むけど、丸投げはしない。
袁家の総力を挙げるって言ったろ?なりふりかまわないって言ったろ?
だから、さ。ここが勝負どころなのさ。匈奴、なにするものぞ。
出し惜しみはしない。俺が頭を下げればなんとでもなる……と、思う……」
多分。なんとかなると思う。なれ。なってくだしあ。
「そうかい。二郎がそう言うなら、きっとそうなんだろうさ。
おいらたちだって二郎の助けになるからさ、何でも言ってくれよ」
勿論、頼りますとも。特に張紘は俺の計画の中枢だってーの。
まあ、それはともかくである。
やれることはきっちりやる。やるよ。やるとも。
だから、さ。
「匈奴への備えは一番の懸案事項だ。洛陽に向かうは袁家の旗本、そして武家四家総出だ。
後背が無防備なんて、匈奴にとってはいい狩場さね」
「まあ、二郎君がそこまで言うのです。
期待してますよ、腹案とやら」
「まーかせて」
最も信頼する二人に頭を下げ、戯れ、前後不覚になり。
そして向かうは英傑なのだ。
真正面から臨み、頭を下げる。願う。吠える。そして叶う。
ありがとうございます。
◆◆◆
――田豊、麹義。袁家の至宝。
両名現役復帰。袁家の、漢朝の北方の護り手となる。
- 114 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:42:49.24 ID:+gB018zg0
- 本日ここまですー感想とかくだしあー
いけてる題名募集しまくりんぐですよ本当に!
案はなんだろ
「ここから始まる」
「総力戦」
ほんといまいちなのでよろしくお願いします。
- 115 :青ペン [sage]:2020/01/23(木) 07:18:24.63 ID:UviEGQ6wo
- >>105
乙なんだよー
【巡りし毒】かね、シンプルに。
>>114
こっちは【両翼、再び】
- 116 :赤ペン [sage saga]:2020/01/23(木) 11:41:53.84 ID:ZBhG6pUL0
- 乙でしたー
>>104
>>「やだ、こわいこわいわね。 ちょっと違和感が
○「あらやだ、こわいこわい。 それとも【「いやだわ、怖いわね。】とかどうでしょう
>>だが、意に沿わない武力集団を抱えることほど危ういことはない。 そうだ!敵対してる李儒に紹介された皇甫嵩に任せよう! …なんて冷静で的確な判断力!!本能が信用してはいけないと警告してるし多分理性でも任せてはいけないとなってるけど…KOOLに判断するんだ
そもそもせっかくの悪名を使わないのがイカンよね…先帝(無能)とか何進(成り上がりの肉屋の倅)はまだしも元直属の上司の馬騰さんを殺した時点で恩義やら情理で思いとどまる人と認識されるわけないんだから
董軍をさっさと集結させて禁軍に踏み絵させて洛陽にある馬家の屋敷辺りでお焚き上げしなきゃだし、皇帝が代替わりしたんだから洛陽に住む文武百官で謁見して来ない奴の家は打ちこわししてきた奴らを接待してるうちに家宅捜索もしなきゃだし
言ってはなんだけど大恩ある馬騰さんやら袁家の将を無意味に殺した以上有象無象を殺す事に有意義さを求めちゃ筋が通らん…目についた、くらいの理由で適当に殺して恐怖政治しなきゃ
- 117 :赤ペン [sage saga]:2020/01/23(木) 12:51:03.10 ID:ZBhG6pUL0
- さて続きを
>>107
>>「旦那!あね……呂伯奢様がお呼びだ――ですぜ!」 誰だっけ?と思ったら曹操にイチャモン付けて殺されたと噂の人か
○「旦那!あね……呂伯奢(りょはくしゃ)様がお呼びだ――ですぜ!」 普通に名前読めるかどうか微妙なんで振り仮名ふっといた方が良さそうかな
>>108
>>無論、応えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。 ここは問いかけに対してなので
○無論、答えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。 《問答》としてこっちかな?《あんたは世を泰平に出来るのか?》と問われたなら《できる》と応えてもよさそうですが
>>それから、どうするんだ?決まっている。でも、気が進まない。それは許されない。 これだと【どうするかは決まっている。でも(本当は)それは許されない】みたいに読めるので
○それから、どうするんだ?気は進まない。でも、それは許されない。決まっている。 それとも【決まっている。気は進まない。でも、それは許されない。】の方がいいかな?
>>109
>>後方でドゴォ!と微笑ましい音響が響き、 音響は響くものだからこれだと所謂頭痛が痛いみたいな
○後方でドゴォ!と微笑ましい音が響き、 もしくは【音響が上がり、】とかどうでしょう
近くにいるはずの本来の主の袁紹様にも声をかけてあげてw二郎ちゃんだけにお帰りって言ってさっさと踵返すとか女なら大体察しちゃうゾ
そもそもお帰りを一番に言うためだけに走ってるのもどれだけの見回りに目撃されたやらwww
- 118 :赤ペン [sage saga]:2020/01/23(木) 13:44:16.18 ID:ZBhG6pUL0
- 肺炎とか怖いなーとづまりしとこ
>>111
>>だが、馬家を函谷関に向かわせるのはなしだ」 そういえば函谷関(かんこくかん)も振り仮名あった方がいいか?
○だが、馬家を函谷関に向かわせるのは無しだ」 【話だ】と読み間違えたりするかな、しないかな
>>112
>>フン、と応じるしかない。そうか、風ならばそれを果たすだろう。 風がそうすることは二郎ちゃん分かってたよね?自分から「董卓の治世は荒れる」って言ったし
○フン、と応じるしかない。そうさ、風ならばそれを果たすだろう。 もしくは【そうだ、】の方がいいと思います
実際なあ【愚帝】、【肉屋の倅】、【戦争狂】まではぎりぎり対外的に無力化の言い訳が立ったのに…馬騰さんに張遼ぶつけるしか無かったとはいえ袁家に無名差し向けたのは…いっそ自分が交渉に行くか何進殺したら返す刀で呂布に陳宮と代わってもらって陳宮を袁家に向かわせれば
それにしても今回は張燕さん大分色々と得られたな…まさか二郎ちゃんに「抱いたら情がわく」とまで言われるとは。
何時二郎ちゃんが自制を辞めて黒山賊ブッコロになるかとか、漢王朝と完全敵対したら漢王朝への兵力増強の言い訳に使ってたけどこれでもう言い訳する必要もねえ!からの不倶戴天ルートを常に考えてただろうに
そして次郎ちゃんの恐ろしい所はこれを本気で言ってるけど同時に情を交わした詠を悪名かぶせて殺すと喧伝することよ…
張燕なら当然二人の関係も、董卓の治世も、今回の裏側も、大体辺りを付けれるだろうし…下手したら梁剛さんの件も知っててもおかしくないよね
二郎ちゃんのこの公私のバランス感覚があるからこそ張燕もここで袁家に張ったんだろうなあ…
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