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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 35 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:59:26.73 ID:c1wVtIMX0
- ◆◆◆
「誰かある!」
応えは、ない。
初手において敵指揮官を潰し、一時は優勢ではあったが流石に多勢に無勢。
統制なくとも数の暴力に押されて下がりに下がって背にした扉は屋敷の最奥。
ここが突破されればここに袁家首脳がいないことが決定的に露見してしまう。そんな最終防衛線にいるのは雷薄ただ一人。
幾多の勇士既に散った。散ってしまった。
「やらせるものかよ……」
それでも雷薄は気力を振り絞って迫る敵を睨む。
白を基調とした甲冑は返り血のみならず自ら流した血で紅く染まっており、修羅もかくや、という姿である。
幾本も矢が突き刺さり、傷からは血が流れ出て意識が白くなりそうである。
いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになる。
数瞬意識すら手放し、顔を上げるのも億劫だ。
それを好機と見たか、或いは力尽きたと見たか、敵兵がとどめとばかりに槍を突き立ててくる。
その激痛すらどうでもよいとばかりに倒れ伏したくなる。
それでも、それでも。
「やらせはせん!やらせはせんぞ!貴様らごときに、やらせはせん!
袁家の栄光を!世の平和を!やらせはせん!」
吠えて手にした得物を振るう。暴風がごときその勢いに押されて包囲の輪は距離を取る。
「ここを通りたくば!俺の屍を越えていけい!」
仁王立ちする雷薄は凄絶に笑い、威圧する。
その威を畏れ、矢嵐を以って無力化しようとするも揺るぎもしない。
むしろ呵々大笑して煽るほど。
さしもの董家軍が、その武威に三度下がったという。
絶命してなお威圧する武威は後世語り草になった。
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